【じゃああんたが作ってみろよ】1話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

【じゃああんたが作ってみろよ】第1話をネタバレありでわかりやすく解説する
物語は、一組のカップルの穏やかな食卓から始まります。
完璧だったはずの日常
主人公の勝男(かつお)は、同棲している恋人・鮎美(あゆみ)が作った手料理を囲んでいます。 食卓には鯖の味噌煮や厚揚げの味噌汁など、心のこもった料理が並びます。勝男は「鯖の味噌煮もくさみがないし」「味噌汁の厚揚げもホッとする味で最高だ」と、鮎美の料理を素直に褒めます。献立の栄養バランスが良いことにも感心している様子です 。
しかし、その直後、勝男はふと気づいたように口を開きます。 「全体的におかずが茶色すぎるかな?」「もっと彩りを取り入れたほうがいい」。 この言葉に、鮎美は「ごめんなさい 勝男さん」と素直に謝罪します。 勝男は悪びれる様子もなく、「あやまらないで!」「鮎美ならもっと上を目指せるって意味でのアドバイスだから」と続けます。彼にとって、これはあくまで「良い関係」を築くための前向きなアドバイスのつもりでした。
食後の洗い物の場面でも、二人の関係は良好に見えます。 勝男は「鮎美のサポートで本当に助かってるよ」と感謝を伝え、鮎美も「大好きな勝男さんのためだもん!」と笑顔で応えます。
完璧なプロポーズ計画
場面は変わり、職場の飲み会らしきシーンに移ります。 勝男は同僚たちに、鮎美と付き合って「もう5年もたつし 責任取らなきゃって」と、結婚を考えていることを打ち明けます。 同僚から「夜景が見えるフレンチでプロポーズしそ〜」と冷やかされますが、勝男は「それがさ 『ローズ』って思い出の店の予約がなかなか取れなくて」と悩みを口にします。
勝男は、大学時代に「ミス&ミスターでパーフェクトカップル」と呼ばれていた過去に、強いこだわりを持っている人物です。 そのため、「居間のコタツじゃかっこつかないだろ!」、「俺たちは完璧じゃなきゃ」と、プロポーズのシチュエーションにも完璧さを求めていました。
記念日が近づく中、ダメ元で「ローズ」に電話をかけた勝男。すると、なんと「ちょうどキャンセルが!!」という奇跡が起こります。 勝男はこれを「神が味方している!」と確信し、「俺たちの完璧なプロポーズを!」と意気込みます。
突然の別れ
完璧な舞台が整い、勝男は鮎美に「鮎美! 今日さ 外食しようよ!」と、レストランへ誘います。 しかし、店に着いた鮎美の表情は暗く、彼女の口から出たのは「ん〜無理」という、予想もしなかった言葉でした。
何が起こったのか理解できない勝男。 鮎美は「最近ずっと考えてて・・・」と切り出し、静かに「別れたいの」と告げます。 「なんでだよ」と理由を問う勝男に対し、鮎美は冷めた目でこう言い放ちます。 「勝男さんにはわからないだろうし わかってほしいとももう思わないかな」。
完璧な人生の崩壊
完璧なプロポーズの日にフラれたという事実は、勝男のプライドを打ち砕きます。 「プロポーズしてフラれたなんて 俺らしくない」。彼は、フラれることなど微塵も考えず、「式で着るスーツのために体絞っててさ!」と、未来のことばかり考えていたのです。 鮎美がいなくなり、食事はコンビニ飯になりますが、「外食は味が濃いし」「コンビニ飯は味がぼやけている」と感じるばかり。 失って初めて、鮎美の作ってくれた食事が「完璧だった・・・」と痛感します。
同僚から「鮎美にフラれたんだって?」と聞かれても、「フラれたというか 双方の合意で」と強がることしかできません。
価値観のズレ
傷心の勝男はバーで飲んでいると、女性たちから声をかけられます(いわゆる逆ナンです)。 学生時代からモテてきた 彼は、「女なんていくらでもいる」と、まだ心のどこかで余裕を見せています。 好みのタイプを聞かれた勝男は、「筑前煮をおいしく作れるような子がタイプかな」と答えます。 しかし、女性たちの反応は冷ややか。「昭和男子って感じ(笑)」「デパ地下で買ってきたらちゃぶ台返ししそ〜」と笑われてしまいます。
勝男は、自分の価値観が世間とズレていることに気づきません。「鮎美と付き合っている間に(世間が)変わってしまったのか!?」と、自分ではなく周りの変化を疑う始末です。 この話を聞いた後輩の白崎(飲み会で「俺が料理担当」と言っていた人物)は、「この世代にんな化石みたいな人いたんだ!」と心の中で呆れ返ります。
「じゃああんたが作ってみろよ」
ここで後輩が、まさに物語のタイトルを体現するような提案をします。 「じゃあ〜 筑前煮作ってみたらどうです?」「元カノさんとか最近出会った女子たちの気持ちわかるかも!」。 勝男は「要は切って煮ればいいわけだろ」と、料理を甘く見ていました。
しかし、実際に作ってみると、それは想像を絶する手間のかかる作業でした。 鮎美がいつも当たり前のようにやっていた、れんこんや人参の飾り切り 。 勝男が感謝を伝えたことさえあったか定かではない、毎朝の出汁取り 。 こんにゃくのアク抜き 、落し蓋の準備 、彩りのためのサヤインゲンの別茹で 。 勝男は「出汁の準備がいるって初めから言ってくれよ」、「落としブタなんてねえよ!」と、次々と現れる「当たり前」の手間にイライラを募らせます。
突きつけられた真実
悪戦苦闘の末に完成した筑前煮は、見るからに「茶色・・・」で、味も「うっすいし硬い・・・」という、ひどい出来栄えでした。
その時、冷蔵庫の中に鮎美が使っていた保存容器を見つけます 。 几帳面な鮎美が書いた日付は「3月10日」。 「これ・・・ プロポーズした日だ」。 中には、あの日食べられることのなかった筑前煮が入っていました。
腐っているはず の鮎美の筑前煮は、自分が今作ったものより「ずっときれいで」「おいしそうだった」のです。 勝男は、自分が鮎美の努力と愛情に気づかず、「『ありがとう』とは言いつつ」「あたりまえみたいに鮎美のご飯を食べてた」という、自分の取り返しのつかない過ちにようやく気づきます。 「もう鮎美はきっと帰ってこない」。
変化への第一歩
自分の傲慢さと、見放された現実を突きつけられた勝男は、「ごめん・・・」と涙を流します。 そして、「俺は変わりたい」と決意を固めます。
後日、勝男はリベンジした筑前煮を後輩たちに試食してもらいます。 反応は「見た目すっごい茶色いですね〜」、「食感もキモいです!」と、相変わらず散々なものです。 しかし、後輩の女性は、まずそうに食べるものの、笑顔でこう言います。 「チャレンジした その心意気は」「百万点ですよ!」。
その言葉に、勝男は思わず涙ぐみます 。 彼はエプロンを買い、「変わってみせる!」と固く誓うのでした。
一方その頃、鮎美はクラブのような場所で、友人たちと「やっぱ 最高〜〜〜〜〜〜!!」と、解放されたように心から楽しんでいる様子が描かれ、第1話は幕を閉じます。
【じゃああんたが作ってみろよ】第1話を読んだ感想(ネタバレあり)
第1話から、非常に考えさせられる、衝撃的な内容でした。 最初は、勝男の「アドバイス」や「サポート助かってる」といった言葉から、一見すると理想的なカップルのように見えました。 しかし、物語が進むにつれて、彼の「完璧」へのこだわり や、「料理は女性がするもの」という無自覚な固定観念(白崎への驚き や、逆ナン相手への発言 )が、いかに鮎美を追い詰めていたのかが分かってきます。
鮎美が別れ際に言った「わかってほしいとももう思わないかな」というセリフは、彼女がどれほど長い間我慢し、諦め、心が離れていってしまったのかを物語っており、非常に重く感じました。 そして、本作のタイトルでもある「じゃああんたが作ってみろよ」を、文字通り勝男が実践する展開は圧巻です。 「出汁」や「落し蓋」に文句を言う姿は、料理を「あたりまえ」だと思っていた人間のリアルな姿で、読んでいて胸が痛くなりました。
プロポーズの日に作られた、腐っていても美しい鮎美の筑前煮 。 それと対比される、勝男が作った茶色く味の薄い筑前煮 。 この対比こそが、彼が失ったものの大きさを何よりも雄弁に語っていると感じます。 ただ、最後に「変わりたい」と涙し、不器用ながらも一歩を踏み出した勝男を、後輩が「百万点」と評価したシーンには救いがありました。 人は過ちに気づき、変わることができる。そんなメッセージも込められているのかもしれません。 勝男がこれからどう変わっていくのか、そして自由を手に入れた鮎美がどんな道を選ぶのか、続きが非常に楽しみです。
【じゃああんたが作ってみろよ】第1話のネタバレまとめ
- 主人公の勝男は、恋人の鮎美に完璧なプロポーズを計画します。
- 勝男は、鮎美の料理に「彩りが茶色い」など、無自覚なアドバイスという名のダメ出しを繰り返していました。
- 完璧なレストランを予約したプロポーズ当日、鮎美から「別れたいの」と突然別れを告げられます。
- フラれた理由が理解できない勝男は、バーで「筑前煮をおいしく作れる子」と発言し、女性陣から「昭和男子」と引かれてしまいます。
- 後輩に勧められ、初めて自分で筑前煮作りに挑戦しますが、その手間と難しさに驚愕します 。
- 冷蔵庫に残っていた、プロポーズの日に作られた鮎美の筑前煮 を発見し、自分が彼女の努力を「あたりまえ」に受け取っていた過ちに気づきます。
- 勝男は涙ながらに「変わりたい」と決意し、料理を始めます。
- 一方、鮎美は勝男と別れ、友人たちとクラブで解放されたように楽しんでいました 。
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