【聖ラブサバイバーズ】20話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー

第19話では、ついに王子の方からハルを優しく抱きしめるという、大きな進展がありました。 これまで「お前」呼びだった彼が一時的に「ハルちゃん」と呼んだり、不意打ちのハグをしたりと、王子の行動に隠された心理が気になるところで物語は終わっていました。

【聖ラブサバイバーズ】第20話をネタバレありでわかりやすく解説する

「ハグ」だけで満たされる心と深まる謎

第20話は、ハルの高揚感あふれる表情から幕を開けます。 職場でメイク直しの最中、ハルは顔を赤らめ、隠しきれない幸せなオーラを放っていました。 その様子に気づいた友人の冬実(ふゆみ)から「何か良いことあった?」と聞かれますが、ハルは慌てて否定します。 実はハル、第19話の最後に王子からされた「不意打ちのハグ」を思い出して、余韻に浸っていたのです。

ハルは心の中で冷静になろうとします。 キスをされたわけでもなく、ただ抱きしめられただけです。 しかし、そのたった一度のハグがもたらした幸福感は凄まじいものでした。 ハルはここで、以前に友人の秋菜(あきな)が語っていたある説を思い出します。 それは、『最後までしなくても良い説』です。 秋菜は女性用風俗を利用する中で、挿入行為がなくても心が満たされる感覚を知っていました。 ハルは、今の自分が感じている「オキシトシン(幸せホルモン)」が溢れるような充足感こそが、秋菜の言っていたことなのかもしれないと考えます。

しかし、ハルの中には疑問も残っていました。 王子は以前、ハルの性的な誘いを拒絶しています。 それなのに、急に抱きしめてきたのはなぜなのか。 「ハグ」という言葉では足りないほどの満たされた感覚と、王子の行動への疑問の間で、ハルの心は揺れ動いていました。

編集部で持ち上がった「新しい夫婦の形」

場面は変わり、ハルの仕事場である編集部での会議シーンになります。 そこで、次回の特集テーマとして『オープン・リレーションシップ』という言葉が飛び出しました。 これは欧米で話題になっている概念で、既婚者やカップルがお互いの合意の上で、パートナー以外の相手と性的な関係を持つことを認めるというものです。

この話題に対し、周囲の反応は冷ややかでした。 「旦那が他の女とするなんてありえない」「ただの浮気公認」といった否定的な意見が大半を占めます。 しかし、その中で冬実だけは違った反応を見せました。 彼女は静かに口を開き、「それで夫婦関係を保てる方がいいと思うなら、個人の自由なんじゃないですかね」と発言します。

さらに冬実は、夫婦関係において大事なことは『あいまいさ』な気がすると語りました。 周囲は「さすが冬実ちゃん、大人な意見」と感心しますが、事情を知っているハルだけは複雑な表情を浮かべます。 冬実は現在、夫との冷え切った関係の裏で、若手俳優と不倫関係にあるからです。 冬実の言葉は、一般論を装いながらも、自分自身の歪な夫婦生活を正当化しようとする、悲痛な叫びのようにも聞こえました。

「あいまい」な関係に答えを求めて

仕事の帰り道、ハルは冬実の言った『あいまいさ』という言葉を反芻していました。 ハルにとって王子との関係は、まさに「あいまい」そのものです。 夫婦でありながらセックスレスで、恋人のようなときめきはあるけれど、核心には触れられないもどかしさがあります。 もし二人がただの恋人同士なら、「どういうことよ!」と問い詰められたかもしれません。 しかし、「夫婦」という生活のパートナーであるがゆえに、日々の生活に流され、決定的な問いかけを先送りにしてしまっていました。

そんな時、ハルのスマートフォンに王子からメッセージが届きます。 文面はなく、ただ飲食店のURLが貼られているだけでした。 それは、「今日ここで飯を食おう」という彼なりの不器用な誘いでした。

指定された店に向かいながら、ハルは決意を固めます。 あの時の拒絶の意味も、突然のハグの意味も、全部聞きたい。 「あいまい」なままにしておくのはもうやめよう、と心に決めます。 店のガラス越しに、先に席に座って待っている王子の姿が見えました。 その横顔を見た瞬間、ハルの心に湧き上がったのは、問い詰めたい言葉ではなく、もっと根源的な感情でした。

(私は、この人とずっと生きていきたいんだから)

ハルは、王子との未来を誰よりも強く望んでいる自分の本心を再確認します。 不安や疑問を抱えながらも、それでも彼と共に生きることを選ぶ覚悟を決めたハルが、店の中へと入っていく場面で第20話は締めくくられます。

【聖ラブサバイバーズ】20話を読んだ感想(ネタバレあり)

今回のエピソードは、ハルの純粋なときめきと、冬実が抱える闇の対比が非常に印象的でした。 たった一度のハグでここまで幸せになれるハルは、本当に王子のことが好きなのだと伝わってきます。 セックスレスという重いテーマを扱っていますが、ハルの王子への想いはどこまでもピュアで、読んでいるこちらまで胸が温かくなりました。 特に、ラストシーンで王子の姿を見た瞬間に「この人と生きていきたい」と確信するハルの強さには、心を揺さぶられます。 性的な不満や不安があっても、それを上回る「愛」が存在することを感じさせてくれました。

一方で、冬実の発言には胸が締め付けられるような痛みを感じます。 『オープン・リレーションシップ』や『あいまいさ』を肯定する彼女の言葉は、決して本心からの理想論ではなく、今の自分の状況を肯定しないと心が壊れてしまうからのように見えました。 ハルが「あいまいさ」を脱して前に進もうとしているのに対し、冬実は「あいまいさ」の中に逃げ場を見つけているようで、二人の対照的な姿勢が今後の物語にどう影響していくのか、非常に気になります。

ハルがついに王子と向き合う覚悟を決めましたが、果たして王子は本音を語ってくれるのでしょうか。 次回、二人の会話劇がどのような展開を迎えるのか、期待が高まります。

【聖ラブサバイバーズ】20話のネタバレまとめ

  • ハルは第19話の「不意打ちハグ」により、キス以上の強烈な幸福感と充足感を感じていた。
  • ハルは「最後までしなくても満たされる」という秋菜の説を実感しつつも、王子の行動の意図が分からず困惑していた。
  • 編集部で話題になった『オープン・リレーションシップ』に対し、不倫中の冬実だけが肯定的な意見を述べた。
  • 冬実は夫婦関係において『あいまいさ』が重要だと語り、ハルはその言葉に複雑な思いを抱いた。
  • 王子から食事の誘いを受けたハルは、拒絶やハグの真意を聞こうと決意して店に向かった。
  • 王子の姿を見たハルは、改めて「この人とずっと生きていきたい」という自分の揺るぎない愛情を再確認した。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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