【物語は鮮やかに縁は儚く】5話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

- 復讐の準備を進める青梨は、沈依依のSNSで、寒洲・依依・安安の3人が「偽りの家族」として親子レストランに行っている写真を発見していいねを押します。
- ビデオ通話で寒洲は慌てて「キャンプ帰りの安安と食事しただけ」と嘘をつきます。
- 依依は安安に目配せし、それを見た安安は「私が行きたかったの」と依依をかばい、青梨に嘘をつきます。
- 青梨は、6年間育ててきた娘・安安も全てを知った上で自分を騙していたことに気づき、絶望と怒りを抱きます。
- 「どいつもこいつも最低」と、青梨は夫だけでなく娘に対しても、完全な決別を誓います。
【物語は鮮やかに縁は儚く】第5話をネタバレありでわかりやすく解説する
娘・安安からの裏切りという、最も残酷な一撃を受けた青梨。 第5話は、彼女が過去の美しかった誓いと、裏切りの予兆を一つ一つ振り返り、積み上げてきた「偽りの愛」の全てに火を放つ、「決別」の回です。 夫が用意しようとしている盛大な茶番劇を前に、青梨の覚悟が静かに、しかし確実にかたまっていく様子が描かれます。
夫の誓いと「最高のサプライズ」の予告
物語は、第4話の衝撃的なビデオ通話の続きから始まります。 画面の向こうで、夫・陸寒洲は、青梨の冷め切った表情にも気づいていません。 前回の「どいつもこいつも最低」という激しい宣言は、青梨の脳内での叫びでした。 寒洲の「ハニー?」という呼びかけに、青梨ははっと我に返ります。
彼は、何も知らないまま甘い言葉を続けました。 「ハニー。あと3日で 俺たちの結婚記念日だ」 「その時は、最高のサプライズを用意する」
青梨は荷造りの手を止め、皮肉のこもった笑みを浮かべます。 「まだサプライズがあるの? もう十分驚かされたわ」 そう呟く青梨に対し、寒洲はさらに真剣な表情で、過去の美談を語り始めました。
「陸家は多額の負債を抱え、誰もが俺を避けたとき、君は離れずにいてくれた」 「ハニー。愛してる」
彼が語る「どん底を支えた」という過去は、青梨にとっては紛れもない事実です。 しかし、その最大の恩人である青梨を裏切り、その愛を踏みにじったのが、目の前で「愛してる」と語る寒洲自身であることに、彼は気づいていません。 青梨は「電池が切れそう。じゃあまた」と作り笑顔を貼り付け、一方的にビデオ通話を切断します。 その顔から笑顔が消え、冷たく硬い表情に戻るまでに、1秒もかかりませんでした。
七年前の純粋な誓い「もし騙したら、完全に消える」
夫の薄っぺらい愛の言葉を聞き、青梨の脳裏に、七年前の記憶が鮮明によみがえります。 まだ二人が純粋に愛し合っていた頃。 会社が経営危機に陥り、青梨が「プロジェクトが決まれば」と無理な接待の席に参加していました。
寒洲は「女の子だから潰されるかも」と心配しますが、青梨は「プロジェクトが決まれば会社は危機を抜けられる」と、酔っ払い特有の謎の強気を見せていました。 しかし、そんな彼女も、彼に一つの「誓い」を立てさせていたのです。 青梨は笑顔で、しかし真剣な目で釘を刺します。
「寒洲、騙さないでね」 「もし騙したら、あなたから離れるわ。あなたの世界から 完全に消えるから」
寒洲は彼女の手を取り、真剣な表情で誓いました。 「バカだな。俺、寒洲は、永遠に青梨だけを愛す」 二人はそう言ってキスを交わしました。 「永遠に青梨を騙さない」という彼の誓いは、あまりにも脆く崩れ去ったのです。
六年前の裏切り「全てに予兆はあった」
回想はさらに、六年前の結婚記念日に飛びます。 青梨がケーキの前で「寒洲が健康でずっと一緒にいられますように」と幸せそうに祈っている、その最中でした。 寒洲の携帯電話が鳴り、彼は深刻な表情で「会社で緊急会議があるんだ」と慌てて部屋を出ていきます。
今となっては明白です。 この「緊急会議」こそが、沈依依に関連する、彼の数えきれない嘘の始まり、あるいはその予兆の一つだったのでしょう。 青梨は、これまでの出来事を思い返し、静かに悟ります。
「全てに予兆はあったのね」 「人は変わるし、心も変わるものなのね」 信じていた愛が、勘違いと嘘で塗り固められた幻想であったことを、彼女は静かに受け入れました。
偽りの愛の証拠を燃やし、過去との決別
決意を固めた青梨は、ドレッサーの引き出しを開けます。 そこには、これまで彼女が「幸せの証」として大切にしまっていた、寒洲と青梨、そして安安が写る「家族写真」の束が隠されていました。 それは、彼女が守ろうとしてきた「偽りの幸せ」の象徴そのものです。
青梨は、その写真の束を無言で手に取ると、ライターで火をつけました。 彼女の頬を、最後の一筋の涙が流れます。 しかし、その涙は燃え盛る炎の熱ですぐに乾き、彼女の表情は氷のような決意に満ちていました。 燃え上がる偽りの愛の証拠をゴミ箱に捨て、彼女は静かにつぶやきます。
「もう終わりよ」
奇しくもその頃、オフィスにいた寒洲が、突然激しい胸騒ぎに襲われます。 「なぜ心がざわつくんだ。青梨に何かあったのか?」 本能的な不安に駆られた彼は、青梨の身を案じ、慌ててオフィスを飛び出しました。 それはまさしく、青梨が彼への全ての愛と未練を、炎と共に葬り去った瞬間のことでした。
【物語は鮮やかに縁は儚く】第5話を読んだ感想(ネタバレあり)
第5話は、嵐の前の静けさ、というよりも、嵐の直前に覚悟を決める、非常に重要な「決別」の回でした。 特に印象的だったのは、青梨が燃やした写真です。 てっきり、第4話で存在が発覚した「寒洲と依依と安安の(本物の)家族写真」を燃やすのかと思いきや、彼女が燃やしたのは「自分と寒洲と安安の(偽りの)家族写真」でした。
これは、あまりにも重い決断です。 他人の幸せを壊すのではなく、自分がこれまで「幸せ」だと信じて築き上げてきたもの、その幻想の全てを、自分の手で葬り去ったのですから。 「もう終わりよ」というセリフは、寒洲への決別であると同時に、過去の「何も知らずに幸せだった自分」への決別でもあるのだと感じ、胸が締め付けられました。
そして、七年前に「もし騙したら、完全に消えるから」と、青梨自身が警告していたという回想。 この誓いが、彼女の現在の行動の、強力な原動力になっていることがわかります。 彼女は、あの時の自分の言葉に、7年の時を経て責任を果たそうとしているのですね。
最後の、寒洲が胸騒ぎを感じるシーンも皮肉が効いています。 青梨が愛を捨て去った瞬間に、彼が不安を感じる。 それは、二人の間にまだ何かしらの見えない繋がりが(たとえそれが悪縁だとしても)残っている証拠なのかもしれません。 いよいよ次回は、寒洲が用意した「最高のサプライズ」の当日。 全てを捨てた青梨が、どんな顔でその日を迎えるのか、目が離せません。
【物語は鮮やかに縁は儚く】第5話のネタバレまとめ
- 夫・寒洲は、記念日に「最高のサプライズ」を用意すると予告しますが、青梨は「もう十分驚かされた」と冷たくあしらいます。
- 青梨は、七年前に自分が寒洲に対し「もし騙したら、あなたの世界から完全に消える」と警告していたことを思い出します。
- 六年前の結婚記念日にも、寒洲が「緊急会議」という嘘をついて(依依の元へ?)行っていた予兆があったことを悟ります。
- 青梨は、決意を固め、これまで大切にしてきた「自分と寒洲、安安の(偽りの)家族写真」を全て燃やし、過去と決別します。
- その瞬間、オフィスにいた寒洲は強烈な胸騒ぎを感じ、青梨の身を案じてオフィスを飛び出します。
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