【癒やしのお隣さんには秘密がある】29話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 藤子は会社の先輩である坂本に、仁科蒼真から盗聴されているかもしれないという窮状を打ち明け、助けを求めました。
  • 二人は「彼氏のフリ作戦」を決行しますが、坂本の大胆な演技が蒼真を激昂させ、彼は合い鍵を使って藤子の部屋に侵入してしまいます。
  • 坂本が蒼真を制圧し、三者対峙という最悪の修羅場が幕を開けたのでした。

【癒しのお隣さんには秘密がある】第29話をネタバレありでわかりやすく解説する

坂本によって拘束され、全ての罪を暴かれた仁科蒼真。ついに問われた「犯行の動機」。彼の口から語られるのは、あまりにも純粋で、そしてあまりにも歪んだ、6年越しの物語の始まりでした。

「あなたの人生は、あなたが操縦するんですよ」

「動機は……」 坂本からの問いに、蒼真は静かに、しかしはっきりと告げます。

「・・・藤子さんは 僕の命の恩人なんです」

その言葉に、藤子は6年前、会社の屋上で飛び降りようとしていた青年を助けた出来事を思い出します。しかし、目の前の美しい蒼真と、記憶の中の「太っていて、前髪が長く、眼鏡をかけていた」青年が、どうしても結びつきません。蒼真の告白により、その青年が彼自身であったという、信じがたい事実が判明します。

そして、蒼真は藤子に問いかけます。 「その時 僕になんて言ったか 覚えていますか?」 全く覚えていない藤子に 、彼は、自らの人生を変えた言葉を教えました。

「操られたまま 死んじゃって いいんですか」 「あなたの人生は あなたが 操縦するんですよ」 「貴方は貴方の人生と言う名の 飛行機のパイロットなんですよ」

あまりに恥ずかしい過去の自分のセリフに、藤子は悶絶するのでした。

感謝から始まった、歪んだ「護衛」

見ず知らずの自分のために、泣きながら必死に命を繋ぎ止めようとしてくれた藤子。その姿に心を打たれた蒼真は、死ぬことを思いとどまります。 その後、親元を離れてイギリスへ留学した彼は、初めて「死ななくて 良かったって 心の底から 思ったんです」と感じることができました。

帰国後、彼は感謝を伝えるため、あのビルで藤子を待ちますが、緊張のあまり話しかけることができません。 そして、その純粋な感謝の気持ちは、最も歪んだ形で表現されることになります。彼は、彼女の後をひっそりと追いかけ始めたのです。

観察を続けるうちに、彼女の家庭環境や人一倍努力家な姿を知り、彼の心には「僕の命の恩人を 様々な苦境から 護らなければ」という、異常な使命感が芽生えてしまいました。 坂本が「ストーカーの 始まりだな」 と冷静にツッコミを入れるように、それはもはや感謝ではなく、紛れもない犯罪の始まりでした。

「裏切られた気持ち」と、最後の約束

「ストーカーなんか しなくても… 直接聞いてくれれば 答えました」 「写真が 欲しいなら 一緒に 撮りました」 藤子の悲痛な叫びが、部屋に響きます。お隣さんになってから、ベランダで話す時間がいつも楽しみだったこと。 その全てが監視下にあったのだと思うと、「裏切られた ような気持ちで…」と、彼女は涙をこぼすのでした。

その涙を見て、蒼真も自らの過ちに気づいたかのように苦悩します。 そして、藤子は彼に最後の決断を迫りました。彼女は、事を荒立てたくないという理由から、警察には通報しないと告げます。 その代わりとして、たった一つの、しかし最も重い約束を要求したのです。

「私へのストーカー行為を 金輪際きっぱりやめると 今ここで誓ってください」

天地神明への誓いと、拭いきれない本性

ストーカー行為は、彼にとって「実に充実して」「優越感」と「幸福感」に満ちたものでした。 しかし、愛しい藤子を怖がらせ、傷つけてしまったことは、彼にとっても「罪」でした。 蒼真は、その要求を受け入れます。

「…やめます」 「天地神明に誓って 藤子さんのストーカーは もうしません」

しかし、その神聖な誓いの直後、彼はとんでもない言葉を口にしてしまいます。 「もし不安でしたら 僕の家に盗聴器で も監視カメラでも…むしろそうして頂 けると僕は嬉しい」 その全く懲りていない変態発言に、坂本は「そーゆー 変態発言も やめた方がいいぞ…」と、心底呆れるしかないのでした。

【癒しのお隣さんには秘密がある】29話を読んだ感想(ネタバレあり)

ついに、全ての謎が一本の線で繋がりました。6年前の藤子の善意が、結果としてこの恐ろしいストーカーを生み出してしまったという皮肉な現実に、ただただ言葉を失います。蒼真の動機が、純粋な「感謝」から始まっているという事実が、この物語をより複雑で、恐ろしいものにしていますね。

彼が語る過去は、同情の余地がないわけではありません。親に操られ、人生に絶望していた彼にとって、藤子はまさに女神のような存在だったのでしょう。しかし、その感謝の表現方法を、彼は致命的に間違えてしまった。その歪みが、6年という歳月をかけて、取り返しのつかない狂気へと彼を育て上げてしまったのですね。

藤子の「裏切られた気持ち」という言葉には、胸が締め付けられました。彼女が純粋に育んできたと思っていた隣人との絆が、全て一方的な監視と支配のもとにあった。その絶望は計り知れません。それでも彼を警察に突き出さず、更生の機会を与えようとする彼女の優しさが、あまりにも痛々しく感じます。

ラストの蒼真の「変態発言」は、見事なオチであると同時に、彼の根深い異常性を物語っていました。本当に彼は、ストーカー行為をやめることができるのでしょうか。この誓いが、更なる悲劇の序章でないことを、今はただ祈るばかりです。

【癒しのお隣さんには秘密がある】29話のネタバレまとめ

  • 蒼真のストーカーの動機は、6年前に藤子がビルの屋上で彼の自殺を止めたことへの感謝だったことが判明した。
  • 藤子が忘れていた、彼を救った言葉は「あなたの人生はあなたが操縦するんですよ」というものだった。
  • 感謝を伝える勇気がなかった蒼真はストーカー行為を開始し、それを「護衛」と正当化していた経緯が語られた。
  • 藤子は警察に通報しない代わりに、二度とストーカー行為をしないことを蒼真に「天地神明に誓って」約束させた。

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ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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