復習モノ

【物語は鮮やかに縁は儚く】14話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 青梨(チンリー)は何者かに拉致され、廃倉庫で麻袋に入れられ縛られていました。
  • 沈依依(シェン・イーイー)は、自分が青梨に襲われ「流産しかけた」と嘘をつき、夫・寒洲(ルー・ハンヂョウ)はそれを信じ込みます。
  • 寒洲は、部下に「依依が受けた傷の10倍にして返せ」と命じ、部下は妊娠中の青梨の腹部を何度も激しく蹴りつけました。
  • 寒洲は、血を流す青梨を放置し、「お腹がすいた」という依依を連れて帰ろうとしました。
  • 青梨は自力で脱出し、血まみれで立ち上がり、寒洲に向かって「私たちの子を殺した!」「あなたを永遠に許さない!」と絶叫します。
  • 寒洲は青梨の叫びを「聞き間違いだ」と否定し、依依を連れて立ち去りました。
  • 依依は一人で倉庫に戻ると、瀕死の青梨の流産をあざ笑い、自分の妊娠と、一連の事件が自分の計画であったことを自白し、脅迫しました。
  • 一人残された青梨は、激痛の中で「私の子供の仇を討つ」と、復讐を強く誓いました。

【物語は鮮やかに縁は儚く】第14話をネタバレありでわかりやすく解説する

前回、夫・寒洲と、その本妻・依依の残酷な策略によって、宿したばかりの命を踏みにじられた青梨。 第14話は、その直後、青梨が経験する「地獄」と、何も知らない寒洲が過ごす「日常」が、あまりにも鮮烈な対比で描かれることになりました。 まさに、本作のタイトルを象徴するかのような、鮮やかな「悲劇」と儚い「縁」の物語です。

手術台の上の孤独「自分でサインします」

物語は、手術室の無影灯(手術の際に使われる影のできないライト)の光から始まります。 そこには、血と涙の跡が残る青梨が、手術台の上に横たわっていました。 彼女は、あの後、病院に運び込まれたのです。

医師は、彼女に淡々と、しかし残酷な現実を告げます。 「宋さん、流産で大量出血しています」 「家族の署名が必要です。子宮内容除去術に同意するという…」

子宮内容除去術とは、流産によって子宮内に残ってしまった内容物を取り除き、母体の感染症を防いだり出血を止めたりするために行われる、緊急性の高い手術のことです。 本来であれば、夫である寒洲が駆けつけ、署名すべきもの。 しかし、彼女のそばには誰もいません。 青梨は、弱々しい声で答えます。

「大丈夫です。自分でサインします

この一言に、彼女の完全な孤独が集約されています。 彼女は、自分のお腹の子の「死」の処置に、自分自身で同意するしかなかったのです。

魂の問い「どうして私の心はこんなに痛いの…」

手術の同意を終えた青梨は、息も絶え絶えに、医師に問いかけます。 「先生… 子供、まだ6週なのに。あの子は何も感じていない… でしょう?」 「本当に何も感じていないの?」

彼女は、せめてもの救いを、我が子が苦しまなかったという事実に見出そうとします。 医師が「はい」と答えても、青梨の苦しみは消えません。

どうして私の心はこんなに痛いの…

たとえ6週間の命でも、それは確かに彼女の「希望」であり、「神様がくれたプレゼント」でした。 その痛みを胸に、青梨は意識を失う直前、この悲劇を引き起こした男の名を呼びます。 「陸寒洲… 私たちにも子供がいたのよ」 それは、届くことのない、あまりにも悲痛な叫びでした。

一方、加害者の食卓「パパが作った麺、いい匂い!」

場面は一転し、その頃の陸寒洲の家、夜のリビングが映し出されます。 そこには、青梨が味わった地獄とは無縁の、「幸せな家族」の光景が広がっていました。 ソファには、沈依依と娘の安安が座っています。 そして、寒洲が運んできたのは、湯気の立つ麺料理でした。

「わあ、パパが作った麺、いい匂い!」 安安は無邪気に喜び、麺を頬張ります。 「食いしん坊め。お腹すいただろ」 寒洲も、安安にだけは、父親としての穏やかな顔を見せます。 安安は「ママのお腹の弟がお腹すいたんだよ」と、依依の妊娠が、この「家族」の共通認識であることを示します。

夫の冷酷な本音「どうせ俺と青梨の子じゃない」

依依は、幸せそうに寒洲に尋ねます。 「寒洲。あなたは男の子と女の子、どっちが好き?」 その質問は、かつて青梨も寒洲にしたであろう、幸せな未来の象徴です。 実際に、青梨が同じ質問をする、若き日の二人の回想シーンが挿入されます。

しかし、現在の寒洲の表情は、回想とは違い、冷え切っていました。 彼は、依依の質問にこう答えます。 「どっちでもいい」 そして、衝撃的な本音を漏らしました。

どうせ… 俺と青梨の子じゃない

この一言で、リビングの空気は凍りつきます。 依依の表情は曇りました。 寒洲は、依依とお腹の子を「守る」と誓い、青梨を切り捨てたにもかかわらず、その心の中では、未だに「青梨との子供」だけを望んでいたのです。 彼は、自分が望む「青梨との子供」が手に入らないという現実(実際には、彼自身がその命を奪ったのですが)に絶望し、依依との間に生まれる新しい命を「どうせ」と切り捨てている。 あまりにも身勝手で、歪んだ本音でした。

罪悪感の行方「ちょっと出てくる」

重苦しい空気の中、依依は「パパは疲れたのよ」と安安にフォローさせようとします。 しかし、寒洲は「パパは食べない」と、その場にいることすら拒絶するように立ち上がりました。

「安安を頼む。ちょっと出てくる」 依依は慌てて彼の腕を掴みます。 「寒洲、こんな夜遅くに どこへ行くの?」 彼女は、寒洲の心がどこへ向かっているのか、本能的に理解していたのでしょう。

寒洲は、青梨の絶叫を「聞き間違いだ」と切り捨て、彼女を見殺しにしました。 しかし、その罪悪感(あるいは執着)から逃れることはできず、彼は再び、自分が破壊したはずの「青梨」の影を求めて、夜の闇へと出ていくのです。

【物語は鮮やかに縁は儚く】第14話を読んだ感想(ネタバレあり)

第14話は、これまでのエピソードの中で、最も精神的に辛い回でした。 手術室の青梨と、リビングの寒洲たち。 この残酷なまでの「対比」が、物語の悲劇性を極限まで高めています。

青梨が「自分でサインします」と言うシーンは、彼女の孤独を象徴していて、涙なしには見られませんでした。 そして「どうして私の心はこんなに痛いの…」という問い。 彼女が、どれほどお腹の子を愛していたか、その短い時間の間に、どれほど大きな「希望」を見出していたかが伝わってきて、本当に胸が張り裂けそうでした。

一方で、加害者である寒洲。 彼の「どうせ俺と青梨の子じゃない」というセリフには、戦慄しました。 これは、依依にとっては、寒洲が青梨を忘れられないという残酷な真実であり、青梨にとっては、自分が望んだ子供を、望んでもいない男が殺したという、二重の地獄です。 彼は、自分が今まさに殺した「青梨との子供」の存在を知らずに、青梨との子供がいないことを嘆いている。 これほどの皮肉があるでしょうか。

彼は、青梨への「愛」も、依依への「責任」も、安安への「父性」も、その全てが中途半端で、歪んでいます。 結局、彼が愛しているのは「自分の理想の人生(青梨と子供がいて、依依が影で支える)」だけであり、現実の誰も愛していない。 その結果が、この惨劇を生んだのだと痛感しました。 「ちょっと出てくる」と家を出た彼が、次にどんな行動に出るのか。 そして、全てを失った青梨が、ここからどう立ち上がるのか、目が離せません。

【物語は鮮やかに縁は儚く】第14話のネタバレまとめ

  • 廃倉庫で倒れた青梨は病院に運ばれ、流産による大量出血で「子宮内容除去術」が必要だと告げられます。
  • 家族がいない青梨は、たった一人で手術の同意書にサインします。
  • 青梨は、失った我が子を思い「どうして私の心はこんなに痛いの…」と涙を流し、「私たちにも子供がいたのよ」と言い残し意識を失います。
  • 一方、寒洲の家では、寒洲、依依、安安が「家族団らん」で麺料理を食べていました。
  • 依依から「男の子と女の子、どっちが好き?」と聞かれた寒洲は、「どっちでもいい。どうせ俺と青梨の子じゃない」と冷たく言い放ちます。
  • 寒洲は、罪悪感か執着からか、食事を拒否し「ちょっと出てくる」と、夜遅くに家を出ていきました。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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