漫画【棲ミタイ街】16話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

15話では、深見がカバンに付けられた「お守り」をきっかけに、『沓掛(くつかけ)』と呼ばれる場所の風習を思い出しました。そこが靴を供える場所であったことから、事件現場に残された靴も儀式的な意味を持つと推理します。そして、儀式の専門家である元夫・健吉から、彼の恩師である「柳下教授」の存在を知らされたところで物語は終わりました。
【棲ミタイ街】第16話をネタバレありでわかりやすく解説する
儀式の専門家「柳下教授」との対面
物語は、深見と青木が車で柳下教授の元へ向かう場面から始まります。青木は「ほんとに 関係あんのか? その儀式って やつが…」とまだ半信半疑です 。
しかし深見は、「わたしも イーグルモールで 感じたんです…」「何かの儀式 じゃないかって…」と、自身の直感を信じている様子です 。二人は、健吉から紹介された歴史民俗学者の柳下二郎教授に話を聞くことにしました 。
柳下の自宅は都内にあるものの、車で1時間かかるような古民家でした。二人が家を訪ねると、庭の奥から「けたけた けったん ケッタンたー」という奇妙な歌声と共に、浴衣姿で踊る柳下本人が現れます 。
「なんだ おまえら」と訝しむ柳下に、深見が「連絡した 警察官の 深見です」と名乗ると 、彼は「紀伊山地に 伝わる秘舞踏 ゲタゲタケッタンを 再現しているのだ 邪魔するな」と一喝します 。
40年前に封印された「あおわし」の因習
深見が「お忙しいところ すいません おおわしの件で…」と本題を切り出すと 、柳下の表情が一変します。
「そうだったぁ! やっときたか! 待ってたぞ!」 。
彼は、おおわしの事件をニュースで見て、深見の元夫である健吉(彼を「富本」と呼んでいます)に連絡を取ろうとしていたものの、電話が繋がらなかったと語ります 。
柳下は興奮した様子で「かつて おおわしの丘について 調べたことがあってな」と、古い取材ノートを取り出しました 。それは「もう 40年も前か…」「1986」と記された、非常に古い記録です 。
彼は「何故あそこが おおわしの丘と 呼ばれるようになったか 知っているかね」と二人に問いかけます 。
『おおわし』から『あおわし』へ
深見は「昔は 鷲が生息していたと 聞いたことがあります」と答えますが、柳下はそれだけではないと語り始めます 。
開発が始まった際、その土地にあった小さな丘 の名前を冠して「なんとかの丘」と呼ぶことはよくある話です 。しかし、柳下の調査によれば、あの土地は歴史的に崖や谷といった地域だったことを示す「あおわし」という地名だった可能性があるというのです 。
柳下によれば、「おおわしの丘」と呼ばれるようになったのは戦後のことで、それ以前は『青鷲(あおわし)』と呼ばれていました 。そして、かつての地名『あおわし』は、現在の『おおわし』という発音に変化したのではなく、意図的に『青鷲』という名前を隠すためだったのではないか、と柳下は推測します 。
「青」が意味する「葬送」と『青鷲の儀』
深見が「青い鷲に何か 隠すような意味が あるんでしょうか?」と尋ねると 、柳下は「青」という言葉の持つ、もう一つの意味について説明します。
「青」という言葉には、色や自然という意味の他に、「葬るという意味 墓地や葬送を 意味する場合がある」のです 。
つまり、『青鷲』とは、「葬る場所という意味の青と 鳥の鷲…」 。それは、チベットやインドの一部で行われる「鳥葬」のように、亡骸を野ざらしにして鳥に食べさせ、自然に還すという葬送儀礼が行われていた場所だった可能性を示唆します 。
しかし、柳下は「まぁ鳥葬ならいいが 青鷲で行われたのは そのたぐいのものも 超えていたかもしれん」と、さらに不気味な可能性を口にします 。
顔面を切り取り神に捧げる儀式
柳下は、40年前にこの地で取材した「ある老婆」の話を語り始めます。それは「先祖代々 おおわしに住む」という人物からの証言でした 。
「まあいい… 重要なのは 『青鷲の儀』 という儀式が 行われていた ということだ!」 。
その儀式とは、「それは 人間の 顔面を 切り取り」「神にささげる 儀式だという」ものでした 。
儀式の執行者と「能面」、隠蔽された「遺跡」
「顔面を切り取るって まるでカオトリ…」と深見が呟くと 、柳下はさらに「儀式を取りしきる 人間は何か女の面を つけていたとある」と続けます 。
深見はすぐさま、廃墟で発見されたあの仮面(能面)の写真を見せ、「それってもしかして こういう面じゃ」と尋ねます 。しかし、柳下も「そこまでは わからん」「彼女も実際に見た わけではなく 聞いた話だと…」と、詳細は不明でした 。
開発に消された「遺跡」
柳下によれば、その老婆の家も数年後に訪ねた際にはすでに取り壊され、今ではタワーマンションが建っているといいます 。また、この取材内容はあまりに荒唐無稽なため、論文などには発表していないと語りました 。
柳下の考察では、この儀式は「神への生贄」であり 、決まった期間に行われるものだったようです 。
そして、話題はイーグルモールが建つ、あの丘の話に戻ります。 「開発が始まって 丘を削ったとき 少し遺跡が 出てきたそうなんだ」 。 しかし、発掘調査が始まれば開発が中断してしまうため、調査は行われず、「結局 何もなかったと いうことにされたんだ」と柳下は言います 。
「そのまま 丘はなくなり 鉄道がとおり ショッピングモールに なってしまった」 。
話を聞き終えた深見は、教授が語ったイーグルモールの「遺跡」のことが気になります。青木は「ああ当時の 担当者を探しだそう」と応じ、二人は柳下教授の元を後にするのでした 。
【棲ミタイ街】16話を読んだ感想(ネタバレあり)
今回は、ついに事件の核心である「儀式」の正体とその背景が明かされる、非常に重要な回でした。
まず、柳下教授のキャラクターが強烈でした。「ゲタゲタケッタン」という奇妙な踊りで登場したかと思えば 、40年前の取材を「鮮明に覚えているよ」と語り出す 、まさに変人学者といった人物像が魅力的です。
そして、『おおわし』の地名が、かつては『青鷲(あおわし)』と呼ばれ、そこが「葬る場所」を意味していたという設定には、ぞくぞくしました 。現在の「住みたい街」のクリーンなイメージとは裏腹に、過去には「人間の顔面を切り取り神に捧げる」という、おぞましい儀式が行われていたというギャップが恐ろしいです 。
カオトリが、この100年以上前の因習を「模倣」している可能性が濃厚になりました。さらに、開発の際に発見された「遺跡」が、利権のために「何もなかったことにされた」という話は 、この街の成り立ちそのものに潜む闇を感じさせます。犯人は、この隠蔽された過去と何か関係があるのでしょうか。
【棲ミタイ街】16話のネタバレまとめ
- 深見と青木は、儀式の専門家である歴史民俗学者・柳下二郎教授を訪ねます 。
- 柳下教授は、40年前(1986年)に「おおわしの丘」について調査していたことを明かします 。
- おおわしの丘は、かつて『青鷲(あおわし)』と呼ばれており、「青」には「葬送」の意味があったことが判明します 。
- かつてその場所では、『青鷲の儀』と呼ばれる「人間の顔面を切り取り 神にささげる」恐ろしい儀式が行われていたことが語られます 。
- 儀式の執行者は「女の面」をつけていたとされ、カオトリが使っていた能面との関連性が浮上します 。
- 儀式の生贄は「神への生贄」と考えられていました 。
- ショッピングモール(イーグルモール)の開発時、丘から「遺跡」が発見されましたが、開発を優先するために発掘調査は行われず、隠蔽されていた事実が明らかになります 。
◁前の記事はこちらから

▷次の記事はこちらから



