【野良猫と狼】第3話をネタバレありでわかりやすく解説する

ずっちー
前話のおさらい
  • 狼との奇妙な同居生活が続く中、環は友人の世莉に「どうしたいの?」と問われたことをきっかけに、初めて自分の心と向き合い始めました。
  • 狼は過去のトラウマから環を遠ざけようとしますが、嵐の夜、家を出てずぶ濡れになった環に「お前のいたいとこにいろよ」と、確かな居場所を与えます 。
  • その言葉を受け、環は自分の意志で「狼のとこにいたい」と決意し、狼を「はじめて私を 見つけてくれた人」だと認識するのでした 。

【野良猫と狼】第3話をネタバレありでわかりやすく解説する

嵐の夜、お互いの心に少しだけ触れた環と狼。物語は、あの夜の直後から始まります。狼は環に、まるでひきつけられるようにキスをしました 。この出来事が、二人の関係に新たな波紋を広げていきます。

嵐の夜のキスと、ぎこちない朝

嵐の夜のキスから一夜明け、季節は9月になりました 。二人の間には、どこかぎこちない空気が流れています。学校へ行こうとする環に、まだ眠そうな狼がわざわざ声をかけます。その内容は「冷蔵庫のプリン 私が世莉にもらったやつだから 食べないで」という、なんとも子供じみたものでした

環のモノローグによれば、あの嵐の日にキスをして以来、二人の間にそのような接触はありません 。狼は環に「学校で俺のこと ベラベラ喋んなよ」と釘を刺し、二人の関係は再び元の「同居人」に戻ったかのように見えます

しかし、環は狼がゴミ箱に捨てたメモを見つけてしまいます。そこには、バンドの作詞に悩む狼の姿がありました。「Destiny」のスペルを間違えていたり 、「どっかで見た歌詞 並べりゃいいってもんじゃねぇんだぞ」とバンド仲間にダメ出しされたり 、彼の意外な一面を環は知ることになるのです。

「エリート校のマドンナ」と、ひとりぼっちの現実

一方、狼のバンド仲間たちの間では、環の存在が噂になっていました。彼女が偏差値の高いことで知られる

伯英高校の生徒だと分かると、「エリート校の マドンナ的な」存在ではないかと、勝手なイメージが膨らんでいきます

しかし、そのイメージとは裏腹に、学校での環は深い孤独を感じていました。「学校 こわい」 。村の中学とは比べ物にならないほど多くの生徒がいるにもかかわらず 、入学から5ヶ月経っても友達は一人もできていなかったのです

どうしたらいいか分からず、孤独を紛らわせるために狼の曲を聴こうとしますが、肝心のイヤホンを持っていませんでした 。そんな時、彼女の世界を動かす出会いが訪れます。

イヤホン事件と、クラスメイト水野くん

家に帰った環は、音楽を聴きたいのにイヤホンがないことを狼に訴えます。しかし、狼は「イヤホンくらい 自分で買え」と冷たくあしらうだけでした

そのやり取りを見ていた狼の友人・世莉が、意外な行動に出ます。彼女は環を学校に迎えに来て、クラスメイトの男子生徒・水野くんに環を紹介したのです。

英語の授業でペアを組むことになり、環は水野くんに「よかったら 組みませんか」と話しかけられます 。それは、彼女にとって、

生まれて初めてクラスの人に話しかけてもらえた瞬間でした 。この出来事をきっかけに、環には初めての「友達」ができたのです

水野くんとテスト勉強の約束をした環は、そのことを狼に嬉しそうに報告します 。友達ができた喜びで、彼女の表情は明るく輝いていました。

狼の嫉妬と、すれ違う想い

環に友達ができたことを、狼はどこか面白くなさそうに見ています。

後日、図書館で水野くんと勉強していた環は、彼から狼との関係について尋ねられます。「同居人」と説明しながらも、環の心には「『友達』は多分 キスしない」という思いがよぎり、狼との不思議な関係に戸惑いを感じていました

その頃、狼はパチンコの景品だという猫耳のイヤホンを手に入れていました 。そして、環にそれをぶっきらぼうに渡し、こう忠告します。「お前あの年の ガキが何 考えてっか わかってんの」 、「まあ『すき』とか 言われたくらいで 浮かれてんなよ」 。明らかに水野くんの存在を意識し、嫉妬心をのぞかせる狼。

環は、そんな狼の態度に、一つの可能性を見出します。 「もしかして 水野くんが 私をすきだと思ったの?」

「そうだったら イヤだって 思ったの?」

核心を突く質問に、狼は静かに「やいたかもな」とそれを認めます 。そして、環のビー玉のような瞳に見つめられると、「

お前にそれやられると すげー噛みつきたくなる」と言い、再び彼女にキスをするのでした 。それは、彼の独占欲がはっきりと形になった瞬間でした。

【野良猫と狼】3話を読んだ感想(ネタバレあり)

嵐の夜のキスという衝撃的な展開から始まった第3話。二人の関係が進展するのかと思いきや、ぎこちない日常に戻るという展開が、逆にとてもリアルでドキドキしました。狼の「プリン食べないで」という子供っぽいセリフには、彼の意外な一面が見えて思わず笑ってしまいました。

今回、物語の大きな転機となったのは、間違いなく環に「友達」ができたことでしょう。学校で孤独だった彼女が、初めてクラスメイトと心を通わせるシーンは、読んでいるこちらも嬉しくなるほど温かいものでした。彼女の世界が、狼だけでなく、外へと広がっていく第一歩が描かれた重要な場面だと感じます。

そして何より、水野くんという存在が、狼の隠れた独占欲を見事に引き出してくれました。「浮かれてんなよ」と忠告する狼の姿は、嫉妬心を隠しきれておらず、とても魅力的です。普段のクールな彼からは想像もつかないような、人間味あふれる一面でした。ラストで嫉妬を認め、環にキスをするシーンは、息をのむほどの緊張感と甘さがあり、彼の「噛みつきたくなる」というセリフは、彼の野性的な本能と環への深い執着を象徴しているようです。二人のすれ違いと、少しずつ確かになっていく想いから、ますます目が離せません。

【野良猫と狼】3話のネタバレまとめ

  • 嵐の夜に狼とキスをした環は、新学期が始まってもぎこちない同居生活を送っていました 。
  • 学校では孤独を感じていましたが、狼の友人・世莉の計らいで、クラスメイトの水野くんという初めての「友達」ができます 。
  • 環と水野くんが親しくなる様子を見て、狼は嫉妬心を募らせ、環に忠告します 。
  • 環に嫉妬したのかと問われた狼は、それを「やいたかもな」と認め、独占欲を見せるように再び環にキスをしました 。

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ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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