【娘の命を奪ったやつを殺すのは罪ですか】9話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

- 玲子は、真里の弱みである「息子の名門小学校合格」という欲望を利用し、裏口入学の斡旋料として800万円を要求します。
- 真里は、夫の反対を押し切り、消費者金融(闇金)から800万円を借り入れ、玲子の手引きで光蘭学園の理事長にその金を渡してしまいます。
- しかし、これは全て玲子の罠であり、真里が裏口入学を依頼する現場は隠し撮りされ、ネットニュースで拡散。真里は社会的な信用を失墜します。
- 裏口入学は失敗に終わり、闇金からの法外な取り立てに追われた真里は、玲子を公園に呼び出し、ナイフで脅迫しますが、夫と息子に制止され、完全に崩壊します。
- 最終的に、真里の一家は全てを失い、夜逃げ同然に街を去りました。玲子は、主要なターゲットの一人を、社会的に完全に抹殺することに成功したのでした。
【娘の命を奪ったやつを殺すのは罪ですか】第9話をネタバレありでわかりやすく解説する
前話において、復讐の主犯格である真里が、玲子の秘密に迫り、二人の女の息詰まる心理戦が繰り広げられました。第9話では、玲子が抱える過去の闇が初めて明かされると共に、彼女が仕掛けた次なる復讐計画が、静かに、そして恐るべき形で進行していきます。物語は、偽りの親子関係に生じる小さな綻びと、新たなターゲットを襲う衝撃の展開を軸に、さらなる深みへと進んでいきます。
偽りの親子関係に生じる綻び
陸の純粋な問いかけ
物語は、幼稚園から配られた「ぼくのわたしの家族」というテーマの絵画展のお知らせから始まります 。描いた絵がショッピングモールに飾られると聞き、陸は「お母さんの絵を描いてもいい?」と嬉しそうに玲子に尋ねます 。玲子は「もちろんいいわよ きれいに描いてね」と優しく微笑みますが 、それをきっかけにして、玲子の脳裏には優奈とのあるやり取りがフラッシュバックしました。
夏休みの宿題で家族の絵を描くように言われた優奈は、思い詰めた表情で玲子に問いかけます。「ほかの子はみんなお父さんがいるのに…」 、「ねえ 私のお父さんはどこにいるの?」 。玲子は「前もいったでしょ 遠くにいってるの」と答えますが 、優奈は「遠くって? なんで私に会いにきてくれないの?」と、子供ならではの純粋さで食い下がります 。玲子は、その問いに正面から答えることができず、「寂しいけど…お父さんの帰り ふたりで待ってようね」と、優奈を優しく抱きしめることしかできませんでした 。
玲子の過去 – 夫の罪と離婚の真相
封印された記憶
優奈との会話は、玲子に封印していた過去を思い出させます。彼女の脳裏に蘇るのは、刑務所の面会室での、夫との最後の会話でした。「これ以上おまえや優奈に迷惑をかけたくない…」 。
新聞記事が、その過去の重さを物語ります。「会社経営者殺人 一審で懲役20年」 。玲子の夫、井上健司は、殺人と業務上横領の罪で懲役20年の判決を受けていたのです 。優奈に「お父さん」の存在を説明できない理由、そして彼女が一人で優奈を育てなければならなかった壮絶な過去が、ここで初めて明かされます。
陸が描いた「本当のお母さん」
子供の目に映る真実
玲子が過去の記憶に苛まれる中、陸は「家族の絵」を完成させます。しかし、彼が描いたのは、玲子が想像していたような、優しい母親の絵ではありませんでした。それは、目を吊り上げ、牙をむき出しにした、まるで鬼か悪魔のような形相の女の絵。「お母さん、こんな怖い顔してる?」と尋ねる陸に、玲子は「ゲームの時間が長くなったらお母さんこういう顔になるよ」と冗談めかして答えます 。
玲子は「ふたりでカレーを食べてるところとかの楽しい絵にしたら?」と提案しますが 、陸は「もう描いちゃったし眠いからこれでいいよ!」と言って、その不気味な絵を提出してしまいます 。子供の純粋な目は、玲子が心の奥底に隠している、復讐心という名の「鬼」の姿を、正確に見抜いていたのかもしれません。
優奈の誕生日 – 謎の電話
記憶の中の娘
玲子は自宅のカレンダーに記された印に目を留めます。その日は、若くしてこの世を去った、最愛の娘・優奈の誕生日でした 。玲子は「お花とケーキ買ってお祝いしなきゃね」と、今はもう会うことのできない娘を偲び、ささやかなお祝いをしようと心に決めます 。
そして、自宅マンションの玄関前に、優奈宛てのメッセージが添えられた花束が置かれているのを発見します。優奈の誕生日を知る人物に心当たりがない玲子は、「明彦さんかしら?」と、すぐに優奈の元夫である明彦の存在を思い浮かべます 。
彼女はすぐさま明彦に電話をかけますが、返ってきたのは「いえ それは僕ではないです」という、予期せぬ否定の言葉でした 。明彦でなければ、一体誰が優奈の誕生日を知り、このような行動に出たのか。玲子の心に、新たな謎と不信感が芽生えるのでした 。
新たな協力者? – 由紀子の告白と警告
孤独な戦友
花を贈ってきた人物の正体は、意外な人物でした。それは、かつて真里たちのグループにいじめられ、優奈が庇ってくれたという過去を持つ、ママ友の由紀子でした 。彼女は、優奈の誕生日を覚えており、感謝の気持ちを伝えたかったのです 。
由紀子は、玲子が優奈の母親が住んでいた部屋に越してきたことや、陸が玲子の実の子ではないという噂が広まっていることを知っていました 。そして、彼女は玲子に、ある重要な警告をします。ママ友グループの新たなターゲットとなっている彩という女性が、玲子に対して強い警戒心を抱いていること、そして「次はあなたが標的になるかも…」と 。由紀子は、かつて優奈を助けられなかった後悔から、今度は玲子の力になろうとしているようでした。
ショッピングモールの展示会 – 拡散する悪意の噂
悪意の標的
数日後、玲子と陸は、絵の展示会が開かれているショッピングモールを訪れます 。そこには、案の定、彩を中心としたママ友たちの姿がありました。彼女たちは、玲子の姿を見つけると、あからさまに敵意のこもった視線を向けます。
由紀子が、心配して玲子の元へ駆け寄ります。「あの…噂になってるわよ」「彩さんがみんなにいいふらしてるみたい」。彩が流している噂、それは「玲子さんは風俗で働いてるから仲良くしないほうがいい」 、「陸君が施設にいた子で問題児だとか」という、あまりにも悪質な噂でした 。
衝撃の絵画 – 虐待疑惑の目
子供の絵が語るもの
そんな不穏な空気の中、ママ友の一人が、陸の描いたあの不気味な絵を見つけます 。鬼のような形相の母親の絵は、彼女たちの玲子に対する疑念を、決定的なものへと変えてしまいました。「ねえ見てこの絵…」「子供を虐待してるんじゃないの!?」 。
「実の子じゃないっていうし…」。ママ友たちは、何の根拠もなく、玲子を虐待母だと決めつけ、非難の声を上げ始めます。泣き出す陸を、玲子は「大丈夫よ」「謝らないの!陸は悪くない」と強く抱きしめますが 、彼女の周囲には、もはや敵意と悪意しか存在していませんでした。
仕組まれた孤立 – 歯科検診でのいじめ
巧妙ないじめの手口
彩による玲子へのいじめは、さらに陰湿さを増していきます。幼稚園で行われる親子の虫歯検診の連絡が、玲子にだけ意図的に伝えられていませんでした 。由紀子からの連絡で、慌てて幼稚園に駆けつけた玲子を、彩は待ち構えていました。「遅れてきたのね」「自分の子供じゃないから虫歯なんてどうでもいいのかなァ?」 。
その言葉は、かつて優奈が真里たちから受けたいじめの手口と全く同じでした。
「優奈もこうやっていじめられていたんだわ」
玲子は、娘が味わったであろう孤独と絶望を、自らの身をもって追体験するのでした。
豪華な誕生日会での復讐 – 暴露されたDNA鑑定
新たなる復讐の舞台
場面は一転し、ママ友の一人、彩の娘である久美の豪華な誕生日パーティーが描かれます 。そのパーティーには、県会議員である新堂も招待されており、祝辞を述べていました 。
パーティーのクライマックス、久美の娘の成長を記録したアルバムのスライドショーが始まります。しかし、和やかな雰囲気の中、スクリーンに映し出されたのは、衝撃的なものでした。
「北条久美と父 北条直樹のDNA鑑定の結果」 「解析結果:父権肯定確率は0%」
「被験者同士に生物的な親子関係はないと判断される」
パーティー会場は、一瞬にして凍りつきます。夫の北条直樹は激しく動揺し、妻である彩に「前からおかしいと思ってたんだ…」と詰め寄ります 。幸せなはずの誕生日会は、一瞬にして、不倫の暴露と家庭崩壊の修羅場へと変わってしまったのです。
復讐の真相 – 明かされた不倫の証拠
科学が暴いた嘘
この衝撃的な復讐劇の裏には、玲子の周到な準備がありました。彼女は事前にDNA鑑定の専門家を訪ね、「右利きの両親から左利きの子供が生まれる確率は9%」という科学的根拠を得ていました 。久美が左利きであることに気づいた玲子は、彼女の出生に疑いを抱き、密かにDNA鑑定を行っていたのです。
そして、その脳裏にはもう一つの重大な秘密が眠っていました。
「DNA父子鑑定報告書」 「被験者の氏名:北条久美(子供)」
「被験者の氏名:新堂幹久(父と推測される者)」 「解析結果:父権肯定確率は99.999%」 「被験者同士は生物学的な親子関係にあると判断される」
久美の本当の父親は、夫の北条直樹ではなく、沙織の夫であり、県会議員でもある新堂幹久だったのです。
【娘の命を奪ったやつを殺すのは罪ですか】9話を読んだ感想(ネタバレあり)
第9話は、これまでの復讐劇とは一線を画す、衝撃的な展開の連続で、息つく暇もありませんでした。まず、玲子の夫が殺人犯で服役中であるという、彼女の壮絶な過去が明かされたことには、言葉を失いました。彼女が抱える闇の深さと、復讐へと向かう動機の根源を垣間見た気がします。また、陸が描いた「鬼」の絵は、子供の純粋な目が、大人が隠している本質を見抜いてしまうという、普遍的なテーマを突きつけてくるようで、非常に印象的でした。
そして、何よりも圧巻だったのは、ラストの誕生日パーティーでの復讐シーンです。これまで玲子が行ってきた、ターゲットを社会的に抹殺するという手法とは異なり、今回は、家庭の最も神聖な部分である「親子関係」そのものを破壊するという、あまりにも残酷で、しかし鮮やかな手口でした。DNA鑑定という、誰もが否定できない科学的な事実を突きつけ、幸せの絶頂にいた家族を、一瞬にして地獄の底へと突き落とす。その光景は、恐ろしくもありながら、一種の芸術性さえ感じさせるほどの完成度でした。
この復讐劇は、玲子をいじめの標的にした彩への罰であると同時に、その彩の不倫相手であった新堂、そしてその妻である沙織への、二重、三重にも仕掛けられた巧妙な罠となっています。玲子の復讐は、もはや個人の制裁というレベルを超え、登場人物たちの醜い人間関係そのものを根底から破壊し尽くす、巨大な嵐のようです。この嵐が、次に誰を巻き込み、どこへ向かうのか。物語は、全く予測不能な領域へと突入したと言えるでしょう。
【娘の命を奪ったやつを殺すのは罪ですか】9話のネタバレまとめ
- 幼稚園の課題「家族の絵」をきっかけに、玲子の夫が殺人罪で服役中であるという、彼女と亡き娘・優奈の壮絶な過去が初めて明かされます。
- 陸が描いた鬼のような形相の玲子の絵が原因で、ママ友たちの間で玲子への虐待疑惑が浮上。新たなママ友・彩が中心となり、玲子への陰湿ないじめがエスカレートしていきます。
- 玲子は、次の復讐のターゲットとして、いじめの主犯格である彩に狙いを定め、彼女の娘・久美の誕生日パーティーを復讐の舞台に選びます。
- パーティーのクライマックスで、玲子は事前に用意していたDNA鑑定の結果をスクリーンに映し出し、久美の父親が、夫の北条直樹ではないこと(父権肯定確率0%)を暴露します。
- さらに、久美の本当の父親が、ママ友のボスである沙織の夫で、県会議員の新堂幹久であることを示すもう一つのDNA鑑定結果(父権肯定確率99.999%)が玲子の手にあることが示唆され、幸せな家庭を一瞬にして崩壊させるという、恐るべき復讐を遂げたのでした。
◁前の記事はこちらから

▷次の記事はこちらから



