【癒やしのお隣さんには秘密がある】28話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 部屋に侵入してきた蒼真を、坂本が背負い投げで制圧し、ロープで拘束しました。
  • 三者面談が始まり、蒼真は坂本の尋問に対し、盗聴、盗撮、GPSでの監視などのストーカー行為を全てあっさりと認めます。
  • 坂本が藤子のキーホルダーからGPS発見器を発見し、全てが明らかになる中、彼は蒼真に犯行の動機を問い詰めました。

【癒しのお隣さんには秘密がある】第28話をネタバレありでわかりやすく解説する

坂本によって全てのストーカー行為を暴かれ、拘束された仁科蒼真。ついに問われた犯行の動機。彼の口から語られるのは、藤子の記憶の片隅に追いやられていた、6年前の「運命の出会い」でした。

「藤子さんは僕の命の恩人」

「動機は……」 坂本からの問いに、蒼真は静かに口を開きます。そして、彼は信じられない言葉を口にしました。 「…藤子さんは 僕の命の恩人なんです」

突然の告白に、藤子も坂本も言葉を失います。しかし、藤子には全く身に覚えがありません。 「あの日のことは 記憶にないか」 そう寂しげに呟く蒼真。彼は、6年前、自殺を考えていたことを明かします。 当時、大学最後の年だった彼は、藤子が勤める保険会社のビルの屋上から、飛び降りて死ぬつもりだったのです。

その言葉に、藤子の脳裏にある記憶が蘇ります。6年ほど前、会社のビルで飛び降りようとしていた青年を、必死で止めたこと。 しかし、目の前の美しい蒼真と、記憶の中の青年がどうしても結びつきません。 「その時もしかして 眼鏡かけてました?」 藤子の問いに、蒼真は「当時僕は太ってましたし 顔を隠そうとして 前髪も長かったので…」と、静かに答えました。

歪んだ努力「理想の男への壮絶な体改革」

点と線が繋がり、愕然とする藤子と坂本。しかし、蒼真の告白はまだ終わりません。彼は、歪んだ笑みを浮かべながら、さらに恐ろしい真実を語り始めます。

「ですが藤子さんの 好きな異性のタイプを 徹底的に調べ上げ」「一年かけて この姿に仕上げました」

その体型改造は壮絶を極めたものでしたが、遠くから一方的に藤子を見守ることが、彼の心を奮い立たせたのです。 そして彼は、悪びれる様子もなくこう続けました。 「この間利宗君に僕の事を ドンピシャのタイプだって 言ってましたもんね」 盗聴で得た情報を突きつけられ、藤子は言葉を失います。照れてうつむく彼女の姿さえも、蒼真は恍惚とした表情で見つめ、「怒った姿も 焦ってる姿もかわいい」と悦に入るのでした。

運命の日の真相

坂本が、なぜ死に場所にあのビルを選んだのかと尋ねると、蒼真は「その日は どこを行く訳でもなく 歩いていました」「ふとビルが 目に入って あの屋上から飛ぼうと 急に思い立ったんです」と答えます。 その浅はかさを坂本に呆れられ、蒼真も「それに関しては 返す言葉もありません」と認めました。

そして、運命の日の記憶が、彼の口から鮮明に語られます。 屋上で飛び降りのカウントダウンを始めた時、そこに現れたのが、昼食を食べに来た藤子でした。 「何やってるんですか」「はやまらないで」「死んじゃだめですよ」 どこの誰とも知らない自分のために、泣きながら必死に止めてくれる藤子の姿に、蒼真の心は揺さぶられ、一度は死ぬことをためらったのです。

覚えていない「最後の言葉」

しかし、それでも「もう操られた 人生なんか 送りたくなかった」と、死のうとする蒼真。 彼が身を乗り出そうとしたその瞬間、藤子は彼の体を強く掴み、物理的に引き留めました。 その時、二人の運命は始まりました。

全てを語り終えた蒼真は、藤子に静かに問いかけます。

「その時 僕になんて言ったか 覚えていますか?」

しかし、藤子の答えは無情なものでした。 「すみません 覚えて いないです…」 彼女にとって、それは数ある善行の一つに過ぎなかったのかもしれません。しかし、彼にとっては、人生の全てを変えた一言。その言葉を、彼女は覚えていなかったのです。

【癒しのお隣さんには秘密がある】28話を読んだ感想(ネタバレあり)

ついに、全ての謎の根源であった「犯行の動機」が明かされました。命の恩人への感謝が、6年という歳月をかけて、歪みに歪んだストーカー行為へと昇華されてしまった。この救いのない事実に、ただただ言葉を失います。

特に恐ろしかったのは、蒼真の「努力の方向性の間違いっぷり」です。「好きなタイプを調べて1年かけて肉体改造」なんて、普通の恋愛なら健気な努力として美談になり得たかもしれません。しかし、彼の行動の根底にあるのは、相手を監視し、情報を盗み、自分の理想を押し付けるという、一方的な支配欲。その事実が、彼の努力をこの上なく恐ろしいものに変えています。

盗聴で得た「ドンピシャのタイプ」という情報を突きつけ、照れる藤子を見て恍惚とするシーンは、彼のサイコパスっぷりが凝縮されていました。もはや、彼と藤子の間には、絶望的なまでに深い認識の溝があることを見せつけられます。

6年前、藤子が取った行動は、間違いなく尊いものでした。しかし、その善意が、結果としてこのモンスターを生み出すきっかけになってしまったという皮肉。そして、藤子が覚えていない「最後の言葉」とは一体何だったのか。それが、彼の歪んだ心を縛り付ける呪いになってしまったのでしょうか。物語は、最も根深く、最も暗い謎を提示し、次なる展開へと進んでいきます。

【癒しのお隣さんには秘密がある】28話のネタバレまとめ

  • 坂本に動機を問われた蒼真は、「藤子さんは僕の命の恩人です」と衝撃の告白をする。
  • 6年前、藤子の会社の屋上から飛び降り自殺を図った際、当時太っていて眼鏡をかけていた蒼真を、藤子が止めていたことが判明する。
  • 蒼真は、藤子の好みのタイプになるため1年かけて肉体改造し、その過程もストーキングによって心の支えとしていたことを明かす。
  • 必死に自分を止めてくれた藤子の姿に心を打たれたこと、そして最後に藤子にかけられたある「言葉」が、この6年間の全ての始まりだったと語る。
  • しかし、蒼真が問いかけたその「最後の言葉」を、藤子は覚えていなかった。

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ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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