漫画【棲ミタイ街】11話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー

10話では、深見が青木の制止を振り切り、危険な捜査を続行する強い意志を示しました。科捜研の結果、小料理屋の隠し部屋は「個室ビデオ」のような場所だったことが判明します。一方、カオトリのアジトでは、監禁されていた女将の美優が脱出に成功し、「20年前の少女」に関する不穏な記憶を蘇らせました。

【棲ミタイ街】第11話をネタバレありでわかりやすく解説する

逃亡する女将・美優と「あの人」の指示

物語は、カオトリのアジトから脱出しようと試みる女将・美優のシーンから始まります。彼女は(それより… ここから 逃げないと) と、必死に出口を探します。

(あいつが 戻ってきたら 殺される…)

恐怖に震えながらも、彼女の脳裏には、前話で思い出した20年前の渋谷の光景が浮かんでいます。(あの子 名前なんだっけ…)

同時に、美優は(なんで私が こんな目に…)と自身の境遇を嘆きます。そして、「あの人に言われた とおりしただけ なのに……」 と、彼女が誰か黒幕的な存在の指示に従っていたことをうかがわせるのでした。

「この街をキレイに」謎の男・神保正道

場面は一転し、おおわし市内にある公営住宅の一室が描かれます。ケースワーカーの女性が、「神保さーん」と部屋を訪問しています。

ドアから現れたのは、タンクトップ姿の男、神保正道です。彼は「散らかってますけど」と、ケースワーカーを部屋に招き入れます。以前とは打って変わって、髪も髭もさっぱりと整えられています。

ケースワーカーが「お仕事は 見つかったんですか?」と尋ねると、神保は「塗装業です」と答えます。「若い頃に少し 経験があった」ため、すぐに雇ってもらえたようです。

仕事の内容を問われると、「家の外装とか… それに 公園のベンチも 塗りました」と説明します。しかし、収入について確認されると、神保は「いや お金はもらってないです ボランティアです」 と答えました。

「は?」 と驚くケースワーカーに対し、神保は不気味なほどの笑顔を浮かべ、こう語るのでした。

「この街を キレイにしようと おもいまして」

乗り捨てられた車と「緑色の塗料」

その頃、捜査本部に戻った深見と青木のもとに、同僚の三宅から「例の車見つかりました」 との報告が入ります。

カオトリが使っていた盗難車が、「幡田山公園に 乗り捨て られていました」とのこと。幡田山公園は、渋谷とおおわし市の中間に位置する場所です。二人は、小料理屋の女将・藤田美優が「殺された… もしくは 拉致された…」 可能性が高いとみて、現場へ急行します。

現場に到着した青木は、自分が渋谷ですれ違った男が、美優を段ボール箱に入れて拉致したのだと確信します。「ここで別の 車に乗り換えた ん だろう」 と青木は推測しました。

さっそく車内の鑑識が始まります。深見は、ヘッドレストに付着した髪の毛を発見します。しかし、彼女はそれを一目見るなり、「人毛じゃない たぶん かつらです」と見抜きました。犯人は変装して犯行に及んでいたのです。

さらに、深見は車内に付着した「緑色の塗料」に気づきます。「最近の物です」 と、塗料が新しいことも指摘しました。

塗料の正体と容疑者・神保への急襲

青木は、車の持ち主が「個人事業主の 運送業」であることから、塗装業とは無関係で「ペンキは使わない ですよね」 と述べます。

すると、深見が「この緑色… 見覚えあります」 と口にしました。

彼女の記憶が示したのは、「おおわし中央公園の ベンチです!」という事実でした。「最近この色に塗り替え られてました」と、彼女のカメラアイが詳細な情報を引き出します。緑色の塗料には「外装用の防腐剤と 防虫剤」が含まれており、公園のベンチ用で間違いないと断言しました。

二人はすぐさま市役所に向かい、公園のベンチ塗装を担当した事業者を割り出します。担当者は市内の公営住宅に住んでいることが判明し、二人は神保が住むアパートへと急行します。

決死の追跡開始!

アパートの2階、一番奥の204号室。深見が借りてきた鍵でドアを開けようとすると、青木が「俺が行く」と制し、鍵を受け取ります。

「警察だ!」

青木は叫びながら部屋に突入しますが、中はもぬけの殻でした。しかし、テーブルの上には、お湯が注がれたばかりのカップヌードル(塩らーめん)が残されています。

「まだ近くに いる!」と察知した青木は、「深見! 外を見ろ!」 と指示を出します。深見がベランダから外を確認すると、アパートから走り去る男(神保)の姿を発見しました。

「いました!」

その声を聞いた瞬間、青木は「追うぞ!」 と叫び、ためらうことなく2階のベランダの手すりを飛び越え、犯人の追跡を開始するのでした。

【棲ミタイ街】11話を読んだ感想(ネタバレあり)

今回は、これまでバラバラだった点と点が一気に線として繋がる、非常に爽快な回でした。

第3話のラストで、深見の息子・利一が出会った「町をキレイなママにする」と語る不気味な公園の作業員。彼が、今回登場した「神保正道」という人物であり、カオトリの協力者、あるいはカオトリ本人かもしれない存在として、ついに捜査線上に浮上した展開には鳥肌が立ちました。

「この街を キレイにしようと おもいまして」 というセリフは、ボランティアという善意の仮面の下に隠された、底知れない狂気を感じさせます。

また、今回は青木刑事の行動力も際立っていました。渋谷でのニアミスという「刑事の勘」、そして今回の容疑者特定からの電光石火の突入、ラストのベランダからのダイブ。天才的な深見の「眼」と、経験に裏打ちされた青木の「足」が、見事なコンビネーションを発揮し始めたと感じます。

あと一歩のところで取り逃がす緊迫感、その証拠として残された「お湯を注いだばかりのカップヌードル」という演出も、非常に巧みだと思いました。次回の追跡劇から目が離せません。

【棲ミタイ街】11話のネタバレまとめ

  • カオトリのアジトから脱出しようとする美優は、自分が「あの人」の指示で動いていたことを示唆します。
  • ケースワーカーの訪問を受けた謎の男・神保正道が、「ボランティア」で「公園のベンチ」を塗装していたことが判明します。
  • カオトリが乗り捨てた盗難車から、変装用の「かつら」と「緑色の塗料」 が発見されます。
  • 深見は塗料の成分と色から「おおわし中央公園のベンチ」のものだと特定し、塗装業者の神保が容疑者として浮上します。
  • 神保のアパートに突入するも、お湯を注いだばかりのカップヌードルを残し、タッチの差で逃走していました。
  • 青木と深見は、アパートから走り去る神保を発見し、決死の追跡を開始します。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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