復讐モノ

【娘の命を奪ったやつを殺すのは罪ですか】3話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 主人公の河井優奈は、息子の圭太が幼稚園でいじめを受けているという深刻な事実を知りますが、権力者である沙織の存在を恐れる園側は問題を黙殺し、彼女の訴えは握り潰されました。
  • 沙織への弁償金のために手を出した借金は、法を逸脱した金利を課す悪質な闇金であり、返済額は瞬く間に膨れ上がり、執拗な催促と家庭を破壊しかねない脅迫に、優奈は心身ともに苦しめられていました。
  • 愛する息子をいじめの魔の手から守りたいという一心で、優奈は沙織の夫が催す政治家たちの接待の席に出席するという苦渋の決断を下しますが、そこで待っていたのは、彼女の尊厳を踏みにじる屈辱的なセクハラ行為でした。
  • 精神的に極限まで追い詰められた優奈は、自宅マンションの掲示板に、自身のプライバシーを無慈悲に暴露する写真や借金の督促状が貼り出されているのを発見し、完全に精神の均衡を失ってしまいました。
  • 自宅に闇金業者が押しかけてきたことによる強烈なパニックから、優奈はベランダから逃げようとして足を滑らせ転落し、最愛の息子・圭太がただ見つめる前で、アスファルトに血を流して倒れるという、あまりにも衝撃的で悲劇的な結末を迎えました。

【娘の命を奪ったやつを殺すのは罪ですか】第3話をネタバレありでわかりやすく解説する

前話のラストシーンで、最愛の息子の目の前でベランダから転落するという、あまりにも衝撃的な最期を迎えた主人公・優奈。第3話の物語は、彼女の突然の死がもたらした、底知れない深い悲しみから始まります。しかし、その悲しみは静かな哀悼にとどまらず、やがて燃え盛るような憎悪へと姿を変え、一人の女性を修羅の道へと駆り立てる、壮絶な復讐劇の静かな幕開けを描き出していくのです。

偽りの涙と葬儀に渦巻く欺瞞

事故か、自殺か

物語の舞台は、白木の祭壇が荘厳な雰囲気を醸し出す、優奈の葬儀場です。読経が響き渡る厳かな空間であるはずが、そこに流れる空気は、故人を心から偲ぶ清らかなものだけではありませんでした。「ベランダから落ちたそうよ」 、「自殺?」 、「警察は事故で処理したって…」 。参列者の輪の中に何食わぬ顔で紛れ込んだママ友たちは、ひそひそ声で無責任な憶測を交わし、一人の人間の死を、まるで消費期限付きのゴシップであるかのように扱っていました。この心ない会話は、優奈の死の真相が誰にも知られることなく闇に葬られ、社会的には単なる「不慮の事故」として、これ以上の調査も行われずに片付けられてしまったという、残酷な現実を静かに示唆しています。

欺瞞に満ちた弔問客

斎場の席には、生前の優奈を精神的に追い詰め、死へと追いやった元凶であるママ友たちの姿も、当然のようにありました。彼女たちは黒い喪服に身を包み、ハンカチで目元を押さえながら、「優奈ちゃんは私たちの親友でした」 、「こんなことって…ひどすぎます…」 と、さも悲しみに打ちひしがれた悲劇のヒロインであるかのように振る舞います。その偽りの涙の裏で、彼女たちが本当に感じているのは安堵か、それとも罪悪感の欠片か。その光景は、人間の持つ欺瞞と、自己保身のために他者の死さえも利用する醜さを、強烈に映し出していました。

さらに、あのママ友たちの絶対的リーダーであった沙織の夫であり、地元の名士でもある県会議員の新堂も、神妙な面持ちで弔問に訪れます 。彼は、悲しみにくれる優奈の遺族に対し、「奥様とは親しくさせていただいていました。本当に残念です」 と、いかにも政治家らしい慇懃な態度でお悔やみを述べます。しかし、その言葉に、故人への敬意や哀悼の念がこもっているようには到底見えません。真実を知らない他の参列者たちが見守る中で、間接的とはいえ死の原因を作った加害者側が、被害者の死を丁重に悼むという、あまりにも歪んだ光景が、静かに、そして不気味に繰り広げられていました。

母の慟哭と失われた幸せな日々

母だけが流す本物の涙

そんな偽善と欺瞞に満ちた葬儀の場で、ただ一人、心の底からの涙を流し、身も世もなく悲しみに沈む人物がいました。優奈の母親です。彼女は、優しい笑みを浮かべる娘の遺影を、まるで最後の温もりを確かめるかのように強く抱きしめ、「どうして…」 、「優奈が…」 と、言葉にならない嗚咽を漏らします。その背中を震わせる深い悲しみは、その場にいる他の誰のものよりも切実で、そして紛れもなく本物でした。

回想される幸福な記憶

彼女の脳裏には、まるで走馬灯のように、幸せだった頃の優奈との色褪せない思い出が次々と蘇ります。まだ幼かった優奈がおぼつかない足取りで自転車の練習に励む姿を、そばで優しく見守った暖かい日の午後 。優奈が初めての子である圭太を無事に出産し、腕に我が子を抱きながら、「お母さん 私 今が一番幸せ」 と、人生で最高の、満面の笑みを浮かべて語った日。

そして、結婚してからも常に母のことを気遣い、「お母さん、ひとりで何かあったら大変だから」「一軒家を借りて一緒に住もうよ」 と、心からの優しさで同居を提案してくれた娘の姿。これらの輝かしい記憶の断片は、母と娘の間に確かに存在した、深く、かけがえのない愛情の絆を物語っています。しかし、その輝きが強ければ強いほど、全てを失ってしまった現在の彼女の悲しみを、より一層深く、残酷なものとして際立たせるのでした。

衝撃の告白「優奈は殺された」

唯一の味方からの接触

葬儀が終わり、一人控室で悲しみにくれていた母の元へ、一人の女性がおそるおそる近づいてきます。それは、優奈と同じ幼稚園に子供を通わせていた数少ない理解者、ママ友の由紀子(長尾)でした 。彼女は、「優奈さんは明るくって…私を姉のように慕ってくれて」 と、声を詰まらせながら涙ながらに語り、うわべだけの悲しみを見せる他のママ友とは明らかに違う、誠実な人柄をうかがわせます。そして、周囲を警戒しながらも、何かを覚悟したように、彼女は意を決して優奈の母に告げました。「お母様に…お話ししたいことがあります」

明かされる死の真相

人気のない駐車場に停められた車の中、二人きりになった空間で、由紀子の口から語られたのは、常識では到底信じがたい、耳を疑うような衝撃の事実でした。「優奈さんは事故死じゃありません」 。彼女は固く握りしめた両手を震わせながら、絞り出すように言葉を続けます。「殺されたんです」 。

この短い一言は、物語を単なる悲劇から、復讐という名の血塗られた道を突き進む、壮絶なサスペンス・スリラーへと大きく転換させる、決定的なターニングポイントとなります。そうです、優奈の死は、単なる不慮の事故や、ましてや自ら命を絶った自殺などではありませんでした。それは、沙織を中心としたママ友たちによる、陰湿で執拗ないじめが招いた、紛れもない「殺人」だったのです。

復讐への序章-母の決意と準備

決意の退職と遺産の発見

愛する娘の死の真相を知った母、篠原玲子の人生は、その瞬間から、復讐というただ一つの目的のために大きく、そして静かに変わり始めます。彼女はまず、長年、誇りを持って勤めてきた介護士の仕事を辞めることを決意しました 。同僚たちからその突然の退職を惜しまれながらも、彼女は静かに職場を去ります 。その足で向かったのは、かつて担当し、家族のように親しくしていた身寄りのない老人・瀬戸さんの家でした

生前、瀬戸さんは玲子の献身的な介護に深く感謝しており、「ワシが死んでも家はしばらく残しておく。金もそこの戸棚に隠しておくから、あんたが必要なことに使ってほしい」 と、自身の全財産を彼女に託すことを示唆していました。玲子はその最期の言葉を頼りに、家の戸棚の奥から、これから始まる壮絶な復讐劇の軍資金となるであろう、おびただしい量の札束を発見するのです 。これは、彼女の復讐が、天にいる瀬戸さんという予期せぬ協力者によって後押しされたかのような、あまりにも運命的な出来事でした。

過去の後悔と復讐の誓い

大金を前に、玲子の脳裏には、由紀子から聞かされた、優奈が味わった地獄のような苦しみが、鮮明に蘇ります。幼稚園のお遊戯会の衣装作りをたった一人で押し付けられたこと 。皆の前で特注の誕生日ケーキを台無しにした責任を、全てなすりつけられたこと 。そして、彼女の心に、まるで古い傷のように深く突き刺さっていたのは、さらに昔の記憶でした。まだ幼かった優奈が、片親であることを理由にいじめられ、「うちは片親だからロクな人間に育たない…って」 と、小さな肩を震わせて泣いていた日のこと。

あの時、玲子は幼い娘を強く、強く抱きしめ、こう誓ったのです。「いいたいやつにはいわせといたらいいの!」 、「優奈に何かあったらお母さんがすぐにいって悪いやつをやっつけてあげる」 、「だから何も心配しなくていいんだよ」 。

しかし、自分は、その母親としての一番大切な約束を守ることができなかった。「助けてあげられなくてごめんね…」 。今はもう答えることのない娘の遺影の前で、涙ながらに謝罪した彼女の瞳には、もはや深い悲しみの色だけではなく、全てを焼き尽くすかのような、燃え盛る怒りと、決して揺らぐことのない復讐への決意が、静かに宿っていました。

別人への再生-全身整形という名の覚悟

復讐のための変身

玲子が次に向かった先は、都心の一等地にある、最新鋭の設備を誇る美容整形外科のクリニックでした 。彼女が選んだ復讐の手段、それは、沙織たちに決して正体を気づかれることなく、彼女たちの懐深くへと接近するため、全くの別人になりすますことでした。そして、その目的を達成するために、彼女は自らの肉体にメスを入れ、全身に及ぶ大規模な整形手術を受けることを決意したのです

カウンセリングルームで、医師は、鼻中隔を延長し、耳の軟骨を移植する手術 、口の中から頬骨を削り、滑らかにする手術 、大胸筋の下にシリコンバッグを挿入する豊胸手術 、そして、美しいボディラインを作るための臀部の脂肪吸引 など、身体を根本から作り変える大手術の数々を、医学的な専門用語を交えながら淡々と説明します。

それは、想像を絶するほどの激しい痛みを伴うであろう、壮絶な覚悟を必要とするものでした。しかし、玲子は一切の躊躇も恐怖も見せることなく、「よろしくお願いします、先生」 と、静かに、しかし鋼のように固い意志で答えるのでした。

鏡の中の別人

過酷な手術から1ヶ月が経過しました 。微熱も引き 、手術による大きな腫れもだいぶ治まり 、皮膚の痛みも気になるほどではなくなってきました 。しかし、玲子は、鏡に映る自分の新しい姿に、言葉にできないほどの戸惑いを隠せません 。そこにいたのは、かつての自分の面影を一片たりとも残していない、見知らぬ美しい一人の女性でした 。「新しい自分を楽しんでください」 という医師の励ましの言葉も、復讐という重い使命を背負った今の彼女には、ただ空しく響くだけです。

新たな顔、揺らぐことのない復讐心

娘への問いかけと固い決意

生まれ変わった自分の顔を、まるで信じられないものを見るかのように見つめながら、玲子は心の中で、もうこの世にはいない最愛の娘に問いかけます。「お母さん 間違ってる? 美容整形までして…」 。その問いは、これから自分が踏み出そうとしている道が、決して人として正しい道ではないことへの、最後の良心の呵責だったのかもしれません。しかし、そのわずかな迷いは一瞬でした。彼女の脳裏に、偽りの涙を流し、娘の死を嘲笑っていたかのような、あの女たちの顔が、鮮明に浮かび上がります。

でもあの人たちを許せない!。 「お母さんの優奈を奪ったあの人たちを!!!

その瞳に宿るのは、もはや悲しみの色ではありません。母親としての深い愛情を踏みにじられ、娘の未来と命そのものを奪われた、底知れない憎しみ。そして、自らの全てを懸けてでも、必ずや復讐を成し遂げんとする、鋼のような強い意志でした。こうして、かつては優しかった一人の母親は、娘を殺した者たちに裁きを下すため、美しくも恐ろしい復讐の女神として、静かに生まれ変わったのです。

【娘の命を奪ったやつを殺すのは罪ですか】3話を読んだ感想(ネタバレあり)

第2話のあまりにも衝撃的なラストから一転、第3話は、静謐な悲しみの中から、燃え上がるような復讐劇の序章を描いており、その静と動のコントラストと、物語の巧みな展開に息を呑みました。愛する娘の死をただただ嘆き悲しんでいた母親が、その死の残酷な真相を知った瞬間に、凄まじい憎悪と冷徹な復讐心へとその感情を変貌させていく過程は、読んでいて鳥肌が立つほどの凄まじい迫力があります。

特に私の心を強く揺さぶったのは、玲子が全身整形を決意する場面です。愛する娘を奪われた母親が、自らの親から与えられた顔も、これまで生きてきた証である身体も、その全てを捨て去り、復讐のためだけに生きることを選ぶ。

その覚悟の重さは、計り知れません。手術中に意識が朦朧とする中で見る優奈の幻覚は、彼女が抱える深い罪悪感と、それでもなお消えることのない娘への深い愛情の表れであり、涙なくしては読むことができませんでした。この物語は、単なる勧善懲悪の復讐譚ではなく、究極の母性とは何かを問いかける、深く、そして悲しい物語なのだと改めて感じさせられます。

偽りの涙を流すママ友たちや、何食わぬ顔で弔問に訪れる権力者の沙織の夫など、人間の醜悪さがこれでもかというほどに描かれる一方で、玲子の復讐への執念が、ある種の神聖ささえ帯びて見えてくるから不思議です。彼女は果たして、どのような巧妙な方法で、鉄壁の権力に守られた沙織たちに近づき、そして、どのような裁きを下すのでしょうか。美しくも恐ろしい復讐の女神として生まれ変わった彼女の行く末を、固唾をのんで見守りたいと思います。

【娘の命を奪ったやつを殺すのは罪ですか】3話のネタバレまとめ

  • 優奈の死は警察によって単なる「事故」として処理され、葬儀の場では、彼女を死に追いやった張本人であるママ友たちが、悲しんでいるフリをして参列していました 。
  • 葬儀の場で、数少ない味方であったママ友の由紀子が、優奈の母・玲子に「優奈さんは殺されたんです」と、娘の死の衝撃的な真相を告白します 。
  • 玲子は、かつて介護士として担当し、深く信頼関係を築いていた身寄りのない老人から、復讐の軍資金となる多額の遺産を、その死後に譲り受けます 。
  • 愛する娘を死に追いやった沙織たちへの完全な復讐を決意した玲子は、別人になりすまして彼女たちに接近するため、自身の全てを捨てる覚悟で、大規模な全身整形手術を受けることを決断します 。
  • 手術は成功し、全く新しい顔と身体を手に入れた玲子は、鏡に映る別人のような自分を見つめ、「あの人たちを許せない」と、復讐への揺るぎない、そして冷たい意志を固めるのでした 。

◁前の記事はこちらから

あわせて読みたい
【娘の命を奪ったやつを殺すのは罪ですか】2話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説
【娘の命を奪ったやつを殺すのは罪ですか】2話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

▷次の記事はこちらから

あわせて読みたい
【娘の命を奪ったやつを殺すのは罪ですか】4話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説
【娘の命を奪ったやつを殺すのは罪ですか】4話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
記事URLをコピーしました