【癒やしのお隣さんには秘密がある】33話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 蒼真の部屋から発生した騒音問題で、藤子は他の住人から注意するよう頼まれてしまいました。
  • 蒼真と顔を合わせたくない藤子でしたが、お人好しな性格からその頼みを引き受けてしまいます。
  • どうすべきか葛藤する中、藤子は蒼真から回収した「護衛日記」を自らの意思で開き、そこに記された5年前の自分の過去と向き合い始めました。

【癒しのお隣さんには秘密がある】第33話をネタバレありでわかりやすく解説する

ストーカー・仁科蒼真が残した『護衛日記』。そこに綴られていたのは、狂気的な執着だけではありませんでした。藤子は、その歪んだ記録の中に、かつて自分が求めていた「癒やし」の残像を見出し、恐怖と懐かしさの狭間で心を揺らします。

癒やしと恐怖の狭間で揺れる心

『護衛日記』を読み進める藤子。そこには、彼女のためにストレスボールを買った日のことや、雑誌の写真を褒めてくれたことへの純粋な喜びが、ポエムのように綴られていました。 (これ 書いた人が 隣で暮らしてると思うと…) ストーカーが隣にいるという恐怖。 しかし、その一方で、藤子の心には全く別の感情が芽生えていました。

(懐かしくて 仁科さんが…会いたいと 思ってしまう)

あんなに恐ろしい出来事があったのに、どうしてか彼を懐かしく思ってしまう。 この矛盾した感情に、藤子自身も混乱します。 (ていうか ストーカーに会いたい 被害者とか 有り得ないでしょ!!) そう、会えばあの不快感を思い出すだけだ。 だから、会わないのが一番いい選択なのだ。 そう自分に強く言い聞かせるのでした。

消えた騒音と、消えない心の澱

不思議なことに、あれほどアパート中に響き渡っていた騒音は、ぱったりと止んでいました。 ベランダの引き戸を開ける音さえ、もう聞こえません。 住人の鈴木さんからはお礼を言われましたが、藤子は何もしていませんでした。

しかし、物理的な音が消えても、藤子の心の澱は消えるどころか、日に日に深く沈んでいきます。会社では、先輩の坂本がその変化に気づいていました。

「お前… 日に日に 生気無くなってるけど 大丈夫か?」

「仁科さんと なんかあった?」 心配して声をかける坂本に、藤子は「何もありません」 と、心を閉ざしてしまいます。 彼女の刺々しい態度と悪化する一方の肌荒れに、坂本も苛立ちを隠せません。 精神的に不安定な藤子は、仕事でもミスを連発。 先輩から厳しく叱責され、心身ともに疲弊していくのでした。

予期せぬ再会と、見知らぬ女性の影

その日の夕方、藤子は頼まれたお菓子を買いに、一人街を歩いていました。 人混みの中で、彼女はふと、見慣れた後ろ姿に足を止めます。 (仁科さんだ!)

会わないと決めていたのに、予期せず再会してしまった。彼の姿は変わらないように見えましたが、よく見るとどこか疲れているようにも感じられます。 その時、藤子は信じられない光景を目にします。一人の美しい女性が、親しげに蒼真に駆け寄り、彼の腕に自らの腕を絡ませたのです。

「会わない」と決めたはずなのに…

二人は楽しそうに何かを話しています。 女性が「課長!」と呼んでいたことから、会社の部下なのだろうと藤子は推測します。 会社に親しい部下がいても、何も不思議ではない。 私にだって、田辺さんや坂本さんがいる。

そう頭では理解しようとしても、藤子の心は大きく揺さぶられていました。 (そもそも会わないって 決めたんだから 私には 関係ないはずなのに) (どうして こんなに ショックなの…) 自分が会わないと突き放したから、彼は自分に興味を失ってしまったのだろうか。 ストーカーだとあれほど恐怖を感じた相手の、自分以外の人間との親密な姿。その光景は、藤子の胸に、嫉妬とも後悔ともつかない、苦い感情を残すのでした。

【癒しのお隣さんには秘密がある】33話を読んだ感想(ネタバレあり)

今回は、ストーカー被害者の心理描写の解像度があまりにも高く、読んでいて鳥肌が立ちました。恐怖の対象であるはずのストーカーに、「会いたい」という懐かしさや未練のような感情を抱いてしまう。この一見矛盾した心理は、ストックホルム症候群にも似た、非常にリアルな心の動きなのだと感じます。藤子が特別なわけではなく、誰にでも起こりうることなのだと、改めて考えさせられました。

そして、そんな複雑な心境の中での、蒼真と謎の美女との遭遇シーン。これは藤子にとって、あまりにも残酷な追い打ちでしたね。「会わない」と決めたのは自分なのに、彼が他の誰かと親密にしているのを見るとショックを受けてしまう。この身勝手とも言える感情こそが、彼女の中にまだ蒼真への特別な想いが残っている何よりの証拠でしょう。

一方で、坂本先輩の不器用な優しさが、本当に切ないです。心配しているのに、藤子が心を閉ざしてしまう。一番の味方であるはずの彼にさえ、真実を話せない藤子の孤独が伝わってきて、胸が苦しくなりました。

騒音を立てるのをやめ、静かに生活しているように見える蒼真。彼は本当に改心したのでしょうか。それとも、これは新たな作戦の一環なのか。そして、彼に寄り添うあの美女は一体誰なのか。物語は、藤子の心の迷いと共に、新たな謎を提示してきました。

【癒しのお隣さんには秘密がある】33話のネタバレまとめ

  • 藤子は『護衛日記』を読み、蒼真への恐怖を感じながらも、「会いたい」という相反する気持ちで葛藤していた。
  • 蒼真の部屋からの騒音は止んだが、藤子の精神状態は悪化の一途を辿り、心配する坂本にも心を閉ざしてしまう。
  • 仕事帰りに、藤子は偶然蒼真の姿を見かけ、彼が見知らぬ美しい女性と腕を組んで親しげに話しているのを目撃してしまう。
  • 会わないと決めたはずなのに、その光景に藤子は大きなショックを受け、自分の気持ちを整理できずに苦しむ。

◁前の記事はこちらから

あわせて読みたい
【癒やしのお隣さんには秘密がある】32話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説
【癒やしのお隣さんには秘密がある】32話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

▷次の記事はこちらから

あわせて読みたい
【癒やしのお隣さんには秘密がある】35話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説
【癒やしのお隣さんには秘密がある】35話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
記事URLをコピーしました