【じゃああんたが作ってみろよ】12話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 第11話では、勝男(かつお)がマッチングアプリで出会った椿(つばき)との家デートで、手作りのおでんを振る舞いました 。
  • しかし、椿はおでんに対し「コンビニくらいおいしい」などと辛辣な評価をし、勝男の気持ちを踏みにじります 。
  • 椿の無神経な言動に、勝男はかつて鮎美(あゆみ)へダメ出ししていた自分自身の姿を重ね合わせ、「椿は 俺だ」と痛感し愕然としました 。
  • しかし、椿もまた元カレを引きずってマッチングアプリを始めたことが判明し、二人は意外にも「失恋友達」となります 。
  • 翌朝、椿が作った納豆トーストを食べる中で、勝男は「相手を思ってメニューを考える時間も料理のうち」だと学びました 。
  • 初めてできた「女友達」との交流を通じて、「人として鮎美を理解できていたら…」と過去の関係を省みます 。
  • そこへ、勝男の苦手な**兄・鷹広(たかひろ)**が訪ねてきて、椿といるところを「浮気現場」だと勘違いされるという最悪のタイミングで幕を閉じました 。

【じゃああんたが作ってみろよ】第12話をネタバレありでわかりやすく解説する

勝男の家に突然現れた兄・鷹広。気まずい雰囲気の中、第12話は勝男と兄との複雑な関係性が描かれます。

自慢だった兄との距離

勝男にとって、兄・鷹広は子供の頃のヒーローでした。 よく遊んでもらい、お下がりは宝物だった 。人気者でスポーツ万能な兄は、勝男の自慢でした 。 しかし、「いつからだろう 並んで歩きたく なくなったのは」 。成長するにつれ、二人の間には距離が生まれていました。

鷹広は、勝男の家に泊まっていた椿(つばき)を見て、「こんな美人とひと晩過ごして なんもないってそんな」とからかいますが、椿が「本当だから!」と反論すると、「まぁ 男だし 遊びたい気持ちは わかるけどな」と、勝男の言い分を全く信じていない様子です 。 強引に「とにかく今晩 飯だからな」と言い残し、嵐のように去っていく兄 。椿は「めっちゃ気力 吸い取られてるじゃん!」と心配しますが、勝男は「嫌いまでは いかないけど」「兄貴だし… 家族だから」と、複雑な心境を吐露します

九州居酒屋での兄との対話

その夜、勝男は鷹広に連れられ、九州居酒屋へ行きます 。 兄は早々に鮎美との別れ話に触れ、「あ〜あ〜 鮎美ちゃんに 逃げられ ちゃったか〜」「勝男は昔から メソメソ情けなかったし 愛想尽かしちゃったん だろうな〜」と、デリカシーのない言葉を浴びせます 。 さらに、「そう言うことだから」と、勝手に母へ伝えるよう言い放ちます 。勝男は何も言い返せません。

鷹広は、今回の出張が、大分で観光施設を建てる会社の仕事であり、ゴルフや会食、取引先へのあいさつ回りなどで忙しいと語ります

明かされる家族の事情と兄の本音

そして、鷹広は衝撃の事実を告げます。「俺来年度から 親父の会社継ぐじゃん?。 さらに、「親父 最近社員から 老害つって 嫌われててさ〜」と、勝男が知らなかった父親の一面を明かします 。勝男は「えっそうなの 俺のイメージとちがう…」と驚きを隠せません 。 鷹広は、社長就任の祝いを家族でするから勝男も来るように、と半ば強引に誘います

また、来月大分である友人の結婚式に、勝男が鮎美と出席する予定だったことを持ち出し、「元々は鮎美と出る つもりだったけど」と、勝男の傷をえぐります 。 話は、もう一人の兄・**虎吉(とらきち)**のことへ。鷹広は、虎吉が正月に実家へ顔を出さなかったこと、孫にも会わせようとしないことへの不満を漏らします

とり天と、兄の意外な一面

大分出身の鷹広は、「こことり天ないの?」と店員に尋ね、好物のとり天がないことにがっかりします 。勝男も「最近とり天 食べてないな」「東京はなかなか ないもんな」と考え、自分も今度作ってみようか、と思います

酔いが回ってきた鷹広は、「鮎美ちゃんも もうおらんし」「自分で作らんと いけんもんなあ」と勝男をからかいつつ、「あの椿ちゃんって子 料理しないのか?」と、勝男がまだ何も言っていない椿のことまで持ち出します 。 そして、「とり天揚げてくれる 嫁さん早く つかまえろよ〜」と、結局は古い価値観を押し付けるのでした 。 勝男は、自分が料理を始めたこと、筑前煮を作れるようになったことを兄に伝えようとしますが、鷹広は「おまえに話したところで どうにもならんよ」と、全く聞く耳を持ちません 。 「やっぱり俺は期待 されてない。勝男は、兄との間にある深い溝を改めて感じます。

兄への新たな視点 – 同じ「呪い」

勝男は、幼い頃からの兄弟関係を回想します。 人気者の長男・鷹広、成績学年1位の次男。自慢の兄たちに比べ、三男の自分は何をやっても中途半端だと感じていました 。 必死に努力して兄たちと同じ地元の大学に入り、ミスターに選ばれても、父からは「会社は鷹広が 継ぐけん」「勝男はまあいいか」と言われ、期待されていないと感じていました 。 上京する時も、父は「兄貴たちがおるけん おまえは好きにして いいぞ」と送り出してくれました 。それは一見、自由を認める言葉のようでしたが、勝男は「ホッとした けど寂しかった」と感じていました

居酒屋で、鷹広が他の客の女性たちの会話を聞き、「なんで女って ああやって身内の愚痴を べらべら言うのかね」「いや家のことは 家で解決するべきやろ」と、父親そっくりの古い価値観を口にするのを聞いて、勝男は気づきます 。 遠い存在だと思っていた兄も、自分と同じように父親の価値観、**「男は弱音を吐かず、家の問題を外に持ち出すべきではない」という「呪い」**に縛られているのかもしれない、と 。 兄が一人で何かを抱え、耐えているように見えたのです

自分だけの「武器」と、とり天への決意

鷹広は帰り際に「彼女の椿ちゃん? にもよろしくな」と、また勘違いしたまま去っていきます 。 一人帰り道を歩きながら、勝男は考えます。 兄が持っていて、自分が持っていないものはたくさんある。でも、自分だけが持っているものもあるのではないか。 それは、悩みを打ち明け、叱咤激励してくれる**仲間たち(椿、白崎、あみな)**の存在でした

鷹広はとり天が作れない。そして、俺もまだ作れない 。「でも」。 「俺はとり天を 作れるようになる!!!!。 勝男は、兄にはない「武器」を手に入れることを決意します。

しかし、意気込んで挑戦したとり天作りは大失敗 。油は跳ね、焦げ付き、生焼け…。鮎美がいつも涼しい顔で作っていたことの凄さを改めて痛感します 。 「ダメだ〜〜〜〜!」と絶叫する勝男。そこへ、心配した後輩たちが駆けつけます

勝男は「助けてくれ…」と懇願し、「俺はとり天を 作れるようになる」「鷹広兄さんに 俺のとり天を 食べてほしい」と、熱い想いを語ります 。理由は自分でもわからないけれど、兄に何かを伝えたい、認めさせたいという強い衝動が、彼を突き動かしているのでした


【じゃああんたが作ってみろよ】第12話を読んだ感想(ネタバレあり)

第12話は、勝男と兄・鷹広の関係性に深く切り込んだ、非常に読み応えのある回でした。 子供の頃は憧れの存在だった兄と、いつしか距離ができてしまった理由。それは、勝男自身の劣等感だけでなく、父親からの期待の差、そして父親から受け継がれたであろう「男はこうあるべき」という古い価値観(呪い)が大きく影響していたのですね。

鷹広さんのデリカシーのなさには閉口しましたが(笑)、彼もまた、会社を継ぐプレッシャーや、父親との関係、弟(虎吉)との確執など、色々なものを一人で抱えていることが示唆されました。勝男が兄を「同じ呪いをかけられた同志」と感じるシーンは、二人の関係性の変化を予感させます

そして、勝男くんの決意! 「俺はとり天を作れるようになる!」 。兄が作れないものを作り、それを兄に食べさせることで、何かを乗り越えようとしている。父や兄に「期待されていなかった」と感じてきた彼が、料理という新しい武器で、自分自身の価値を証明しようとしているようで、胸が熱くなりました

もちろん、とり天作りは案の定(?)大失敗でしたが 、すぐに後輩たちに「助けてくれ!」と言えるようになったのも、彼の大きな成長ですよね 。 兄に自分の作ったとり天を食べさせたい、という強い想い 。それが一体どんな未来に繋がるのか、そして勝男は無事とり天マスターになれるのか(笑)、次回が楽しみです!


【じゃああんたが作ってみろよ】第12話のネタバレまとめ

  • 第12話では、勝男の兄・鷹広(たかひろ)が登場し、二人の複雑な関係性が描かれます 。
  • 鷹広は勝男が椿(つばき)と付き合っていると勘違いし、鮎美(あゆみ)との別れについても無神経な言葉をかけます 。
  • 鷹広が来年度から父親の会社を継ぐこと、その父親が社員から「老害」と嫌われていることなどが明かされます 。
  • 勝男は、鷹広も父親と同じ「男は弱音を吐かず、家の問題を外に持ち出すべきではない」という古い価値観(呪い)に縛られていると感じ、彼に共感を覚えます 。
  • 兄との対話を通じ、勝男は自分には悩みを打ち明けられる仲間がいることに気づきます 。
  • 鷹広の好物であり、彼が作れない「とり天」を、自分が作れるようになることを決意します 。
  • しかし、初めてのとり天作りは大失敗 。後輩たちに助けを求め、「鷹広兄さんに俺のとり天を食べてほしい」と熱く語ります 。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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