【大正學生愛妻家】11話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

- 六月初旬、ふきは最近の勇吾の様子が少し違うと感じ、彼の浴衣から煙草の匂いがすることに気づきます。勇吾は否定しますが、ふきの心には疑念が残りました。
- 勇吾は突然ふきの匂いを嗅ぎ、「幸せの香り」だと甘い言葉を告げ、煙草の件はうやむやになります。
- ふきは『婦人え栞』の記事で「学生のカフェ通い」を知り、女給の存在などに不安を感じ始めました。
- 買い物中、近所の老婆たちに「女中さん!」と呼ばれて傷つき、カフェで見かけた華やかな女給たちの姿に劣等感を抱いてしまいます。
- 恋心を自覚したばかりのふきに、身分差や世間の目という新たな試練が訪れました。
【大正學生愛妻家】第11話をネタバレありでわかりやすく解説する
「女中さん」と呼ばれ、華やかな女給たちの姿に劣等感を抱いてしまったふき。第11話は、そんな彼女のもとに、かつての仲間が訪れる心温まる再会と、彼女が再び前を向くきっかけが描かれます。
元・女中仲間との再会
俯きながら家路につくふきの耳に、「女中さん!」「あれが女給さん…」という、過去に投げかけられた言葉が蘇ります。 そんな時、目の前に一台の自動車が停まり、中から美しい着物姿の女性が降りてきました。
「あっ…」 それは、ふきが橋家で働いていた頃の元・女中仲間、菊(きく)でした。 菊は、ふきの姿を認めると、わざとらしく深々とお辞儀をしてみせます。 「ご無沙汰しております 若奥様」 「なーんて…」
突然の「若奥様」呼びに、ふきは「きっ 菊~!!」と真っ赤になって慌てます。 菊は「わっ ちょっと!」と笑いながらふきに駆け寄り、二人は再会を喜び合いました。
「久しぶり! 新生活は順調?」 「…うん! もちろん!」
賑やかな訪問者たち
菊は、橋家の奥様のお使いで、ふきが置いていった古い着物などを届けに来てくれたのでした。 「えっ これ… 今日は奥様のお使いで 来たの」 「衣替えで 整理なさった 若い頃の着物 ふきにとって」
「おおお 奥様のもったいない! お礼状!」 「私今すぐ書くから! あっ お茶をその前に 冷蔵庫に お、冷やし…」 パニックになるふきを、「落ち着いて!」と優しく(?)なだめます。 「台所の用は 私がするから ふきはお礼状 書きな」と菊。 「助かる~~! 台所あっちね!」とふき。
変わらない友情と、菊からの叱咤激励
ふきがお礼状を書いている間、菊はお茶を淹れながら、橋家の近況を話してくれます。 「毎日 スミがね うるさいのよ」「ふきさん いなああ~~い あたしも小さいお屋敷に 坊ちゃんがいるお屋敷に 転職しよっかなあ~~」と、ふきがいなくなった寂しさを大声で訴えている様子。 菊は「そんな夢みたいな話 そうそう転がってるわけないわ! ってね」と笑いますが、ふきは(夢みたいな話 なのにね…)と、自分の状況を改めて実感するのでした。
ふきがお礼状の漢字を間違え、菊に「この漢字 合ってるっけ」「…棒一本 多くない?」と指摘される一幕も。慌てるふきに、菊は「やだも~ 書き直しなさ や 失礼になっちゃう」と優しく(?)笑います。
楽しい時間はあっという間に過ぎ、菊たちは帰る時間になりました。 車が待っているため、名残惜しそうにするふき。 そんな彼女に、菊は帰り際、ふと真剣な表情で語りかけます。
「…ねえ ふき」「私ね ここに来る前 すっかり ふきは変わってるかもって 思ってたの」 「えっ?」 「なんせ 本家跡取りの 妻だもの 前みたいに 口もきいてもらえないかもって」
その言葉に、ふきは衝撃を受けます。自分がそんな風に思われていたなんて。 「はぁ!? わたくし 禍(わざわい)の妻ですよ まさか ない!」 必死に否定するふき。
すると菊は、ふきの服装や、台所に置かれた**根菜の葉っぱ(!)**に目をやります。 「着物はそのままだし おまけに 台所のあれ… 大根の葉やら ねぎの根やら」 「ああ! あれ 水につけとくと 葉っぱが育って 食べられるから… 節約!」 あっけらかんと答えるふきを見て、菊は「ふふっ」と安心したように笑いました。
「内心ホッとしちゃった 私の大好きな 前のあんたの ままだから」 しかし、菊の表情はすぐに厳しくなります。 「そのまま過ぎて 心配になったわ 橘家の 一員になったの!?」 「なーんか弱気で 無理してるし 出ちゃってるし!」
菊は、奥様がふきを心配して、たくさんの美しい着物を贈ってくれたことを指摘します。 そして、ふきの肩を掴み、力強く言いました。
「いい? これからは もっと胸張って 若奥様らしい 気持ちを持つこと!」 「ふきは自慢だから! 私自慢だから! じゃあね!」
菊からの、厳しくも愛情のこもったエール。 その言葉は、劣等感に沈んでいたふきの心に、温かい光を灯しました。
新しい着物と、夫への想い
一人になったふきは、菊の言葉を反芻します。 (あれ? なんか心が 軽くなってる…) (菊と話せて よかったな つらかった時も いつも一緒だった 菊)
彼女は、奥様から贈られた着物の包みを開けます。中には、上品で美しい着物がたくさん入っていました。 (わぁ… 私なんかに もったいない! って思っちゃうけど…) (これを着たら 勇吾さま いいなって 思ってくれるかな?)
ふきは、鏡の前で着物を体に当ててみます。 (奥様の優しいお気持ちも 菊の励ましも ちゃんと受けとめて 感謝できる 自分でありたい)
彼女は、自分らしくいることと、新しい立場を受け入れることのバランスを見つけようとしていました。 そして、意を決して、贈られた着物の中から一つを選び、身支度を始めたのです。
変身した妻と、夫の言葉
その日の夕方。勇吾が学校から帰ってきました。 「ただいま! ふき」 いつもより少し早い帰宅。彼は玄関で、ふきの姿を見て息を飲みます。
そこには、贈られた美しい着物をまとい、髪を結い上げ、薄化粧を施した、いつもとは違うふきの姿がありました。
「おかえりなさいませ…」 恥ずかしそうに俯くふき。勇吾は、言葉を失い、ただただ彼女を見つめています。
「ふき?」 「あのっ 菊が 今日 奥様からの 差し入れを それで たくさんお着物を… 自分で お化粧なんて 久々すぎて 変かもだけど…」 早口で言い訳をするふきに、勇吾はゆっくりと近づきます。
そして、ふきの両肩に手を置き、彼女の顔を覗き込みました。 「あっ もっとよく 見せて」
至近距離で見つめられ、ふきの心臓は高鳴ります。 勇吾は、美しい妻の姿を目に焼き付けるように見つめ、そして優しく微笑んで言いました。
「なあ ふき」 「今から一緒に 出掛けないか?」
それは、まるで初めてのデートへの誘い。 勇吾の言葉に、ふきの心は期待と喜びで満たされるのでした。
【大正學生愛妻家】11話を読んだ感想(ネタバレあり)
菊さん、ありがとうーーー!! 第11話、ふきの心が救われていく過程が本当に感動的でした! まさに「春蘭秋菊」、それぞれが持つ美しさが輝いた回でしたね。
まず、菊さん、スミさん、蘭さんの元・女中仲間トリオ! 彼女たちの登場で、場の空気が一気に明るくなりましたね。特に菊さんの存在感がすごい! ふきを「若奥様」ってからかいながらも、その実、誰よりもふきのことを心配して、本気で叱咤激励してくれる。最高の友達じゃないですか!
菊さんの「本家跡取りの妻だもの 前みたいに口もきいてもらえないかもって」という心配は、当時の身分差を考えるとリアルですよね。でも、ふきが相変わらず大根の葉っぱを育てているのを見て(笑)、「私の大好きな前のあんたのままだから」って安心するところ、すごく温かくてジーンときました。
そして、その後の「そのまま過ぎて心配になったわ!」「もっと胸張って若奥様らしい気持ちを持つこと!」「ふきは自慢だから!」という言葉! これぞ親友からの最高の檄(げき)! 劣等感に沈んでいたふきにとって、これ以上ない励ましになったはずです。菊さん、本当にいい仕事してくれました!
菊さんの言葉を受けて、ふきが奥様からの着物と向き合うシーンも良かったですね。 「私なんかに もったいない」という気持ちと、「これを着たら勇吾さま いいなって思ってくれるかな?」という乙女心。そして、「ちゃんと受けとめて感謝できる自分でありたい」という決意。ふきが、自分の気持ちと新しい立場を受け入れ、前を向こうとする姿に胸が熱くなりました。
そして、ラストの変身シーン! 美しい着物を着て、髪を結い、お化粧をしたふき…めちゃくちゃ綺麗!! 勇吾が息を飲んで言葉を失うのも当然です! 読んでいるこっちも息を飲みました! からの、「もっとよく見せて」で顔を近づけて、「今から一緒に出掛けないか?」ですって!?
勇吾さま、それはもう完全にデートのお誘いですよ!! 美しい妻の姿を見て、いてもたってもいられなくなったんですね!? 「契約」とか「同じ気持ちになるまで待つ」とか言っていたのはどこの誰ですか!(笑) でも、そんな理性を吹き飛ばすくらい、ふきの変身が魅力的だったということですよね! 最高に甘い展開で、次回のデート(?)が楽しみすぎます!
【大正學生愛妻家】11話のネタバレまとめ
- 劣等感に沈むふきのもとに、元・女中仲間の菊(きく)が訪ねてくる。
- 菊は、橋家の奥様のお使いで、ふきのために用意された美しい着物を届けに来ていた。
- 賑やかな再会を楽しむ中で、菊はふきが変わっていないことに安堵しつつも、「そのまま過ぎて心配になった」と叱咤激励する。
- 菊は「これからはもっと胸張って若奥様らしい気持ちを持つこと! ふきは自慢だから!」と、ふきを力強く励ました。
- 菊の言葉に心を動かされたふきは、奥様の気持ちと菊の励ましを受け止め、「勇吾さまがいいなって思ってくれるかな?」と、贈られた着物を着て身支度を整える。
- そこへ帰宅した勇吾は、美しく着飾り、化粧をしたふきの姿を見て言葉を失う。
- 勇吾はふきの顔を覗き込み、「もっとよく見せて」と言った後、「なあ ふき。今から一緒に出掛けないか?」と、デートに誘った。
◁前の記事はこちらから

▷次の記事はこちらから



