復讐モノ

【未来は私の言う通り 復讐の占い師】9話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 友梨佳は、美都を信じて母親を呪うことを正式に依頼する
  • 友梨佳の話を聞いた美都は、自身が父親から虐待を受けていた過去を思い出す
  • 美都は、友梨佳に同情し、「学生割引」として500円で呪いを請け負う
  • 呪いの結果、母親は死ぬという衝撃の事実を告げられ、恐怖を感じた友梨佳は呪いをキャンセルした

【未来は私の言う通り復讐の占い師】第9話をネタバレありでわかりやすく解説する

前回、自らの意思で呪いをキャンセルした友梨佳。彼女が去った後、占い屋「はちかけ」に残された美都の心は、封印していたはずの過去へと引き戻されていきます。第9話は、これまで謎に包まれてきた美都と妹・亜子の、あまりにも壮絶な過去を描く回想編の始まりです。

友梨佳の決断と、過去への扉

友梨佳は、何度も「すいません!」と頭を下げながら、店を後にして行きます。美都は「気にしないでいいから」と優しく見送りますが、一人になった瞬間、その瞳から光が消え、深い闇が広がります。

「ただいま」

その一言は、現在の誰かに向けられたものではありません。それは、友梨佳の姿に自分を重ねた美都が、忌まわしい記憶が渦巻く、かつての「我が家」へと精神的に帰っていく合図でした。物語の舞台は、ここから現在を離れ、美都がまだ17歳の高校生だった頃へと遡ります。

17歳の美都と亜子、地獄の中のささやかな幸せ

姉の帰り

制服姿の若き日の美都が、アルバイトを終えて家に帰ってきます。彼女を出迎えたのは、まだ足が自由で、屈託のない笑顔を浮かべる妹の亜子でした。

「お姉ちゃん!おかえり」「今日はすごいの もらったよ〜」

美都が手にしていたのは、アルバイト先で廃棄になったフライドチキンとおにぎり。二人にとって、それは何よりのご馳走でした。

「クリスマスだから仕入れすぎたんだって」「ラッキーだね」 「あいつら帰ってくる前に早く食べよう」

「あいつら」という言葉と、急いで食べようとする様子から、この家に潜む不穏な影と、姉妹が常に何かに怯えて暮らしていることがうかがえます。それでも、二人だけの食卓は、この地獄のような家の中で唯一、温かい光が灯る瞬間でした。

帰宅した”悪魔”、地獄の食卓

姉妹のささやかな幸せは、玄関のドアが開く音と共に、いとも簡単に打ち砕かれます。帰ってきたのは、鬼の形相をした父親でした。

理不尽な暴力

「テメエ!」 「父親よりも先に飯を食うとは何事だ!」

父親は、帰宅するなり娘たちに怒声を浴びせ、美都に掴みかかります。母親は悪びれる様子もなく、「今日はパチンコ負けてイライラしてんだよ」「空気読め」と、暴力を容認する言葉を吐き捨てるのです。

「あの頃 私たちは地獄の底にいた」という美都のモノローグが、この家庭が日常的に暴力と恐怖に支配されていたことを物語っています。

父親の暴力はさらにエスカレートします。姉妹が大切に食べていたチキンを床に叩きつけ、「何だこれ 干からびたチキン?」と嘲笑うと、美都の髪を掴み上げます。

「もっといい物持ってこいよ」

その獣のような目に、美都は恐怖で凍りつきます。「お姉ちゃん!」と叫ぶ亜子の悲鳴も、父親の怒りの前では無力でした。

唯一の希望、脱出のための200万円

父親の暴力が過ぎ去った後、姉妹は自室のベッドで身を寄せ合っていました。父親は床に散らばったチキンを貪り食っています。その惨状を前に、美都は静かに、しかし強く決意を固めるのです。

「私が高校卒業したら絶対に家を出ようね」

それは、この地獄から抜け出すための、妹との固い約束でした。そのための資金として、二人は秘密裏にお金を貯めていたのです。

「いくらぐらい貯まった?」 「うーん 200万はあるね」

200万円。高校生の少女たちが必死の思いで貯めたそのお金は、二人にとって未来を照らす唯一の希望の光でした。

しかし、この希望に満ちた会話を、ベッドの中で亜子が静かに聞いているところで、第9話は幕を閉じます。彼女は本当に眠っているのか、それとも…。不穏な余韻を残すその表情が、次なる悲劇を予感させます。

【未来は私の言う通り復讐の占い師】9話を読んだ感想(ネタバレあり)

第9話は、美都の過去が想像以上に過酷で、読んでいて言葉を失いました。廃棄のチキンを心から喜ぶ姉妹の健気な姿と、それを踏みにじる両親の身勝手な暴力の対比が、あまりにも残酷です。「パチンコに負けたから」という理由だけで、娘に暴力を振るう父親。それを止めもせず、「罰だな」と笑う母親。二人とも、親である以前に人間として終わっています。

「私たちは地獄の底にいた」という言葉が、決して大袈裟ではないことが痛いほど伝わってきました。こんな環境で育てば、心が歪んでしまうのも当然です。むしろ、妹を守ろうと必死に耐え、脱出計画を立てる美都の精神力の強さに驚かされます。

そして、希望の光として提示された「200万円」。このお金が、二人を必ず幸せな未来へ導いてくれるはず…そう信じたいのに、最後の亜子の意味深な表情が、その希望に暗い影を落とします。彼女は一体何を考えているのでしょうか。もしかして、この脱出計画が、さらなる悲劇の引き金になってしまうのではないか。そんな嫌な予感が頭から離れません。

友梨佳の物語をきっかけに始まった、美都の壮絶な過去編。物語の根幹に関わるであろうこのエピソードから、ますます目が離せなくなりました。

【未来は私の言う通り復讐の占い師】9話のネタバレまとめ

  • 友梨佳が去った後、美都は自らの過去を回想し始める
  • 17歳の頃、美都は妹の亜子と共に、両親から日常的な虐待を受けていた
  • 二人は、アルバイト先で貰った廃棄のチキンで、ささやかな幸せを感じていた
  • そこへパチンコで負けて不機嫌な父親が帰宅し、理不尽な暴力を振るう
  • 美都は、高校を卒業したら家を出ることを亜子と誓い合う
  • 脱出資金として、二人が秘密で200万円を貯めていることが明らかになった

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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