復讐モノ

【娘の命を奪ったやつを殺すのは罪ですか】10話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 復讐の主犯格であった沙織が破滅した後、玲子への新たな敵として彩が登場しました。
  • 彩はママ友グループの中心となり、玲子が里子を育てていることや風俗で働いているといった根も葉もない噂を流し、連絡網を意図的に伝えないなど、陰湿ないじめを開始しました。
  • 玲子は次の復讐のターゲットを彩に定め、彼女の娘・久美の誕生日パーティーを復讐の舞台に選びました。
  • パーティーのクライマックスで、玲子は事前に用意していたDNA鑑定の結果をスクリーンに投影。久美の父親が夫の直樹ではないこと、そして本当の父親が沙織の夫である県会議員・新堂幹久であることを暴露しました 。
  • 幸せの絶頂にあった彩の家庭は、大勢の招待客の前で、一瞬にして崩壊したのでした。

【娘の命を奪ったやつを殺すのは罪ですか】第10話をネタバレありでわかりやすく解説する

前話で、新たなターゲットである彩の家庭を、DNA鑑定という誰もが否定できない科学的根拠をもって、完膚なきまでに破壊した玲子。

第10話では、その復讐の矛先が、ついに彩の不倫相手であり、物語の黒幕の一人である県会議員・新堂幹久、そして彼の背後に存在する、さらに強大な権力を持つ政界の大物へと向けられます。しかし、その水面下では、玲子自身が長年封印してきた壮絶な過去が再び動き出し、物語は誰も予測できなかった、あまりにも衝撃的なラストシーンへと突き進んでいきます。

新たなターゲット – 政界のドン・田代

明かされる新堂の秘密

物語は、県会議員である新堂幹久(沙織の夫)が、テレビカメラの前で開いている記者会見の場面から始まります。彼は、地元の懸案事項である産業処理場の誘致問題について、記者からの「不明朗な用地選定」や「公金の支出が増えている」といった厳しい追及を、冷静沈着かつ巧みな話術でかわし、次期衆院選への出馬の噂も「現在の自身の職務を全うしたい」と笑顔で否定するなど 、クリーンで有能な若手政治家というパブリックイメージを完璧に演じていました。

しかし、その裏の顔は、すでに玲子の手によって暴かれています。玲子の手元には、彼がママ友である彩の娘・久美の生物学的な父親であることを99.999%の確率で証明する、動かぬ証拠であるDNA鑑定書が存在するのです 。その事実を思い出しながら、玲子はテレビに映る偽善者の姿を冷たい目で見つめ、「この男…いろいろ出てきそうね」と静かに呟きます 。玲子の次なる復讐の刃が、新堂幹久に向けられていることが、ここで明確に示唆されるのです。

夫・健司の出所

玲子は、パソコンで新堂の公式ホームページを調査し、彼の華々しい経歴の裏に、強大な後援者、「国憲党のドン」と呼ばれる田代議員の存在があることを突き止めます 。親の地盤を継いだわけでもない新堂が、若くして現在の地位を築くことができたのは、全てこの田代という男の強力な引き立てがあったからでした

まさにその時、玲子の元に一本の電話がかかってきます。それは、殺人罪で服役中である夫・健司の弁護を長年担当していた、岸本弁護士からでした 。そして、彼は玲子にとって、あまりにも衝撃的な事実を告げるのです。「健司君が出所をしたので一応あなたにも知らせておこうと思いまして」

もう10年以上も前に、「向こうから会いにこないでくれといわれて…」という夫の言葉を最後に 、面会すらしていなかった玲子。最愛の娘・優奈が亡くなったことを手紙で伝えても、彼から返事が来ることはありませんでした 。

出所したはずの夫は、迎えに行くはずだった弁護士の前にも姿を現しておらず、その行方は誰も知りません 。玲子の壮絶な復讐劇の裏側で、彼女自身が捨て去ったはずの過去が、静かに、しかし確実に再び動き出していたのです。

虎穴への潜入 – ドンへの接近

介護士の仮面

玲子は、次なる復讐計画を、少しの躊躇もなく実行に移します。彼女が狙いを定めたのは、新堂を操る傀儡師、政界のドンである田代議員その人でした。玲子は、まず手駒である新堂を通じて、田代との面会の約束を巧みに取り付けます 。

その際、彼女が切り札として利用したのは、かつて長年介護士として働いていたという、一部真実を織り交ぜた経歴でした。現在、地域医療の促進法の策定に関わっているという田代にとって、介護現場の実情を知る玲子の話は、政治的に非常に価値のあるものだったのです 。

仕掛けられた卑劣な罠

玲子は、新堂に案内され、高級料亭の一室で、ついにターゲットである田代と対面します 。田代は、県議会議長も務める、まさにこの地域の政界を裏で牛耳る大物 。彼は、玲子の類稀なる美貌と気品に一目で魅了され、その下心に満ちた視線を隠そうともしません

玲子は、そんな男たちの欲望を冷静に見透かしながら、介護現場が抱える深刻な実情について、元専門家として熱弁をふるい、田代の知的な関心を引くことにも成功します 。すっかり玲子を気に入った田代は、「あなたも将来政治家を目指されてはどうかね?」「国家党が全面バックアップをしますよ」と、甘い言葉で彼女を自らの陣営に引き込もうと誘惑します 。

そして、新堂が「玲子さんのために特別に用意させた」という高級なシャンパンを勧め、玲子もそれを受け入れます 。しかし、そのグラスを一口飲んだ瞬間、玲子の体に急激な異変が起こります。激しいめまいと、ぐにゃりと歪む視界 。彼女は、自らが口にした酒に、意識を奪うための薬物が混入されていたことを瞬時に悟るのでした 。

謎の救世主 – 過去からの声

絶体絶命の危機と夫の幻聴

意識が朦朧とする中、田代は「奥に横になれる場所があるんです」と、玲子を店の奥へと誘います 。新堂と田代が、初めから自分を貶めるためにグルであったこと 、そして自分が完全に罠にはめられたことを悟った玲子は、最後の力を振り絞り、「すみません 私ちょっとお手洗いに…」と、その場から逃れようとします

しかし、薬の影響は深刻で、まっすぐに歩くことさえままなりません。絶体絶命の窮地に立たされた玲子の耳に、突如、幻聴とも現実ともつかない、鋭く、そして懐かしい声が響き渡ります。

新堂幹久には近づくな! あいつは危険だ!!!

蘇る幸せな記憶と逮捕の悪夢

その声は、玲子の心の奥底に、まるでパンドラの箱のように固く封印されていた、最も幸せだった頃の記憶の扉を、無慈悲にこじ開けました。それは、まだ幼い優奈と、夫・健司と三人で囲んだ、温かい光に満ちた家族の食卓の風景でした 。そして、そのささやかな幸せが、玄関のチャイムの音と共に訪れた警察官の突然の訪問によって、一瞬にして打ち砕かれた、あの悪夢のような日の記憶でした

「井上健司さんですね?」「あなたに殺人の容疑で逮捕状が出ています」 。何が起こったのかも分からぬまま、無抵抗に連行されていく夫。「あとを頼む」 という、最期の言葉。玲子の脳裏に、夫が目の前から消え去った、あの日の光景が、鮮明に蘇ります。

夢ではなかった救いの手

どれくらいの時間が経ったのか、玲子が意識を取り戻した時、彼女はタクシーに乗せられ、見慣れた自宅マンションの前で降ろされたことに気づきます。部屋に戻ると、心配そうに出迎えた陸が、昨夜の一部始終を語りました。

「男の人がお母さんをタクシーに乗せて、お金を渡して、このマンションの名前と部屋番号をいったんだって」 。その言葉から、昨夜、何者かによって自分が危機一髪のところを助けられたことを知ります。そして、あの幻聴だと思っていた警告の声が、実際に自分を助けてくれた人物、すなわち10年以上も会っていなかった、出所したばかりの夫・健司の声であったことを、玲子は確信するのです 。

復讐の連鎖と衝撃のラスト

ターゲットたちの末路と沙織の脅迫

場面は再び、幼稚園の前に移ります。ママ友たちは、いつものように井戸端会議に花を咲かせていました。彼女たちの話題の中心は、例のDNA鑑定事件で全てを失い、街から姿を消した、彩の哀れな末路でした。「離婚されたって聞きました」「今は別の街で水商売のようなことをしてるって」

そんな中、最後のターゲットである沙織が、玲子の前に立ちはだかります。「真理さんから聞いたわ」「あなた愛人業をやってるんですって?」 。彼女は、玲子が光蘭学園の理事長と愛人関係にあるというスキャンダルをネタに、玲子を脅迫し、自らの支配下に置こうとするのでした。「今度は逃げたりせずに、よろしくね」

死んだはずの娘…?

玲子が、沙織からの直接的な脅迫をどう切り抜けるのか。その緊張が走る、まさにその時、物語は、誰もが予想し得なかった、あまりにも衝撃的なラストシーンを迎えます。玲子の隣の部屋から、荷物を運び出す引越業者の姿が。「あら、お隣さんじゃないの」

その引っ越してきた女性が、玲子の方を振り返り、「こんにちは」と、人懐っこい笑顔で挨拶をします 。その顔は、紛れもなく、数年前にこの世を去ったはずの、最愛の娘・優奈そのものでした 。あまりの出来事に、声も出せず、ただ呆然と立ち尽くす玲子の姿を最後に、第10話は、全ての読者を深い混乱の渦に突き落として、幕を閉じます。

【娘の命を奪ったやつを殺すのは罪ですか】10話を読んだ感想(ネタバレあり)

第10話は、これまでの物語の流れや前提を根底から覆すような、衝撃的な展開の連続でした。玲子の復讐劇が、ついに政界のドンという、これまでとは比較にならないほどの巨悪にまで及んだかと思えば、その裏で、彼女自身が葬り去ったはずの過去である、夫・健司の出所という新たな要素が加わり、物語は一気に複雑さと深みを増しました。

特に、薬で意識を失いかけるという絶体絶命の玲子を、その姿を見せることなく、まるで守護神のように救い出す健司の存在は、今後の展開において非常に重要な鍵を握る人物になることを強く予感させます。彼は玲子の復讐の協力者となるのか、それとも新たな障害となるのか。その謎が、物語にこれまでとは質の違う、新たなサスペンスを生み出しています。

しかし、今回の物語で何よりも衝撃的だったのは、言うまでもなく、ラストシーンです。死んだはずの娘・優奈と瓜二つの女性の、あまりにも唐突な出現。これは、一体何を意味するのでしょうか。精神的に追い詰められた玲子が見せた、つかの間の幻覚なのか、それとも、玲子の知らないところで、彼女の復讐劇そのものを操る、さらに巨大な陰謀が動いているのか。

考えられる可能性はいくつもありますが、そのどれもが、これまでの物語の前提を覆す、恐ろしい結末しか想像できません。娘の死を唯一の原動力として、自らの人生の全てを捨てて復讐に生きてきた玲子にとって、この出来事は、彼女の存在意義そのものを揺るがしかねない、あまりにも残酷なものです。

これまでの玲子の復讐劇が、読者にある種の爽快感やカタルシスさえ伴うものであったのに対し、この衝撃的なラストは、私たち読者を深い混乱と、底知れない不安の渦に突き落とします。玲子の復讐は、本当に正しいものだったのか。彼女が戦っている相手は、本当に沙織たちだけだったのか。全ての前提が覆された今、この物語がこれからどこへ向かうのか、全く予測がつきません。

【娘の命を奪ったやつを殺すのは罪ですか】10話のネタバレまとめ

  • 玲子は、次の復讐のターゲットとして、沙織の夫である新堂議員の背後にいる、政界のドン・田代議員に、介護士の経歴を偽って計画的に接近します。
  • その一方で、殺人罪で服役していた玲子の夫・健司が10年以上の服役期間を終えて出所し、行方不明になっていることが、彼の弁護士からの電話で明らかになります。
  • 玲子は、田代と新堂によって酒に薬物を混入され、罠にはめられてしまいますが、その絶体絶命の危機を、行方不明だったはずの夫・健司によって、その姿を見せることなく救われます。
  • 復讐のターゲットの一人であった彩は、不倫が原因で離婚し、水商売の世界に身を落とすという末路を辿ります。そして、最後のターゲットである沙織は、玲子が愛人業を営んでいるという情報を手に、彼女を直接脅迫し始めます。
  • 物語のラストで、玲子の前に、死んだはずの娘・優奈と瓜二つの女性が、マンションの隣人として引っ越してくるという、あまりにも衝撃的な展開で幕を閉じます。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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