【癒やしのお隣さんには秘密がある】21話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 蒼真の部屋で、藤子は5年前にまで遡る大量の自身の盗撮写真を発見してしまいました。
  • 日記やコレクションから、彼が異常な執着心を持つストーカーであることを確信します。
  • 癒やしだと思っていたお隣さんの恐ろしい秘密を知り、藤子は絶望の涙を流すのでした。

【癒しのお隣さんには秘密がある】第21話をネタバレありでわかりやすく解説する

藤子が真実を知り絶望に打ちひしがれる中、物語は再び、何も知らないストーカー・仁科蒼真の視点へと移ります。彼の歪んだ愛情の独白は、やがて訪れる破綻の瞬間へと、静かに、しかし確実に進んでいくのでした。

奇跡だった「お隣さん」という関係

蒼真にとって、藤子の隣の部屋が空いたことは、まさに奇跡でした。遠い存在だった彼女が、すぐ隣にいる。その事実だけで、彼の世界は輝いて見えました。

初めて挨拶を交わした日、初めて自分だけに向けられた笑顔、毎夜語り合う関係になれたこと。藤子が、誰にも見せなかったであろう胸の内を明かしてくれた時、彼の心臓は壊れるのではないかと思うほど嬉しかったのです。 (ベランダでの密会は藤子さんを知れる唯一の時間だったのだ) 会社の情報まで盗み聞きしたいわけではない、という彼の独白は、ベランダでの会話がいかに彼にとって特別で、神聖な時間であったかを物語っています。

ストーカーであることへの自覚と、止められない想い

彼は、自分の行いが正しいものではないと理解していました。 「極秘護衛」などと自分で勝手に名付けているだけで、その実態は**「ただ浅ましく卑しいストーカー」**であると、はっきりと自覚していたのです。

わかっているのに、やめられない。 藤子の声を盗み聴くことも、彼女が使った物を集めることも、盗撮することも、居場所を把握することも、尾行することも。彼女を知れば知るほど、その欲望は渦のように大きくなり、彼自身にも制御できなくなっていました。

(藤子さんの一日を全て知りたいそれだけで良かったはずなのに) 日に日に彼女への想いは純粋な愛情へと変わり、もっと知りたい、触れたい、そしてその唇に触れたい、という強い欲望へと変化していったのです。 「僕は藤子さんを心から好きになってしまった」 6年前のあの出会いから、彼の心には藤子しかいなかった。彼はそう確信していました。

「好きだ」と伝え、過去を終わらせる決意

昨夜のキスと、盗聴器から聞こえた「ダメやっぱり好き、凄い好き」という藤子の声。その二つが、蒼真の心を大きく動かします。 (求めたのは僕だけじゃなかった藤子さんもだ)

仕事中にもかかわらず、藤子のことばかり考えてしまう自分に「もう末期だ」と自嘲しながらも、彼は一つの大きな決意を固めます。

「僕はこの気持ちを抑えることができない、気持ちを受け打ち明けよう」 「今日あのベランダで、藤子さんに好きだと言おう、そしていい加減このストーカー行為をやめよう」

歪んだ形でしか繋がれなかった過去に別れを告げ、本当の関係を始める。その決意を胸に、彼は仕事を終え、愛しい人の待つアパートへと急ぐのでした。

破綻の予兆、開かれた秘密の扉

しかし、彼を待っていたのは、幸せな未来ではありませんでした。 自室のドアを開けた瞬間、目に飛び込んできた光景に、蒼真は凍りつきます。 ベランダの窓が開き、カーテンが風に揺れている。 机の上の日記が、開かれたままになっている。 棚の引き出しが、少しだけ開いている。

それは、彼の秘密の全てが暴かれたことを意味していました。 「まさか、まさか、まさか、藤子さんに見られた?」 彼の顔から血の気が引き、幸福の絶頂から一転、絶望の淵へと突き落とされます。

絶望のノックと、消えた藤子

蒼真はパニックになり、藤子の部屋のドアを叩きます。 「藤子さん!」 部屋には明かりがついているのに、返事はない。 「ドンドン!」と、さらに強くドアを叩きますが、中は静まり返ったまま。

やがて彼は、ドアにすがるように寄りかかり、崩れ落ちます。 「藤子さん…藤子さん…」 震える声で、ただ愛しい人の名前を何度も、何度も繰り返し呼ぶことしかできないのでした。

【癒しのお隣さんには秘密がある】21話を読んだ感想(ネタバレあり)

今回は、蒼真の歪んだ純愛が、ついに破綻を迎える瞬間が描かれ、読んでいて胸が苦しくなりました。彼が自身の行為を「ストーカー」だと完全に自覚していたことには、正直驚きました。その上で、「好きだからやめよう」と決意した矢先に、全てがバレてしまう。このあまりにも皮肉で、悲劇的な展開は、脚本の妙としか言いようがありません。

彼の愛情が、根っこの部分では純粋なものであったことが、今回の独白で明らかになりました。しかし、その表現方法が、あまりにも間違っていた。6年という長い年月、彼はその間違いを正すことができず、歪んだ形でしか彼女を愛せなかったのですね。その不器用さと愚かさが、哀れでなりませんでした。

ラスト、ドアにすがりつき、か細い声で藤子の名前を呼ぶ蒼真の姿は、これまでの完璧な彼のイメージを完全に覆すものでした。全てを失った彼の絶望が、ひしひしと伝わってきて、悪人だと分かっていながらも、少しだけ同情してしまいそうになるほどでした。

藤子は一体どこへ消えてしまったのでしょうか。そして、秘密を知られた蒼真は、これからどうなってしまうのか。物語は、最も甘いラブストーリーから、最も救いのない悲劇へと舵を切りました。二人の未来に、一筋の光は差すのでしょうか。

【癒しのお隣さんには秘密がある】21話のネタバレまとめ

  • 蒼真視点で、彼がストーカー行為に手を染めながらも、藤子への純粋な愛情を深めていった経緯が語られる。
  • 蒼真は自身の行為を「ストーカー」だと自覚しており、藤子に告白すると同時に、その行為をやめようと決意する。
  • しかし、帰宅した蒼真は、自室の様子から、藤子に全ての秘密を知られてしまったことを悟る。
  • パニックになった蒼真は藤子の部屋を訪ねるが、明かりがついているにもかかわらず返事がなく、絶望の中で彼女の名前を呼び続ける。

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ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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