【癒やしのお隣さんには秘密がある】35話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 蒼真の件で落ち込む藤子を心配した田辺は、坂本と協力し、彼女を元気づけるために猫カフェへと連れ出しました。
  • そこで田辺は、藤子に相談してもらえなかったことが悔しかったと涙ながらに本音を語り、二人の友情はより一層深まります。
  • しかし、猫に癒やされながらも、藤子は蒼真との思い出が蘇り、彼の与えてくれた癒やしとは違うと泣き出してしまいました。
  • その様子を見た坂本と田辺は、藤子がまだ蒼真のことを好きなのではないか、という疑念を抱くのでした。

【癒しのお隣さんには秘密がある】第35話をネタバレありでわかりやすく解説する

猫カフェでの涙は、藤子の心の奥底に眠る、仁科蒼真への複雑な感情を浮き彫りにしました。親友と頼れる先輩は、その涙の理由を、そして彼女自身も気づかないふりをしていた本心を、容赦なく暴いていきます。

優しい仲間と、拭いきれない想い

「先輩のこと大好きですから」 涙する藤子を、田辺は力強く抱きしめます。その真っ直ぐな友情に、藤子は「ありがとう」と微笑み返し、坂本もまた、その光景に「感動するじゃねーか」と目を細めるのでした。

三人の間には温かい空気が流れます。坂本から借りている盗聴発見器にも反応はなく、蒼真のストーカー行為は止まっているように見えました。 しかし、藤子の心は晴れません。 (ストーカーじゃなかったら どれだけ良かったか) そして、心のどこかで、こう願ってしまっている自分に気づくのです。 (盗聴器がまた 発見されればいいのに) そうすれば、彼に会う口実ができるから。その歪んだ願望は、彼女自身を静かに蝕んでいました。

坂本が喝破する「本当の理由」

坂本は、そんな藤子の心の揺らぎを見逃しませんでした。先ほど、猫を前にして泣き崩れた藤子の姿を、彼は指摘します。

「さっき猫じゃ 仁科さんの癒やしには かなわないみたいなこと 言ったの誰だよ」 ベランダでの乾杯、仕事の後の労い、ヒーローのように助けてくれた夜、一緒に食べた手料理…。 猫の癒やしは、蒼真が与えてくれたそれとは「全然違うの…」と、藤子は涙ながらに訴えるのでした。

そして、坂本はついに、核心を突きます。 藤子が頑なに引っ越しを拒む、その本当の理由。それは、家賃の安さなどではなく…。

「お前があの家に 居残りたい理由なんて 仁科さんと離れるのが 嫌だからじゃないの」 「あんな怖いことが あったから…」と必死に否定する藤子に、田辺も「好きなんですよね 仁科さんのこと」と、無慈悲な追い打ちをかけるのでした。

田辺が投じた、禁断の肯定論

「違いますよ!」と声を荒らげる藤子。 しかし、その心は揺れに揺れていました。会いたいと思ってしまう自分、癒やしを求めている自分は、確かにいる。 でも、その気持ちを認めることは絶対にダメだと、必死に自分に言い聞かせます。

そんな藤子の葛藤を打ち破ったのは、最強の肯定者、田辺の爆弾発言でした。 「そりゃ私だって ストーカーは 気持ち悪いし 断固拒否ですよ」 そう前置きしつつも、彼女は悪魔のような囁きを続けます。

「でも私は むしろもったいないなぁって 思っちゃうんですよねぇ」 「だってストーカーとは言え あの完璧な容姿ですよ?」「しかも五年以上も 一途に先輩のことだけを 想ってたと」 その言葉に、常識人である坂本は「洗脳されてるか 精神異常があるかって 考えるだろ」とドン引き。 しかし、田辺は止まりません。彼女は、とどめの一言を藤子に投げかけるのです。 「相手が好きな人で しかも超エリートの イケメンなら まあいいかなぁーって なりません?」

開かれかけた、禁断の扉

田辺の言葉は、藤子の心に深く、そして甘く突き刺さりました。 (まあいいかなぁーって……?) (…そう思っちゃって いいの?) (私このまま 諭されてもいいの?) 世間的に許されるのか、自分は大丈夫なのか。 ぐるぐると渦巻く思考の中で、藤子の心は、禁断の扉を開ける寸前まで、追い詰められていくのでした。

【癒しのお隣さんには秘密がある】35話を読んだ感想(ネタバレあり)

今回は、藤子の心がストーカーである蒼真側に傾きかけるという、恐ろしくも目が離せない展開でした。田辺ちゃんの悪魔の囁き、破壊力が高すぎます!彼女の理論は、常識的に考えれば完全に破綻しているのですが、「イケメンなら許せる」という、多くの人が心の片隅に持っているかもしれない本音を代弁していて、妙な説得力があるのが恐ろしいところです。

坂本先輩の「精神異常があるか考えるだろ」というツッコミが、この異常な状況における唯一の良心であり、読者の気持ちを完璧に表してくれていました。彼がいなければ、この物語は本当に収集がつかないことになっていたでしょう。

そして、何よりも衝撃的だったのは、藤子が田辺の言葉に「諭されてもいいの?」と、本気で揺れ動いてしまったことです。 これは、ストックホルム症候群の典型的な症状のようにも見え、彼女の精神状態がかなり危険な領域に達していることを示唆しています。恐怖の対象であったはずのストーカーを、許容し、受け入れようとしてしまう。その心の動きは、あまりにも危うく、そして悲しいです。

ストーカーという犯罪行為と、相手への恋愛感情。この二つを天秤にかけるという、究極の選択を迫られた藤子。彼女は、この禁断の扉を開けてしまうのでしょうか。物語は、倫理観を揺さぶる、新たなステージに突入しました。

【癒しのお隣さんには秘密がある】35話のネタバレまとめ

  • 猫カフェで、藤子は坂本と田辺に励まされるが、心の中では「盗聴器がまた見つかれば蒼真に会う口実ができるのに」という歪んだ期待を抱いていた。
  • 坂本は、藤子が引っ越さない本当の理由は「蒼真と離れるのが嫌だからだ」と核心を突く。
  • 追い詰められた藤子に対し、田辺は「相手が好きな人で超エリートのイケメンなら、ストーカーでも『まあいいか』となりません?」という禁断の持論を展開する。
  • 田辺の言葉に、藤子の心は激しく揺れ動き、「そう思ってもいいのか」と、ストーカーである蒼真を受け入れてしまいそうになる。

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ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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