【癒やしのお隣さんには秘密がある】30話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 蒼真のストーカーの動機は、6年前に藤子がビルの屋上で彼の自殺を止めたことへの感謝だったことが判明しました。
  • 蒼真は、藤子の好みのタイプになるため1年かけて肉体改造したことや、その過程もストーキングによって心の支えとしていたことを明かします。
  • 藤子は警察に通報しない代わりに、二度とストーカー行為をしないことを蒼真に「天地神明に誓って」約束させました。
  • しかし、誓いの直後にもかかわらず、蒼真は全く懲りていない変態的な本性を見せるのでした。

【癒しのお隣さんには秘密がある】第30話をネタバレありでわかりやすく解説する

ストーカー行為をやめると誓った仁科蒼真。しかし、その歪んだ愛情の証拠は、まだ彼の部屋に大量に残されたままでした。ここから始まるのは、あまりにも奇妙で、そして悲しい「証拠品」の回収作業です。

信じることを選んだ藤子

「誓うようお願いした」—警察に通報しないという選択。それは、蒼真がストーカーを始めた動機や経緯を聞いても、変わらない藤子の決意でした。 あの日、彼が「死ななくて良かった」と思ってくれたことを知り、藤子の心は純粋に嬉しかったのです。

五年間もストーカーをしていた男の誓いなど、普通なら信じられるはずがありません。 それでも藤子は、「この人はもうしないだろう」と、根拠もなく信じることを選びました。 それは、彼女自身が認める通り、「救いようのないお人好し」なのかもしれません。

こうして、藤子の部屋での取り調べは終わり、舞台は蒼真の部屋へ。ストーカーグッズと化した藤子の私物や写真を回収するため、三人は移動するのでした。

アルバムに収められた、盗撮の記録

蒼真の部屋で、坂本がクローゼットを開けると、そこにはびっしりと詰め込まれた大量のフォトアルバムがありました。 「な・・・なんだよ これ・・・」 坂本がアルバムを手に取ると、蒼真は静かに「藤子さんの写真です」と告げます。 アルバムの背表紙には「20XX年」と几帳面に年号が記されており、その執拗さに坂本は「あー気持ち悪いな」と顔を歪めるのでした。

「やっぱり捨てるんですか?全部?」 アルバムをゴミ袋に入れようとする坂本に、蒼真は悲しそうな表情で問いかけます。 「どの藤子さんも最高に天使のような妖精のような可愛さなのに?」 その言葉に、坂本は「天使だろうが妖精だろうが盗撮なんだから捨てるんだよ」と、アルバムを容赦なくゴミ袋へと突っ込んでいくのでした。

捨てられない「思い出」

ゴミ袋に詰められていく、自分の知らない自分の日常。藤子は、その一つ一つを呆然と眺めていました。三年前、二年前、去年、そしてつい最近のものまで。 これほどまでに長期間、自分の人生が盗撮されていたという事実に、彼女は改めて恐怖を感じます。

しかし、その恐怖と同時に、藤子の心には奇妙な感情が芽生え始めていました。 もともと自分の写真が少なく、両親にさえほとんど撮ってもらったことがなかった藤子。 だからなのか、盗撮とは言え、こうして自分の日常が記録として残っているのを見て、どこか「勿体ない」という気持ちが湧き上がってきたのです。

「捨てるの、やめましょう」

その感情は、やがてはっきりとした言葉になります。

「あの」「捨てるの やめましょう」

突然の藤子の言葉に、坂本も蒼真も驚きを隠せません。 「はあ?」と問い返す坂本に、藤子は「折角なので 写真を選別して 気に入らないのだけ捨てます」と、信じられない提案をします。 「お前これ盗撮だぞ…?」 坂本が呆れてそう言うと、藤子は涙を浮かべながら訴えました。 「わかってます けど…」「日常を撮ってもらう機会ってありませんし…」

その言葉に、坂本は深くため息をつきます。 「・・・・・・・・・蓬田がいいなら 俺は構わないけどさ」 藤子のあまりのお人好しさに、彼はもはや何も言うことができないのでした。

【癒しのお隣さんには秘密がある】30話を読んだ感想(ネタバレあり)

今回は、恐怖と悲しみを通り越して、もはや一種のコメディを見ているかのような、非常に奇妙な読後感の回でした。ストーカー被害者が、加害者と一緒に楽しそう(?)に盗撮写真の選別を始めるなんて、前代未聞の展開です。

蒼真の「天使のような妖精のような」というポエムには、坂本先輩でなくても「気持ち悪い」とツッコミを入れたくなりますね。しかし、彼にとっては本心からそう思っているというのが、彼の純粋さと異常さを見事に表しています。

そして、今回の主役は間違いなく藤子でしょう。自分の写真が少ないからという理由で、盗撮写真を「勿体ない」と感じてしまう。この感覚、分からなくもないのが、この物語の恐ろしいところです。彼女の行動は、ストックホルム症候群の一種なのでしょうか。それとも、ただの「救いようのないお人好し」なのか。彼女の心理は、あまりにも複雑で、一言では言い表せません。

「蓬田がいいなら俺は構わないけどさ」という坂本先輩のセリフは、彼の優しさと、もはやこの状況をどうすることもできないという諦めが入り混じった、最高のツッコミだったと思います。常識人の坂本先輩がいるからこそ、この物語の異常さが際立ちますね。この奇妙な三角関係は、一体どこへ向かうのでしょうか。

【癒しのお隣さんには秘密がある】30話のネタバレまとめ

  • 藤子は警察に通報せず、蒼真を信じることを選択。坂本立ち会いのもと、蒼真の部屋でストーカーの証拠品を回収することになった。
  • 部屋からは大量の盗撮写真アルバムが見つかり、坂本が処分しようとするが、蒼真は「天使のような写真なのに」と抵抗する。
  • 自分の写真が少ない藤子は、盗撮された自身の日常の写真を見て、「勿体ない」という奇妙な感情を抱き始める。
  • ついに藤子は「捨てるのをやめましょう」と提案。気に入らない写真だけを選別して捨てると言い出し、坂本を呆れさせる。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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