復讐モノ

【娘の命を奪ったやつを殺すのは罪ですか】7話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 新たな復讐のターゲットとして、家庭を顧みず、亡き優奈を「泥棒猫」と罵るなど、悪意に満ちた言動を繰り返していた葛西夫妻が登場しました。
  • 玲子は、若い女性を好むという弱点を持つ葛西に計画的に接近するため、ガールズバーで働き始め、その際の源氏名を、亡き娘と同じ、あまりにも悲しい響きを持つ「ユウナ」に設定しました。
  • 玲子は、自らが引き取った、虐待されていた少年・陸との間に、疑似的ながらも温かい、確かな親子の関係を築いており、そのかけがえのない存在が、彼女の過酷な復讐計画を遂行する上での、唯一の心の支えとなっている様子が描かれます。
  • 玲子は「ユウナ」として、店の客として現れたターゲットの葛西に計画通り接触し、その清純で初々しい魅力を完璧に演じきることで、いとも容易く彼を虜にすることに成功します。
  • 復讐計画の最終段階として、玲子は自らの身体を代償に差し出す覚悟で葛西とラブホテルに行き、彼を油断させ、その心を完全に手中に収めることで、破滅へと続く甘い罠にかけることに成功するのでした。

【娘の命を奪ったやつを殺すのは罪ですか】第7話をネタバレありでわかりやすく解説する

前話において、新たなターゲットである葛西哲夫を、甘く、そして恐ろしい罠にかけた復讐の女神・玲子。第7話では、物語の主軸が再び、復讐の主犯格である沙織へと戻ります。沙織が、完璧な仮面を被る玲子の正体に、その鋭い観察眼と執念で徐々に疑念を抱き始め、物語はこれまでとは質の違う、新たな緊張感に包まれます。幼稚園の絶対的女王・沙織の鋭い追及と、それを氷のような冷静さでかわし続ける玲子の、息詰まる心理戦がついに幕を開けます。

沙織の疑念 – 過去の影との邂逅

偶然を装った揺さぶり

物語は、幼稚園の送迎バスが走り去る、いつもの和やかな朝の風景から始まります。しかし、ママ友たちの輪の中心で優雅に微笑む真里の心の中には、新参者である玲子に対する、小さな、しかし消えない疑念の種が確かに芽生えていました。玲子の最初のターゲットであった葛西恵美が逮捕され、その夫も姿を消してしまった今、玲子に関する直接的な情報を得る手立ては絶たれています 。それでも沙織は、インターネット上に流出した葛西の不倫動画に映っていた、モザイク越しの女性の「雰囲気」が、どこか玲子に似ているという、自らの「女の勘」を無視することができませんでした 。

真里は、玲子の完璧な仮面を剥がすため、巧妙な罠を仕掛けます。「今度玲子さんの家に遊びにいったらダメかしら?」、「親の介護のこととかいろいろ話したいわ」 。これは、訪問介護の仕事をしているという玲子の経歴の真偽を確かめ、彼女のプライベートな領域に踏み込むことで、その素性を探ろうとする、計算された揺さぶりでした。しかし、玲子はその魂胆を瞬時に見抜き、「それなら私よりケアマネさんのほうがお役に立てるかと…」 と、その申し出をこの上なく冷静に、そして巧みにかわします。この短い会話は、これから二人の間に繰り広げられるであろう、静かでありながらも熾烈な心理戦の、まさに始まりを告げるゴングとなったのです。

玲子の牙城 – 計画された家庭訪問

真里の息子を利用した潜入作戦

自宅への訪問を、あまりにも自然にかわされたことで、真里の玲子に対する疑念はさらに深いものへと変わります 。彼女は、周囲のママ友たちに「あなたたち玲子さんの家にいったことある?」と尋ねますが、誰も玲子のプライベートな空間に足を踏み入れた者はいませんでした 。玲子の徹底した秘密主義は、真里の探究心をさらに刺激します。

業を煮やした沙織は、目的のためには手段を選ばない、彼女らしい非情な手段に打って出ます。自らの息子・正人を利用するという、母親としてあるまじき作戦でした。「いいこと?正人」、「明日は陸くんと遊ぶ約束をしてきなさい」 。翌日、母親の命令通り、正人は陸を自宅での遊びに誘います。しかし、玲子はその申し出を、まるで予期していたかのように「いいわよ」、「お母さん今日は午後お仕事入ってないから」と、快く、そしてあっさりと受け入れました 。真里が自信満々で仕掛けた罠に、玲子はいとも簡単に、そして自らの意思で乗ってみせたのです。

因縁の場所で繰り広げられる心理戦

真里は、息子の正人と陸を連れて、ついに謎に包まれていた玲子の自宅マンションへと足を踏み入れます。しかし、その場所が、かつて自分たちが集団で優奈をいじめていた葛西優奈のマンションのすぐ近くだということに気づき、真里は隠しきれない驚きを感じます 。そして、玲子が住んでいる部屋のドアプレートに「篠原」という表札を見つけ、その部屋が、まさに優奈が命を落としたその一室であることを知った時、彼女の漠然とした疑念は、確信へと変わっていきました 。

こんな偶然ってある…!?

真里は、玲子が意図的にこの因縁深い部屋を選んだのではないかと、その真意を鋭く探ります。しかし、玲子は、沙織の心の動揺を冷静に観察しながら、「亡くなった例のママ友さんの家だったことは後で知りました」、「でもやっぱりお家賃が安いのが魅力で…」と、あくまで偶然を装い、完璧な演技で沙織の追及を、柳のようにしなやかにかわすのでした 。

玲子の反撃 – 真里を翻弄する情報戦

名門小学校受験という新たなカード

玲子の牙城である自宅で、二人の母親による、目に見えない探り合いは続きます。真里は、玲子の経済状況やバックグラウンドを探るため、教育熱心な母親たちの間では最大の関心事である、息子の小学校受験の話題を切り出しました。真里の息子・正人は、地域で最も格式高い名門私立とされる「光蘭学園」を受験する予定でした 。玲子もまた、「光蘭にいけるものならいかせたいけど、試験がすごく難しいし…」と、母親として当然の興味を示すことで、真里に「同じ目的を持つ教育熱心な仲間」であるかのように思わせ、その警戒心を巧みに解こうとします 。

しかし、一度抱いた疑いを、真里が簡単に手放すはずがありません。「さっきの話だけど…なんで家賃が安いか不動産屋に聞いた?」と、玲子が事故物件であることを知った上で、意図的にこの部屋に入居したのではないかという、核心に迫る質問を、鋭く投げかけます 。それに対し、玲子は「ええ、うかがいました」、「事故物件だと…」とあっさりと認め、その上で、「それで皆さんを家に招きづらくて…」と、まるで過去の悲劇に心を痛めているかのように、悲しげな表情で語るのでした 。

嘘で塗り固められた優奈の人物像

玲子の完璧なまでの悲劇のヒロインの演技に、さすがの真里の疑念も、一旦は揺らぎ始めます。しかし、彼女は最後の揺さぶりをかけるかのように、亡き優奈に関する、悪意に満ち溢れた嘘の情報を、まるで真実であるかのように玲子に吹き込み始めました。

「知ってる?優奈さん、主婦売春をやってたって噂もあったの」 「ほかのママ友のだんなさんに話を持ちかけてたんだって」 「子供も虐待してたそうよ」

これらの言葉は、もはやこの世にいない人間の尊厳を、死してなお貶める、あまりにも卑劣で許しがたいものでした。しかし、玲子は、顔色一つ変えることなく、ただ静かに、そして冷静にその言葉を聞いています。そして、「ひどい母親…毒親だったんですね」と、驚くべきことに、真里の言葉に同調してみせるのでした 。最愛の娘を侮辱されながらも、復讐というただ一つの目的のためだけに、全ての感情を押し殺す玲子のその姿は、鬼気迫るものがありました。

暴かれる玲子の嘘 – 新たな協力者の出現

陸の実母との遭遇

真里は、玲子が優奈の関係者であるという決定的な確証を得られないまま、消化不良の感情を抱え、彼女の家を後にします。しかし、マンションのエレベーターホールで、真里は一人の見慣れない、派手な身なりの若い女性とすれ違います 。その女性こそ、玲子が金で引き取り、復讐の駒として利用している少年、陸の実の母親だったのです。

陸の実母は、玲子から定期的に金を受け取るため、このマンションを訪れていました。真里は、玲子とこの若い女性との、明らかにただならぬ関係に強い疑問を抱き、直感的に彼女を尾行します 。そして、駅の構内にあるKIOSKで、金を受け取ったばかりの彼女がタバコを買い求める姿を見つけ、声をかけたのです 。

明かされる「息子」の真実

真里は、陸の実母に「陸くんのご親戚か何かですか?」と、当たり障りのない言葉で尋ねます 。すると彼女は、何の警戒心もなく、あっさりと「陸の母親だけど」、「今は事情があって彼女に預けてるんだけどね」と、衝撃の事実を告白します 。

さらに彼女は、「彼女、子供を亡くしたんだってさ」、「同じ母親として気持ちはわかるし、別にずっとってわけじゃないし」と、玲子が自らの悲しい過去を偽って、同情を買おうとしていることまで暴露します 。この一連の会話によって、真里は、玲子が作り上げてきた「篠原玲子」という人物像が、その経歴から、子供との関係に至るまで、全てが巧妙に計算された嘘で塗り固められていることを、ついに確信するに至るのでした。

玲子の正体と沙織の次なる一手

悲劇のヒロインを演じる玲子

真里は、玲子の嘘を暴くための、これ以上ない決定的な証拠を掴み、後日、再び彼女と対峙します。「陸くん、里子なの?」 。幼稚園の他のママ友たちの前で、逃げ場のない状況でそう問い詰められた玲子は、一瞬観念したかのように、涙を浮かべながら、用意していた「真実」を語り始めます。

「娘の香澄は生まれてすぐに亡くなりました」 「朝起きたら息をしていなかったんです」 「…それから夫ともうまくいかなくなって…別れました」

これは、玲子が、万が一の事態に備えて用意していた、もう一つの悲劇のシナリオでした。乳幼児突然死症候群(SIDS)で子供を亡くし、その深い悲しみから、他人の子供を育てることで心の穴を埋めようとしている、哀れな女性。玲子は、その役を完璧に演じきることで、真里の追及をかわし、周囲からの同情を引こうとしたのです。

沙織の弟、登場

場面は一転し、真里がカフェで一人の若い男性と会っているシーンが描かれます。この男こそ、真里の弟であり、フリーのライターとして、裏社会にも通じている人物でした 。彼は、姉である真里の依頼を受け、ある重要人物の身辺調査を行っていたようです。彼が調査していたのは、真里の息子が受験を希望する、あの名門「光蘭学園」の理事長でした 。そして、その理事長が、愛人らしき美しい女性とラブホテルに入る決定的な瞬間の写真を、彼は証拠として沙織に渡します 。

その写真に写っていた、理事長の腕に妖艶に絡みつく愛人こそ、玲子が演じる「篠原玲子」その人でした。しかし、真里はその衝撃の事実に、まだ気づいてはいません。彼女は、このスキャンダルを、玲子の正体をさらに探るための、新たなカードとして利用しようと画策します。「あんた、ライター辞めて探偵に職替えしたら?」 。

玲子を脅迫する真里

真里は、弟から得た禁断の情報と決定的な証拠写真を手に、再び玲子の前に現れます 。そして、喫茶店のテーブルの上で、光蘭学園の理事長との不倫写真をつきつけ、玲子を脅迫するのでした

「この写真がネットに流出したら大騒ぎになるわよ」 「あなたの素性だってバレるでしょうね」 「陸くんが里子ということも…」

この絶体絶命の状況に、玲子は動揺を隠せません。彼女は真里に「記事を…止めてもらえないでしょうか」と懇願します

玲子が完全に自分の術中にはまったと確信した真里は、不敵な笑みを浮かべ、取引を持ちかけます

「私が彼を説得してあげてもいいわ」 「…ただね、こっちのお願いも聞いてもらいたいの」

真里は、玲子の最大の弱み(理事長とのスキャンダル)を握り、それを盾に玲子を自らのコントロール下に置こうと画策します。二人の女の息詰まる頭脳戦は、真里が優位に立った形で、次なる予測不能な領域へと突入していくことを予感させて、第7話は静かに幕を閉じます。

【娘の命を奪ったやつを殺すのは罪ですか】7話を読んだ感想(ネタバレあり)

第7話は、これまで玲子の独壇場であった復讐劇に、初めて彼女と互角以上に渡り合える強敵が現れた回であり、その息詰まるような心理戦に、ページをめくる手が止まりませんでした。真里というキャラクターの、執念深さと頭の回転の速さは、単なる意地悪なママ友というレベルを遥かに超えており、復讐の女神と化した玲子のライバルとして、申し分ないほどの強烈な存在感を放っています。

彼女が、些細な違和感から玲子の嘘を一つ一つ、まるでパズルのピースを埋めるかのように暴いていく過程は、上質なミステリー小説を読んでいるかのような、知的な興奮と緊張感がありました。

しかし、それをさらに上回るのが、玲子の、氷のような冷静さと、どこまでも計算され尽くした計画性です。真里からの鋭い追及を、まるで熟練のチェスプレイヤーが駒を進めるかのように冷静にかわし、時には自らがついた嘘を逆手にとって、相手を巧みに翻弄する。その姿は、もはや復讐に燃える悲劇の母親というよりも、目的のためにはいかなる手段も厭わない、冷徹な工作員のようです。特に、最大のピンチであったはずの、陸の実母との遭遇というアクシデントさえも、次の計画のための重要な布石へと、瞬時に変えてしまうその手腕には、鳥肌が立ちました。

そして、物語のラストで描かれる、緊迫の取引シーン。真里が、玲子を追い詰めるための絶対的な切り札として不倫スキャンダルを突きつけ、完全に玲子をコントロール下に置こうとする展開は、まさに圧巻の一言です。これまで優位に進めてきた玲子が、初めて見せる窮地。この物語が、単なる感情的な復讐ではなく、人間の持つ欲望やプライドといった弱点を巧みに利用した、高度な知能戦なのだと改めて感じさせられました。真里は玲子に一体何を要求するのか。

そして、このあまりにも危険な取引は、二人の女の関係を、そしてこの復讐劇そのものを、一体どこへ導いていくのか。次回の展開が、今から待ちきれません。

【娘の命を奪ったやつを殺すのは罪ですか】7話のネタバレまとめ

  • 復讐の主犯格である真里は、玲子の完璧すぎる経歴や、葛西の不倫動画に映っていた女性との些細な類似点から、彼女の正体に強い疑念を抱き始め、その正体を探ろうと画策します。
  • 真里は、玲子の自宅を突き止めるため、自らの息子を利用して陸と遊ばせるという計画を実行し、玲子の家が、かつて優奈が亡くなった事故物件そのものであることを突き止め、疑いをさらに深めます。
  • 真里は、玲子と陸が血のつながった親子ではないという決定的な証拠を掴みますが、玲子は「過去に子供を亡くした悲しみから里子を引き取った」という、新たな悲劇のシナリオを演じることで、その場を巧みに切り抜けました。
  • 真里は、フリーライターである弟を使い、玲子の身辺調査を依頼。その結果、玲子が息子の志望校である名門「光蘭学園」の理事長と愛人関係にあるという、重大なスキャンダルを掴みます。
  • 真里は、そのスキャンダル写真をネタに玲子を脅迫し、記事のもみ消しを条件に、玲子に「あるお願い」を聞き入れさせようと、力関係で優位に立つのでした。

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ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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