漫画【棲ミタイ街】10話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー

9話では、負傷した深見が無事に退院し、彼女の特殊能力についてサヴァン症候群の可能性が示唆されました。しかし、安堵も束の間、元夫の健吉から「おおわしの丘から離れてほしい」という不気味な警告を受け、物語は新たな謎を残して終わりました。

【棲ミタイ街】第10話をネタバレありでわかりやすく解説する

元夫からの謎多き警告「おおわしの丘には昔、丘があった」

物語は、深見が元夫・健吉と電話をしている場面から始まります 。健吉は「おおわしの丘には昔 本当に 丘があったんだ」と、前話(第6話)で深見の父が語った「人工の丘」の存在を裏付ける情報を伝えます

しかし、健吉自身は現在ヨルダンにおり、ペトラ古墳の近くから電話をかけているため、電波の状態が非常に不安定です 。深見が思わず「儀式…」と口にすると 、電話は途切れてしまいます 。電話の向こうで健吉は「なんだ? 儀式って…」と戸惑うばかり 。深見も「いっつも会話にならないじゃん!」と、肝心なところで途切れる通信に不満を隠せません

「このヤマから外れろ」青木の忠告と深見の覚悟

電話を終えた深見は、病院で待っていた青木と合流します 。彼女はまず、火災現場から自分を救出してくれたことに対して「今回はほんとに ありがとうございました」「青木さんがこなかったら 死んでました」と、改めて深く感謝を伝えました

青木は「無事で何よりだ」「単独行動は慎め」と、相棒の無事を安堵しつつも釘を刺します 。そして「ここじゃ 話しにくい」と、場所を移すことを提案しました

シングルマザーの刑事という危険

場所を移した車内で、青木は深見に「深見… おまえはこの山から外れろ」と、非情とも思える捜査からの離脱を命じます

青木が懸念していたのは、彼女の身の上でした。「もし おまえが死んだら… あの子 どうする」と 、シングルマザーである深見が殉職した場合、息子の利一がどうなるのかを心配したのです 。さらに、連続殺人が起きている危険な状況下で 、「なんかあったとき そばにいないと…」「守るのが じいさん だけじゃ 不安だろ」と、家族全体の安全を気遣う言葉をかけます

父の背中と「この街を守りたい」という強い意志

青木の忠告に対し、深見は「たしかに 利一や 父に危険が 及ぶかも しれません」と、家族へのリスクを認めます 。しかし、彼女は毅然とした態度で「でも そんなの 理由に なりませんよ」「警察官 なんですから」と反論しました

カオトリはまだ犯行を続ける可能性が高く 、自分が今捜査から降りれば、さらに被害者が増えてしまう 。深見は「この事件 私と青木さんじゃないと 解決できない 気がするんです」と、二人が捜査の核心に迫っていることを訴えます

彼女は「私たちたぶん… カオトリに 近づいています」と述べ 、確証はないものの「『刑事の勘』です」と言い切ります 。それは、彼女が尊敬する元刑事の父の口癖でもありました

深見は、幼い頃の父との思い出を語り始めます。父は仕事で帰りも遅く、あまり遊んでもらえませんでしたが 、「お父さんはこの街を 守ってるんだ」と思うと、不思議と寂しくはなかったと振り返ります 。父の姿を見て、彼女も警察官になろうと決めたのです

「私この街 好きなんです」「みんなで 作り上げて 守ってきた 素敵な街…」 「だから私 この街を 守りたい」

まっすぐな瞳で、深見は青木に「信じてください 私の眼を」と懇願します 。彼女の強い決意を受け、青木は「こえーから あんま見るな」と照れ隠しのように視線をそらしつつも 、「わかったよ」と、彼女が捜査を続けることを承諾するのでした

隠し部屋の正体「個室ビデオ」と被害者たちの接点

青木が折れたことで、深見は「ありがとうございます! 着替えてきます」と病院を後にします

車に戻ると、青木は本題に入ります。深見が火事になった小料理屋「道しるべ」の隠し部屋から命がけで持ち帰った「ゴミ屑」 。深見が「何か手がかりに なるかと思って!」と説明する遺留品について 、青木は「ああ ビンゴだよ」と、科捜研からの重要な報告結果を伝えました

科捜研が突き止めた複数の利用者の存在

科捜研の結果によれば、遺留品には殺害された第二の被害者・村本の髪の毛だけでなく 、他にも複数人の男性と思われる髪の毛が含まれていたことが判明します

これにより、あの隠し部屋は、村本や第一の被害者・石田、さらに他の複数の人間が密かに出入りしていた場所である可能性が濃厚になりました

「男の楽園」で被害者たちが行っていたこと

「あんなところで 何を見てたん でしょうか」と深見が首をかしげると 、青木は「映画ですかね」「部屋で男が 一人で 見るもんって 想像つくだろ」とヒントを与え 、「『個室ビデオ』で 検索してみろ」と指示します

検索結果に表示されたのは「都會のパラダイス 樂園24」という個室ビデオ店の画像でした 。深見は「たしかに 部屋はこれに そっくりですね」と納得します 。DVD鑑賞ができ、シャワーやコインランドリーも完備 、終電を逃した際のホテル代わりにもなる施設です

青木が「置いてある ビデオをみてみろ」と促すと 、深見はアダルトDVDが並ぶ棚の画像を見て、「なるほど まさに 男の楽園…!」と声を上げます 。被害者たちは、人目を忍び、この隠し部屋で密かな欲望を満たしていたのかもしれません。

カオトリの隙と美優の脱出

一方、カオトリのアジトでは、監禁されていた女将の美優が意識を取り戻します 。幸運なことに、そこにはカオトリの姿がありませんでした。

美優は、カオトリが「なんだあいつ… 急に時間を気にしだして」と呟きながら、慌てた様子でアジトを出て行ったことを思い出します 。おそらく、深見が隠し部屋に侵入したことに気づき、放火のために戻ったのでしょう。

美優は(とにかく ここから 逃げないと…)と決意し 、痛みにもがきながら拘束を必死に解き始めます 。そして、ついに拘束が外れ、自由の身となりました

20年前の記憶…「あの子の携帯」が示す犯人の手掛かり

(あいつ いったい誰なんだ…)と犯人について考える美優は 、床に落ちている古い携帯電話に気づきます

彼女はその携帯電話を見て、ある記憶が蘇りました 。「20年前…」 、「あの子のだ…」

美優の脳裏に浮かんだのは、渋谷の109の前に立つ、ひとりの少女の姿でした 。この少女と携帯電話が、犯人「カオトリ」の正体や動機に繋がる、決定的な手掛かりとなるのでしょうか。

【棲ミタイ街】10話を読んだ感想(ネタバレあり)

今回は、静かな会話劇の中に、登場人物たちの強い意志と過去が濃密に描かれた回でした。

特に印象的だったのは、青木刑事の不器用な優しさと、それに応える深見刑事の覚悟の対比です。「ヤマから外れろ」という言葉は、一見冷たく聞こえますが、その実、相棒と家族の身を本気で案じる青木なりの気遣いでした。

それに対する深見の「この街を守りたい」という宣言は、彼女の刑事としての原点を垣間見るようで、胸が熱くなりました。単なる正義感だけでなく、尊敬する父への憧れと、街への愛着が彼女を突き動かしているのだと分かり、キャラクターの深みが一層増したように感じます。

また、ミステリー部分も大きく進展しました。隠し部屋の正体が「個室ビデオ」であったことは、被害者たちの裏の顔を暴くと同時に、事件の俗な側面を浮き彫りにします。

そして、ラストの美優の脱出と「20年前の少女」という新たな謎。カオトリが時間を気にしてアジトを離れたという事実は、深見の行動が犯人を焦らせたことを示しており、二人の刑事が確実に真相に近づいていることを実感させます。点と点が繋がり始め、物語の核心がすぐそこまで来ている興奮を覚えました。

【棲ミタイ街】10話のネタバレまとめ

  • 元夫の健吉から、おおわしの丘に「昔、本当に丘があった」という情報がもたらされますが、電波不良で詳細は不明に終わります 。
  • 青木は、シングルマザーである深見の身を案じ、捜査から外れるよう忠告します 。
  • 深見は、尊敬する父への思いと街への愛を語り、「この街を守りたい」と捜査続行の強い意志を示しました 。
  • 深見の決意を受け、青木は捜査の続行を認めます 。
  • 隠し部屋の遺留品から、村本以外にも複数の男性が部屋を利用していたことが判明します 。
  • 隠し部屋の正体は「個室ビデオ店」の違法な個室であり、被害者たちの密かな遊び場だったことが示唆されます 。
  • カオトリがアジトを離れた隙に、監禁されていた女将の美優が自力で脱出に成功します 。
  • 美優は、カオトリが落とした古い携帯電話を発見し、それが「20年前」の「あの子」のものであることに気づきます 。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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