復讐モノ

【砕かれた7つの約束】44話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 家政婦の王妈は、雲舒の真実を知りたければ、ゴミ捨て場に捨てられた彼女の日記帳を探すしかないと、祈年に最後の道標を示します。
  • 祈年は、プライドも何もかも捨て、ゴミ処理場で一心不乱にゴミの山を漁り、雲舒の日記帳を探し始めます。
  • その姿は作業員にも目撃され、エリート社長がゴミを漁るという噂が広まることになります。
  • 必死の捜索の末、祈年は雲舒のぬいぐるみと、彼女の20年間の本心が詰まった日記帳をついに見つけ出し、その場で読み始めるのでした。

【砕かれた7つの約束】第44話をネタバレありでわかりやすく解説する

ゴミの山の中から、たった一冊の日記帳——顧雲舒(コ・ウンス)の失われた心を探し当てた沈祈年(シェン-チーニエン)。第44話は、その日記に綴られた、あまりにも健気で、そしてあまりにも残酷な真実の数々が、彼の心を一ページ、また一ページと、容赦なく引き裂いていく、壮絶な断罪の物語です。

最初の罪、母の形見と踏みにじられた優しさ

震える手で、祈年が日記の最初のページをめくります。そこに記されていたのは、ジャン・シャオシャオが顧家に来た、最初の日の出来事でした。

「2002年7月24日。今日はジャン・シャオシャオが家に来た最初の日。7人のお兄様たちが好きな人を受け入れるため、そして、お兄様たちを喜ばせるため、私は母の形見の一つを、彼女に贈った。ジャン・シャオシャオのお母さんの形見が壊れて…私の母の形見も、壊れてしまった…」

その短い文章は、祈年の脳裏に、忘れかけていた過去の罪を鮮やかに蘇らせました。シャオシャオが来て間もなく、彼女の母の形見が壊れたと泣き騒ぎ、そして、いつの間にか雲舒が悪者にされていた、あの日のこと。雲舒は、彼女を慰めるために、自らの母の形見を贈っていた。しかし、それすらも壊され、そしてその罪を、彼女一人が被っていたのです。

「ブレスレット…」

祈年の唇から、絶望のため息が漏れます。そして、彼は最も残酷な点と点を結びつけてしまいました。

「そうか、あのブレスレット(蒼海の涙)も雲舒のお母さんの形見だったのか。それなのに俺は…雲舒に、シャオシャオへ謝罪するように迫った…

信じていた約束と、あまりにも残酷な裏切り

祈年は、打ち震える手で、次のページをめくります。そこには、信じがたいほど純粋な、雲舒の祈りにも似た言葉が綴られていました。

「彼らは私を責めた。でも、私は彼女を責めない。だって、祈年哥哥が約束してくれたから。『母さんの形見を見かけたら、必ず買い戻してあげる』って。私は彼を信じている。彼は決して私を騙したりしない」

その絶対的な信頼の言葉が、祈年の心を鋭く抉ります。彼は、あのオークション会場での、自分自身の姿を思い出さずにいられませんでした。

「これは…私の母の形見なのよ」 涙ながらに破片を拾い集める雲舒。 「あなたは昔、約束してくれたじゃない!『必ず私のために買い戻してくれる』って!それなのに、今のあなたは…思い出すことすらできないのね?」

その悲痛な叫びに対し、自分は何と返したか。

こんなに時間が経ったんだ。どうして俺がまだ覚えていると?

あまりにも冷酷で、無慈悲な一言。彼女の最後の希望の光を、自分自身の手で、ためらいもなく吹き消してしまったのです。

崩れ落ちる心、遅すぎた後悔の重さ

「雲舒のお母さんの形見…」 「俺は…彼女との約束を、すっかり忘れてしまっていた…」

日記を握りしめ、祈年は自分自身を責めるようにつぶやきます。20年間、彼女がどれほどの想いで自分を信じ、待ち続けてくれていたか。そして、自分がいかにその信頼を、無自覚に、そして傲慢に踏みにじり続けてきたか。

その罪の重さは、もはや彼一人の体では支えきれるものではありませんでした。彼は、ゴミの山の真ん中で、まるで全ての光を失ったかのように、ゆっくりと、そして静かに崩れ落ちていくのでした。

【砕かれた7つの約束】44話を読んだ感想(ネタバレあり)

今回は、読んでいて涙が止まりませんでした。雲舒の日記、あまりにも健気で、そしてあまりにも切なすぎます。シャオシャオのために、自分の母の形見を差し出す優しさ。そして、兄弟たちに裏切られてもなお、祈年との小さな約束だけを信じ続ける純粋さ。彼女の心の美しさが、逆に物語の残酷さを際立たせていました。

そして、祈年。彼の絶望が、これでもかというほど伝わってきて、本当に胸が苦しかったです。もちろん、彼が犯してきた罪は決して許されるものではありません。オークション会場での彼の態度は、思い出すだけでも腹が立ちます。

しかし、ゴミの山の中で、汚れも悪臭も気にせず、ただ一心に彼女の心を求め、そして真実を知って崩れ落ちていく彼の姿には、これまでの彼とは違う、人間らしい弱さのようなものを感じました。彼がこれから、このあまりにも重い罪をどう背負っていくのか。彼の本当の贖罪の物語は、ここから始まるのかもしれません。

失って初めて気づく、という言葉がありますが、彼が失ったのは、ただの一人の女性ではありません。20年間、彼を無条件に愛し、信じ、守り続けてくれた、世界で唯一の光だったのです。その光を自らの手で消してしまった彼の心は、これからどれほどの闇を彷徨うことになるのでしょうか。

【砕かれた7つの約束】44話のネタバレまとめ

  • 祈年はゴミ捨て場で見つけた雲舒の日記を読み始め、衝撃的な真実を次々と知ることになります。
  • 彼はまず、シャオシャオが来た当初に壊されたブレスレットが、雲舒が善意で彼女に贈った「母の形見」であったことを知りました。
  • さらに、オークションで砕け散った「蒼海の涙」もまた母の形見であり、雲舒が「祈年がいつか買い戻してくれる」という約束を信じ続けていたことを知ります。
  • 祈年は、その大切な約束を忘れ、オークション会場で雲舒を冷たく突き放した自分自身の過去の言動を思い出し、罪の重さに耐えきれず、その場に崩れ落ちそうになります。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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