※本ページはプロモーションが含まれています
この記事を読んでいるあなたは
「ねずみの初恋のネタバレを知りたい」
「最新の展開や考察が気になる」
「この作品がどんな話なのか詳しく知りたい」
と思っているのではないでしょうか。そう思って検索しているなら、あなたは間違いなくこの作品に強い興味を持っているはずです。
その気持ち、とてもよくわかります。ねずみの初恋は、単なる恋愛漫画ではなく、純愛と裏社会の非情さが交錯する独特な物語です。毎話ごとに驚きの展開があり、一度読み始めると続きが気になって仕方がなくなります。特に、ねずみと碧の関係がどう変化していくのか、組織との戦いはどうなるのか、そして主要な登場人物たちの関係が今後どんな影響を与えるのか――物語の行方を知りたい気持ちは尽きません。
この記事では、「ねずみの初恋」のストーリーをネタバレを含めて詳しく解説します。登場人物の関係性、物語の背景、伏線の考察など、知りたかったことがすべてわかる内容になっています。また、筆者はこの作品を長く追い続けており、公式の情報もチェックしながら解説を行っています。そのため、内容の信頼性には自信があります。
この記事を読むことで、物語の流れをしっかり理解できるだけでなく、最新話の動向や今後の展開予想まで楽しむことができます。ただし、当然ながらネタバレを多く含むため、未読の方が読むと物語のサプライズが減ってしまう可能性があります。結末を自分の目で確かめたい人は注意しながら読み進めてください。
「ねずみの初恋」の魅力を余すことなく知りたい方にとって、この記事は最適なガイドになるはずです。それでは、物語の核心に迫っていきましょう。
- ねずみの初恋のストーリーと最新のネタバレ情報
- 主要キャラクターの関係性や過去の背景
- 物語に隠された伏線や今後の展開予想
- 作者・大瀬戸陸の作風や創作のこだわり
《ねずみの初恋》ネタバレの前に作品の概要を紹介
- 「ねずみの初恋」ってどんな話?
- 作者:大瀬戸陸はヤンマガの若手のホープ?
- 主要な登場人物を紹介
「ねずみの初恋」ってどんな話?
「ねずみの初恋」は、殺し屋として育てられた少女と一般男性の切なくも残酷なラブストーリーです。ヤクザの世界で育った少女「ねずみ」が、人の温かさを知らないまま生きてきた中で、普通の青年「碧(あお)」と出会うことで少しずつ心を開いていきます。しかし、平凡な恋愛では終わらず、彼らは過酷な運命に巻き込まれていくのです。
物語の序盤では、ねずみと碧の出会いが描かれ、2人は次第に惹かれ合います。しかし、ねずみがヤクザの組織に属していることがバレると、組織は碧を始末しようとします。ねずみは碧を守るために、彼を殺し屋として育てる決断をするのです。こうして、愛する人を守るために殺しの世界へ足を踏み入れた碧は、やがて組織との戦いに巻き込まれていきます。
物語が進むにつれ、ねずみと碧の関係はより深まりながらも、殺し屋としての運命が2人を引き裂こうとします。敵対する組織、裏切り、戦い、そして愛——さまざまな要素が絡み合いながら、彼らは過酷な現実と向き合わなければなりません。
この作品の大きな魅力は、純粋な恋愛と冷酷な裏社会のコントラストです。殺し屋としての非情な一面と、恋に戸惑うねずみの純粋さが交差し、読者の心を揺さぶる展開が続きます。果たして2人は運命に抗い、愛を貫くことができるのでしょうか?
現在(2025年1月31日)時点で第4巻まで刊行されてます。また、物語はまだ完結しておらず、今後の展開が続いていく予定です。
作者:大瀬戸陸はヤンマガの若手のホープ?
大瀬戸陸先生は、数々の話題作を送り出すヤングマガジン(ヤンマガ)の中でも、特に将来を期待される漫画家です。彼の代表作「ねずみの初恋」は、連載開始からわずか1年で累計発行部数が30万部を突破するという異例のヒットを記録しました。また、一巻の電子書籍の初月の売り上げが青年誌史上No. 1という記録も自立してます。16歳のときにちばてつや賞を受賞しており、初期衝動が溢れる怪作『だくてん』が受賞です。講談社から『ねずみの初恋』という漫画を連載しており、現在23歳です(2024.11月現在)
こちらの動画では貴重な作業風景が拝めます独自の作風と魅力
大瀬戸陸先生の作品は、純愛と残酷さという一見相反するテーマを見事に融合させたストーリーテリングが特徴です。「ねずみの初恋」においても、裏社会で育った冷酷な殺し屋と、純粋な愛情を知る青年との対比が描かれ、読者に深い感動を与えています。彼の巧みな心理描写は、多くの読者から「次の展開が予測できない」と高く評価されています。
創作活動の裏側
大瀬戸先生の創作活動には、徹底した準備と計画が欠かせません。例えば、週刊連載の厳しいスケジュールの中で、1週間に10ページ以上のネームを仕上げ、さらに作画の精度を落とさないという驚異的なスピードと精度を実現しています。この背景には、資料収集や細部へのこだわりがあるとされています。大瀬戸先生は必要な資料を数十冊単位で集め、作画の参考にするなど、作品のリアリティを高める努力を惜しみません。
幼少期から培われた感性
大瀬戸陸先生が持つ独特な感性は、幼少期の経験に基づいています。映画好きの父親や小説好きの母親に囲まれて育った彼は、幼いころから多様な物語に触れてきました。これらの体験が、彼のストーリー構成力やキャラクター描写に大きな影響を与えています。特に、ねずみちゃんの純粋さとあお君の優しさを織り交ぜた物語の基盤には、彼自身の過去の体験が反映されているとされています。
今後の展望
「ねずみの初恋」の成功は、大瀬戸陸先生の漫画家としての地位を確立しましたが、彼はさらなる挑戦を続ける意欲を示しています。ファンとのインタビューで「まだ描きたいテーマがたくさんある」と語った彼は、次回作の構想にもすでに取り掛かっているといいます。特に、感情を揺さぶるストーリー展開や新しい表現技法に挑戦する姿勢が、彼の成長を支えています。
主要な登場人物を紹介
『ねずみの初恋』には、個性的で魅力的なキャラクターが多く登場します。それぞれの過去や関係性が物語の鍵となっており、深いストーリーに引き込まれる要素の一つです。ここでは、特に重要な登場人物を詳しく紹介します。
小山ねずみ(ねずみちゃん)
天才的な殺し屋だが、純粋で可愛らしい一面も
ねずみは圧倒的な戦闘能力を持つ殺し屋です。ナイフを使った戦いが得意で、複数の敵を一瞬で仕留める冷徹さを持ちます。しかし、プライベートでは恋に憧れる普通の女の子のような一面もあり、碧と過ごす時間をとても大切にしています。
記憶の欠落と「忘れること」
ねずみは過去の記憶が曖昧で、特に自分が監禁されていた頃の記憶をほとんど覚えていません。そのため、過去の出来事が断片的に蘇ることがあり、時折不安になることもあります。テング先生から「忘れていい」と言われたことを受け入れながらも、時折過去を知りたくなる様子が描かれています。
碧との恋愛関係
ねずみは碧と付き合い始め、恋愛初心者ながらも一生懸命に愛を育んでいます。1年記念日には「エッチをする」と決めていたり、カラオケで一緒に楽しむなど、普通の女の子としての生活も大切にしています。
碧(あおくん)
もともとは普通の少年だったが、殺し屋の世界へ
碧はもともと普通の生活を送っていた青年でしたが、ねずみと出会い、殺し屋の世界に巻き込まれていきます。彼自身も戦い方を学び、次第に「殺し屋」として成長していきます。しかし、殺すことへの罪悪感を完全には捨てきれず、葛藤を抱えているのが特徴です。
ねずみを守る存在に
碧はねずみのそばにいることで、彼女の過去の闇を知るようになります。ねずみが「忘れることができる」性格だからこそ、碧は「覚えておく側」でいようと考えており、彼女を守ることを決意しています。
水鳥との関係
水鳥とは行動を共にすることが多く、彼女の過去や心の傷にも気づいています。水鳥はねずみに対して複雑な感情を抱いていますが、碧には本音を漏らすことができる関係性になっています。
水鳥(みどり)
過去に深い傷を負った殺し屋
水鳥はねずみと同じく、殺し屋として育てられた少女です。幼少期に親を亡くし、その後、豚磨によって監禁されるという過酷な過去を持っています。豚磨の影響で大きなトラウマを抱えており、男性に触れることを極端に嫌がる描写が多く見られます。
ねずみに対する複雑な感情
水鳥はねずみと共に育てられたものの、ねずみが「大きな傷を負わずに済んだ」ことに対し、どこか嫉妬や憎しみのような感情を持っています。しかし、ねずみを完全に嫌っているわけではなく、彼女のことを大切に思っている描写もあるため、非常に複雑な関係性を築いています。
碧との関係
水鳥は碧と行動を共にすることが多く、時折彼に心を開くことがあります。バスの中で碧の手を握り「まじでごめん。ねずみには言わないから」と涙を流すシーンでは、水鳥の弱さと、碧への信頼が垣間見えました。
舛花豚磨(ますはなたくま)
残虐非道なヤクザの組長
豚磨はかつてねずみや水鳥を監禁していた桔梗会枡花組の恐ろしい組長でした。幼い子供たちに「値段をつける」という非道な行為を行っており、ねずみに殺された過去があります。
記憶喪失と「村重春彦」
しかし、豚磨は13年間植物状態のように眠っていた後、記憶を失って目覚めました。彼は「村重春彦」と名乗り、まるで別人のような振る舞いをしています。しかし、周囲の人間は本当に記憶を失ったのか、それとも何かを隠しているのか疑念を抱いています。
水鳥との因縁
水鳥にとって、豚磨は最も憎むべき相手でありながら、過去に「えらい子じゃ」と頭を撫でられたことを思い出すと、複雑な感情が蘇るようです。豚磨が本当に記憶を失ったのかどうか、水鳥自身も確信が持てず、強い動揺を見せています。
鯆(いるか)
冷酷な組織の幹部
鯆は桔梗会枡花組の幹部であり、非常に冷静で計算高い性格を持っています。ねずみや碧に対しても興味を持ち、彼らを「泳がせている」状態です。
豚磨への疑念
豚磨が「村重春彦」と名乗ったことに対し、鯆は冷静に観察しています。組織の中での権力争いや、豚磨の復活が今後どのような影響を及ぼすのか、彼は慎重に事態を見極めようとしています。
テング先生
ねずみの師匠であり、彼女を導く存在
テング先生はねずみが殺し屋として生きるための教育を施した人物です。彼はねずみに「忘れること」を推奨し、過去を振り返ることが生存にとって無意味だと考えています。
ねずみへの影響力
テングはねずみにとって「先生」でありながら、時には強引な手段で彼女を制御しようとします。ねずみが過去の記憶を探ろうとした際には、拳で殴り「余計な詮索をするな」と制止する場面もありました。
瑠璃(るり)
豚磨を「パパ」と慕う謎の女性
瑠璃は桔梗会枡花組の関係者で、豚磨のことを「パパ」と呼び、慕っています。彼女の正体についてはまだ多くが明かされていませんが、物語の重要なカギを握っていることは確かです。
謎めいた行動と感情
過去の回想シーンでは、豚磨たちとバーベキューをしていた際に、川で動けなくなったフリをして豚磨に助けを求めました。しかし、豚磨は「お前なら戻ってくる」と助けませんでした。このとき、瑠璃を助けたのは鯆でした。この出来事が、瑠璃と鯆の関係にも影響を与えている可能性があります。
豚磨の記憶喪失に対する感情
豚磨が目覚め、記憶を失っているとされる中、瑠璃は微笑みながらも拳を強く握りしめていました。その表情からは、怒りや悲しみなどの複雑な感情が読み取れます。彼女が何を考えているのか、そしてどのような過去を持っているのかが、今後の展開で明らかになるでしょう。
浅葱(あさぎ)
桔梗会の一員で、組織の情報を管理する男
浅葱は桔梗会の一人で、情報収集や連絡役としての役割を果たしています。冷静でクールな性格ですが、組織の内情をよく知る人物でもあります。
水鳥との関係
浅葱と水鳥の間には、特別な感情があるように描かれています。水鳥は普段、男性に触れることを嫌がりますが、浅葱が彼女の頭についた落ち葉を取った際には、真っ赤になって目をそらしました。この描写から、水鳥にとって浅葱は特別な存在であることがわかります。
碧やねずみに対して
浅葱は碧やねずみに対しても一定の距離を保ちながら接しており、特に碧に対しては「強くなれ」といったアドバイスをする場面もあります。彼は組織の一員でありながら、単なる冷酷なヤクザではないようです。
ペトロ
ねずみに対する特別な想い
ペトロはねずみに対して異様な執着を見せており、クローゼットの中から彼女と碧のキスを見て涙を流す場面もありました。さらに、ねずみとのキスを夢想するシーンもあり、彼女に対する特別な感情を抱いていることがわかります。
碧との対面
ペトロは、ねずみと碧が暮らす部屋のクローゼットの中に潜んでいました。そして、碧が帰宅した際に対面し、涙を流しながら「なんで君がいるの?」と首をかしげました。彼の目的や、ねずみとの関係性が今後の展開で明らかになることでしょう。
ねずみの初恋 ネタバレ考察や感想
- 1巻あらすじ
- 2巻あらすじ
- 3巻あらすじ
- 4巻あらすじ
- 35話〜あらすじ(単行本未発売)
- 49話〜ネタバレ(単行本未発売)
全巻のあらすじをネタバレありで解説
1巻あらすじ
ねずみと碧の運命的な出会い
物語の出発点となる、あお君とねずみちゃんの出会いは、繁華街のゲームセンターで起こります。冷酷な殺し屋として仕事中だったねずみちゃんが、ふと目を留めたのは、クレーンゲームの中にある「あざらしのぬいぐるみ」。その無邪気な興味を見逃さなかったのが、偶然通りかかった青年あお君でした。
「オレ取りましょっか、これ…」と得意げに話しかけてきたあお君は、ねずみちゃんの目の前でクレーンゲームに挑戦します。しかし、実際にはまったく得意ではなく、何度挑戦してもぬいぐるみを取ることができません。それでもあお君は諦めず、店員に調整を頼むため一旦その場を離れます。その間に、ねずみちゃんは殺し屋の上司であるてんぐから連絡を受け、仕事のためにその場を後にしてしまいます。
その後、偶然を装いながらも執念深くねずみちゃんを探し出したあお君は、ついに5,000円以上も費やして手に入れたぬいぐるみをプレゼントします。そして、あお君は「ひっ…ひとめぼれぇっ…しちゃいましたぁ…」と、半ば勢い任せに告白。この瞬間、あお君の純粋で不器用な性格が前面に出る一方、ねずみちゃんは何とも言えない表情を浮かべます。
幸せな同棲生活と「普通」を知る喜び
物語の中盤で描かれる、ねずみちゃんとあお君の穏やかな日常は、読者にとって一息つけるような「癒しの時間」です。このシーンでは、幼少期から殺し屋として育てられたねずみちゃんが、初めて普通の恋愛を楽しむ様子が鮮明に描かれています。
ラフな部屋着姿で「お疲れさまぁ」と照れくさそうにいうねずみちゃん。一緒の時間を共にし、二人がソファで寄り添いながらテレビゲームを楽しむ場面は、殺し屋としての彼女の冷酷な側面とは対照的で、純粋で愛らしい一面を垣間見せます。
一方で、この「日常」の裏では、ねずみちゃんは依然として殺し屋の任務を遂行し続けています。殺しという非日常と、あお君との穏やかな時間という対極的な二つの生活が同時に進行していることが、このシーンに張り詰めた緊張感を与えています。
そんな中、ねずみちゃんの誕生日を祝うために、奮発してレストランを予約したとあおくんは言います。その日の夜、布団の中で手を繋ぎながら、ねずみちゃんは小さな声で「えっち…してみる…? 明日…帰ってきたら…」とつぶやきます。この言葉は、彼女にとって大きな一歩を踏み出した証拠でもあり、彼女の心があお君に完全に傾いていることを示しています。
このデートの約束が、物語の重要な転機となり、後に二人の関係が試される過酷な展開へと繋がります。穏やかな日常がいつ崩れるのかという緊張感が漂う中で、読者はねずみちゃんとあお君の「普通の幸せ」をより切実に願わずにはいられません。
訪れる悲劇と衝撃の展開
物語の中で最も緊迫した展開を迎えるのが、あお君が組織に捕らえられ、残酷な拷問を受けるシーンです。このエピソードでは、ねずみちゃんとあお君の関係が試されるだけでなく、殺し屋という非情な世界の過酷さが一層浮き彫りになります。
大切なデート当日。その日に限って、ねずみちゃんは組織から急遽仕事の依頼を受け、現場へと呼び出されます。そこで彼女が目にしたのは、拷問の末に裸にされ、涙をこらえながら「へへって…見ないでっ…ねずみちゃん…」と苦笑いするあお君の姿でした。これまで何人ものターゲットを冷徹に仕留めてきたねずみちゃんも、この光景には心を揺さぶられます。
あお君が捕らえられた理由は、ねずみちゃんの「仕事」の現場を偶然目撃してしまい、組織が口封じの必要性を感じたためです。「半年間楽しかったじゃろ」と淡々というヤクザの組長。ねずみちゃんにナイフを渡し「ほんじゃあ、殺せ」と告げる。ここで組織がねずみちゃんをも試していることが明らかになり、彼女の心が追い詰められていきます。
あお君は、命の危険に直面していながらも、「めっちゃ可愛いねぇ」と笑顔を見せ、ねずみちゃんを褒めます。その純粋さが、彼女の心に深く響きます。これまで殺し屋として冷酷に振る舞ってきたねずみちゃんですが、あお君だけはどうしても手にかけられないと命乞いをします。この瞬間、彼女の中で「殺し屋としての自分」と「一人の少女としての自分」が激しく葛藤するのです。
追い詰められたねずみちゃんは、組織に対して「私があおくんを殺し屋にしますっ」という交換条件を叩きつけます。この提案に、組織は興味を示し、猶予を与えますが、その裏には冷酷な計算が見え隠れします。「1ヶ月でこのカス、殺し屋に育ててみい」。その言葉で物語の歯車が一気に動き出します。
2巻あらすじ
碧の初仕事がスタート
碧はついに初めての殺しの仕事を任されます。これまでの彼は、普通の青年でありながらも、ねずみと共に生きるために訓練を重ねてきました。初仕事のターゲットは駅の雑踏に紛れる男性で、殺害の瞬間を誰にも見られないよう慎重に動かなければなりません。
しかし、目の前のターゲットを前にした碧は、強い恐怖を感じます。訓練のときは冷静に行動できていたものの、「実際に人を殺す」という現実に直面し、手が震えるのです。それでも、ねずみのアドバイスを思い出し、冷静さを取り戻そうと努力します。
鏡に映った自分に怯える碧
ターゲットに近づこうとする碧でしたが、男の不自然な動きに違和感を覚え、慎重に行動します。一度は殺す決意を固めたものの、ターゲットがトイレに入ると、彼を狙う絶好のチャンスが訪れました。
しかし、いざナイフを握り、鏡越しに自分の姿を見た瞬間、碧は恐怖に支配されます。そこに映っていたのは、優しく平凡な青年だった彼とはまるで違う、冷酷な殺し屋の顔でした。その光景に怯んだことで、ターゲットを取り逃がしてしまいます。
ねずみとの日常が支えとなる
碧はターゲットを逃がしそうになりながらも、ねずみと過ごした日々を思い出し、なんとか任務を遂行しました。命を奪った後、彼はフードを深く被り、その場を立ち去ります。しかし、手の震えは止まらず、初めての殺しの罪悪感が彼を襲います。
帰宅すると、ねずみが手作りのハンバーグを用意して待っていました。普段は無表情なねずみですが、碧の頑張りを認め、「頑張ったね、おかえり」と優しく声をかけます。これにより、碧は感情を抑えきれず、涙を流しました。ねずみの優しさが、彼の罪悪感を少しだけ和らげたのです。
ご褒美デートで心を癒す
初仕事を終えたものの、すぐに次の仕事が控えているという厳しい現実に、碧は精神的に追い詰められます。そんな彼を励まそうと、ねずみは「ご褒美デー」と称したデートを提案しました。
デート当日、ねずみは可愛らしい服を着て現れます。碧は一瞬、彼女が殺し屋であることを忘れ、普通の女の子としてのねずみの姿にときめきを感じました。しかし、楽しんでいる最中も、ふとした瞬間に自分の手についた「血の記憶」が蘇ります。
ねずみのピュアな恋愛観
デートの終盤、ねずみは碧の心が沈んでいることを察し、突然キスをします。これが二人にとっての「初めてのキス」でした。しかし、ねずみは「かってにえっちしちゃった」と顔を真っ赤にして恥ずかしがります。彼女にとって、キス=エッチという認識だったのです。
碧は彼女の純粋さに驚きつつも、その無垢な反応に愛おしさを感じます。デートを終えた二人は、手を繋ぎながらゆっくりと家に帰りました。こうして、初めての仕事を終えた碧は、ねずみとの関係をより深めていきます。
新たな試練が待ち受ける
平穏な時間も束の間、碧にはさらに過酷な試練が待ち受けていました。組織の命令で、一気に3人のターゲットを仕留めるという仕事が舞い込んできたのです。
これまで1人を殺すことすらためらっていた碧にとって、さらに過酷な仕事は大きな負担となります。しかし、ねずみは「自分が代わりにやる」と申し出ました。しかし、この申し出を聞いたヤクザのボスは、そんな2人のやり取りを見て意味深に嗤うのでした。
ねずみの殺し屋としての過去
ある日、ねずみは公園で子どもとサッカーボールで遊ぶ機会がありました。しかし、その後、彼女が仕事で向かった先には、その子どもと母親の姿が……。なんと、今回のターゲットは彼らだったのです。
仕事を終えたねずみは、車に乗り込もうとしますが、ふと左足に違和感を覚えます。それは、彼女の中で何かが変わり始めていることを示しているのかもしれません。
碧の変化と、彼の未来
その後、碧は殺しの仕事を淡々とこなせるようになっていきますが、彼の心に深い傷を残していきます。そんな中、彼の前に謎の少女が現れます。彼女の登場が、碧とねずみの未来にどんな影響を与えるのか。
3巻あらすじ
碧、死の淵に立たされる
碧は組織に捕らえられ、ドラム缶と椅子に拘束されたまま、大雨に打たれていました。そんな彼の前に現れたのは、チェーンソーを手にした少女・メシア。彼女は組織の命令を受け、碧を処分するために送り込まれたのです。
必死に逃げようとする碧でしたが、メシアの容赦ない攻撃を受け、肩や背中に深い傷を負ってしまいます。それでも彼は機転を利かせ、チェーンソーの刃を利用して拘束を解くことに成功。しかし、逃げ出そうとしたその瞬間、メシアの手によって再び深手を負ってしまいました。
メシアと碧の奇妙な関係
死を覚悟した碧は、メシアに向かって「覚えているか?」と問いかけます。彼の言葉に、メシアは一瞬動きを止めました。そして、碧はねずみが用意してくれたカップラーメンのことを思い出し、「おなかすいたなぁ」と呟きます。
この一言が、メシアの心に何かを響かせました。彼女は碧を殺すのではなく、ハンバーガーを差し出します。過去にメシアが碧を見逃したことがあるのか、それとも彼女の中に芽生えた奇妙な感情なのか。この行動の真意は不明ですが、碧とメシアの間に不可解な関係が生まれ始めるのでした。
雨がもたらした不思議な絆
ハンバーガーを無理やり食べさせられそうになった碧は、「雨が止んだら食べる」と言いました。すると不思議なことに、雨は一瞬だけ止みました。しかし、それも束の間、すぐに再び降り始めるのです。
この出来事がきっかけとなり、碧とメシアの間には奇妙な絆が生まれます。一方で、ねずみは碧を救うため、単身で組織のアジトへと潜入。すでに多数の敵を葬り去りながら、碧の元へ向かっていました。
メシアの過去が明かされる
時は遡り、とある夏の日。藍原組の千草は、組の金を持ち逃げした相島を始末するため、彼の家に乗り込みました。すでにもぬけの殻となっていた家の浴室で、千草は異様な姿の少女を発見します。
全身垢まみれで爪も伸び放題のその少女は、極限状態に追い込まれたような姿でした。彼女の近くには「めしあ」と書かれた歯ブラシが転がっており、これがメシアの過去と関わる重要な伏線となります。
ねずみ vs 組織、本格的な戦闘開始
ねずみはついに組織の本隊と正面衝突することに。彼女の登場に戸惑いを隠せない組織の男たち。しかし、ねずみは落ち着いた様子で「いち、にー、さん」と人数を数えた後、一瞬で戦闘態勢に入りました。
その圧倒的な強さの前に、最初は強気だった組織の男たちも次第に恐怖に飲み込まれていきます。束になっても傷一つ負わせることができないまま、次々と命を奪われていきました。
血の海に沈む組織の男たち
アジトの床は血で染まり、無数の死体が転がる異様な光景が広がります。ねずみはナイフを無駄なく振るい、次々と的確に敵を仕留めていきました。
その様子を見た千草は、もはやねずみに対抗できる存在はメシアしかいないと確信します。「かみさま」と呟きながら息絶える部下を見つめながら、彼は最終的な切り札としてメシアを使うことを決めました。
碧とメシア、そしてねずみの衝突
組織の大半を始末したねずみは、血の海を見下ろしながら、かつて自分が手にかけた一家のことを思い出していました。その一方で、メシアと対峙する碧は、彼女の手によって今にも窒息させられそうになっていました。
決着をつけるよう組織の男たちから急かされるメシア。千草はすぐにチェーンソーで碧を殺すように指示を出します。しかし、メシアはここで予想外の行動に出ます。「碧を救う」と言い始めたのです。
メシアの決断と衝撃のキス
これまでただ命令に従うだけだったメシアは、初めて自分の意思で決断を下しました。「ただ導かれるだけでは、自分は救われない」と悟ったのです。そして、千草の命令を「うっせぇな」と一蹴し、驚くことに碧にキスをしました。
何が起こったのか理解できない千草の横には、すでにねずみが現れていました。彼女は躊躇なく、藍原組の一人を殺します。
最悪の再会、そして戦いの幕開け
ようやく碧とねずみは再会を果たしますが、ねずみはメシアと碧のキスを目撃し、動揺を隠せない様子。彼女は冷たい目でメシアを見つめながら、彼女と対決する覚悟を決めました。
ここで物語は再び緊迫した展開へと突入し、メシアとの壮絶な戦いが始まるのです。
ねずみ vs メシア、宿命の戦い
ねずみとメシアの戦闘は、これまでの物語の中でも最も緊迫したものとなります。お互いに譲れない理由があり、一進一退の攻防が繰り広げられます。
そんな中、ねずみはメシアを押し倒し、首元にナイフを当てながら「さっき……ちゅーして……た?」と聞きます。
碧が人質にとられる
メシアとねずみの戦いが終盤に差し掛かり、メシアを追い詰めたタイミングで、千草によって人質にとられた碧。「メシアから離れろ」「こいつのこと助けに来たんじゃろ?」と千草はねずみに対して交渉を持ちかける。
倒れるメシアに対して千草は「すまんのぅ、あとちょっとだけ頑張れるか?」と呼びかけ、「殺せ、殺せ」と抵抗のできないないねずみを始末するようにけしかける。
殺されそうになるねずみを見ていた碧だったが覚悟を決め「フー」っと呼吸をすると、一瞬の隙をついて走り出す。ねずみから教わった型でメシアの喉元にナイフを突き刺すことに成功。ねずみを救うことができ、激闘は意外な形で決着を迎えることとなった。
4巻あらすじ
ねずみと碧、死を覚悟した瞬間
碧はねずみに「ごめんね」と謝ります。藍原組に捕まったことを後悔しているのか、それとも今の状況すべてに対しての謝罪なのか。
「ごめんなさい」を何度も繰り返しながら、彼は「俺は死んだほうがいいかな」と呟きました。
しかし、ねずみは碧の言葉を否定することなく、「ふたりで死ねることを喜ぶ」ような表情を浮かべます。そして「最期はあおくんと一緒。こんな幸せでいいのかなぁ」と微笑みながら語りました。
ふたりの決意、帰るべき場所へ
激しい雨が降る中、ねずみと碧はキスをしようとします。しかし、ねずみは「ふたりでやりたいことがまだいっぱいある」と涙を流しながら訴えました。
その言葉を聞いた碧は、力を振り絞って上体を起こし、ねずみにキスをします。そして「ふたりで幸せになろう。もう逃げない。帰ろう」と決意を口にしました。
ねずみは傷ついた碧を背負い、外へ出ます。そこにはテングと死体処理係が待っていました。ふたりを後部座席に乗せ、テングは運転を始めます。車内で手を繋ぎながら、ねずみは静かに眠りにつきました。
碧の治療と新たな傷跡
碧は病院に入院していました。久しぶりにねずみと再会すると、「久しぶり」と言葉を交わします。
碧の容態について、浅葱から説明がありました。
- 背中の神経の一部がまだ繋がっていない
- 大量出血による臓器障害があり、しばらく仕事はできない
- 回復まで2ヶ月はかかる
浅葱は「いっぱいいちゃつけるな」と冗談交じりに言いながら、ふたりの部屋を後にします。しかし、帰り際に鍵を見つめ、「…すまないな」と小さく呟きました。
ねずみの大胆な行動
碧がシャワーを浴びようとすると、ねずみが「手伝ってあげる」と裸で入ってきました。彼女の突然の行動に驚く碧。しかし、ねずみは無邪気に碧の身体を手で洗い始めます。
「くすぐったい」と笑う碧でしたが、次は彼がねずみの身体を洗う番になりました。
ねずみが見つけた古い傷跡
シャワーを終えたあと、ねずみはドライヤーで碧の髪を乾かします。そのとき、碧のうなじ付近に大きな傷跡を見つけました。
「ここもケガしてたんだ…」
ねずみはその傷をじっと見つめますが、碧は手を叩いて誤魔化すような素振りを見せます。彼の過去には、まだねずみが知らない何かが隠されているようでした。
第二章の幕開け
ここから物語は第二章へと突入します。
新たな殺し屋・水鳥(みどり)が登場し、ねずみも新しい仕事に取り掛かります。彼女の髪型はボブになり、これまでの雰囲気とは少し異なった姿に。
ターゲットの視線の先には、
- 「水木里奈のおかしな絵画展」
- 「村重春彦投手 縹市(はなだし)から世界へ おめでとう」
といったニュースが流れていました。
一方、碧も新たな仕事をこなしながら、死体に祈りを捧げていました。
ふたりの新たな関係性
夜、ねずみと碧は晩酌をしながら「あと25日で1年記念日だ」と話します。
3月13日がその日ですが、何の記念日なのかは明かされません。ただ、その話をした途端、ねずみは顔を真っ赤にし、碧も照れた表情を浮かべます。
訪問者と銃口
そのとき、インターフォンが鳴りました。こんな時間に誰かが来るはずがありません。
ねずみが「私が出る」とドアスコープから外を見ると、そこには銃口がぴったりと付けられていました。
ドアの向こうにはツインテールの少女が立ち、ねずみを狙っています。ねずみは反射的に左腕を動かし、瞬時に対応を始めました。
再会するねずみと水鳥
ねずみは少女の銃芯を掴み、自ら銃口を外すと、もう片方の手で相手の喉元を締め上げました。そして顔を確認すると、「やっぱり水鳥(みどり)」と口にします。
ふたりは面識があるようで、久しぶりの再会でした。水鳥もまた、殺し屋としての仕事を続けていたのです。
ねずみの変化に驚く水鳥
水鳥は、ねずみが髪を切ったり、眉を整えたりしていることに驚きます。さらに「ジェラピケ(ジェラートピケ)」の部屋着を着ていることにも気づき、「色気づいたね」とからかいました。
部屋の中から碧が現れ、ねずみは彼を「私の彼氏」と紹介します。
水鳥は笑顔でその場を去りますが、エレベーターの中では肩を落としていました。彼女の中で、何かが変わり始めているようです。
水鳥の仕事と屈辱
水鳥は次の仕事に向かいます。それは、ターゲットを騙してハニートラップを仕掛ける仕事でした。下着姿でターゲットに接触し、身体を触らせるという屈辱的な任務。
ターゲットは背中一面に刺青を入れた男。仕事が終わると、水鳥は手を嗅ぎ、「最悪」とつぶやきました。
鯆からの指示と新たな任務
鯆(いるか)は、ねずみ、碧、水鳥の3人を呼び出し、組織の未来について話します。「三代目が直に死ぬ。後継者争いが激化する」と告げ、彼らにさらなる戦いへの準備を促します。
この状況下で、碧には「これからは集団を相手にすることが増える」として、初めて銃を渡されます。水鳥は碧に銃の扱いを教える役割を任されました。
一方、ねずみには別の仕事が与えられ、碧と水鳥とは別行動となります。別れ際、鯆はニヤリと笑いながら、「ずっと一緒がええのになぁ」と意味深な言葉を残しました。
ねずみの嫉妬と水鳥の挑発
仕事のために駅で別れるねずみと碧。水鳥はわざと碧の腕にくっつくような仕草をします。
それを見たねずみは、すぐに水鳥の腕を払いのけました。すると、水鳥は「ヤンデレ」とからかうように言います。
ねずみがいない間、碧と水鳥は電車で移動します。水鳥は碧の隣には座らず、距離を置くようにして座っていました。
目的地は田舎のようで、窓の外には田園風景が広がっています。水鳥は面倒くさそうに、碧に銃の使い方を教え始めました。
「正面から撃つときは真ん中を狙う」
「人は真ん中に大事なものがいっぱい入ってるから」
そう言いながらも、碧の方を一度も見ずに説明していました。
水鳥の冷酷な指導
水鳥は先に建物に入り、派遣(デリヘル)のフリをしてターゲットの元へ向かいます。
「矢橋さんの紹介で来ました。リオンです。」
そう言って中へ入り、8人の組員を始末。死体処理班が片付けをする間、碧は外で待機していました。
そこへ戻ってきた水鳥は、突然碧に告げます。
「今から直接撃ってもらう」
地下室に案内される碧。地下なら銃声が外に漏れないため、ここで実践をさせるつもりのようです。
銃の構え方や反動の逃がし方を教えられ、碧は初めて実弾を発射します。
「こんな感じなんだ…」
しかし、振り返ると水鳥はすでに地下室のはしごを外していたのです。
碧の試練、極限の戦い
地下室には7人の組員がいました。そのうち、碧が撃った一発の銃弾は、すでに組長の頭に命中し即死。
残る6人の手には、包丁が括りつけられていました。
上から水鳥が笑顔で言います。
「残弾6発、ターゲット6人、一発でも外したらねずみに会えないぞ」
地上から水鳥が見守る中、組員たちが怒り狂いながら碧に襲いかかります。
この状況を作った理由を、水鳥は静かに語ります。
「ねずみと私は、殺しを教わったとき、毎日顔の骨を折られ、毎日どこかが血を噴いた。ボロボロだった。」
「だから、ねずみに優しく教えてもらったお前が気に入らない。」
「ぬるいやつはいらない。ねずみにはいらない。」
そう言い放ち、地下室の扉を閉めてしまいます。
外にいた死体処理班の男たちも、水鳥の非情な行動に若干引いている様子。
水鳥が一服しようと歩き出したその瞬間——
「ズドンッ!」
地下から銃声が響き渡りました。
碧の覚醒
閉じ込められた碧は、圧倒的な状況の中で冷静に4発の弾丸を撃ち放ち、それぞれの頭に命中させました。
さらに、一人の男の眉間に銃口を押し当て、トリガーを引きます。
しかし、最後に残った一人は、これまでのターゲットとは違い、銃を持っていたのです。
その男が銃を構え、引き金を引こうとした瞬間、銃弾が碧の右頬をかすめました。
この銃を渡したのは、水鳥でした。
水鳥は碧に告げます。
「ふたりとも、残弾1発ずつ。」
碧はその男と向かい合い、お互いに銃口を向け合う。
その男の名は、美空(みそら)。
美空は「彼女がいる」と命乞いを始めます。碧も、ねずみのことを話します。
すると、美空は驚いたように言います。
「純愛だろ…それ」
美空は、この後、彼女とおでん居酒屋に行く約束をしていたことを語ります。
——18時に待ち合わせ。
——最後のLINEは、17時半で止まっていた。
この会話の間、スマホを確認していたのは水鳥でした。
次の瞬間——碧の足元に、硝煙の上がる銃を握る手と、血溜まりが広がっていた。
35話〜あらすじ(単行本未発売)
ねずみの仕事と隠れた目撃者
ねずみは単独でターゲットを始末する仕事をしていました。しかし、その場にはもう一人隠れていた人物がいました。ねずみは見られていることに気づきますが、あえてその場を立ち去ります。
帰りの車内で、碧は自分の手のひらをじっと見つめていました。そこに水鳥がそっと手を重ねます。碧は現場で自分が殺した相手に手を合わせていましたが、それを見た水鳥は「変だ」と指摘します。
白藍病院での出会い
水鳥は碧を連れて、白藍病院へ向かいます。そこにいたのは、舛花豚磨(ますはなたくま)。
入れ墨の入った大きな身体の男で、ベッドに横たわり、目の焦点は合っていません。意識もない様子でした。
水鳥は「ただいまー」と笑顔で声をかけると、碧に向かってこう言います。
「私とねずみのお父さんだよ」
水鳥の壮絶な過去
水鳥の過去が明らかになります。
彼女の両親は多額の借金を抱えており、それを返済する見込みはありませんでした。ある日、水鳥は両親が生命保険を掛け、自殺を決意していることを知ります。
最後の最後まで、自分のことを忘れていた両親。思い出したかと思えば、「あ、水鳥どうしよっか?」と軽く口にするだけ。
その言葉に、水鳥は窓の外から静かに声をかけます。
「気にしなくていいよ。私は一人でも生きていけるから。」
結局、両親は首を吊り、その後の通報は水鳥自身が行いました。
水鳥の運命を決めた出会い
両親を亡くした水鳥は、木村という男に引き取られます。木村は「今日から俺が水鳥ちゃんのこと面倒見るから」と言い、彼女をファミレスへ連れていきました。
学校も行かず、名字も変えられました。そして木村に勉強を教えられながら、ある日、彼は「会いたがってる人がいる」と言い、水鳥を連れて車を走らせました。
そこにいたのが舛花豚磨だったのです。
監禁された子どもたち
水鳥は豚磨に連れられ、地下に監禁されます。そこにはすでに4人の幼い子どもたちがいました。
- 礼門(れもん):男の子
- 朱々(しゅしゅ):茶髪のボブの女の子
- 栞(しおり):メガネの少女
- ねずみ
子どもたちは排泄もペットボトルで管理され、外に出ることすら許されない環境でした。
そして、3人の子どもたちは「ねずみを囮にして脱走する計画」を水鳥に話します。外に出たら食べたいものについておしゃべりする彼ら。
しかし、その計画は実行されることなく、水鳥は豚磨に襲われそうになります。
「やさしくしてね?パパ…」
震えながら、彼女は無理に笑顔を作るしかありませんでした。
水鳥の心を支配した言葉
豚磨は「水鳥がいくらか決める」と言い、他の子どもたちを痛めつけます。
その結果、栞はショック死。
水鳥だけが泣きませんでした。それを見た豚磨は、彼女の頭を撫でながらこう言います。
「ほんまにえらい子じゃ」
その言葉を聞いた瞬間、水鳥の中で何かが壊れました。
彼女は両親と手を繋いで歩いた記憶を思い出し、大粒の涙を流します。
「みどり…えらい?」
大声で泣き始める水鳥に、豚磨は「えらい」と頭を撫で続けました。
そして、水鳥は指を差します。
「あの子、まだ終わってないよー」
彼女が示したのは、階段の下に蹲っていたねずみでした。
碧の怒りと水鳥の覚悟
病室で水鳥は、過去を語りながら、豚磨の頬に拳銃を押し付けます。
「大丈夫、ねずみって忘れっぽいから。」
しかし、碧はカーテンの影から突然現れ、水鳥から拳銃を乱暴に奪いました。そしてそのまま豚磨の眉間に銃口を押し当てます。
水鳥は止めようとしますが、碧は「黙れよ」と低く言い放ち、引き金に力を込めます。
寸前のところで、水鳥は碧から銃を奪い返しました。
そして、震える声でこう言います。
「ねずみは色々される前に反撃したから、汚れたのは私だけ。」
その言葉を発したあと、彼女は自分のお腹に銃口を向けます。
「ほんと…汚いなぁ」
しかし、碧が水鳥の腕をつかみ、こう告げました。
「帰ろう」
ふたりの帰り道
寂れた駅で電車を待つふたり。
碧がジュースを買って飲んでいると、水鳥が「一口ちょうだい」と言います。しかし、碧は「間接キスになるからダメだ!」と拒否。
「水鳥の分も買うから!」と慌てる碧でしたが、水鳥は笑って逃げるように走り出しました。
そしてツインテールをほどきながら、微笑みます。
「あんた嫌いかもっ」
碧も笑いながら返します。
「オレもだよっ」
拳銃の練習とねずみの覚悟
ねずみ・水鳥・碧は山の中で拳銃の練習をしていました。標的は頭部に命中させる訓練。
- 水鳥が最も命中率が高い
- ねずみはナイフ専門で銃の腕は鈍っている
- 碧の弾は片側にズレる
ねずみは、碧の「利き目」が左であることに気づき、それを教えました。右利きの碧は左目で狙うべきだったのです。
碧が新しい撃ち方を覚えると、ねずみは「えらい、えらい」と頬を撫でました。
しかし、水鳥はねずみに問いかけます。
「本気であいつと幸せになるつもりなの?」
組織に逆らえない現状。鯆(いるか)に泳がされているだけの関係。
しかし、ねずみは言いました。
「あお君の利用価値は私がもっと上げる。」
「殺し屋として強くして、結婚もしたい。」
その覚悟を知った水鳥は、思わず目を逸らします。
浅葱が迎えに来て、水鳥の頭についた落ち葉を取ります。
その瞬間、水鳥は顔を真っ赤にし、目を逸らしました。
それを見た碧は、思わず驚きます。
謎の少年ペトロの登場
物語は新たな展開を迎えます。テントの中、ろうそくの灯りを挟み、カメと呼ばれる老婆とペトロという少年が会話をしていました。
ペトロは、「最初は幻覚かと思ったが、確かに存在した。また会いに行く」と老婆に語ります。
しかし、ペトロの姿ははっきりと見えず、痩せ細り、皮膚は黒くひび割れているのが特徴的です。暗闇に浮かび上がるすきっ歯と八重歯、まん丸な目が強く印象に残る少年です。
彼は日光に当たることができないらしく、炎に何かしらの能力を持っている様子。実際に、ろうそくの火を手で握り消すという異様な行動を見せます。
ペトロが意識を集中すると、燃える炎の中にランドセルを背負い、包丁を持つねずみの後ろ姿が映し出される。 それは、以前に逆さまになっていたねずみの顔と一致していました。
ペトロはねずみの過去を知っている存在なのか? 物語はさらに謎を深めていきます。
ねずみたちのおでんパーティー
場面は変わり、碧・ねずみ・水鳥が車の後部座席に座っています。水鳥は突然「なんかおでん食べたいのよねー」と言い出し、ねずみの家でおでんパーティーをすることに決定。
買い出し中から水鳥はすでにビールを飲み、パーティーの雰囲気は和やかなものになります。さらには、おでんレシピが1ページ使われるという異例の展開も描かれました。
おでんを煮込みながら、ねずみと碧もお酒を飲み始め、浅葱も合流。水鳥の様子を見ていた碧は、彼女が完全に浅葱に恋をしていることに気付きます。
おいしくおでんを食べる中、水鳥は酔いが回り、ねずみに絡み始めます。
「あんたらまだセッ○スしてないんでしょ?」
「なんで?ほんとはやりたいって顔に書いてあるわよ」
ねずみは真っ赤になり、「はあぁ?」と反応するものの、誤魔化しきれていません。
挙句の果てに、「ゴム買ってくるから今目の前でしろっ!」という暴走発言。
恥ずかしくなった水鳥は「お酒買ってくる」と言いながら外へ出ていきます。浅葱もそれに付き合う形で外へ。
その場に残されたねずみと碧は、「35分は帰ってこない」と確認し、沈黙。 ねずみは碧の手をそっと握り、ふたりとも真っ赤になっていました。
ねずみと碧のディープキス
水鳥と浅葱が帰るまでの時間、ねずみと碧は軽いキスを交わします。 しかし、ねずみはまだキスに慣れておらず、ぎこちない様子。
水鳥の言葉を思い出し、「世のカップルはもっとスゴめのチューしてるらしい」と話し始めます。
そこで碧は「ディープキスかな?」と照れながら答えました。
ねずみは「でぃーぷ…」と呟きながらも、興味を持ちます。碧が「してみる?」と優しく聞くと、ねずみは驚きながらも断らず、顔を真っ赤にしながら頷きます。
そして——1ページかけてゆっくりとディープキスをする描写が描かれます。
しかし、碧の舌がねずみの口の中に入った瞬間、ねずみは驚いた表情で反射的に身体を離してしまう。
驚く碧。水滴が美しく描かれ、2人の心情とは裏腹に、幻想的な雰囲気が漂います。
ねずみは慌てて「ごめんっ!いやとかじゃなくて、なんかびっくりした反射で…」と謝ります。
もう一度挑戦しようとするも、再び舌を入れると反射的に離れてしまう。 ねずみ自身も「イヤじゃないのに、体が勝手に…なんで?」と混乱。
そんな彼女を見て、碧は「一旦やめとく?」と優しく聞きますが、ねずみは「やだっ!」と即座に反応。
「ちょっと怖いのかも…でもしたい」
そう言葉にするねずみに対し、碧はゆっくりともう一度口づけをしました。
そして——ようやく、ディープキスができたのでした。
ペトロの異様な妄想
物語は大きく転換し、ペトロの視点へ。
「ペトロ君歓迎パーティー」と称して、ねずみがペトロと二人きりで食事をしている。
ペトロはずっと黒く、目玉だけの人物として描かれています。ねずみは「今日は来てくれてありがとね」と最高の笑顔を向ける。
ねずみがスプーンでペトロに「あ〜ん」と食べさせる。
突然、ねずみが聞く。
「ペトロ君ってキスしたことある?」
ペトロは「ないです」と答える。
ねずみは微笑みながら、「よかった。初めてはペトロ君って決めてたから。」
ふたりの唇が近づく。
——しかし、ペトロは寸前でねずみの肩を持って体を離した。
それはペトロの妄想だった。
ペトロは「欲を出してしまった…最低だ」と自分を責めながらクローゼットへ戻っていく。
クローゼットの中から、ねずみと碧がキスをする様子を見て、ペトロは涙を流していた。
碧とペトロの邂逅
ねずみたちが寝静まった後、クローゼットの中からペトロが静かに出てくる。
ペトロは玄関に向かい、鍵を開けながら呟く。
「さよなら…」
しかし、扉を開けた瞬間——
碧が帰ってきた。
ペトロは両目から大量の涙を流しながら首をかしげる。
碧は驚きながら、「あれ?なんで…君がいるの…?」と声を震わせる。
物語は緊迫感を増しながら、豚磨の病室へと移る——豚磨は上体を起こし、ズズズ…と麺をすする音を立てていた。
ねずみの「検査」と実験室での不気味な会話
ねずみは白く広い実験室で、下島勝弘という男性と向かい合って会話をしていた。内容は日常的なものにすぎず、野球の話などを交わす。しかし、会話が終わるとそれぞれ別の扉から退出するよう指示される。
ねずみが扉を開けると、そこには誰もいない部屋と包丁が置かれたテーブルがあった。そこで鯆からの指示が下る。
「ねずみ、それで隣の部屋の人間を殺せ。」
ねずみは言われた通りに扉を開く。そこにいたのは先ほど会話を交わした下島だった。怯えながら「やめてください」と懇願する彼。しかし、ねずみは一切のためらいもなくナイフを喉元に振り下ろした。
ねずみの「故障」とは?
この様子をガラス越しに観察していたのは、鯆と小柄で坊主頭の白衣の男・中縹(なかはなだ)だった。
鯆は「少し間がある」と評価し、中縹は「では、特定できる『故障』のほうから調整していきますね」と応じる。どうやらねずみには**何らかの精神的な「欠陥」**があると考えられているようだ。
ねずみの記憶操作
その後、ねずみはカウンセリングのような形で中縹と向かい合っていた。話題は13話で登場したサッカーボールに及ぶ。
「これは何だい?」と問いかける中縹。ねずみは「男の子と公園で遊んだボール」と答える。さらに「どんなふうに遊んだのか?」と詳細を聞かれるが、記憶が途中で飛び、「男の子の家の前に立っているシーン」へと瞬間移動してしまう。
中縹はねずみの背後に回り、「今は夕方だよね」と言葉をかける。その瞬間、ねずみの記憶は殺しの瞬間へと飛ばされる。そして、パンッと手を叩く音が響くと、ねずみは放心状態になり、サッカーボールのことを忘れてしまう。
再び「これは何だい?」と聞かれ、今度は「ぼーる、です」と曖昧な返答をする。
ねずみの記憶が意図的に操作されている可能性が高い。
「大豚ダブル」の張り紙と水鳥の不安
その後、ねずみ・碧・水鳥の3人はラーメン屋へ。ねずみは「大豚ダブル」というメニューに興味を持つが、水鳥が慌てて止める。
水鳥は「これが並だよ」と指さし、山盛りのラーメンを見せる。そして、店内には「絶対に残すなよ」という張り紙が貼られていた。
3人が食券を買い終え、カウンターでラーメンを待つ中、水鳥はねずみに「手を挙げると店員さんが注文を取りに来る」と嘘を教える。素直に挙手したねずみだったが、店員にスルーされ、騙されたことに気づくと「ひどくないっ!」と怒る。
そんな穏やかな雰囲気が一変するのは、「大豚ダブル」の食券を買う豚磨(ますはな)を水鳥が目撃したときだった。
水鳥の恐怖と涙
水鳥は豚磨の隣に座ることになり、震えが止まらない状態になる。ラーメンに箸をつけようとしても、麺を掴むことができない。
やがて、涙がポタポタと丼に落ちるほどに顔がぐしゃぐしゃになり、嗚咽を漏らしながら「ねずみ…ねずみぃ…」と繰り返し呼ぶ。
その瞬間、豚磨も立ち上がり、ハンカチを差し出した。
「あの、よかったらどうぞ…」
豚磨は申し訳なさそうな表情を浮かべ、まるで人の良さそうな別人のような態度だった。
ラーメン屋の時間が止まったかのような静寂が訪れる。
豚磨の記憶喪失と「村重春彦」という名前
ねずみと豚磨は組織の本拠地に呼び出されていた。そこで浅葱が「豚磨は13年分の記憶を失っている」と報告する。
さらに、医師たちはこの異常な記憶喪失について「植物状態だった人にはよくある症状だが、豚磨の場合はそれとは違う」と説明する。
そんな中、豚磨は驚くべきことを口にする。
「私は…村重春彦です。」
彼は富山県氷見市の印刷所に20年勤めていたと言い、周囲の人間を戸惑わせる。そして「皆さんはヤクザなんでしょうか?」と問いかけた。
鯆の追及
鯆は、豚磨が自分の過去を認識していないことに苛立ち、「桔梗会 枡花組 5代目組長 枡花豚磨、これがあんたじゃ」と写真を突きつける。
写真には褌姿の豚磨と、全身に刺青を入れた鯆が肩を組んでいる姿が写っていた。
しかし、豚磨は困惑し、大量の汗をかきながら頭を抱えてしまう。
ねずみと豚磨の謝罪合戦
その後、鯆は豚磨に「この女も覚えとらんのか?」と問い、ねずみに殺されたことを説明する。
豚磨はねずみを見つめ、ねずみも豚磨を見つめ返す。しかし、ねずみは豚磨を殺した記憶がない。
ねずみは「ご迷惑をおかけして、本当にごめんなさい」と謝罪し、それを聞いた豚磨も「いやいや、私も色々忘れてて…」と謝る。
2人がひたすら謝り合う異様な光景に、鯆は冷めた目を向けていた。
謎の女性・瑠璃
このやり取りを襖の外から瑠璃という女性が見ていた。彼女は微笑んでいるように見えたが、拳を強く握りしめ、血が滲むほどの力で震えていた。
瑠璃とは何者なのか? そして豚磨の「記憶喪失」は真実なのか、それとも作られたものなのか――?
49話〜ネタバレ(単行本未発売)
瑠璃は何者なのか?
瑠璃は豚磨を「パパ」と呼び慕っているが、その関係には謎が多い。過去の回想では、豚磨や鯆たちとバーベキューを楽しむ様子が描かれている。しかし、その和やかな雰囲気の中でも、瑠璃はただの家族ではない何かを抱えているようだった。
瑠璃とねずみの静かな対話
豚磨たちが出かけた後、ねずみと瑠璃が部屋に取り残される。会話はほとんどないが、瑠璃はねずみの髪を見て「髪、切ったんじゃね」とぽつりと呟く。
大雨が降る中、瑠璃の心の中にどんな感情が渦巻いているのかは描かれない。しかし、ねずみと同じく、彼女もまた何かを抱えた存在であることが示唆される。
水鳥の心にある「しにたい」の文字
水鳥はバスの窓に指で「しにたい」と書くが、碧に気づかれる前に袖で拭って消してしまう。豚磨との再会、ねずみのこと、そして自分の過去。水鳥はすべてが嫌になっていた。
バスが目的地に到着し、碧は降りようとする。しかし、水鳥は思わず碧の服の裾を掴んだ。すぐに手を離して「バイバイ」と小さな声で言うが、碧は降りなかった。
「このバスってどこまで行くやつだっけ?」
そう言って水鳥の隣に座り続けた碧。水鳥は碧の手にそっと触れ、指を握る。「まじでごめん。ねずみには言わないから…」と言いながら、涙をこぼした。
水鳥の絶望と、それをそっと受け止める碧。バスは大雨の中を進んでいく。
夢の中の恐怖
ねずみは久しぶりに「怖い夢」を見てしまう。豚磨に値段をつけられる夢。しかし、ねずみ自身は具体的な内容をほとんど覚えていない。
隣で寝ていた碧が「大丈夫?」と心配そうに声をかける。ねずみは「うん」と答えるが、その顔には不安が残っていた。
朝食をとりながら、ねずみは「私、すぐ忘れちゃうから」と呟く。
碧はそんなねずみの頭を撫でながら、優しく微笑む。
「いいじゃん。忘れて。幸せなことだけ覚えておきましょ。」
ねずみはぎゅっと碧に抱きついた。
ねずみの「カラオケ」挑戦
碧が歌った「君と夏フェス」という曲を聞き、ねずみは興味を持つ。掃除をしながら、スマホでその曲を聞き、恥ずかしそうに歌ってみる。
しかし、その姿を碧に見られてしまい、ねずみは真っ赤になってカーテンに隠れてしまう。
そんなねずみに、碧が一言。
「カラオケ…行ってみる?」
ねずみはカラオケに向けて真剣に練習を始める。
「歌声を自然に無理なく出す方法」という動画を見ながら、ひたすら練習を続けた。
公園、電車、寝室、そして仕事帰りの車の中でも発声練習を続ける。
しかし、そんな中で自分の手の指先についた「点」に気づく。これは今日殺した相手の血かもしれない。
「テング先生。私が今日殺したのって誰ですか?」
ねずみの問いに、テングは「忘れてええんじゃ」と答える。しかし、ねずみは気になって仕方がない。
次の瞬間、テングはねずみの顔を拳で殴った。
「これ以上、余計な詮索をするな。」
鼻血を流しながらも、ねずみは再び発声練習を続ける。
声が出ない…そしてゲップ
カラオケ当日、ねずみと碧は「カブトムシ」というカラオケ店へ向かう。
最初に選んだのは「君と夏フェス」。しかし、緊張のあまり声が出ない。
さらに、気合を入れ直して歌おうとした瞬間――
「ケプッ」まさかのゲップが出てしまう。
その場の空気が一瞬で止まり、ねずみは恥ずかしさでカラオケルームを飛び出そうとする。
もう一度、やり直す
しかし、ねずみは扉を開けるのをやめ、「スタートやり直し」ボタンを押した。
「もう一度…やってみる。」
ねずみは深呼吸をして、改めて歌い出した。ねずみは全力で「君と夏フェス」を歌いきった。歌い終えたとき、碧は呆然としたまま涙を流していた。
「もっかい……いい……?」
息を荒げながら、ねずみは碧に尋ねる。
碧は迷うことなく答えた。
「めっちゃ歌っていいよ!!」
ねずみと碧は、朝までカラオケで歌い続けた。
立ち上がってタンバリンを叩き、ジュースのコップが倒れても気にせず、大声で歌い続ける。
「全然歌いたくなくならない!」
ねずみは汗をかきながら、心の底から楽しんでいた。
1年記念日とラブホテル
朝、2人は手を繋いで歩いていた。ねずみは碧の腕にぎゅっと抱きつき、「ありがとう、あおくん。今日のこと忘れない」と微笑む。
そのとき、ねずみはスマホの日付を碧に見せた。
「2024年3月13日」
それは――2人の1年記念日だった。
記念日の日に、2人は「エッチをする」と約束していた。
そして、ふと顔を上げると、目の前にはラブホテル。
お互いの顔を横目で見ながら、立ち止まる2人。
果たして、2人はどうするのか――?
ねずみの初恋ネタバレ|物語の概要と注目ポイントまとめ
- 「ねずみの初恋」は殺し屋の少女と一般青年の切ないラブストーリー
- ねずみはヤクザ組織で育ち、冷酷な殺し屋として生きている
- 碧(あお)はねずみと出会い、彼女を守るために殺しの世界に足を踏み入れる
- 2人の関係は純愛と過酷な運命の狭間で揺れ動く
- 水鳥はねずみと同じ境遇だが、過去のトラウマで複雑な感情を抱えている
- 豚磨(ますはな)はねずみや水鳥を監禁していた極悪非道なヤクザ
- 豚磨は記憶喪失となり、「村重春彦」と名乗る謎の存在となる
- 鯆(いるか)は組織の幹部で、ねずみや碧を泳がせながら監視している
- ペトロはねずみに異様な執着を見せ、彼女と碧の関係を密かに見つめている
- ねずみと碧は「1年記念日」に特別な約束を交わしている
- ねずみの記憶には欠落があり、何者かによって操作されている可能性がある
- 物語は日常の幸せなシーンと、殺し屋の冷酷な現実が交錯する
- 水鳥は浅葱(あさぎ)に恋心を抱いているが、自覚できずにいる
- ねずみと碧はおでんパーティーやカラオケなどを通して関係を深めていく
- ねずみの過去、碧の変化、豚磨の復活が今後の展開のカギとなる