【婚約者を奪われた伯爵令嬢、そろそろ好きに生きてみようと思います】1話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー

第1話では、主人公メアリーが家族の中で「聞き分けのいい子」を演じ続けてきた背景と、姉カサンドラの婚約破棄をきっかけに、メアリー自身の婚約者までもが奪われてしまう理不尽な状況が描かれます。

【婚約者を奪われた伯爵令嬢、そろそろ好きに生きてみようと思います】第1話をネタバレありでわかりやすく解説する

華やかな夜会と姉の婚約破棄

姉と踊るギルバート様

物語は、華やかな夜会のシーンから始まります。主人公、スパンシー家次女のメアリー は、姉のカサンドラ がギルバート という男性と親しげにダンスする姿を眺めています。

周囲の人々は「お似合いなカップルね」と噂しますが、メアリーは(あのふたりはカップルなんかじゃないわ) と、複雑な心境を抱えていました。 ダンスを終えたカサンドラは、ギルバートに「あなたがリードして下さるから楽しく踊れたわ」 と嬉しそうに微笑みかけます。

家族からの扱いの差

その様子を見ていたメアリーの父は、「メアリー、今日はつらい思いをしてるだろうに」とメアリーに声をかけ、他の男性と踊るよう勧めます 。 しかし、姉のカサンドラは「私、婚約解消したばかりなのよ」「他の人と踊って変に噂されては嫌なの」 と言い、メアリーが楽しむことを遮ってしまいます。

メアリーは、姉の言葉に「ええ、構いません」「お気になさらず おふたりで楽しんで下さい」 と笑顔で応じます。 カサンドラはギルバートと二人で楽しそうにその場を去り 、兄のハワード はメアリーに「お前のような優しい妹がいて嬉しいよ」 と言葉をかけるのでした。

「聞き分けのいい子」を演じる理由

理想の家族と疎外感

メアリーは「優しい」という言葉に、(そんなんじゃない)と内心で感じます。彼女はただ、家族に『嫌われたくなくて』、無意識に『都合のいい子の役割』を演じているだけでした

メアリーが生まれたスパンシー家は、貴族社会の中では『理想的な家族』として知られていました。優秀な兄ハワード 、第二王子の婚約者となった姉カサンドラ 、そして天真爛漫な弟カイト 。 そのような家族の中で、次女で平凡なメアリーが家族から注目されることは、ほとんどありませんでした

演じ始めた「いい子」

両親は、メアリーが「聞き分けのいい子」でいる時だけ、嬉しそうに笑顔を見せてくれました 。 メアリーは(つらいけど)と感じながらも、そうすることで『理想の家族の一員』でいられることが、嬉しかったのです

いつしか彼女は、家族から嫌われないように 、「聞き分けのいい子を演じる」 ことが当たり前になっていきました。

姉の身代わりとして差し出された婚約者

姉の婚約解消

しかし、そのささやかな幸せは、『姉の婚約解消』という出来事によって終わりを告げます 。 カサンドラは、婚約者であった第二王子から「真実の愛を見つけたようだ」という一方的な理由で、婚約を破棄されてしまったのです

家族会議とメアリーの婚約者

スパンシー家では家族会議が開かれ、父は「早急に(カサンドラの)新たな婚約者を見つけましょう」と提案します。「捨てられた令嬢」として晒されるのは耐えられない、とカサンドラは取り乱します

そこで母が、ある提案をします。それは、カサンドラの心の傷を癒やすため、学園でも同学年でいつも近くにいられる人物 、つまり『メアリーの婚約者であるギルバート』に、カサンドラのそばにいてもらう、という内容でした

奪われる婚約者

父は「ギルはメアリーの婚約者です」 と戸惑いを見せます。 しかし、母は「でもカサンドラが傷つくよりは良いんじゃないかしら」 と押し切ります。

カサンドラも「ぜひお願いしてちょうだい!」「メアリーは優しいから許してくれるわよ!」と喜び、父も「そうだな メアリーは本当にいい子だ」 と納得してしまいます。 そしてカサンドラはメアリーに向き直り、「ありがとう」「少しの間だけ あなたの婚約者 貸してもらうわ」と告げるのでした。メアリーは何も言えず、ただ(ううん・・・) とうつむくだけでした。

婚約者を「貸した」後の現実

姉とギルバートの親密な時間

翌日、ギルバートの実家であるマドール家から、「カサンドラを守るため力を貸してほしい」というメアリーの(建前の)願いに対する返事が届きます

それ以来、ギルバートは休み時間も放課後も、カサンドラと過ごす時間を優先するようになりました 。 そのおかげで、カサンドラが「捨てられた令嬢」として好奇の目で見られることはなくなり 、表向きはメアリーが望んだ通りの状況になりました

ところが、代わりにメアリー自身が、婚約者を姉に取られた奇妙な存在として、周りから「奇異な目」で見られるようになり、学園での居心地の悪さを感じていました

ギルバートの「優しさ」

カサンドラは、自分とギルバートの距離が近すぎる という噂について、「そんなふうに見るなんて失礼よ!」 と一蹴します。 メアリーがギルバートに「大丈夫ですか? 嫌な思いをしていませんか?」と尋ねると、彼は「カサンドラの言う通り」「そんな些細なこと 私は気にしない」 と答えます。

続けてギルバートは、「その噂であなたが苦しんでいるのなら 私の本意ではないわ」 と、メアリーを気遣うような言葉を口にします。 (そんなこと・・・)と戸惑うメアリーに対し、カサンドラは「ギルバートはあなたのことを思って言ったのよ」 と追い打ちをかけます。 メアリーは結局、「私はお姉様にそんな酷い事は望んでません」「変なことを言って申しわけありませんでした」 と謝ることしかできませんでした。

心温まる図書室での出会い

変わらない日常と新たな仕事

状況が変わることはなく 、カサンドラの新しい婚約者が決まる気配もありません 。 家族は、カサンドラが元気を取り戻したことを喜んでいますが 、メアリー自身のことを考えてくれる人はいませんでした 。結局、幼い頃からいつも同じです

そんなある日、メアリーは学園の友人から「放課後の図書委員の仕事 代わってくれないかしら?」 と頼まれます。

引継ぎ日誌での交流

図書委員の仕事は、放課後に図書室で本の整理をするという単純なものでした 。 もうひとり、別の生徒の代理で来ている人がいるようですが、その人はいつも遅れてやってくるらしく、顔を合わせることはありません

メアリーが自分の担当分を終えて帰った翌日、引継ぎの日誌にメモが残されていました 。 『ありがとう 助かりました 代理E』どうやら、もうひとりの代理の人が、メアリーの仕事の残りも片付けてくれたようでした

その日をきっかけに、顔を合わせることのない「代理E」との間で、日誌を通じた短いやり取りが続きます

心が温かくなる時間

この何気ない日誌でのやり取り は、家族のことで色々と考えてしまいがちだったメアリーにとって 、唯一『心が温かくなる時間』 となっていました。

メアリーは(どんな人なんだろう・・・)と相手の姿に思いを馳せ、代理の仕事が終わる日、『代理Eさん 一度くらいは会ってみたかったな』 と日誌に書き残します。

すれ違う二人と物語の結末

図書室でのすれ違い

代理の仕事を終え、メアリーは図書室の先生に「ありがとうございました」 と挨拶をして帰路につきます。 メアリーが去った直後、一人の男子生徒が「先生!間に合わなかった!」 と慌てた様子で図書室に駆け込んできました。

先生は「あら、さっき帰ったところよ」 と告げます。 彼は机に置かれた引継ぎ日誌を開き、そこに書かれた『メアリー・スパンシー』という名前を見つめます。そして、窓の外に小さく見えるメアリーの後ろ姿を見ながら、(どんな子なんだろうな) と思うところで、物語は終わります。

【婚約者を奪われた伯爵令嬢、そろそろ好きに生きてみようと思います】1話を読んだ感想(ネタバレあり)

第1話を読んで、まず主人公メアリーの健気さと、彼女を取り巻く家族の自己中心的な姿があまりにも対照的で、胸が苦しくなりました。

特に印象に残っているのは、メアリーの過去の心理です。つらい状況であっても「理想の家族の一員になれていることが嬉しかった」という部分は、彼女がどれほど家族に認められたかったか、嫌われたくなかったかが伝わってきて、非常に切なくなります。

それだけに、P8で姉のカサンドラが「メアリーは優しいから許してくれるわよ!」と悪びれもなく言い放ち、父も「本当にいい子だ」 と同意するシーンは、メアリーの優しさ(あるいは、そう演じている姿)を家族全員が都合よく利用している構図がはっきりと見え、憤りを感じずにはいられませんでした。

そんな息苦しい展開が続く中で、唯一の救いとなっているのが、図書室での「代理E」との出会いです。 顔も知らない相手との、引継ぎ日誌を通した短いやり取りが、メアリーにとって『心が温かくなる時間』 になっているという描写は、本当にささやかな幸せですが、読んでいるこちらも少しだけ救われた気持ちになりました。

最後にすれ違ってしまった二人 ですが、この「代理E」こそが、今後メアリーが「好きに生きる」ための鍵になるのではないかと感じさせます。二人がどのように関わっていくのか、続きが非常に気になる第1話でした。

【婚約者を奪われた伯爵令嬢、そろそろ好きに生きてみようと思います】1話のネタバレまとめ

  • 主人公メアリーは、貴族社会で「理想の家族」とされるスパンシー家で、家族に嫌われないよう「聞き分けのいい子」を演じて生きてきました 。
  • 姉カサンドラが第二王子に婚約破棄され、その傷心を癒やすという名目で、メアリーの婚約者であるギルバートを一時的に「貸す」ことになります 。
  • ギルバートとカサンドラが学園で親密に過ごすようになった結果、メアリーは周囲から奇異の目で見られ、居心地の悪い思いをすることになります 。
  • そんな中、メアリーは図書委員の代理の仕事を引き受け、顔を知らないもう一人の代理「E」と引継ぎ日誌を通じて心温まる交流を持ちます 。
  • 代理の仕事の最終日、メアリーが帰った直後に「代理E」と思われる男子生徒が図書室を訪れ、二人はすれ違ってしまいます 。
ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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