【聖ラブサバイバーズ】21話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー

第20話では、友人の冬実から夫婦関係における「あいまいさ」の重要性を説かれつつも、ハルは王子との関係をはっきりさせるべく、彼が待つ店へと向かいました。 「この人とずっと生きていきたい」という強い決意を胸に秘め、拒絶やハグの真意を問いただそうとするハルですが、第21話では予想外の展開が待ち受けていました。

【聖ラブサバイバーズ】第21話をネタバレありでわかりやすく解説する

衝撃のニュースと「推し」としての喜び

店に到着したハルを待っていたのは、深刻な話し合いではなく、王子からの驚くべきニュースでした。 王子は、かつて所属していたバンド「サフラ」が再結成するかもしれないと告げます 。 メンバーの鈴木が「来年の夏フェスに出たい」と言い出したことがきっかけのようです 。 長年のファンであるハルにとって、これはただのニュースではなく、「超ビックニュース」でした

王子自身は「俺らクラスで」「メンバーの腹出る前にやろうかな的な」と、照れ隠しのようにシニカルな態度をとります 。 しかし、ハルは興奮を抑えきれず、「セトリ(セットリスト)!」や「衣装も!」と前のめりに質問攻めにしてしまいます 。 ハルの頭の中では、今日こそハグの理由や二人の関係について聞こうとしていたはずでした 。 けれども、バンド再結成という話題が嬉しすぎて、本来の目的が頭から吹き飛んでしまったのです

王子の甘い言葉と止まらない「ラブ」の予感

興奮するハルを見た王子は、優しい表情で語りかけます。 「ハルがそんな喜ぶんなら、やろっかな」 。 この言葉は、ハルの心臓を射抜くのに十分でした。 ハルは感動のあまり「ふる…」と震えだし、言葉にならない声を漏らします

朝のハグに始まり、再結成のニュース、そして「ハルのためにやる」という発言。 ハルは、今日一日続いている王子の甘い態度に、「なにこのラブさ!!!」と心の中で絶叫します 。 二人は昔、バンドの打ち上げでよくこの店に来ていたようです 。 王子は「すげーおでん食べたかったから、私も嬉しい」と無邪気に笑い、二人の時間は穏やかで幸せな空気に包まれていきました

幸せすぎるがゆえの妄想と現実の落差

王子の笑顔と「おでん」というキーワードから、ハルの思考は危険な方向へと加速していきます。 幸せと可愛さで「悶え死にそう」になりながら、ハルは王子の言葉を深読みし始めました 。 彼女の脳内では、王子が部屋の電気を消し、「…これは…もしかして…」という期待とともに、「朝の続きしよっか…」と囁く甘い妄想が展開されます 。 妄想の中の王子はベッドでハルに覆いかぶさり、名前を呼びますが、現実の店内の「ザワ」という喧騒でハルは我に返ります

現実に戻ったハルは動揺を隠せず、「や、や」と挙動不審になりますが、王子は気にする様子もなく次のお酒を勧めます 。 ハルはハイボールともち巾着を追加注文しながら、「アリかも、この流れ…!」と淡い期待を持ち続けようとします

「あいまい」な関係への回帰と自己嫌悪

しかし、ふと冷静になったハルは、自分の滑稽さに気づいてしまいました。 「なんで私、好きな人が眼の前にいるのに、一人で妄想してるの?」 。 目の前に本物の王子がいるのに、彼と向き合うのではなく、自分都合の妄想に逃げ込んでいる自分自身に問いかけます。

ハルは気づきます。 「『私たち』いつもこうだった」 。 いい雰囲気になっても、核心には触れず、何もコミュニケーションをとらず、互いの気持ちを伝え合っていないことに思い至りました 。 冬実が言っていた「あいまい」という言葉以前に、そもそも二人の間には、夫婦として必要な対話が欠落していたのです 。 ハルは、楽しい時間の裏側にある、決定的な空虚さを突きつけられることになりました。

【聖ラブサバイバーズ】21話を読んだ感想(ネタバレあり)

第21話は、ハルの「ファン心理」と「妻としての孤独」が見事に、そして残酷に描かれていました。 バンド再結成というニュースを聞いて、自分の悩みよりも喜びを優先させてしまうハルの姿は、長年のファンなら誰もが共感できるものでしょう。 王子の「ハルが喜ぶなら」というセリフは、一見すると最高の愛の言葉ですが、ハルにとっては思考停止を招く麻薬のような言葉でもあります。 彼が優しいからこそ、ハルは厳しい現実(セックスレスや本音の欠如)から目を背け、甘い妄想に逃げ込んでしまうのだと感じました。

特に印象的だったのは、ラストシーンのハルの独白です。 「好きな人が眼の前にいるのに、一人で妄想してるの?」という問いかけは、非常に鋭く、胸に刺さりました。 肉体関係がないから妄想で補うしかない、という切実な事情もありますが、それ以上に「現実の彼と対話すること」への恐怖が見え隠れします。 楽しい時間を壊したくないから、核心に触れられない。 その結果、二人は一緒にいても精神的には「一人」のままなのです。

ハルがついに「コミュニケーション不足」という根本的な問題に自覚的になったことは、大きな一歩と言えるでしょう。 この気づきが、今後の二人の関係をどう変えていくのか。 単なる「推しとファン」の関係を卒業し、本当の意味でのパートナーになれるのか、続きが非常に気になります。

【聖ラブサバイバーズ】21話のネタバレまとめ

  • 王子からバンド「サフラ」の再結成という超ビッグニュースが明かされ、ハルは大興奮した 。
  • 再結成の話題で盛り上がり、ハルは本来の目的だった「ハグの意味を聞くこと」を後回しにしてしまった 。
  • 「ハルが喜ぶならやる」という王子の言葉にハルは感動し、二人は以前のように穏やかな時間を過ごした 。
  • 幸せな空気に酔ったハルは、王子との性的な展開を期待して激しい妄想に浸った 。
  • ふと我に返ったハルは、目の前に彼がいるのに一人で妄想している自分の現状に虚しさを感じた 。
  • ハルは、二人の関係が「あいまい」以前に、何も伝え合っていないコミュニケーション不足の状態だと痛感した 。

◁前の記事はこちらから

あわせて読みたい
【聖ラブサバイバーズ】20話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説
【聖ラブサバイバーズ】20話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

▷次の記事はこちらから

あわせて読みたい
【聖ラブサバイバーズ】22話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説
【聖ラブサバイバーズ】22話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説
ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
記事URLをコピーしました