【癒やしのお隣さんには秘密がある】23話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 蒼真の呼びかけに対し、藤子はチェーンをかけたままドアを開け、彼への恐怖と嫌悪をあらわにしました。
  • 蒼真は自分がストーカーであると認めつつも、「純粋に想っているだけ」「両想いだから問題ない」と歪んだ論理を主張します。
  • 最後に彼は、藤子が布団の中で「好き」と呟いていたことを、盗聴していた事実を突きつけ、藤子を絶望の淵に突き落としました。

【癒しのお隣さんには秘密がある】第23話をネタバレありでわかりやすく解説する

お隣のストーカー・仁科蒼真から、盗聴という更なる罪を突きつけられた藤子。彼女の日常は、静かに、しかし確実に崩壊の一途を辿り始めます。恐怖と絶望の中で、彼女は一筋の光を見出すことができるのでしょうか。

閉ざされた扉と、歪んだ喜び

「言ってません!」 盗聴の事実を突きつけられた藤子は、怒りと恐怖に震えながらその言葉を否定します。そして、ドアの隙間に差し込まれていた蒼真の靴を力一杯踏みつけ、その隙にバタン!と力強くドアを閉めました。拒絶の意思表示として、彼女にできる精一杯の抵抗でした。

しかし、ドアの向こう側で、蒼真は痛みを感じながらも、恍惚の表情を浮かべていました。 (靴は洗わないでおこう) 踏みつけられたことさえも、愛しい人からの贈り物だと感じてしまう彼の思考は、もはや完全に常軌を逸していたのです。

心ここに在らずの藤子と、優しい嘘

翌日、会社に出社したものの、藤子の心はここにはありませんでした。パソコンのモニターを前に、ただぼんやりと虚空を見つめるばかり。 「先輩?せーんぱい」 隣の席の田辺が心配そうに何度も声をかけ、藤子はハッと我に返ります。 「何かあったんですか?朝から先輩ずっと、ボーッとしていたんで」

真実を話せるはずもなく、藤子は咄嗟に嘘をつきました。 「あれがきちゃったからかな~!」 生理痛のせいだと笑って誤魔化す藤子に、田辺は「お疲れ様です、1週間頑張って下さいね!」と優しい言葉をかけます。その優しさが、今の藤子には痛いほど突き刺さるのでした。 (私の隣にストーカーが住んでいるのは、生理並みに重い案件だ!) 心の中で自嘲しながら、藤子は再び見えない敵との戦いに神経をすり減らします。

盗聴の恐怖と、通報をためらう心

あの日以来、蒼真からの接触は止むことがありませんでした。ドアのノック、鳴り響く電話、ポストに投函される手紙。藤子はそれら全てを無視し、ゴミ箱に捨てることで、かろうじて日常を保っていました。しかし、隣の部屋から聞こえる物音、感じる気配。その一つ一つが、彼女の心を恐怖と不快感で蝕んでいきます。

スマホを手に取り、警察に通報しようと何度も思いました。しかし、その度に、泣きそうな顔で「警察だけは止めて下さい」と懇願していた蒼真の姿が脳裏をよぎり、指が止まってしまうのです。 (なんで私は同情してしまうんだろう…) 自分の甘さに、藤子は嫌気がさしていました。

好きになった人が、まさかのストーカー。一気に冷めたはずの恋心。しかし、最後に見た彼の涙を思い出してしまう。そして、藤子の頭に、あの時の最大の疑問が蘇ります。 (自分の家で呟いた独り言なのに、どうして知ってるの?) 壁が薄いとはいえ、あの小さな声が聞こえるはずがない。その考えに至った瞬間、藤子の背筋を悪寒が走りました。 (もしかしたら…盗聴?)

絶望の中に見つけた、一筋の光

盗撮されていたのだから、盗聴されていても不思議ではない。スマホで盗聴器の種類を検索すると、コンセント、時計、ボールペン…日常に潜む無数の罠の存在を知り、藤子はさらに恐怖のどん底へと突き落とされます。

今度こそ通報を、と思う藤子。しかし、またしても彼の悲しい顔が、彼女の行動にブレーキをかけます。深いため息をついた、まさにその時でした。 藤子の視線の先に、ドーナツを片手にのんきな表情で歩く、先輩・坂本の姿が映ります。 (坂本さんは平和そうでいいなぁ…) そう思った瞬間、藤子の脳内に、まるで稲妻のような閃きが走りました。

(そうだった…坂本さんって、家電屋さんの息子だったはず!)

絶望の闇の中で、藤子はか細い、しかし確かな一筋の光を見つけ出したのです。彼女は席を勢いよく立ち上がると、救いを求めるように、ただじっと坂本を見つめるのでした。

【癒しのお隣さんには秘密がある】23話を読んだ感想(ネタバレあり)

今回は、ストーカー被害に遭う人間のリアルな心理が、痛いほど伝わってくる回でした。恐怖を感じながらも、すぐには警察に通報できない藤子の葛藤。それは、かつて抱いた恋心や、相手に見せてしまった同情、そして何より「まさか自分が」という混乱が入り混じった、非常に現実的な描写だと感じます。

蒼真が、踏まれた靴を「洗わないでおこう」と喜ぶシーンは、彼の異常性を端的に表していて、鳥肌が立ちました。藤子からのどんなアクションも、彼にとっては全てが「愛情表現」としてインプットされてしまうのですね。この認識のズレが、ストーカーという存在の最も恐ろしい部分なのだと、改めて思い知らされました。

そして、物語が大きく動くきっかけとなった「盗聴」の疑惑。盗撮だけでも恐ろしいのに、自分のプライベートな空間での独り言まで聞かれているかもしれないという恐怖は、想像を絶します。藤子が、じわじわと、しかし確実に追い詰められていく様子は、読んでいて本当に胸が苦しくなりました。

そんな絶望的な状況で、希望の光として現れたのが、まさかの坂本先輩!「家電屋さんの息子」という、これまで何気なく提示されていた設定が、ここで最大の武器になるなんて、脚本が見事すぎます。彼は、藤子をこの地獄から救い出すヒーローになれるのでしょうか。物語は、新たな局面へと突入しました。

【癒しのお隣さんには秘密がある】23話のネタバレまとめ

  • 藤子は蒼真を拒絶しドアを閉めるが、彼は踏まれたことさえ喜びに感じていた。
  • 翌日、藤子は会社で上の空。蒼真からの接触が続く恐怖の日常を、同僚には嘘をついて隠していた。
  • 警察への通報をためらう中、藤子は自分の独り言を蒼真が知っていたことから、「盗聴」の可能性に気づき、さらなる恐怖に襲われる。
  • 絶望の中、藤子は先輩の坂本が「家電屋さんの息子」であることを思い出し、彼に助けを求めることを決意する。

◁前の記事はこちらから

あわせて読みたい
【癒やしのお隣さんには秘密がある】22話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説
【癒やしのお隣さんには秘密がある】22話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

▷次の記事はこちらから

あわせて読みたい
【癒やしのお隣さんには秘密がある】24話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説
【癒やしのお隣さんには秘密がある】24話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
記事URLをコピーしました