清水尋也|映画【渇き。】で見せた衝撃演技と俳優としての転機

ずっちー

映画「渇き。」で清水尋也が演じた役柄について詳しく知りたい方も多いのではないでしょうか。2014年に公開された中島哲也監督の問題作において、当時15歳だった清水尋也が体当たりで演じた「ボク」という役は、日本映画界に大きな衝撃を与えました。

凄惨ないじめを受ける少年役という難しい演技に挑戦し、その壮絶な表現力で観客の心を掴んだ清水尋也。小松菜奈や高杉真宙といった同世代の俳優たちとの共演シーンも話題となり、作品はR15指定という厳しい年齢制限が設けられるほど過激な内容でした。

中島哲也監督の厳しい演出指導のもと、精神的にも肉体的にも追い込まれながら撮影に臨んだという逸話も残されています。役所広司をはじめとする実力派俳優陣に囲まれながら、映画初出演とは思えない存在感を放った清水尋也の演技は、その後の俳優人生における重要な転機となりました。

この記事で分かること
  • 映画「渇き。」での清水尋也の役柄と演技の詳細
  • 中島哲也監督との撮影現場でのエピソード
  • 共演者との関係性や作品への影響
  • この作品が清水尋也の俳優キャリアに与えた影響

映画「渇き。」で清水尋也が見せた衝撃的な演技力

  • 中島哲也監督作品での過酷な撮影現場
  • いじめられる少年「ボク」役の壮絶さ
  • 小松菜奈との共演シーンが話題に
  • 15歳での体当たり演技が評価された理由
  • 高杉真宙との印象的なオフショット

中島哲也監督作品での過酷な撮影現場

中島哲也監督の映画「渇き。」における撮影現場は、出演者にとって極めて過酷なものだったと言われています。特に当時まだ中学2年生だった清水尋也にとって、精神的にも肉体的にも大きな負担がかかる環境でした。

監督は妥協を許さない演出で知られており、清水尋也自身も後のインタビューで「ヘタくそ」「芝居がつまらない」と厳しく叱責されたことを明かしています。しかし、このような厳しい指導があったからこそ、作品に深みと真実味が生まれたとも言えます。

撮影現場では、暴力的なシーンや精神的に追い詰められる場面が多く、若い俳優たちにとって大きな挑戦となりました。清水尋也は当時を振り返り、「精神的にもやわだった」と語っていますが、それでも監督の要求に応えようと必死に取り組んだことが伺えます。

一方で、小松菜奈は中島監督について「優しいクマさんみたいな方」と表現しており、俳優によって監督の印象が異なることも興味深い点です。これは監督が各俳優の個性や経験に応じて、異なるアプローチを取っていたことを示唆しています。

橋本愛は「告白」以来、4、5年ぶりの中島監督作品への参加となりましたが、「役者を一番大事にしてくれるところが変わっていなかった」と語っています。厳しさの中にも、俳優への深い理解と配慮があったことが分かります。

いじめられる少年「ボク」役の壮絶さ

清水尋也が演じた「ボク」という役柄は、学校で凄惨ないじめを受ける少年という、極めて難しい役どころでした。この役は単なる被害者ではなく、物語の語り手としてモノローグで観客を作品世界に誘う重要な役割も担っていました。

作品中で描かれるいじめのシーンは、観る者が目を背けたくなるほど生々しく、痛々しいものでした。清水尋也は15歳という若さで、暴行やレイプシーンといった過激な場面にも体当たりで挑戦しています。

「ボク」というキャラクターは、加奈子(小松菜奈)に救われたと信じ、同級生の緒方(星野仁)に憧れを抱く純粋な少年として描かれます。しかし物語が進むにつれて、彼が巻き込まれていく地獄のような状況が明らかになっていきます。

特に印象的なのは、加奈子によって薬で動けなくされ、性的暴行を受けるという衝撃的な展開です。清水尋也はこの極限状態における少年の絶望と苦痛を、見事に表現しました。

後半では失踪した加奈子を見つけ出し、バットを振り下ろそうとするも殺せないという複雑な感情を演じています。この「どうしようもない感情を、苦しい程の刹那で表現している」と評される演技は、多くの映画関係者から高い評価を受けました。

小松菜奈との共演シーンが話題に

映画「渇き。」は小松菜奈にとってスクリーンデビュー作となりましたが、清水尋也との共演シーンは特に注目を集めました。加奈子と「ボク」の関係性は、作品の核心部分を成しており、二人の若い俳優が織りなす緊張感のある演技が話題となりました。

小松菜奈演じる加奈子は、「天使か悪魔かと聞かれれば、悪魔かもしれない」と本人が語るように、極めて複雑なキャラクターです。清水尋也の「ボク」に対して、救済者でありながら破滅へと導く存在として描かれています。

作品中で加奈子が「ボク」を誘惑し、最終的に裏切るシーンは、観客に強烈な印象を残しました。小松菜奈の無邪気な笑顔と、清水尋也の純粋さが対比され、より一層悲劇性が際立つ構成となっています。

「ルールがないの。夢だから、何をしても自由」という加奈子のセリフに象徴されるように、現実と幻想の境界が曖昧になる中で、二人の関係性も変化していきます。清水尋也はこの複雑な感情の変化を繊細に演じ分けました。

撮影現場では、お互いが映画初出演や若手俳優として支え合う姿も見られたといいます。過酷な撮影を乗り越えた二人の絆は、スクリーン上でも独特の化学反応を生み出しています。

15歳での体当たり演技が評価された理由

清水尋也が15歳という若さで挑んだ体当たりの演技は、映画界から高い評価を受けました。R15指定という年齢制限がかけられるほど過激な内容にも関わらず、彼は一切の妥協なく役に向き合いました。

評価された最大の理由は、単に過激なシーンを演じたからではなく、キャラクターの内面を深く理解し、繊細な感情表現を見せたことにあります。苛められる少年の絶望感、加奈子への複雑な感情、そして最後まで残る純粋さを、見事に表現しきりました。

中島哲也監督は「目を伏せたくなるシーンはそうしていただいて、なるべく途中で出ていかないでほしい」と語っていますが、それほどまでに強烈な印象を与える演技だったことが分かります。最後まで観ることで人間ドラマとして伝わるものがあると監督が確信していたのも、清水尋也らの演技力があってこそでした。

役所広司も「今の日本映画界ではなかなか企画が通りにくいような内容」と語っており、商業的なリスクを承知で製作された作品でした。そのような環境下で、若い俳優が全力で取り組んだことが、作品に説得力を与えています。

完成披露試写会では、清水尋也自身が「やっとこの作品が見られる年齢になりました」と語り、「友達には年齢的にも内容的にも薦めにくいのですが、覚悟を決めて見て!」とコメントしています。自身が演じた役の重さを理解しながらも、作品への誇りを感じさせる発言でした。

高杉真宙との印象的なオフショット

映画「渇き。」で不良グループ「アポカリプス」のメンバー松永役を演じた高杉真宙と清水尋也のオフショットは、ファンの間で大きな話題となりました。作品中では対立する関係にある二人ですが、撮影現場では親密な関係を築いていたことが明らかになっています。

高杉真宙は自身のInstagramで清水尋也との可愛らしいツーショットを公開し、「清水くん、乙女だわ」とコメントを添えています。金髪に顔ピアスという強面のビジュアルで松永を演じた高杉真宙と、繊細な「ボク」を演じた清水尋也の対比が、オフショットでも印象的でした。

映画の舞台挨拶では、二人の仲の良さが垣間見える場面が多く見られました。過酷な撮影を共に乗り越えた同志として、強い絆が生まれていたことが伺えます。

作品中で松永は加奈子のために仲間を裏切り、最終的にリンチを受けるという壮絶な運命を辿ります。一方で「ボク」は加奈子に翻弄される被害者として描かれており、二人のキャラクターは対照的な立場にありました。

しかし撮影現場では、若手俳優同士として励まし合い、支え合う関係だったといいます。このような現場の雰囲気が、作品に深みと真実味を与える要因の一つとなったのかもしれません。

清水尋也が「渇き。」で俳優として覚醒した瞬間

  • ソロモンの偽証で見せた演技の振れ幅
  • カメレオン俳優と呼ばれる理由
  • 役所広司から受けた影響と学び
  • R15指定作品への出演が与えた影響
  • 兄の清水尚弥との俳優人生の始まり

ソロモンの偽証で見せた演技の振れ幅

「渇き。」の翌年2015年に公開された映画「ソロモンの偽証」シリーズで、清水尋也は前作とは正反対の役柄に挑戦しました。校内裁判の被告人となる不良で問題児の大出俊次役を演じ、その演技の振れ幅で観客を驚かせました。

「渇き。」では凄惨ないじめを受ける被害者を演じた清水尋也が、今度は加害者側の立場に立つという大胆な役柄の変化でした。この極端な役の違いを見事に演じ分けたことで、彼の俳優としての実力が広く認められることとなりました。

大出俊次というキャラクターは、暴力的で粗暴な不良少年として描かれています。しかし清水尋也は単なる悪役としてではなく、その内面に潜む複雑な感情や葛藤も表現しました。

「ソロモンの偽証」での演技について、清水尋也は「キレっぷりも『渇き。』とはまた違った感じ」と語っています。同じ怒りの感情でも、キャラクターによって表現方法を変える繊細な演技力を身につけていたことが分かります。

見た目の変化も劇的で、「渇き。」での弱々しい少年から、「ソロモンの偽証」では威圧的な不良へと完全に変貌を遂げました。メイクや衣装だけでなく、立ち振る舞いや話し方まで、徹底的に役作りに取り組んだ成果が表れています。

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カメレオン俳優と呼ばれる理由

清水尋也が「カメレオン俳優」と呼ばれるようになったのは、作品ごとに全く異なる人物を演じ、その都度観客を驚かせてきたからです。彼自身も「役が乗り移る」と表現しており、生まれながらの俳優としての資質を持っていることが伺えます。

2018年の映画「ちはやふる 結び」では、北央学園のエース須藤暁人役を演じました。余裕に構えていて、いつも偉そうな感じのクールで爽やかな印象のキャラクターは、これまでの役柄とはまた違った魅力を放っていました。

「ミスミソウ」では、主人公に好意を寄せる晄という少年を演じています。最初は優しく精神的な支えとなる存在として登場しますが、実は異常者であることが明らかになるという複雑な役柄でした。この異常性や暴力性が露呈していく過程を、清水尋也は見事に演じきりました。

2019年のKING GNUの楽曲「The Hole」のミュージックビデオでは、憂いを帯びた眼差しと、男と女の間に居るような性別を超越した肢体と美しさで、新たな一面を見せました。ゲイの役を演じることで、演技の幅がさらに広がったと評価されています。

清水尋也は「続けるからには、僕にしかできないことをやりたい。誰かのコピーになるのは嫌なんです」と語っており、独自の演技スタイルを追求し続けています。この姿勢が、カメレオン俳優としての評価につながっているのでしょう。

役所広司から受けた影響と学び

映画「渇き。」で主演を務めた役所広司との共演は、清水尋也にとって大きな学びの機会となりました。日本を代表する名優との現場での経験は、若い俳優にとってかけがえのない財産となっています。

役所広司は藤島という元刑事の役を演じ、娘を探す執念深い父親を熱演しました。統合失調症と躁鬱病を患い、精神的に不安定な状態にある複雑なキャラクターを、圧倒的な存在感で表現しています。

清水尋也は役所広司の演技を間近で見ることで、プロフェッショナルとしての姿勢を学んだといいます。特に、どんなに過酷なシーンでも妥協しない姿勢や、役への没入の仕方は、大きな影響を与えました。

役所広司は「情熱を注いだ作品」と語っており、商業的なリスクを承知で挑戦する姿勢も、若い俳優たちにとって刺激となりました。芸術性と商業性のバランスを考えながら、作品に向き合う姿勢を学ぶことができたのです。

撮影現場では、役所広司が若手俳優たちに対して温かく接していたという証言もあります。厳しい撮影の合間に、演技についてのアドバイスをもらったり、俳優としての心構えを教わったりする機会があったようです。

R15指定作品への出演が与えた影響

「渇き。」がR15指定という年齢制限を受けたことは、清水尋也のキャリアに大きな影響を与えました。15歳の誕生日を迎えたばかりの彼にとって、自分が出演した作品を同年代の友人に勧めることができないという複雑な状況が生まれました。

R15指定は、作品に含まれる暴力的な描写やグロテスクなシーン、性的な内容が15歳未満の鑑賞に適さないことを意味します。清水尋也は完成披露試写会で「友達には年齢的にも内容的にも薦めにくい」と正直な気持ちを吐露しています。

しかし同時に、このような挑戦的な作品に出演したことで、俳優としての評価が飛躍的に高まりました。単なるアイドル的な若手俳優ではなく、本格的な演技派俳優として認識されるようになったのです。

R15指定作品への出演は、その後の役柄の幅を広げることにもつながりました。製作者側も、清水尋也なら難しい役柄でも演じきれるという信頼を持つようになり、より挑戦的な役のオファーが増えていきました。

また、若くして過激な内容の作品に出演したことで、精神的な成長も促されました。清水尋也自身も「当時は精神的にやわだった」と振り返っていますが、この経験を通じて強靭な精神力を身につけることができたといえます。

兄の清水尚弥との俳優人生の始まり

清水尋也が俳優の道を歩み始めたきっかけは、4歳年上の兄である清水尚弥の存在でした。兄が先に俳優として活動していたことが、彼の人生を大きく変えることになります。

小学校5年生の時、兄の出演映画の試写会に参加した際、現在のマネージャーから声をかけられました。最初は断ったものの、なかば無理やりレッスンに連れていかれたというエピソードが残っています。

当初は「ダメだったら辞めればいいや」という軽い気持ちで始めた俳優業でしたが、レッスンが思っていた以上に楽しく、徐々に本格的に取り組むようになりました。今では「感謝している」と語るほど、俳優という仕事が天職だと感じています。

兄弟で同じ俳優という道を歩むことについて、清水尋也は特別なプレッシャーは感じていないようです。むしろ、お互いに刺激し合い、支え合える存在として、良好な関係を築いています。

清水尋也は17歳の時のインタビューで「これからもいろいろな現場に出て学んでいき、自分だけの個性のある雰囲気を出せる役者になりたい」と語っています。兄とは違う独自の道を歩みながら、俳優として成長を続けています。

映画「渇き。」が清水尋也にもたらした転機

映画「渇き。」への出演は、清水尋也の俳優人生における最大の転機となりました。この作品での演技が高く評価され、その後のキャリアの方向性が決定づけられたといっても過言ではありません。

清水尋也自身も「自分のターニングポイントになった作品」と語っており、この映画がなければ現在の彼はいなかったかもしれません。中島哲也監督から受けた厳しい指導も、今となっては貴重な経験として捉えています。

染谷将太主演の映画「ヒミズ」を観て本気で俳優を志すようになったという清水尋也にとって、「渇き。」は自身の覚悟を試される作品となりました。過酷な撮影を乗り越えたことで、俳優としての自信と実力を身につけることができました。

作品公開後、多くの映画関係者から注目を集めるようになり、様々な作品へのオファーが舞い込むようになりました。特に、難しい役柄や挑戦的な作品への出演依頼が増え、俳優としての活動の幅が大きく広がりました。

2020年のインタビューでは「人間どんなに誠実に生きていても嫌われることはある。だから、他人を気にせず、好きなことを突きつめていきたい」と語っています。「渇き。」での経験が、彼の俳優としての哲学を形成する上で重要な役割を果たしたことが分かります。

2021年にはNHK連続テレビ小説「おかえりモネ」に出演し、朝ドラ初出演を果たしました。若手気象キャスターの内田衛役を好演し、国民的ドラマでさらにその名を知らしめることとなりました。これも「渇き。」での実績があってこその快挙といえるでしょう。

最後に、清水尋也は「俳優は役を通して、どんな職業にも人柄にも何にもなれるので、普通の人生では経験できないことをたくさん体験できることが楽しい」と語っています。「渇き。」での過酷な経験も、俳優としての喜びの一部として受け入れ、さらなる成長への糧としているのです。

映画「渇き。」と清水尋也の関係まとめ

  • 15歳で挑んだR15指定作品への体当たり演技が話題に
  • 中島哲也監督の厳しい演出指導を乗り越えた経験
  • いじめられる少年「ボク」役での壮絶な演技表現
  • 小松菜奈との印象的な共演シーンの数々
  • 高杉真宙など同世代俳優との現場での絆
  • 役所広司から学んだプロフェッショナルとしての姿勢
  • 作品が俳優人生の転機となり評価が飛躍的に向上
  • カメレオン俳優としての地位を確立するきっかけ
  • ソロモンの偽証で正反対の役を演じ演技の幅を証明
  • 兄の清水尚弥の影響で始まった俳優への道
  • 染谷将太への憧れから本気で俳優を志すように
  • 過酷な撮影経験が精神的な成長を促進
  • その後の挑戦的な役柄へのオファー増加
  • 朝ドラ出演など国民的俳優への成長
  • 独自の演技スタイルと俳優哲学の確立
ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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