復讐モノ

【未来は私の言う通り 復讐の占い師】10話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 美都は自らの過去を回想し始め、17歳の頃、妹の亜子と共に両親から日常的な虐待を受けていたことが明らかになった
  • 姉妹は、アルバイト先の廃棄品であるチキンやおにぎりで、ささやかな幸せを分かち合っていた
  • そこへパチンコで負けて不機嫌な父親が帰宅し、理不尽な暴力を振るい、姉妹の食事を台無しにした
  • 美都は、この地獄のような家から抜け出すため、高校卒業後に家を出ることを亜子と固く誓い合った
  • 二人はそのための脱出資金として、秘密裏に200万円という大金を貯めていた

【未来は私の言う通り復讐の占い師】第10話をネタバレありでわかりやすく解説する

前回、美都と亜子が地獄のような家から脱出するための希望として、200万円を貯めていることが明らかになりました。しかし、その希望に満ちた会話は、最悪の形で裏切られることになります。第10話は、姉妹の唯一の希望が奪われ、二人が絶望の淵へと突き落とされる、あまりにも痛ましいエピソードです。

聞かれていた脱出計画

「私が高校卒業したら絶対に家を出ようね」「うん!」

姉妹が固い約束を交わしていたその時、眠っているふりをしていた父親が、その会話を全て聞いていました。翌朝、姉妹が目を覚ますと、家の中は荒らされ、両親が血眼になって何かを探し回っています。

「何してんの」

美都の問いに、父親は下卑た笑みを浮かべて答えます。

「さっきお前らが貯金の話してたのを聞いたんだよ」 「私らが使ってやるから出しな」

最悪の事態でした。二人にとって未来そのものであったはずの脱出計画が、最も知られてはならない相手に知られてしまったのです。

暴力と脅迫、奪われる希望

当然、美都は抵抗します。「出せるわけないでしょ……」「あれは私と亜子が貯めた大事なお金なんだ……」 。しかし、その訴えは、鬼と化した父親には届きません。

命をかけた抵抗

父親は美都の髪を掴み、暴力を振るい始めます。それでもお金のありかを言わない美都に対し、ついに父親は彼女の首に手をかけ、力いっぱい締め上げました。

「じゃあ死ね!」 「死んでからゆっくりと探す」 「香典も全部もらってやるからよ」

意識が遠のき、本気で殺されると悟った美都。その時、姉の危機を目の当たりにした亜子が、恐怖に震えながら叫びました。

妹の苦渋の決断

「お父さん!やめて!」

そして、姉の命を救うため、亜子は泣きながら全てを白状してしまいます。

「台所の床下…」 「暗証番号は私の誕生日…」

その言葉を聞いた父親は、満足げに美都から手を離します。「いい子だな お前は」 と亜子の頭を撫で、姉妹の希望であった200万円をいとも簡単に奪い去っていったのです。

全てを失った姉妹、最後の決意

生きる気力を失った姉

唯一の希望だったお金を奪われ、美都の心は完全に折れてしまいました。亜子は「そうしなかったら…お姉ちゃん殺されちゃうもん…」 と涙ながらに謝りますが、美都はもはや何も感じることができません。

「ごめん 亜子……」

「もう私 死ぬね…………」 「疲れちゃった……」

生きる気力を失った美都は、ふらふらとベランダへと向かいます。「お姉ちゃん 何する気!?」 と叫ぶ亜子の声も、彼女には届きません。

「独りにしないで」

「もう……こんな世界 嫌だ……」

雪が舞い散る夜空を見上げ、全てを終わらせようとする美都。その背中に、亜子は泣きながら抱きつきました。

「それなら私も連れて行って」 「こんな世界に独りにしないで…」

妹の悲痛な叫びに、美都は我に返ります。そして、涙を流す妹を優しく抱きしめ、静かに頷きました。

「…うん……わかった……」

「一緒に行こう……」

固く手を握りしめ、二人は共にベランダの淵へと向かう。あまりにも悲しい決断を下した姉妹の姿を映し、第10話は幕を閉じます。

【未来は私の言う通り復讐の占い師】10話を読んだ感想(ネタバレあり)

第10話は、これまでで最も胸が痛く、そして最も救いのない回でした。姉妹が必死の思いで貯めた「希望」の象徴である200万円を、実の親が暴力で奪い取る。その様は、もはや人間の所業ではありません。特に、美都の首を絞めながら「香典ももらう」と言い放つ父親の姿には、心の底から吐き気を覚えました。

そして、亜子の選択。姉の命を救うために、二人の夢を諦めなければならなかった彼女の心中を思うと、言葉になりません。どちらを選んでも地獄という、あまりにも酷な状況でした。彼女の行動は、姉を愛するがゆえの最善の選択だったはずなのに、結果として二人をさらなる絶望へと突き落としてしまった。この皮肉な展開が、物語の悲劇性を一層深めています。

全てを失い、「疲れちゃった」と呟く美都の姿には、涙が出そうになりました。どんなに強い人間でも、希望を奪われ続ければ、心は壊れてしまうのです。

最後の、二人で一緒に死を選ぼうとするシーンは、圧巻でした。この地獄のような世界で、唯一の理解者である互いの存在だけが救いだった。だからこそ、「独りになるくらいなら一緒に死ぬ」という選択に至った。これは、彼女たちが選んだ、究極の姉妹愛の形なのかもしれません。この後、二人の身に何が起こるのか。そして、この出来事が現在の亜子の車椅子生活とどう繋がっていくのか。息を殺して見守るしかありません。

【未来は私の言う通り復讐の占い師】10話のネタバレまとめ

  • 父親は、美都と亜子が貯めた200万円の存在を知り、それを奪おうとする
  • 美都が抵抗すると、父親は彼女の首を絞め、「死ね」と脅迫する
  • 姉の命の危険を感じた亜子は、泣きながらお金の隠し場所と暗証番号を白状してしまう
  • 唯一の希望であったお金を奪われ、生きる気力を失った美都は、ベランダから飛び降りようとする
  • 亜子は「独りにしないで」と泣きすがり、美都も一緒に死ぬことを提案する
  • 全てに絶望した姉妹は、手を取り合い、共に死ぬことを決意した

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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