復讐モノ

【娘の命を奪ったやつを殺すのは罪ですか】12話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 玲子の隣の部屋に、死んだはずの娘・優奈と瓜二つの女性、「神尾明日菜」が引っ越してきます 。
  • 明日菜は、ストーカー被害に遭っているという身の上話を玲子にし、玲子は彼女に同情し、信頼関係を築いていきます 。
  • 玲子は彩と再会し、彼女が新堂や田代と旧知の間柄であったことを知ります 。
  • 隠し撮りされていた映像を再確認した玲子は、優奈がケーキをこぼす悲劇の原因となったのが、協力者だと信じていたママ友・由紀子の意図的な妨害であったという、衝撃の事実を発見します 。
  • 物語のラストで、明日菜が語っていたストーカーの正体が、玲子の夫・健司であることが判明。明日菜と健司、そして玲子を巡る謎がさらに深まるのでした 。

【娘の命を奪ったやつを殺すのは罪ですか】第12話をネタバレありでわかりやすく解説する

前話において、信頼していた協力者の裏切り、そして死んだはずの娘と瓜二つの隣人と、その彼女をストーキングする元夫の存在が明らかになり、物語は混沌の渦へと突き進み始めました。第12話では、ついに玲子が元夫・健司と再会を果たします。しかし、それは決して感動的なものではなく、さらなる謎と、逃れられない過去の罪、そして新たな脅威の始まりを告げる、あまりにも残酷な邂逅でした。

謎の隣人・明日菜の正体

瓜二つの顔と蘇る記憶

物語は、玲子が定期的なメンテナンスのため、かつて自らの顔を捨て去ったあの美容整形クリニックを訪れる場面から始まります 。ヒアルロン酸を注入され、完璧な美貌と若々しさを保つ彼女の姿は、復讐というただ一つの目的のためには、自らの外見さえも冷徹に管理し続ける、彼女の異常なまでの執念を物語っています 。

医師から「未来を見て生きていくのはいいことだと思いますよ」と優しい言葉をかけられ、彼女の心に一瞬、人間らしい安らぎが訪れたかのように見えました 。

しかし、クリニックを出た直後、彼女は雑踏の中で、以前、政界のドン・田代の卑劣な罠から自分を助けてくれた、あの謎の男の姿を偶然見かけます 。その男こそ、10年以上も前に刑務所に収監され、最近出所したばかりで行方不明だったはずの元夫・健司でした。

「篠塚」と名乗る男の出現

健司は、20年近くも会っていない変わり果てた姿の元妻・玲子であることには、当然気づくはずもありません 。玲子もまた、その事実は固く胸の内に隠し、「篠塚と申します」と、用意していた偽名を名乗るのでした 。

玲子は、以前助けてもらった礼を述べますが、薬で意識が朦朧としていたため、記憶が曖昧だと伝えます 。健司は、玲子(篠塚)が「篠塚さんが住むマンションで優奈と一緒にいるのをお見かけしたので…」という言葉に、わずかに警戒の色を見せます 。

この時点では、二人の会話はまだ、互いの正体と目的を探り合うかのような、張り詰めた緊張感に満ちたものでした。

元夫・健司との再会と衝撃の告白

明日菜を優奈と信じる健司

会話が進む中で、健司はついに、玲子にとってあまりにも衝撃的な告白をします。「実をいうと篠塚さんの隣に住んでいる女性は私の娘なんです」 。彼は、優奈にそっくりな隣人・明日菜を、死んだはずの自分の娘・優奈だと、心の底から信じ込んでいたのです 。子供の頃に別れて以来、一度も会っていないはずの娘の顔を、なぜ彼が優奈だと確信しているのか。玲子の心に、新たな、そして深い疑問が浮かび上がります。

優奈の死の真相

健司の口から、さらに驚くべき事実が語られます。彼は、玲子から届いた手紙によって、「娘の優奈は事故で死んだ」と刑務所の中で知らされていたというのです 。しかし、出所後に偶然見かけた、娘と瓜二つの明日菜の姿が、その死の事実を覆し、彼女は生きていると固く確信してしまったのでした

「違う……」。玲子は、苦渋の表情を浮かべながら、心のなかで、健司の淡く、そしてあまりにも儚い希望を打ち砕きます。「優奈はもう死んでしまったのよ」 。

健司がテーブルの上の水滴を神経質に拭う癖、そしてコースターを使わずにグラスを置く、昔と何一つ変わらないその仕草から、目の前の男が紛れもなく元夫・健司本人であることを、改めて確信するのです 。

謎の襲撃者と健司の負傷

仕組まれた事故

玲子は、健司に優奈の死という残酷な現実を受け入れてもらうため、そして全ての真相を話してもらうため、彼を優奈の元夫・明彦の元へと車で連れて行く決断をします 。しかし、明彦が住むマンションの前で健司を降ろした、まさにその瞬間、予期せぬ悲劇が起こりました。どこからともなく現れた謎の屈強な男たちが、健司に無言で襲いかかったのです

健司は、数の暴力の前に為す術もなく、男たちに突き飛ばされ、マンションのコンクリートの階段から転落。手首を骨折し、頭から血を流すという重傷を負ってしまいます 。

これは、以前から明彦と圭太の周辺で起きていた、「無言電話」や「怪しい監視車両」といった不審な出来事と、決して無関係ではないはずでした 。健司を執拗に追っていたのは、一体何者なのか。その謎は、さらに深まるばかりです。

医師・成瀬との出会い

玲子は、元介護士として知識があるため、健司を病院に連れて行くと介入します。しかし、男たちに追われている危険な状況で、彼を公の病院に連れて行くことはできません。絶体絶命の状況の中、玲子は、かつて介護を担当していた瀬戸という老人が住んでいた、今は誰もいない空き家を思い出し、そこに健司を一時的に匿うことを決意します 。

そして彼女は、以前、介護の仕事をしている時に知った、腕利きの整形外科医・成瀬に、自らの素性がばれるリスクを承知の上で、緊急の往診を依頼します 。成瀬は、玲子のただならぬ様子を察しながらも、すぐにその空き家へと駆けつけ、医師として健司の手首の骨折を的確に治療するのでした 。

空き家での療養と健司の警告

語られる拒絶の言葉

治療を終えた医師の成瀬は、玲子と健司の不可解な関係を訝しみます。玲子の説明に一応は納得しますが、その鋭い視線に浮かぶ疑念は、完全には晴れていません 。

意識を取り戻した健司は、自分を献身的に助けてくれた見知らぬ美女、玲子に対し、意外にも突き放すような拒絶の言葉を口にします。「助けてもらったことは感謝してます」「けどもう俺には関わらないでほしい 放っといてください」 。

彼は、目の前の美しい女性が、変わり果てた姿の元妻・玲子であることには、まだ気づいておらず、これ以上無関係な人間を自らの危険に巻き込みたくないという、彼なりの優しさから出た言葉だったのかもしれません。

置き去りにされた謎

健司は、自分を執拗に追ってくる謎の男たちが何者なのか、そしてなぜ追われているのかという、事件の核心については、固く口を閉ざします 。彼は、明日菜が娘の優奈であるという、あまりにも強く、そして悲しい妄信から抜け出すことができず、玲子の「彼女は別人です あなたを怖がっています」という言葉を受け入れることができません

そして、玲子が彼の着替えや食料などを買いに、その場をわずかに離れている隙に、健司は一人、その隠れ家である空き家から、「ちょっと出てくる」という手紙を残し、再び忽然と姿を消してしまうのでした 。

玲子の前には、娘と瓜二つの女・明日菜の謎、元夫・健司が何者かに追われている理由の謎、そして彼を追う正体不明の組織の存在という、さらに深く、そして複雑に絡み合った、底知れない謎だけが、重く横たわることになったのです。

【娘の命を奪ったやつを殺すのは罪ですか】12話を読んだ感想(ネタバレあり)

第12話は、これまでの復讐劇とは一線を画す、非常に多くの謎と情報が詰め込まれた、物語の大きな転換点となる回でした。謎の隣人・明日菜の存在が、図らずも玲子とその元夫・健司という、決して交わるはずのなかった二人を引き合わせる、運命のトリガーとなった展開には、息を呑むしかありません。健司が、優奈と瓜二つの明日菜を、死んだはずの娘だと信じ込み、ストーカーと誤解されながらも、父親として彼女をただ遠くから見守ろうとしていたという事実は、彼の深い愛情と、長年の服役生活が奪い去ったもののあまりの大きさを感じさせ、あまりにも切なく、読んでいて胸が締め付けられました。

そして、健司を執拗に襲う謎の組織の存在。この新たな要素により、玲子の個人的な復讐劇の裏で、彼女の想像を遥かに超える、さらに巨大で、そして悪意に満ちた陰謀が動いていることが明確に示唆され、物語は単なるママ友間の復讐サスペンスから、より複雑なクライムサスペンスへとその様相を大きく変えました。玲子が、元妻であることをひた隠しにしながら、元夫である健司を必死に助けようとするシーンでは、かつての夫婦としての、簡単には消せない絆のようなものが垣間見え、この物語の根底に流れる、どこまでも悲しい人間ドラマを改めて感じさせられます。

健司が、全ての謎を抱えたまま、玲子の前から再び姿を消してしまったことで、物語はさらに混迷を極めていきます。玲子の復讐と、彼女自身の封印された過去が、これから一体どのように交錯していくのでしょうか。そして、健司がかつて玲子に警告した「危険な男」新堂とは、一体何者なのか。全ての謎が、その一点に収束していくかのような、強烈な緊迫感に満ちたラストでした。

【娘の命を奪ったやつを殺すのは罪ですか】12話のネタバレまとめ

  • 玲子は、復讐のために維持しているその完璧な美貌のため、定期的に美容整形クリニックに通い、メンテナンスを受けていることが描かれます 。
  • 玲子は、街中で偶然、元夫・健司とついに再会を果たしますが、健司は全身整形によって変わり果てた玲子の姿を、元妻であるとは気づきません 。
  • 健司は、玲子の隣人であり、亡き優奈と瓜二つの女性・明日菜を、死んだはずの自分の娘・優奈だと固く信じ込んでおり、ストーカーと誤解されながらも彼女を遠くから見守っていました 。
  • 玲子が健司に優奈の死の真実を告げ、彼を優奈の元夫・明彦に会わせようとした直後、謎の男たちが健司を襲撃し、彼は重傷を負ってしまいます 。
  • 玲子は、負傷した健司を、かつて介護を担当していた老人の空き家に匿い、医師を手配して治療しますが、健司は「もう俺には関わらないでほしい」と言い残し、再び玲子の前から姿を消してしまうのでした 。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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