【野良猫と狼】第4話をネタバレありでわかりやすく解説する

- 嵐の夜、狼は環に「お前のいたいとこにいろよ」と告げた後、衝動的にキスをしました。
- 新学期が始まり、学校で孤独を感じていた環に、クラスメイトの水野くんという初めての「友達」ができます。
- 環と水野くんの親しい様子を見た狼は嫉妬心を隠せず、環に「やいたかもな」と告げ、再びキスをして独占欲を見せました。
【野良猫と狼】第4話をネタバレありでわかりやすく解説する
お互いの気持ちがぶつかり合った末の、二度目のキス。狼の独占欲を目の当たりにした環の心は、大きく揺れ動きます。物語は、そんな環の過去の回想から、静かに始まります。
噛み跡とすれ違い
誰とも視線の合わない村で、孤独な日々を送っていた環。 彼女はいつも、「誰かが自分に 手をのばしてくれたら どんな気持ちになるんだろう」と考えていました。 今、その手を伸ばしてくれたのが、狼でした。
狼の唇には、前の晩に環が抵抗してつけた噛み跡がくっきりと残っています。 バンド仲間からは「女の子と激しいキッスの途中で事故った」などとからかわれますが、狼は「猫にかまれた」とぶっきらぼうにごまかすのでした。
環は、狼が本気で怒ってはいないことに安堵しつつも、昨夜のキスがただの勢いだったのではないかと不安を感じます。 なぜ狼があんな行動に出たのか、彼女にはまだ本当のところが理解できずにいました。
狼の嫉妬と環の意識
狼は環に、週末にまたライブがあることを告げ、来るかどうか尋ねます。 しかし、前回のキスを強く意識してしまった環は、戸惑いから狼を避けるような態度を取ってしまいます。
自分を避けていると感じた狼は、「何となくで 人のこと 避けてんじゃ ねぇぞ」と苛立ちを見せます。 「じゃあ追いかけるな」「じゃあ逃げんな」と、まるで子供の追いかけっこのようなやり取りが繰り広げられ、二人の間には気まずい空気が流れます。
そんな環の態度の変化を見ていた世莉は、それが恋の始まりだと鋭く見抜きます。 世莉に「逆だね」と指摘された環は、狼のことが嫌いになったのではなく、むしろ強く意識してしまっている自分に気づかされるのです。 あの夜、狼が水野くんにやきもちを焼いた時から、環の心の中では「喉の奥がキリキリ」するような、初めての感情が芽生えていました。
水野くんからのライブの誘い
環の心境の変化を知らないクラスメイトの水野くんは、彼女にライブのチケットを差し出します。 それは、なんと狼たちが出演するライブのチケットでした。 水野くんは狼たちのバンドの大ファンで、奇跡的に手に入れたチケットを手に、環を熱心に誘います。
初めてできた「友達」からの必死の誘いを断れず、環は一緒に行く約束をしてしまいます。 狼には「行かない」と嘘をついてしまっていたため、環はどう説明すればいいか分からず、板挟みになってしまうのでした。
ライブ会場での再会と本当の気持ち
結局、環は狼に黙って水野くんとライブ会場へ足を運びます。 ステージに立つ狼の姿を目にした環は、その場の雰囲気に「こわい」と感じながらも、心の中では「ずっと見たかった」という本当の気持ちを再確認するのでした。
その時、ステージ上の狼がふと客席にいる環に気づき、一瞬、優しい笑みを浮かべます。 環はその笑顔が自分に向けられたものだと感じ、あの夜、狼がやきもちを焼いてくれたことが、ただただ「うれしかったんだ」と、自分の恋心をはっきりと認めるのです。
ライブの後、環は狼を探します。 バンド仲間の帆高に案内され、2階席で他のバンドの演奏を一人で見ている狼を見つけました。 環は、嘘をついてライブに来たこと、そして狼に怪我をさせてしまったことを素直に謝ります。 そんな彼女に、狼は静かに自分の戸惑いを打ち明け始めました。
「どしたら いいのか わかんな かったの」
「今まで 誰も そんな人 いなかった から」
通じ合う心
狼の素直な告白を聞いた環もまた、勇気を出して自分の気持ちを伝えます。狼がやきもちを焼いてくれたことが、「痛いくらい うれしい」と感じたこと、そして誰かにそんな気持ちをもらうことが、生まれて初めてだったことを。
その言葉を受け取った狼もまた、自分の本心を明かします。環のような存在は「放っときゃいい」と分かっているのに、どうしても気になってしまい、「無理なんだよ」と。 お互いの本当の気持ちが、ようやく通じ合った瞬間でした。
狼は環に優しく語りかけます。
「お前が1コずつ 平気なもの増やしてけばいい」 「狼がおしえてやる これから」
それは、孤独だった少女の世界を、二人で一緒にカラフルなものに変えていこうという、優しく力強い約束でした。
【野良猫と狼】4話を読んだ感想(ネタバレあり)
第4話は、これまでのすれ違いが一気に解消され、二人の心が通じ合う、まさにクライマックスと呼ぶにふさわしい感動的な回でした。恋を自覚したものの、どうしていいか分からず狼を避けてしまう環の姿が、とても初々しく、健気で応援したくなりました。
特に印象的だったのは、狼が初めて自分の弱さや戸惑いを環に打ち明けたシーンです。いつもクールでぶっきらぼうな彼が見せた素直な一面に、彼の人間的な深みを感じ、より一層キャラクターの魅力が増したように思います。「どしたらいいのかわかんなかった」というセリフは、彼もまた、環との出会いによって大きく揺さぶられていたことを示しており、二人の関係が一方通行ではないことを強く感じさせました。
ライブ会場での再会、そしてお互いの気持ちを確かめ合う場面は、これまでのエピソードがあったからこそ、カタルシスが最高潮に達しました。「うれしかったんだ」と自分の恋心を自覚する環と、「放っときゃいいのに無理なんだよ」と本音を漏らす狼。このやり取りには、思わず涙腺が緩んでしまいました。
そして、「狼がおしえてやる これから」というラストのセリフ。これは、単なる恋愛の始まりを告げるだけでなく、孤独だった環の世界そのものを救い上げ、未来を照らす希望の言葉のように聞こえました。1巻の締めくくりとして、これ以上ないほど完璧なラストだったと思います。
【野良猫と狼】4話のネタバレまとめ
- 狼に噛み跡をつけたことに罪悪感を抱き、恋心を自覚し始めた環は、戸惑いから狼を避けるようになってしまいます。
- 友人になった水野くんに誘われ、狼に嘘をついてライブへ行きますが、そこで狼に見つかってしまいます。
- ライブ後、環は狼のやきもちが「うれしかった」と自分の気持ちを正直に伝え、狼もまた、環のことが気になって仕方がないという本音を明かしました。
- お互いの気持ちを確かめ合った二人は、狼が環の世界をこれから一緒に広げていくことを約束し、物語は第1巻の終わりを迎えます。
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