【ある日、お姫様になってしまった件について】1話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

「ある日、お姫様になってしまった件について」第1話をネタバレありでわかりやすく解説する
物語は、一人の美しい少女が流す涙の場面から始まります。彼女の悲痛な問いかけが、読者の心を強く揺さぶります。
悪夢の中で繰り返される絶望
「どうしたら私を愛してくれますか」
金色の髪と青い瞳を持つかれんな少女が、目の前に立つ冷たい表情の皇帝に涙ながらに問いかけます。彼女が「お父様」と呼ぶその人は、実の父親であるはずの皇帝クロードでした。
しかし、クロードから返ってきたのは、彼女の小さな希望を打ち砕く無慈悲な言葉です。
「そんな日は永遠に来ない」
少女、アタナシアは、異母姉妹であるジェニットのように愛されたいと願います。自分も同じ父親の娘であり、ジェニットよりもずっと前から傍にいたのに、なぜ愛してくれないのかと訴えます。ですが、クロードは彼女を「愚か者め」と一蹴し、「お前を一度も娘だと思ったことはない」と、軽蔑に満ちた視線で言い放ちました。
この言葉は、アタナシアの心を完全に折るには十分すぎる一撃でした。彼女の瞳には、かつてないほどの深い絶望の色が浮かびます。
これは、彼女が読んでいた小説「かわいらしいお姫様」の第8章、「ねじれた運命」で描かれた、あまりにも悲劇的な一場面だったのです。
目覚めたら「あの物語」の主人公に
はっと目を覚ますと、そこには豪華な天蓋付きのベビーベッドが広がっていました。先ほどの悲劇は、どうやら夢だったようです。しかし、夢を見ていたのは、なんと金髪で青い瞳を持つ赤ん坊でした。
自分のまんまるでむちむちな手足を見つめ、彼女は混乱します。前世の記憶では、自分は孤児として育ち、睡眠薬を飲んで眠りについたはずでした。それなのに、目が覚めたら全く別の世界の、しかも赤ん坊の姿になっていたのです。
転がっていたガラガラを見て、彼女は思い出します。あの夢は、前世でお客さんが忘れていった幼稚なタイトルの小説、「かわいらしいお姫様」の内容でした。そして、最も恐ろしい事実に気づいてしまいます。
小説の中で、実の父親である皇帝に処刑されてしまう悲劇のお姫様の名前と、今の自分の名前が同じ「アタナシア」であることに。
つまり、彼女はただ転生しただけでなく、自分が結末を知っている物語の、最も不幸な登場人物になってしまったのです。
虐げられる姫君の孤独な現実
「姫様」という立場にありながら、彼女の扱いは決して良いものではありませんでした。
侍女は床に落ちたガラガラを拭きもせずに平気で手渡し、アタナシアがそれを落とすと「忙しいのに」とあからさまに面倒くさそうな態度を見せます。
「予算がありませんので、こちらのガラガラで遊んでくださいませ。お忙しいので、泣いてもすぐには参りませんから」
侍女の言葉は、アタナシアがこの宮殿でいかに厄介者として扱われているかを物語っていました。前世では孤児として誰にも愛されず、今世では姫として生まれ変わったにもかかわらず、待っていたのは使用人からの侮蔑と孤独な日々だったのです。
輝く宝石のような青い瞳を持つこの小さな姫君は、自分が死ぬ運命にある物語の世界で、たった一人、絶望的なスタートを切ることになりました。無力な赤ん坊の体で、彼女はこの過酷な運命にどう立ち向かっていくのでしょうか。
「ある日、お姫様になってしまった件について」1話を読んだ感想(ネタバレあり)
第1話を読んで、まず主人公の置かれたあまりにも過酷な状況に胸が痛みました。物語の冒頭でいきなり処刑される運命を突きつけられ、目が覚めたらその当事者になっているという展開は、非常に衝撃的です。
前世で孤児だったという設定が、今世での孤独をより一層際立たせています。ようやく手に入れたはずの家族、それも皇帝という絶対的な権力を持つ父親から「娘だと思ったことはない」と断言される未来を知ってしまった彼女の絶望は、計り知れないものがあるでしょう。
また、侍女たちの態度も印象的でした。姫君であるはずのアタナシアをあからさまに見下し、ぞんざいに扱う様子は、彼女が宮殿の中でいかに孤立しているかを明確に示しています。こんな環境で、しかも言葉も話せない赤ん坊が生き残りをかけていくのかと思うと、ハラハラせずにはいられません。
絵の美しさが、この物語の残酷さを一層引き立てているように感じます。きらびやかな宮殿と、そこで虐げられる孤独な姫君という対比が鮮やかで、一気に物語の世界に引き込まれました。これからアタナシアがどのように知恵を絞り、冷酷な父親の心を変え、自らの運命を切り開いていくのか、その成長と戦いから目が離せません。
「ある日、お姫様になってしまった件について」1話のネタバレまとめ
- 主人公は、前世で読んだ小説「かわいらしいお姫様」の登場人物、アタナシアに転生したことに気づきます。
- アタナシアは、18歳の誕生日に実の父親である皇帝クロードによって処刑されるという、悲劇的な運命を背負っていました。
- 姫として生まれ変わったものの、侍女たちからは厄介者扱いされ、孤独で愛情のない日々を送ることになります。
- 前世で孤児だった主人公は、無力な赤ん坊の姿で、自らの死の運命を回避するための孤独な戦いを始めることになりました。
▷次の記事はこちらから



