【癒やしのお隣さんには秘密がある】20話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 蒼真の部屋で、藤子は5年前にまで遡る大量の自身の盗撮写真を発見してしまいました。
  • 机の上にあった日記には、藤子への異常な執着心と、彼女の個人情報まで把握していることが記されていました。
  • 棚の引き出しからは、藤子が使ったスプーンや髪の毛、盗んだ下着などが、丁寧に保管されているのが見つかります。
  • 全ての証拠を目の当たりにし、藤子は蒼真が自分のストーカーだったという残酷な真実を受け入れ、絶望の涙を流すのでした。

【癒しのお隣さんには秘密がある】第20話をネタバレありでわかりやすく解説する

藤子が絶望の淵に突き落とされた、まさにその時。当の本人である仁科蒼真は、何も知らずに幸福の絶頂にいました。今回は、初めて明かされる彼の視点から、物語の深層に隠された恐ろしい秘密が語られます。

幸せの絶頂にいるストーカー

土曜日のオフィス。休日出勤をこなしながらも、蒼真の頭の中は一人の女性のことで埋め尽くされていました。 (藤子さんが、あの藤子さんが、藤子さんが僕を…) 昨夜、藤子の部屋で交わした甘いキス。そして、布団の中で彼女が呟いた「ダメやっぱり好き、凄い好き」という言葉。部屋に仕掛けた盗聴器は、彼の心を幸福で満たす甘い囁きを、一言一句逃さず届けてくれていたのです。

「課長、課長?」 部下に呼ばれ、ハッと我に返る蒼真。彼は完璧な笑顔で応対し、資料の間違いを的確に指摘します。その優秀な仕事ぶりの裏で、彼の心はここにはありませんでした。 (本当なら自宅で藤子さんが奏でる、生活音や独り言を聞きながら、至福の境地に浸かっているはずなのに) (藤子さんに会いたい、早く帰りたい) 恋に焦がれる純粋な青年のように見えますが、その思考の根底にあるのは、監視と支配の欲望でした。

癒やしの源泉は「極秘フォルダ」

仕事に集中できない自分を律しようと、蒼真はスマホを手に取ります。彼が求める「癒やし」は、そこにありました。 パスワード**「0502」**—もちろん、藤子の誕生日です。 入力すると、鍵のかかった極秘写真フォルダが開かれます。そこにあるのは、彼が撮りためた、数えきれないほどの藤子の写真。

最近のお気に入りを見つめ、蒼真は思わず笑みをこぼします。 (この姿の何と可愛らしいことか) (藤子さんもこんなに頑張っているんだから、僕も頑張らないと) 彼の思考回路では、盗撮はもはや、自らを奮い立たせるための崇高な儀式と化していました。 そして、彼は当たり前のように、スマホの位置情報アプリを起動します。画面には、藤子の現在地が示されていました。自宅から動いていないことを確認し、彼は安堵の表情を浮かべるのでした。

6年前の「運命」と「極秘護衛」という名の犯罪

蒼真の脳裏に、先日藤子がチンピラに絡まれた時の光景が蘇ります。 (もし僕が気付かなかったら…どんな手を使ってでも社会的に抹殺してやる) 彼の藤子への想いは、純粋な愛情を通り越し、危険な領域へと踏み込んでいました。

彼がここまで歪んでしまったのには、理由があります。社長である親のコネで課長に昇進し、周囲からの嫉妬と、自分自身への不甲斐なさに、彼の精神は常にすり減らされていました。 そんな彼が精神を保ち続けられたのは、たった一つの存在のおかげでした。

(彼女がいなかったら僕は生きていない)

蒼真と藤子の出会いは、6年前に遡ります。彼が人生に絶望し、崩壊しかけていた、まさにその時。藤子は、彼の命の恩人となったのです。 その「運命の出会い」から、蒼真の人生は一変しました。彼は、自らのストーカー行為を**「藤子さんの極秘護衛」**と名付け、それを生きがいにし始めたのです。

『藤子さんが退勤するとともに彼女の後を追い、カメラで写真を撮り、無事帰宅するまで遠くから見守る』 『自宅待機中は藤子さんの家にある盗聴器から様子を確認』 (やりがいがある仕事だ。本業なんか止めて、極秘護衛に専念できたらいいのに)

彼の独白は、もはや常軌を逸していました。そして、そんな彼の歪んだ日常に、大きな変化が訪れたのは、半年前のことだったのです。

【癒しのお隣さんには秘密がある】20話を読んだ感想(ネタバレあり)

今回は、ついに明かされた蒼真視点ということで、彼の狂気が余すところなく描かれており、息をするのも忘れるほどの衝撃でした。彼の行動原理が、藤子への「感謝」と「愛情」に基づいているという事実が、何よりも恐ろしいです。彼の中では、盗撮も盗聴も、全てが彼女を守るための「極秘護衛」として完全に正当化されているのですね。

特に、藤子が布団の中で呟いた「好き」という言葉を盗聴器で聞き、仕事中にニヤニヤしているシーンは、彼の異常性を象徴していました。藤子にとっては人生で最もピュアな告白が、彼にとってはコレクションの一つに過ぎない。この残酷なすれ違いに、胸が締め付けられます。

そして、ついに確定しましたね。「6年前の出会い」。これは、13話で藤子が語った「ビルの屋上で自殺しようとした青年を助けた話」と、間違いなく繋がっています。あの時の小太りで眼鏡をかけた青年が、仁科蒼真だったのです。命を救われた恩を、5年にも及ぶストーキングで返す。その思考回路は、理解を超えています。

藤子が真実を知って絶望している一方で、蒼真はキスができたことで幸福の絶頂にいる。この地獄のような温度差が、今後の展開をさらに恐ろしいものにすることは間違いありません。これはもはや、恋愛漫画の皮を被った、極上のサイコサスペンスです。

【癒しのお隣さんには秘密がある】20話のネタバレまとめ

  • 今回は蒼真視点で物語が進行。彼は会社で、藤子とのキスや盗聴器で聞いた彼女の独り言を思い出し、幸福に浸っていた。
  • 仕事の合間に、藤子の誕生日をパスワードにした極秘フォルダの盗撮写真を見たり、位置情報を確認したりするのが彼の日常だった。
  • 蒼真は、6年前に藤子に命を救われたことを「運命の出会い」と語る。
  • それ以来、彼はストーカー行為を「極秘護衛」と称し、盗撮や盗聴を繰り返すことが生きがいとなっていたことが、彼の独白によって明らかになる。

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ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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