【野良猫と狼】第5話をネタバレありでわかりやすく解説する

- 狼への恋心を自覚した環は、戸惑いから一度は彼を避けてしまいましたが、友人の水野くんに誘われて狼たちのライブへ向かいました 。
- ライブ会場で再会した二人は、お互いの素直な気持ちを打ち明け、心が通じ合います 。
- 狼は、孤独だった環の世界をこれから一緒に広げていくことを、優しく力強く約束するのでした 。
【野良猫と狼】第5話をネタバレありでわかりやすく解説する
お互いの気持ちを確かめ合い、心を通わせた環と狼。物語は、そんな幸せなライブの夜が明けた後の、バンドの打ち上げシーンから始まります。二人の関係が変化したことで、彼らを取り巻く世界も少しずつ動き出そうとしていました。
バンド仲間たちの日常と環の存在
ライブ後の打ち上げで、バンドメンバーたちはライブに来ていた「制服のコ」、つまり環のことで盛り上がっています 。バンドのボーカルである大志(たいし)は、狼が普段飲まないジュースを飲んでいることをからかったりと、賑やかな時間が流れていました 。
一方、環は学校で友人になった水野くんから託された、狼への熱烈なファンレターを手に、これをどう渡すべきか悩んでいます 。しかし、狼は鍵をかけて外出しており、環は家に入ることさえできずにいました 。
新しい布団と、縮まる距離
ようやく帰宅した狼。彼は環が鍵をかけずにいたことを「お前の育った山とちげぇんだよ」と咎めますが、それは都会に慣れない彼女を心配するがゆえの言葉でした 。そして彼は、「知り合いが 使ってねぇのあるっつーから もらってきた」と言いながら、環のために新しい布団を用意してくれていたのです 。
狼は、環が今まで使っていたカビ臭い布団を干すように言い、その不器用な優しさを見せます 。そして、干した布団を前に「それとも ふとん返して いっしょに 寝るか?」と悪戯っぽくからかうのでした 。その言葉に環は、「狼にくっつきたいと 思ってる自分がいる」と、狼への募る想いを再確認します 。
バンドメンバーの来訪と環の戸惑い
二人の穏やかな時間は、バンドメンバーたちの突然の来訪によって破られます 。大志、帆高、ハルの3人が、打ち合わせのために狼の家にやってきたのです 。
大志は、環が狼の家にいることにひどく驚き、「コーことはキサマ 赤の他人のJKと こんな狭い部屋で 同居生活って」と大声で騒ぎ立てます 。狼は、その声に怯える環を「怖がってるよ」と庇いますが、メンバーたちは環の存在に興味津々です 。特に大志は、「狼ファンにバレたら 殺されちゃうから 気をつけてね」と、冗談めかしながらも環に忠告するのでした 。
賑やかなやり取りの中で、環は狼が自分を本当はどう思っているのか、再び不安に駆られます。狼の「(環を)放っときゃいいのに無理なんだよ」という言葉は、「本当は放っておきたい」という意味だったのではないかと、彼の真意を測りかねてしまうのでした 。
「おかえり」という言葉と合鍵
バンドメンバーとの会話の中で、狼が環のことを「放っときゃそのうち フラっと出てくよ あんな野良猫」と言っているのを、環は聞いてしまいます 。その言葉にショックを受けた彼女は、狼が本当は自分に出ていってほしいのだと誤解し、荷物をまとめて家を出ていこうとします 。
しかし、狼は「止まれ ばか猫」と、そんな環を力強く引き止めます 。環は「迷惑だって 思われたくない」「でも『出てけ』って 言われたくない」と、涙ながらに本心をぶつけます 。
そんな環に対し、狼は何も言わずに、ポケットから一つの鍵を取り出して手渡しました。それは、以前狼が言いかけた「もう少ししたら」という言葉の答え。出ていけという宣告ではなく、「もう少ししたら 合鍵できあがる」という、共に暮らすための約束の証だったのです 。
自分の早とちりに気づいた環は、家に戻り、生まれて初めて誰かに言うように「……ただいま」と呟きます 。ぶっきらぼうに「…あ?」と返す狼 。その短いやり取りの中に、環は「『おかえり』って ずっと誰かに言ってほしかったんだ」という、長年の孤独が癒えるような温かさを感じたのでした 。
新しい日常の始まり
その夜、狼は自分のベッドに新しい布団を敷き、「部屋 せまくなったね」と言います 。そして、「今日だけだかんな」と憎まれ口を叩きながらも、環を自分の腕の中に引き寄せました 。
狼は優しく環にキスをします 。日向の匂いがする真新しい布団の中で、環は「私も おんなじ匂いに なるのかな」と、狼と共にいる未来を、穏やかな心で感じていました 。
【野良猫と狼】5話を読んだ感想(ネタバレあり)
第5話は、二人の関係がまた一歩深く、確かなものになる、心温まるエピソードでした。狼が環のために新しい布団を持って帰ってくるシーンは、彼の不器用ながらも深い優しさが伝わってきて、思わず頬が緩みました。言葉よりも行動で示す狼らしさが全開で、とても好きな場面です。
また、バンドメンバーの登場は物語に新しい風を吹き込みました。特にボーカルの大志くんの存在が、二人の関係をかき回す良いスパイスになっていて、これからの展開がさらに楽しみになりました。彼の「狼ファンにバレたら殺されちゃうから」というセリフは冗談めかしていましたが、今後の波乱を予感させます。
そして、なんといっても合鍵のシーンは最高でした。狼の「野良猫」発言で、一度は読んでいるこちらもヒヤリとしましたが、それが大きな誤解だったと分かる展開は、まさに雨降って地固まる。環がずっと誰かに言ってほしかった「おかえり」という言葉が、合鍵という形あるものと、狼のぶっきらぼうな態度の中に確かに存在したことに、深い感動を覚えました。
ラスト、同じベッドで穏やかな時間を過ごす二人の姿は、これまでの物語の集大成のようでした。「おんなじ匂いになるのかな」という環のモノローグは、二人が恋人という関係を超えて、家族のような、かけがえのない存在になっていく未来を予感させ、とても美しい余韻を残してくれました。
【野良猫と狼】5話のネタバレまとめ
- 狼は環のために新しい布団を用意し、二人の距離は少しずつですが着実に縮まっていきます 。
- 狼の家にバンドメンバーが訪れたことで、環は狼の真意が分からなくなり、不安を感じてしまいます 。
- 狼の言葉を誤解して家を出ようとした環を、狼は力強く引き止め、出ていけという言葉の代わりに合鍵を渡しました 。
- 環は初めて心の底から「ただいま」と言える場所を見つけ、狼に「おかえり」と言われたように感じ、長年の孤独から解放されます 。
- その夜、二人は同じベッドで眠り、穏やかで幸せな時間を過ごすのでした 。
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