【癒やしのお隣さんには秘密がある】39話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • クリスマスパーティーの後、藤子と蒼真は二人きりでベランダで話すことになりました。
  • 蒼真は、藤子に会えない三週間が永遠のように長く、気が狂いそうだったと苦しい胸の内を明かします。
  • アパートの騒音問題は、藤子に会いたいがために蒼真が意図的に引き起こした「作戦」だったことが判明しました。
  • 肌荒れを気にする藤子に対し、蒼真は「どんな藤子さんも可愛い」「こんなに可愛い人は藤子さんだけだ」とストレートに想いを告げるのでした。

【癒しのお隣さんには秘密がある】第39話をネタバレありでわかりやすく解説する

ストレートな愛の言葉を投げかけた仁科蒼真。彼の行動は、もはや予測不能。恐怖と恋心の狭間で揺れる藤子の前で、彼はついに、6年越しの感謝と、その罪を告白します。物語は、最も深く、そして最も痛ましい核心へと触れていきます。

「幸せです」- 歪んだ愛情と、初めての感謝

「ごめんなさい!つい…」 キスから解放された藤子の肩を掴み、蒼真は衝動的な自らの行動を謝罪します。しかし、その表情はどこか恍惚としていました。 「藤子さんのそういう顔 貴重なので ゾクゾクしますね」 その発言に、藤子の心はソワソワと落ち着きません。藤子を前にすると抑制が効かなくなる、と彼は言います。

しかし、次の瞬間、彼の表情は一変しました。 「それなのに 僕は 大切な命の恩人を 騙して裏切って 悲しませて怖がらせて」 そう言うと、蒼真は突然、藤子の目の前で土下座をしたのです。

「六年前 僕の命を助けてくれて 本当にありがとう ございました」

ずっと言えなかった、6年越しの感謝の言葉。そのあまりにも真摯な姿に、藤子はただ「頭を下げないで くださいっ」と、声をかけることしかできませんでした。

6年前、彼が死を選ぼうとした理由

「本当に 迷惑でしたよ」 ストーカー行為を許すことはできない。藤子がそう告げると、蒼真は「藤子さんの お好きなように 僕に罰を与えてください」と、全てを受け入れる覚悟を見せます。 しかし、藤子の心にあったのは、罰を与えることではありませんでした。ずっと胸の内にあった、一つの純粋な疑問。

「…あの …なんで自殺しようと 思ったんですか?」

その問いに、蒼真は自らの過去を、静かに語り始めます。 物心つく前から、両親による徹底的な英才教育。英語、剣道、行儀作法、そして常にトップの成績。親が決めた人間関係、学校、将来の夢、一日のスケジュール。全てが、親の期待に応えるためのものでした。

「限界…」- 親の期待という名の檻

幼少期は、それが当たり前だと思っていた。親を喜ばせたい一心で、努力を重ねてきました。しかし、成長するにつれて、彼は気づいてしまったのです。 「だんだんと 僕は親の過度な期待を 重く感じ始めたんです」

親が決めた通りの人生。そこに、彼の意思は存在しませんでした。感情さえも不要なものだと悟った時、彼は生きる意味を見失ってしまったのです。 「両親や周りの人達にとって 僕は駒でしかないんだと」 「生きる事に意味を 感じられなくなって しまったんです」

そして、彼は静かに、しかしはっきりと告白しました。 「…死にたく なったんです」 その痛ましい告白に、藤子はただ彼の背中をさすることしかできませんでした。

「あなたはあなたの人生を操縦してますよ」

蒼真の告白は、藤子の心に深く突き刺さります。彼が、親の引いたレールの上でしか生きられず、今も自分自身の人生を操縦できていないと感じていること。 その苦しみに対し、藤子は、涙を浮かべながら、最高の笑顔でこう告げました。

「仁科さんは 仁科さんの人生を 操縦してますよ」

その言葉は、6年前に彼女が彼にかけた言葉そのものでした。 「ね」 優しく微笑む藤子。その瞬間、蒼真の中で何かが弾けました。彼は、感極まったように、衝動的に藤子の体を強く、強く抱きしめるのでした。

【癒しのお隣さんには秘密がある】39話を読んだ感想(ネタバレあり)

今回は、物語の全ての根源であった、蒼真の過去とその苦悩が描かれ、涙なしでは読めない回でした。彼のストーカー行為は決して許されるものではありませんが、その背景にあった壮絶な生い立ちを知ると、彼を単純な悪として断罪できない複雑な気持ちになります。

親の期待という名の呪縛に苦しみ、生きる意味さえ見失ってしまった青年。そんな彼を救ったのが、藤子の「あなたの人生は、あなたが操縦するんですよ」という言葉だった。この事実が、二人の関係性の根底にあると思うと、あまりにも切なく、そして美しいと感じてしまいます。

そして、今回のハイライトは、間違いなくラストシーンでしょう。蒼真の過去と苦悩を全て受け止めた上で、もう一度、同じ言葉で彼を肯定する藤子。その聖母のような優しさと強さには、心から感動しました。彼女のこの言葉が、今度こそ本当に蒼真を呪縛から解き放つ一助となるのではないでしょうか。

感極まって藤子を抱きしめた蒼真。このハグは、これまでの歪んだ執着とは全く違う、純粋な感謝と愛情の表れのように感じられました。二人の関係が、ここから本当の意味でリスタートする。そんな希望の光が見えた、素晴らしい一話でした。

【癒しのお隣さんには秘密がある】39話のネタバレまとめ

  • クリスマスパーティーの後、二人きりになったベランダで、蒼真は藤子に土下座し、6年越しの感謝を伝えた。
  • 藤子は、蒼真が自殺を図ろうとした理由を尋ね、彼は、親からの過度な期待と英才教育によって、生きる意味を見失ってしまった過去を告白する。
  • 蒼真の苦悩を知った藤子は、「仁科さんは仁科さんの人生を操縦してますよ」と、6年前と同じ言葉で彼を優しく励ます。
  • その言葉に救われた蒼真は、感極まって衝動的に藤子を強く抱きしめる。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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