【閻魔の教室】9話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー

【閻魔の教室】第9話をネタバレありでわかりやすく解説する

前回、夢を追う不登校生徒・楽羽雪(ゆき)の前に現れた芸能スカウト。しかし、その甘い誘いは彼女の「歌」ではなく「ビジュアル」に向けられたものでした。第9話のタイトルは「交渉」。希望から一転、ゆきは悪意に満ちた罠へと追い詰められていきます。

甘いスカウトの正体、悪魔の囁き

喫茶店でスカウトマンの岡田と向き合うゆき。彼女の期待は、早々に打ち砕かれます。

「歌」よりも「ルックス」の需要

岡田は、自分の事務所が主に地下アイドルや地下俳優のイベント運営を手掛けていること、そしてその主な収入源が「AVと風俗業なんだ…!!!!」という衝撃の事実を明かします。彼は、「プロとアマの違い」を説き、アマチュアは自分のやりたいことをやるが、プロは世間の「需要」に応えるものだと語ります。

そして、ゆきに対して残酷な宣告をしました。「キミは「歌」よりも そのルックスを活かした方が確実に「需要」があるんだよ」。その言葉は、奇しくも先日、怨馬が指摘した「お前は「耳」よりも「眼」で人々を楽しませてるだけだ」という言葉と全く同じでした。ゆきは、忌み嫌っていた教師の言葉が、目の前の現実と重なり合うことに戦慄します。

100万円のギャラと巧妙な罠

動揺するゆきに、岡田はさらに甘い罠を仕掛けます。1本限りの出演で、ギャラは100万円。事務所の取り分を差し引いても10万円が手に入ると言います。その金があれば、口うるさい両親の元を離れて一人暮らしもできる。顔や声に加工を施せば誰にもバレないし、出演後には大手芸能事務所への推薦も約束するという、あまりにも魅力的な条件でした。しかし、ゆきはけじめとして、その誘いを断ります。

交渉から脅迫へ、断れない契約書

ゆきの真っ当な拒絶に対し、岡田はついにその本性を現します。彼の態度は、穏やかな交渉から、悪質な脅迫へと変貌していくのです。

「キミは18歳になるから…」年齢すらも捻じ曲げる理屈

ゆきは、「実は私…16歳の高校1年生なんです…」と、未成年であることを理由にきっぱりと断ります。しかし、岡田は全く動じません。「それも大体予想した上で条件を提示している…!!!!」。彼は、撮影日を彼女が18歳になる日に設定すれば問題ないと、とんでもない理屈をこね始めます。その目は、もはや獲物を追い詰める捕食者のものでした。

「SNSは『事実』なんて求めてないんだよ」

岡田は、ここまでの会話をすべて録音していました。そして、その録音データを都合よく編集し、「もしキミが将来プロの歌手になってからうっかりコレをSNSに落としたらどうなるかな?」と脅迫を始めたのです。 岡田は、「SNSは「事実」なんて求めてないんだよ…欲しいのは「噂」…憶測で話を作れるような「ネタ」」だと、SNSの恐ろしい性質を突きつけます。たとえ事実無根でも、「過去にAV出演か…?」という疑惑の「ネタ」が一つあれば、彼女の未来は簡単に潰せるというのです。

毒蛇の蜷局

岡田は「出演承諾書」をゆきに渡し、明日ハンコを押して持ってくるよう命じます。彼の心の中では、「だぁ〜れがあんなガキに100万なんか払うかよ…!!」「無修正に決まってんだろが…!!!」という、吐き気を催すような本音が渦巻いていました。完全に逃げ場を失ったゆきは、まるで毒蛇にじわじわと巻き付かれていくような、絶望的な状況に追い込まれてしまったのです。

絶望の淵で気づいた孤独

悪質な罠にはまり、選択肢を奪われたゆき。彼女は、この絶望的な状況で、自身の本当の姿に気づかされます。

「私には相談できる相手が一人もいない」

誰かに相談したくても、親にだけは知られたくない。では、SNSで自分を応援してくれるフォロワーは?しかし、こんな深刻な悩みを打ち明けられるはずもありません。彼女は、この時になって初めて、自分が心の底から信頼し、悩みを相談できる相手が一人もいないという事実に気づくのです。 「学校行ってないもん…」。学校というコミュニティから自らを切り離した結果、彼女は本当の意味で「一人」になってしまっていたのでした。

「どうした そんなに顔濡らして…」

自業自得だと自分を責め、涙を流すゆき。そんな彼女が佇む歩道橋に、一人の男が現れます。それは、彼女が最も嫌っていた教師、怨馬でした。彼は、泣き濡れるゆきに、静かに声をかけます。 「どうした そんなに顔濡らして…」。 絶望の淵で、ゆきは憎んでいたはずの教師の名を、か細い声で呼ぶのでした。

まとめ【閻魔の教室】第9話を読んだ感想(ネタバレあり)

第9話は、読んでいて本当に胸が苦しくなる、非常にヘビーな回でした。夢見る少女を食い物にする岡田のやり口は、あまりにも卑劣で、その手口の巧妙さには現実的な恐怖を感じずにはいられません。

そして、何よりも辛かったのは、怨馬先生の言葉が「真実」であったと証明されてしまったことです。前回、あれほど反発した「お前の価値は歌ではなくルックスだ」という指摘を、胡散臭いスカウトマンの口から改めて聞かされる。これは、ゆきちゃんのプライドをズタズタにするには十分すぎる仕打ちでした。

また、SNSのフォロワーはたくさんいるのに、本当に困った時に相談できる友達が一人もいない、というゆきちゃんの孤独には、深く考えさせられました。ネット上の繋がりが、現実の人間関係の代わりにはならないという、現代社会の抱える問題を鋭く描いているように感じます。

そんな絶望のどん底で現れたのが、他ならぬ怨馬先生である、というラストシーン。最高のタイミングであり、最悪のタイミングでもあるこの再会は、物語の大きな転換点になること間違いありません。生徒の涙を見過ごせない地獄の教師は、彼女に救いの手を差し伸べるのか。それとも、さらに地獄の底へと突き落とすのか。次回の展開から、一瞬たりとも目が離せません。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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