復讐モノ

【砕かれた7つの約束】72話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 雲舒と謝謹が車に乗ろうとするのを、祈年が引き止め、「10分だけでいいから話がしたい」と必死に懇願します。
  • しかし、雲舒と顧傑は「話すことはない」「二度と娘に付きまとうな」と、その要求を冷たく拒絶しました。
  • 追い詰められた祈年は、自らのジャケットを開き、体に巻き付けた爆弾を見せつけ、「時間をくれなければ全員一緒に死ぬ」と脅迫するという狂気の行動に出ます。
  • 愛する父と夫の命を守るため、雲舒は悲痛な決意と共に、祈年の要求を受け入れることを決めるのでした。

【砕かれた7つの約束】第72話をネタバレありでわかりやすく解説する

愛する人たちの命を盾にとられ、狂気に囚われた沈祈年(シェン-チーニエン)についていくことを決意した顧雲舒(コ-ウンス)。第72話は、絶体絶命の状況下で繰り広げられる、祈年の歪んだ独白と、雲舒の揺るぎない決意、そして悲劇的な結末を予感させる、息詰まる最後の対話の物語です。

悲痛な決意、愛する人を守るために

「私が一緒に行くわ!」 雲舒の悲痛な叫びに、父・顧傑(コ・ケツ)と夫・謝謹(シャ・キン)は必死に止めようとします。「行ってはいけない!」しかし、彼女の決意は固いものでした。

「彼と行かせてください。もし彼が爆弾を爆発させたら、私たちはみんなここで死んでしまうわ。みんなを巻き込みたくない。私と一緒に死なせたくない

そして、二人に「必ず生きて帰ってきますから」と約束し、彼女は自ら、狂気の淵へと足を踏み入れるのでした。

屋上の対峙、歪んだ復讐劇の始まり?

祈年が雲舒を連れてきたのは、人気のないビルの屋上でした。しかし、そこには予想外の光景が広がっていました。椅子に縛り付けられ、口を塞がれたジャン・シャオシャオの姿があったのです。

「沈祈年! あなた、これは何をしているの?」 驚く雲舒に、祈年は歪んだ笑みを浮かべます。「これは彼女がお前に借りているものだ。まず一部を返させよう」。まるで、シャオシャオへの制裁が、雲舒への償いになるとでも言うかのように。

しかし、雲舒は冷静でした。「必要ないわ。私たちはとっくにお互いに何の借りもないはずよ。円満に別れて、お互いに体面を保ちたいわ」。彼女が望むのは、復讐ではなく、ただ静かな別れだけだったのです。

孤独な過去と「もしも」の世界

祈年は、寂しげな表情で語り始めます。「安心してくれ。もう君を困らせることはしない。ただ…最後に、君ともう少し話したいだけなんだ」。そして、彼は自らの孤独な生い立ちと、雲舒への感謝を口にします。 「俺は生まれてから、両親の顔も見たことがない。君が孤児院に来て、俺を家に連れて帰ってくれた。顧家のじい様と同じように、俺を人間として扱ってくれた」

しかし、その感謝の言葉は、すぐにシャオシャオへの責任転嫁へとすり替わります。「もしもジャン・シャオシャオがいなかったら俺達の結末は違っていたかもしれない」。その見苦しい言い訳を、雲舒は「『もしも』なんてないわ」と、静かに、しかしきっぱりと否定します。

それでも祈年は、現実から目を背けるように、ありもしない「もしも」の世界を語り続けます。「パラレルワールド理論を聞いたことがあるか? きっと別の時空では、俺たちにはジャン・シャオシャオという障害物はないはずだ。君は俺の唯一の救いとなり、俺も君を全世界のように愛するだろう」。彼の心は、もはや現実を受け入れることができず、叶わなかった理想の世界へと逃避していたのです。

遅すぎた愛の告白と、最後の問い

苦しげに顔を歪める雲舒。そんな彼女の姿を見て、祈年はついに、心の奥底に押し込めていた言葉を、悲痛な声で絞り出します。

「雲舒…俺は本当に君を愛しているんだ…

そして、彼は最後の望みを託すかのように、問いかけます。 「君は俺を愛したことがあるの?

その問いに、雲舒は静かに頷きました。「ええ。昔、あなたを私に全てだと思っていた」。それは、過去形での、あまりにも切ない肯定でした。その瞬間、屋上に父と謝謹が駆けつけますが、雲舒はジェスチャーで彼らを制止します。

来世への願いと、強引な最後のキス

雲舒からの、過去の愛の肯定。それは、祈年にとって唯一の救いだったのかもしれません。彼は、自嘲気味に、そしてどこか諦めたように呟きます。 「君に愛されて光栄だ…けど、残念だ…。気付くのが遅すぎて俺は君を逃してしまった…。もし来世があるなら…もし機会があるなら…俺は願う…また君と愛し合えることを」

それは、現世での結末を受け入れた者の、最後の願いのようにも聞こえました。しかし、次の瞬間、彼は衝動的に、そして強引に、雲舒の唇を奪うのでした。それは、彼の歪んだ独占欲と、決して消えることのない執着を象徴する、あまりにも身勝手な、最後のキスでした。

【砕かれた7つの約束】72話を読んだ感想(ネタバレあり)

今回は、息詰まるような緊張感と、登場人物たちの痛切な感情が交錯する、非常に重い回でした。祈年の行動は、もはや狂気としか言いようがありませんが、彼が語る孤独な過去や、「もしも」の世界への逃避には、彼の弱さや脆さのようなものも感じられ、単なる悪役として断罪できない複雑な気持ちになりました。

シャオシャオを縛り付けて「借りを返す」と言い出すシーンは、彼の歪んだ正義感と、責任転嫁の極みですね。最後まで、自分の罪の本質から目を背けようとする彼の姿には、哀れみすら感じます。

そして、祈年の「君は俺を愛したことがあるの?」という問いと、雲舒の「昔はあなたを全てだと思っていた」という答え。このやり取りは、本当に切なかったです。過去には確かに存在した愛。しかし、それはもう、決して戻ることのない時間なのだという、残酷な現実。この短い言葉の中に、二人の20年間の全てが凝縮されているようで、涙が出そうになりました。

最後のキスシーンは、衝撃的でした。来世への願いを口にした直後に、現世での最後の我儘を通そうとする。彼の矛盾した感情、愛と執着の境界線の曖昧さが、この行動に表れているように感じます。このキスが、彼の物語の本当の終わりを意味するのか、それともさらなる悲劇の始まりを告げるのか。最終回に向けて、目が離せません。

【砕かれた7つの約束】72話のネタバレまとめ

  • 雲舒は、父と謝謹の命を守るため、爆弾を体に巻いた祈年についていくことを決意します。
  • 祈年が雲舒を連れて行ったのはビルの屋上で、そこには椅子に縛られたシャオシャオの姿がありました。
  • 祈年は、自らの孤独な過去を語り、「もしシャオシャオがいなければ結末は違った」と責任転嫁しますが、雲舒に否定されます。
  • 彼は「本当に君を愛している」と告白し、「君は俺を愛したことがあるか?」と問いかけ、雲舒は「昔は全てだと思っていた」と過去形で肯定しました。
  • 最後に祈年は、来世での再会を願いながらも、衝動的に雲舒の唇を奪うという強引な行動に出るのでした。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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