【狗月神社】あらすじから最終話まで全話ネタバレ解説

ずっちー

切なくも恐ろしい物語【狗月神社】。愛する者を失った悲しみから生まれた、禁断の願いを巡るこの物語は、オムニバス形式で展開されるため、

  • 「各話の結末がどうなるのか気になる」
  • 「話の順番を整理して、物語の全体像をしっかりと把握したい」
  • 「あの登場人物が最終的にどうなったのか、もう一度詳しく確認したい」

といった、様々な気持ちでこの記事にたどり着いた方が多いのではないでしょうか。

この記事では、そんなあなたの「もっと深く知りたい」という気持ちに全力で応えるため、【狗月神社】の最終回までの全話あらすじを、各章ごとに、登場人物の心情の機微まで含めて徹底的にネタバレ解説していきます。

この記事を読むことで、【狗月神社】という作品が持つ全ての物語の結末と、各登場人物が迎えたそれぞれの運命を、完全に、そして深く理解できるというメリットがあります。一方で、この記事は物語の核心に触れる完全なネタバレを含んでいます。

まだご自身で作品を読んでいない方や、物語の結末を自分の目で確かめたいという方にとっては、新鮮な驚きや感動を損なってしまうデメリットがあるため、この記事を読み進めるかどうかは慎重にご判断ください。

【狗月神社】ってどんなあらすじ?世界観や登場人物を解説(ネタバレあり)

ここでは、物語全体の根幹をなし、全ての悲劇の引き金となる世界観や設定、そして各章を彩る、忘れがたい主要な登場人物たちについて、物語の核心に触れるネタバレを含みつつ、より深く詳しく解説していきます。

どんなあらすじ?世界観や設定をわかりやすく解説!

物語の全ての中心に不気味に佇んでいるのは、「狗月神社」という謎めいた神社に古くからまつわる、ある特異な言い伝えです。それは、「狗月神社でお願いすると、死んだ犬が帰ってくる」という、一見すると子供じみた、しかし切実な響きを持つものです。しかし、これは単なる希望的な迷信や、人々を慰めるためのおとぎ話ではありません。

この物語の世界において、その願いは物理法則のように機能する、抗いがたい「呪い」として成就してしまいます。愛する家族や友、ペットを失った深い悲しみに耐えきれなくなった人々が、最後の望みを託してこの神社を訪れ、禁断の願いを口にすることで、死者の魂をこの世、すなわち現世に呼び戻してしまうのです。しかし、その帰還は決して、かつてのような幸せな再会を意味するものではありません。多くの場合、呼び戻された魂は、他者の肉体を乗っ取ったり、全く別の生き物に転生したりと、不完全で歪な形で現世に留まることになります。そしてその存在は、本人だけでなく、願ってしまった者にも、更なる、そしてより深刻な悲劇をもたらすのです。

本作は、この「狗月神社」の抗えない呪いに関わってしまった人々の、それぞれの運命を、章ごとに主人公を入れ替えながら描いていく、オムニバス形式のホラーサスペンスです。愛ゆえに抱いてしまった、あまりにも身勝手で純粋な願いが、いかに残酷で取り返しのつかない結末を招いてしまうのか。その切なくも恐ろしい物語が、読者の心を強く、そして深く揺さぶります。

主要な登場人物を紹介

【狗月神社】は、前述の通りオムニバス形式で物語が展開されるため、各章で主人公と主要な登場人物が異なります。ここでは、それぞれの章で、悲劇的な物語を動かす中心人物たちを、彼らの関係性や役割を掘り下げながら紹介します。

  • かずね編(1話・2話)
    • かずね: 物語の最初の主人公を務める女性。13年前に、自身の不注意から友人を死なせてしまったかもしれないという、重い罪悪感を心の奥底に封印し続けています。その罪悪感が、彼女自身の記憶を歪める原因となっています。
    • 哲史(てつし): かずねの優しく、理解のある恋人。彼女が抱える心の傷を癒そうと献身的に努めますが、彼自身が、かずねの忘れたい過去と、物語全体の最も重要な謎を握る鍵となる存在です。
    • よっちゃん(吉田克之): かずねが小学生時代に、かくれんぼの事故で死なせてしまったと思い込んでいる少年。彼の存在が、かずねの歪んだ記憶の真実を暴くきっかけとなります。
  • 紗良・陸編(3話・4話)
    • 紗良(さら): 陸の妻であり、亡きリョウのかけがえのない親友。夫を愛する一方で、心の奥底ではリョウへの秘めた想いを断ち切れずにいます。
    • 陸(りく): 紗良の夫。親友であったリョウに対し、紗良との恋愛に関する深い罪悪感を12年間抱え続けています。その後悔の念が、リョウの魂を呼び寄せる引き金となります。
    • リョウ: 紗良と陸の親友。12年前に不慮の事故でこの世を去っていますが、彼の魂が陸の体に憑依することで、三人の止まっていた時間を再び動かし始めます。
  • みひろ・こむぎ編(5話・6話)
    • みひろ: 人生のどん底にいた女性。恋人との破局、劣悪な住環境、そして16年間連れ添った愛猫こむぎの死という不幸が重なり、精神的に追い詰められた結果、禁断の願いを抱いてしまいます。
    • こむぎ: みひろが家族として心から愛した猫。その死後、みひろの狗月神社での願いによって、人気アイドル・雨宮ユウトの体に魂が憑依する形で現世に帰ってきます。
    • 雨宮ユウト: 撮影中の転落事故で意識不明となった、絶大な人気を誇るアイドル。彼の肉体が、こむぎの魂が宿るための「器」となり、物語をより複雑で悲劇的なものにします。

【狗月神社】最終回まで全話ネタバレ・あらすじ解説

ここからは、物語の核心に深く迫る、最終回までの全話ネタバレあらすじを、各章ごとに、より詳細に解説していきます。どの章も衝撃的な結末が待ち受けていますので、閲覧には改めてご注意ください。

1話・2話ネタバレはこちら【かずね編】

【あらすじ】 物語の最初の主人公であるかずねは、13年前の小学生時代、かくれんぼの事故で友人「よっちゃん」を古い廃屋の長持に閉じ込めたまま、死なせてしまったかもしれないという、重い罪悪感に長年苛まれていました。

同窓会への参加をきっかけに、封印していた過去と向き合う決意をした彼女は、優しい恋人である哲史と共に、全ての始まりの場所である「鬼ばばあの家」へと向かいます。そこで死んだはずのよっちゃんと奇跡的に再会し、自分の記憶違いだったことに心の底から安堵したのも束の間、よっちゃんの口から「哲史のこと、箱の中で窒息死なんてショックだったよな」という、信じがたい事実が語られるのです。

実は13年前に、あの長持の中で命を落としていたのは、よっちゃんではなく、今自分の隣にいるはずの恋人、哲史だったのです。あまりにも辛すぎる現実を受け入れられなかったかずねの脳は、無意識のうちに記憶をすり替え、今一緒にいる哲史は、彼女が狗月神社で「てっちゃんを返してください」と泣きながら願ったことで呼び戻された霊でした。全ての真実を思い出した瞬間、哲史の霊は彼女の前から静かに姿を消し、かずねは再び一人、取り返しのつかない罪と、二度目の喪失という現実に直面するのでした。

あわせて読みたい
【狗月神社】1話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説
【狗月神社】1話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説
あわせて読みたい
【狗月神社】2話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説
【狗月神社】2話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

【感想】 物語の導入として、これ以上ないほどに衝撃的で、読者の心を鷲掴みにするエピソードでした。一人の女性が抱える過去のトラウマと、記憶の曖昧さを巡るヒューマンミステリーかと思いきや、最後に明かされる真実は、読者の予想を遥かに超える残酷なものでした。愛する恋人が、実は自分が幼い頃に過失で死なせてしまった友人の霊であり、その霊をこの世に呼び出してしまったのも自分自身だったという、どこにも救いのない結末は、強烈な印象を残します。

人間の記憶がいかに脆く、自己防衛のために都合よく書き換えられてしまうかという心理的な恐怖と、愛するがゆえの身勝手な願いがもたらす根源的な悲劇を、鮮烈に描き出した、本作のトーンを決定づける物語だと思います。

3話・4話ネタバレはこちら【紗良・陸編】

【あらすじ】 紗良と陸の夫婦は、12年前に亡くなった、かけがえのない親友・リョウの葬儀をきっかけに、それぞれが心の奥底にしまい込んでいた過去の後悔と向き合うことになります。夫の陸は、リョウが密かに想いを寄せていた紗良を、友情よりも恋心を優先し、いわば裏切る形で先に射止めてしまったことへの罪悪感に、長年苦しんでいました。その深い後悔の念が引き金となったのか、陸の体に、亡きリョウの魂が憑依してしまいます。

本来は右利きだったはずの陸が、リョウと同じように左利きになるなど、夫の明らかな異変に気づいた紗良は、藁にもすがる思いで訪れた狗月神社で、「狗憑き」を祓う唯一の方法を教わります。それは、死者が生前に好んだ食べ物を用意し、心から愛する人が「帰って欲しい」と、別れを願うことでした。

紗良は、愛する夫の姿をしたリョウに、12年間誰にも言えずに秘めてきた「好きだった」という想いを告白した上で、涙ながらに永遠の別れを告げます。その魂からの願いはリョウに届き、彼の魂は安らかに解放され、呪いから解き放たれた夫婦は、新しい命を授かり、過去を乗り越えて未来へと歩き出すのでした。

あわせて読みたい
【狗月神社】3話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説
【狗月神社】3話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説
あわせて読みたい
【狗月神社】4話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説
【狗月神社】4話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

【感想】 かずね編の、どこにも救いのない絶望的な結末とは対照的に、この章では「罪の清算」と「再生」が明確なテーマとして描かれており、読後には温かくも切ない感動が残りました。青春時代における恋愛での後悔や、友情に対する罪悪感という、誰もが一度は経験するかもしれない普遍的なテーマが、ホラーという物語の装置と見事に融合することで、より物語に深みとリアリティを与えています。

愛する人を、愛しているがゆえに自分自身の言葉で、この世から祓わなければならないという紗良の決断は、あまりにも切なく、読んでいて胸が締め付けられました。深い悲しみや、取り返しのつかない罪を乗り越え、それでも未来へ向かって生きていこうとする人間の強さと尊さを感じさせてくれる、希望に満ちたエピソードです。

5話・6話ネタバレはこちら【みひろ・こむぎ編】

【あらすじ】 失恋、劣悪な住環境、そして16年間連れ添った愛猫こむぎの死という不幸の連続に見舞われ、人生のどん底にいた主人公のみひろ。彼女は、こむぎを失った深い悲しみに耐えきれず、禁断と知りながらも狗月神社で「こむぎを返してください」と願ってしまいます。

その結果、こむぎの魂は、撮影中の事故で意識不明となっていた人気アイドル・雨宮ユウトの体に憑依する形で、奇跡の帰還を果たしました。しかし、その帰還は「呪い」そのものであり、こむぎは器となった肉体の生命を維持するために、他の魂を喰らわなければならない、おぞましくも悲しい存在へと成り果てていました。

自分の身勝手な願いが、心から愛する猫を苦しめていると知ったみひろは、本当の愛とは何かを悟り、こむぎを安らかに眠らせることを決意します。二人は、たくさんの思い出が詰まった実家で最後の幸せな時間を過ごした後、涙ながらに別れを告げ、こむぎの魂は、今度こそ虹の橋のふもとへと、安らかに旅立っていくのでした。

あわせて読みたい
【狗月神社】5話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説
【狗月神社】5話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説
あわせて読みたい
【狗月神社】6話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説
【狗月神社】6話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

【感想】 シリーズの最終章を飾るこの物語は、「ペットロス」という非常にデリケートで、現代に生きる多くの人が共感しうるテーマを扱った、涙なくしては読めない感動的な物語でした。多くの飼い主が心の支えにしている「虹の橋」の物語を、「ニンゲンの都合いいファンタジー」と、愛猫自身の口から断罪させるシーンは、あまりにも残酷で、読者の心を深くえぐります。

しかし、それ以上に、種族という垣根を超えたみひろとこむぎの、純粋で深い愛情の絆に胸を打たれました。偽りの生を与え続けることではなく、安らかな眠りへと送ってあげる「本当の意味での別れ」を選ぶみひろの最後の決断は、この物語が提示する、一つの崇高な愛の形なのだと感じます。物語の根底に流れる恐怖や悲しみを超越し、読後には温かい涙と、深い感動、そして生きることの切なさが心に残る、忘れられない最終章でした。

ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
記事URLをコピーしました