【聖ラブサバイバーズ】34話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー

第33話では、王子が合宿で不在の中、ハルが注文したフードデリバリーの配達員として漆原(うるしばら)が現れ、二人が秘密の再会を果たす様子が描かれました。 第34話では、かつてハルが一人で孤独を抱えていた部屋が、背徳的な愛で満たされる密室へと変わります。

【聖ラブサバイバーズ】第34話をネタバレありでわかりやすく解説する

玄関でのキスと密会

物語は、玄関先での激しいキスシーンから始まります。 配達バッグを置いた漆原は、ハルを抱き寄せ、貪るように唇を重ねました。 二人の足元には、ハルが履いているサンダルと、漆原のサイクリングシューズが並んでいます。 「いいんすか?ここ、夫婦の寝室?」 。 漆原はハルを押し倒しながら尋ねますが、ハルは「違う。私がずっと一人で寝ていた部屋」と答えます 。 そこは夫婦の愛の巣ではなく、ハルがセックスレスの孤独を噛みしめていた場所だったのです。

「ここから飛びたい」ハルの願い

ハルは漆原に、現状を語り始めます。 あれから、まるで嘘みたいに夫婦関係も仕事も順調にいっていること 。 夫は優しく、自分たちは上手くいっているはずだと。 「だけど…ここから飛びたいの」 。 満たされているはずの日常に、ハルは閉塞感を感じていました。 漆原から貰った避妊具を取り出し、ハルは自ら彼を誘います。 それは、安定した日常という鳥かごから、一時的でもいいから抜け出したいという切実な叫びでした。

罪悪感よりも鮮烈な25分間

二人はそのまま体を重ね合わせます。 窓の外には蝶が舞い、ハルは漆原との行為の中で、これまで感じたことのない解放感を味わっていました 。 夫以外の人と肌を合わせているにもかかわらず、ハルの心に浮かんだのは「たった25分の出来事だった」という冷めた時間感覚と、それとは対照的な強烈な充足感でした。

行為の後、二人は短い会話を交わします。 漆原はハルに「体が喜んでるのも大事にしてあげな」と再び伝え、ハルを優しく抱きしめました。 この言葉は、ハルが自分自身の欲求を肯定するための免罪符のように響きます。

帰宅した王子とハルの変化

漆原が帰った後、ハルは一人部屋に残されます。 程なくして、合宿に行っていたはずの王子が「ただいま」と帰宅しました 。 「おかえり…」と迎えるハルですが、その心境は以前とは全く異なっていました。 目の前にいるのは、愛する夫であり、自分を大切にしてくれる王子です。 しかし、ハルは心の中で呟きます。 「子犬みたいな可愛い王子に、一ミリも罪悪感がない。やばい」

漆原との情事を経て、ハルの中には「夫への後ろめたさ」よりも、「自分を満たすことへの肯定感」が強く根付いてしまっていました。 この変化は、ハルを救うのか、それとも破滅へと導くのか。 物語は、第1話の冒頭で描かれた「セックスゼロ」の苦悩とは全く違う、新たな局面へと突入していきます。

【聖ラブサバイバーズ】34話を読んだ感想(ネタバレあり)

第34話は、ハルの心理描写が秀逸で、読んでいて息が詰まるような緊張感がありました。 特に「ここから飛びたい」というセリフは、単なる性欲ではなく、ハルの魂の叫びのように聞こえます。 「上手くいっている」はずの日常が、実は彼女を縛り付ける鎖になっていたというパラドックス。 そこから逃れるための翼が、漆原との不倫だったというのはあまりに皮肉で、そして切ないです。

ラストシーンで再び繰り返される「罪悪感がない」という独白は、第31話の時よりもさらに深く、重い意味を持っているように感じます。 一度きりの過ちではなく、もはやハルにとって漆原との関係は、生きていくために不可欠な要素になりつつあるのかもしれません。 何も知らずに笑う王子と、秘密を抱えて平然としているハル。 この歪な均衡がいつまで保てるのか、そして保つべきなのか、読者としても複雑な心境にさせられました。

【聖ラブサバイバーズ】34話のネタバレまとめ

  • 配達員として現れた漆原とハルは、玄関先で激しいキスを交わし、そのままハルの部屋へ雪崩れ込んだ 。
  • ハルは、夫婦関係も仕事も順調だが、「ここから飛びたい」という衝動を抑えきれず、漆原を求めた 。
  • 漆原との行為は短時間だったが、ハルに強烈な解放感と充足感を与えた 。
  • 漆原は帰り際、再び「体が喜んでいるのを大事にしろ」とハルを肯定した 。
  • 帰宅した王子に対し、ハルは全く罪悪感を感じていない自分に気づき、その変化に戦慄した 。

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コマさん(koma)
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野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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