復讐モノ

【娘の命を奪ったやつを殺すのは罪ですか】4話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 愛する娘・優奈の死の真相が、ママ友たちによる陰湿ないじめが原因の「殺人」であったことを知った母・玲子は、静かな怒りを胸に復讐を誓いました。
  • 彼女はまず、介護士として担当し、深い信頼関係を築いていた身寄りのない老人から、その死後に復讐の軍資金となる多額の遺産を運命的に譲り受けます。
  • 娘を死に追いやった沙織たちへの完全な復讐を成し遂げるため、玲子は別人になりすまして彼女たちに接近するという大胆な計画を立て、自身の全てを捨てる覚悟で、大規模な全身整形手術を受けることを決断しました。
  • 手術は無事に成功し、過去の面影を完全に消し去った全く新しい顔と身体を手に入れた玲子は、鏡に映る別人のような自分を見つめ、「あの人たちを許せない」と、復讐への揺るぎない、そして氷のように冷たい意志を固めるのでした。

【娘の命を奪ったやつを殺すのは罪ですか】第4話をネタバレありでわかりやすく解説する

前話において、愛する娘・優奈を死に追いやった者たちへの復讐を固く誓い、全身整形という壮絶な手段によって、全くの別人へと生まれ変わった母・玲子。第4話では、復讐の女神と化した彼女が、その周到な計画の第一歩を静かに、しかし着実に踏み出し、自らの手で復讐の舞台を整えていく、緊迫感に満ちた様子が丁寧に描かれます。

復讐の女神、降臨 – 新たな人生の始まり

別人としての第一歩

物語は、多くの買い物客で賑わう、華やかなデパートの婦人服売り場の回想から始まります。今は亡き娘・優奈の幻影は、生前の快活な様子そのままに、「お母さんはいつも地味すぎるのっ!」「せっかくの誕生日プレゼントなんだから冒険しなきゃ」 と、少し華やかなデザインのワンピースを無邪気に勧めます。

そして現在。彼女の変貌はまさに完璧でした。試着室から出てくると、店の若い店員から「モデルさんか何かされてるんですか?」 と本気で尋ねられ、街を歩けば、その美しさに目を奪われた見知らぬ男性から「おひとりですか?」 と声をかけられるほどです。しかし、デパートの化粧室に立ち寄り、鏡に映る自分の姿を改めて見つめた玲子は、静かにこう呟くのでした。

「本当に別人に なったんだね……」 。その美しい顔に浮かぶ表情に、新しい自分を手に入れた喜びや楽しむような明るさは一切なく、ただこれから成し遂げなければならない復讐という、重く暗い使命を再確認するような、氷のように冷たい決意だけが浮かんでいるのでした。

復讐の舞台へ – 事故物件への入居

因縁の場所への帰還

新たな自分を手に入れた玲子が次に向かったのは、不動産会社でした。彼女が内見していたのは、緑豊かな中庭があり、多くの家族が暮らす、一見するとどこにでもある平和なファミリー向けマンション。しかし、彼女が契約しようとしているその一室こそが、最愛の娘・優奈が非業の死を遂げた、あまりにも因縁深い場所だったのです。

物件を案内する不動産会社の営業マンは、契約を前にして、少し言いにくそうに、しかし誠実に事実を告げます。「実は…前のオーナーさんの時に ベランダから住人が転落してお亡くなりになる事故がありまして…」 。いわゆる「事故物件」であるという、誰もが躊躇するであろう重い事実。

しかし、玲子は眉一つ動じることなく、ただ静かに、「この部屋でお願いします」 と即決します。娘が人生の最後に一体どんな景色を見ていたのか。その絶望と恐怖が染みついたその場所を、彼女は自らの手で復讐を執行するための、聖なる舞台として選んだのです。

完璧な変貌を証明する身分証

契約手続きの際、玲子は「今は休職中なんです」 と落ち着いて語り、無職であることを懸念する営業マンに対し、潤沢な預貯金があることを証明する書類を提示して、経済的な信用をあっさりと得ます。そして、最後の本人確認として、身分証明書である運転免許証を提出。それを受け取り、記載事項を確認した営業マンは、次の瞬間、信じられないものを見たかのように絶句します。

そこに記されていた生年月日は「昭和49年7月4日生」 。目の前にいる、どう見ても20代にしか見えない美しい女性の実年齢が、47歳であることを知り、ただただ驚愕するのでした 。この営業マンの反応は、彼女が受けた全身整形という壮絶な選択が、誰にもその正体を見破られることのないレベルで完璧に成功したことを、何よりも雄弁に物語っていました。

計画の第一歩 – 新たな「息子」との出会い

虐待される少年・陸

場面は一転し、ゴミが散乱し、タバコの煙が立ち込める薄暗く不衛生なアパートの一室が映し出されます。そこには、幼い体でただ一人、母親の帰りをじっと待つ少年・陸(りく)の姿がありました。キャバクラで働く母親は、息子のことよりも、自身の生活の糧であるヒモらしき恋人・タクヤとの刹那的な関係を何よりも優先しています。「ガキのいる家なんかに住めっかよ」 と苛立ちを隠さずに吐き捨てるタクヤに、母親はただ媚びるような態度を取るばかりです。

「お母さん お腹減った…」 と、か細い声で訴える陸に対し、母親は「その辺にあるもん食っときゃいいだろ!」 と冷たく言い放ちます。挙句の果てには、タクヤの機嫌を損ねたという理不尽な理由で、何の罪もない息子に手を上げる始末 。ここでは、育児放棄であるネグレクトと、身体的・精神的な虐待が日常的に行われている、救いのない劣悪な家庭環境が、生々しく描かれていました。

計算された養育の申し出

そんな絶望的な状況にある母子の前に、あの玲子が現れます。彼女は、以前に児童相談所がこの家庭に訪問に来たことがあるという情報を巧みに利用し、母親が抱くであろう警戒心を巧みに解きほぐします。そして、自らを「子供を亡くしまして…」 と悲しげに紹介し、現在の自分は独身であるため、公的な里親制度を利用することができないのだと、同情を誘うように説明します 。その上で、彼女は核心となる提案を切り出したのです。

だから個人間の同意の下でお子さんを養育させていただきたいんです

玲子は、陸を預かる間の食費、医療費、洋服代、そしてこれから通わせる幼稚園の費用など、全ての経済的負担を自分が負うと約束します 。さらに、ダメ押しとばかりに、「これはほんのお気持ちです」 という言葉と共に、分厚い札束が透けて見える封筒を差し出します。息子を自身の恋愛の邪魔になる厄介者と感じ、常に金に困っていた母親は、このあまりにも都合の良い申し出に、何の疑いもなくすぐに飛びつきました。「いいよ あんたに預けてあげる」 。玲子の計算され尽くした計画通り、復讐という名の舞台に上げるための、新たな「息子」という重要な駒を手に入れた瞬間でした。

疑似親子の誕生と復讐の準備

母親からの解放

母親は、まるで長年使っていなかった不用品を処分するかのように、いとも簡単に陸を玲子に引き渡します。「いっとくけどただ預けるだけだからね ちゃんと返してよね」 と口では言いながらも、その顔に、我が子を手放す母親としての悲しみや葛藤の色は微塵も浮かんでいません。むしろ、恋人との時間を邪魔されずに済むという、身勝手な解放感に満ち溢れていました。

玲子は、がらんとしたアパートの外で、たった一人、母親が出てくるのを不安げに待っていた陸を見つけます。「お母さんは?」 と尋ねる陸の小さな問いに、玲子は何も言わず、ただ優しくその手を強く握りしめ、これから始まる新しい生活の場、すなわち優奈が命を落としたあのマンションへと、静かに連れて行くのでした。

失われた愛情を取り戻すように

玲子は、新しい住まいに着くと、まるで自分の娘にしてあげることができなかった母親としての愛情を、全て注ぎ込むかのように、陸の世話を始めます。伸び放題になっていた髪を、昔、優奈にしてあげた時のように丁寧に切りそろえ 、垢で汚れた体を温かいお風呂で隅々まで洗い清め、そして、清潔でサイズの合った新しい服を着せてあげます。

食卓には、子供が好きな温かいカレーライスを並べました。長い間、まともな食事を与えられていなかった陸は、目の前の食べ物が誰かに取られてしまうのではないかとでも言うように、慌てて食事を口の中にかき込みます。そんな陸の痛ましい姿に、玲子は、これ以上ないほど優しい声で語りかけました。

「そんなに慌てて食べなくっても誰も取ったりしないから」「今日からここがあなたの家」「私があなたの お母さんだよ」 。虐待によって心を閉ざしていた少年と、最愛の娘を失った母親。二人の間には、復讐という歪んだ目的で結ばれていながらも、確かに温かい、疑似的な親子の関係が生まれた瞬間でした。

敵陣への潜入 – 幼稚園での初対面

美しき転入生とその母

数日後、全ての準備を整えた玲子は、陸を連れて、因縁の場所であるあの幼稚園へと向かいます。美しい蝶の柄があしらわれた上品なワンピースをまとった玲子の姿は、カジュアルな服装の多い他の保護者たちの中で際立って美しく、園の門をくぐった瞬間、誰もが思わず息を呑み、その姿に振り返るほどでした 。

玲子は、ママ友たちのヒエラルキーの頂点に君臨する沙織たちのグループを見つけると、一切の躊躇なく、まっすぐにその輪の中心へと進み出ます。そして、完璧に計算された、非の打ちどころのない笑顔で挨拶をしました。

「篠原と申します。今日から息子の陸がこちらの幼稚園にお世話になります」 。彼女の堂々とした振る舞いと、常人離れした圧倒的な美しさに、百戦錬磨のはずの沙織たちも一瞬、言葉を失い、ただ見惚れるばかりでした。

巧妙な嘘と第一印象操作

沙織は、初めて会うはずの玲子の顔に、どこか見覚えがあるような、説明のつかない奇妙な感覚を抱きます。しかし、もちろん目の前に立つこの完璧な美女が、かつて自分たちが集団でいじめ抜き、死に追いやったあの冴えない女性、優奈の母親であるとは夢にも思いません。「前にどこかでお会いしたかしら?」 と訝しげに尋ねる沙織に対し、玲子は「いえ、なかったと思いますが」 と、あくまで冷静に、そして穏やかに否定します。

そして、「元はこっちの出身なんですが、夫と別れたので子供を連れて帰ってきました」 と、誰もが納得し、同情を寄せるであろう、用意周到に準備された嘘の身の上話を、淀みなく語るのでした。

さらに玲子は、自らの職業を訪問介護の仕事をしていると自己紹介し、「お客様から新堂先生(沙織の夫)の評判をよくお聞きしました。素晴らしい先生でみんなの尊敬の的だって」 と、巧みに沙織の夫を持ち上げ、彼女の自尊心をくすぐります。その計算され尽くした完璧な立ち回りは、プライドの高い沙織に強い好印象を与え、玲子は、計画の第一段階である敵陣への潜入を、いとも容易く果たしたのでした。

娘を貶める嘘 – 復讐の炎が燃え上がる瞬間

死者への冒涜

玲子という新たなメンバーを快く迎え入れた沙織たちの輪の中で、早速、ママ友たちの間で格好の的となっている、新たなゴシップの話題が持ち上がります。それは、亡くなった優奈に関する、あまりにも卑劣で、人間の心が無いとしか思えない、悪意に満ちた噂話でした。

「そうだ、聞きました?優奈さんの事故の理由…」 。 一人のママ友が、まるで面白い話でもするかのようにそう切り出すと、他の者たちも待っていましたとばかりに、根も葉もない嘘を次々と並べ立て始めます。

家に男を連れ込んだ時にだんなさんが帰ってきて、ベランダから逃げようとして落ちたって…」 。 さらに、別のママ友は、その嘘をより真実味のあるものに見せかけるため、「知り合いで見た人がいるの。彼女、夜のお店で働いてたって…」 と、優奈が昼間から男を家に連れ込み、夜は水商売、挙句の果てには主婦売春までしていたかのような、悪意に満ちたデマを、何の罪悪感もなく平然と口にするのでした 。

静かな怒りの誓い

愛する娘の尊厳を、その死後においてまで汚し続ける女たちの、あまりにも心ない言葉の数々を、玲子はただ無言で、しかし、その美しい瞳の奥に、全てを焼き尽くすかのような地獄の炎を静かに宿して聞いていました。そんな玲子の心中を知る由もなく、沙織は彼女をすっかり気に入った様子です。それを見た他のママ友たちは、「沙織さんに気に入られたなんて思わないほうがいいわよ。沙織さんは誰にだって優しいんだから」 と、嫉妬の入り混じった言葉を投げかけます。

そんな会話が繰り広げられる中で、何も知らないあるママ友が玲子に、噂の人物について「亡くなった方ですか?」 と尋ねます。すると、別のママ友は、心の底から軽蔑するように、こう吐き捨てました。「使えないママだったわ。みんなで尻拭いばっかり」「死んでくれてすっきりした

この最後の一言が、玲子の心に、復讐という名の最後の쐐を、深く、そして強く打ち込みました。彼女は、静かにその場を立ち去りながら、改めて固く、そして冷たく誓うのでした。この女たちに、必ず娘が味わったのと同じ、いや、それ以上の苦しみと絶望を与えてやる、と。復讐の女神は、ついに敵の懐深くへとその身を潜め、裁きの日を、ただ静かに待ち始めたのです。

【娘の命を奪ったやつを殺すのは罪ですか】4話を読んだ感想(ネタバレあり)

第4話は、復讐の準備が着々と、そしてあまりにも計画的に進んでいくその様に、正直なところ、物語への引き込まれる興奮と、玲子の冷徹さに対する恐怖が入り混じったような、非常に複雑な感情を抱きました。

玲子の取る行動は、もはや単なる悲しみに暮れる母親の激情というレベルを遥かに超えて、冷徹で優秀な戦略家のそれです。娘が亡くなった因縁の事故物件にあえて住むという常軌を逸した覚悟、虐待されているとはいえ、見ず知らずの子供を自らの計画のために引き取るという非情さ、そしてターゲットである沙織たちの懐に完璧な演技で潜入する卓越した手腕。その全てが、彼女が抱く復讐への執念がいかに深く、そして強いものであるかを物語っており、読んでいて背筋が凍る思いでした。

特に私の心に強く残ったのは、玲子が虐待されていた少年・陸を新たな「息子」として迎え入れ、甲斐甲斐しく世話をする一連のシーンです。そこには、確かに母親としての温かい愛情が見えるのですが、その根底には常に「復讐」という氷のように冷たい目的が横たわっています。この愛情と憎悪が同居する歪な関係性は、この物語が持つ深いテーマ性を象徴しているように感じずにはいられません。彼女は陸を地獄から救った聖母なのか、それとも自らの復讐の道具として利用する悪魔なのか。その境界線が非常に曖昧に描かれているからこそ、読者に対して、正義とは何か、復讐とは何か、という重い問いを投げかけてきます。

そして、物語のラストを締めくくる、ママ友たちの下劣なゴシップシーン。これは本当に胸糞が悪くなるほどでしたが、同時に、玲子がこれから行おうとしている復讐が、決して単なる私怨ではなく、正当なものであると読者に強く確信させる、非常に重要な場面でした。すでにこの世にいない人間に対してまで、平気で嘘と悪意を塗りたくり、その死を嘲笑う彼女たちの姿を見ていると、「どうか玲子さん、この者たちに正義の鉄槌を」と、強く願わずにはいられません。

静かに、しかし燃え盛る怒りの炎をその瞳に宿す玲子の横顔で終わるラストは、これから始まるであろう壮絶な復讐劇への期待感を、これ以上ないほどに高めてくれました。

【娘の命を奪ったやつを殺すのは罪ですか】4話のネタバレまとめ

  • 全身整形を終え、全くの別人へと生まれ変わった玲子は、亡き娘・優奈が住んでいたマンションの「事故物件」にあえて入居し、そこを復讐のための拠点とします 。
  • 復讐計画の重要な駒として、幼稚園に自然に潜入するため、玲子はネグレクトされていた少年・陸の母親に金銭を渡し、彼を自らの「息子」として引き取ることに成功します 。
  • 玲子は、引き取った陸に対して、亡き娘に注げなかった母親としての愛情を注ぎながらも、水面下で復讐計画の準備を着々と進めていきました 。
  • 「篠原玲子」という新たな名前と、誰もが目を奪われる完璧なルックスを手に入れた玲子は、沙織を中心とするママ友たちのグループに、夫と離別した美しいシングルマザーとして、何の疑いも持たれることなく自然に溶け込むことに成功します 。
  • 玲子は、その輪の中で、ママ友たちが優奈の死について「男と浮気していた」「水商売をしていた」など、事実無根の悪意に満ちたデマを流して嘲笑しているのを目の当たりにし、彼女たちへの復讐の決意をさらに固く、そして冷たく燃え上がらせるのでした 。

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ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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