【親愛なるx】ネタバレ!1話〜4話のあらすじと考察まとめ

ずっちー

キム・ユジョン主演で話題のロマンス・スリラー、親愛なるX。 美貌のトップ女優ペク・アジンが、なぜ破滅の道へと進むのか、その序盤の展開が注目されています。 壮絶な過去、そして彼女の持つ残酷な本性がどのように描かれているのでしょうか。 この記事では、親愛なるXの1話から4話までの詳細なあらすじと、各話の気になるポイントについて、ネタバレを含みながら詳しく解説していきます。 アジンと彼女を取り巻くジュンソやジェオとの関係性、衝撃的な事件の真相に迫ります。

この記事を読むと以下のことが理解できます
  • 『親愛なるX』の基本情報と原作ウェブトゥーンの概要
  • 1話・2話で描かれるアジンの壮絶な過去と人物像
  • 3話・4話で描かれる衝撃的な復讐劇の詳細
  • アジンとジュンソ、運命的な2人の関係性の変化

【親愛なるx】 1話・2話のネタバレと壮絶な過去

  • ドラマ『親愛なるX』の概要と原作情報
  • 1話ネタバレ【彼女たちのX】
  • 1話の考察:アジンのソシオパスな内面
  • 2話ネタバレ【人間が悪魔になる瞬間】
  • 2話の考察:ジュンソとの歪な関係性

ドラマ『親愛なるX』の概要と原作情報

『親愛なるX』は、人生のどん底からトップ女優にまで登り詰めたペク・アジンの壮絶な人生と、その後の破滅を描くロマンス・スリラー作品です。 キム・ユジョンが演じる主人公ペク・アジンは、誰もが振り返るほどの美貌と、トップ女優としての地位を手に入れています。 しかし、その輝かしい仮面の裏には、目的のためなら他人を利用し、踏み台にすることを厭わない、残酷で冷徹な本性を隠し持っています。

彼女の周囲には、対照的な2人の男性が存在します。 ひとりは、キム・ヨンデが演じるユン・ジュンソ。彼は、アジンの全てを知りながらも、彼女を守るためなら全てを犠牲にすることも厭わない、凄絶な愛を捧げる人物です。 そしてもうひとりが、キム・ドフン演じるキム・ジェオ。彼もまたアジンを見守る存在ですが、ジュンソとは異なる方法で彼女に関わっていきます。

物語は、複雑に絡み合う人間関係と、破滅へと向かう壮絶な愛憎劇として展開されます。 頂点に立ったはずのアジンの人生が、なぜ再び崩れ始めるのか、そのスリリングな展開から目が離せません。

原作はNAVERウェブトゥーン

本ドラマには原作が存在します。 NAVERウェブトゥーンで連載されていた、バン・ジウン作家による同名の漫画『親愛なるX(친애하는 X)』が、このドラマの土台となっています。 原作漫画は2019年7月から2020年9月まで連載され、全63話で完結を迎えました。 ウェブトゥーンのジャンルとしては、ダークな人間ドラマであり、主人公のアンチヒーロー的な側面が強く描かれているピカレスク・ロマンス(悪漢小説)の要素も含まれています。 ドラマ化にあたり、原作のどこまでのエピソードを描くのか、また、衝撃的な結末がどのように映像化されるのか、原作ファンからも大きな期待が寄せられています。

日本での配信情報

日本国内における配信は、2025年11月6日(木)の18時30分から開始されました。 プラットフォームはDisney+(ディズニープラス)で、独占配信という形をとっています。 近年、韓国のストリーミングサービス(本作の場合はTVING)とグローバルプラットフォーム(ディズニープラス)が提携し、話題作がほぼリアルタイムで世界配信されるケースが増えています。 本作もその流れを汲んでおり、日本の韓ドラファンにとっても、注目の新作をいち早く楽しめる環境が整っています。

1話ネタバレ【彼女たちのX】

物語は、主人公ペク・アジンの美しくも冷酷な現在と、彼女の人格形成に決定的な影響を与えた衝撃的な幼少期の記憶から始まります。

最初のX:母親との決別

アジンの幼少期は、凄惨なものでした。 母親はアルコールに溺れ、日常的にアジンへ暴力を振るう日々を送っていました。 父親は母親の暴力からアジンを守ることもできず、離婚も拒否されるという無力な状況に甘んじています。 まさに、地獄のような家庭環境であったと言えるでしょう。

ある雨の夜、泥酔した母親と父親が揉み合う中、ついに父親は母親を階段から突き落としてしまいます。 父は幼いアジンに対し、「母さんは自分で落ちたんだ」と言い聞かせます。 さらに、「これからは俺の言う通りにしろ。さもないと、お前も母さんみたいに突き落とすぞ」と脅迫しました。

アジンが階段の下へ向かうと、まだ息のある母親が「救急車を…呼んで…」と苦しそうに懇願します。 しかし、アジンは冷たい視線で母親を見つめたまま、何もせずにその場を立ち去りました。 自分を虐待し続けた母親は、アジンにとって守るべき家族ではなく、乗り越えるべき障害でした。 こうして母親は、アジンが頂点に立つために見捨てた、最初の「X(踏み台)」となったのです。

高校時代:復讐の序章

現在、アジンはトップ俳優として華やかな世界で活躍しています。 しかし、彼女は「ソシオパス」とも呼ばれる、反社会性パーソリティー障害を抱えていました。 他人の感情に共感することが難しく、自らの利益のために他人を「道具」として巧みに操ることに長けています。 特に、利用価値のある男性を見極め、彼らを手玉に取ることを得意としていました。

物語は、アジンの冷酷な本性が形成された高校時代へと遡ります。 ある時、英語教師から「孤児は可哀想だ」と、一方的な同情を寄せられたアジン。 彼女は後日、教師の誕生日に、彼の不倫現場を押さえた写真を学校の公式ホームページに匿名で掲載するという、周到な復讐を実行します。 そして教師の耳元で「プレゼントです」と微笑む姿は、彼女の異常性を際立たせていました。

学年でトップの成績を維持するアジンの前に、学年2位のシム・ソンヒが立ちはだかります。 ソンヒはアジンを激しく敵視していました。 理由は、アジンが自分より成績が良いこと、そして何より、ソンヒが密かに想いを寄せるユン・ジュンソとアジンが親密な関係にあったからです。 ソンヒは嫉妬心から、「アジンは孤児だ」という噂を校内に流し、保護者からの苦情という形でアジンをディベート大会のメンバーから強制的に降板させます。

しかし、アジンはソンヒの浅はかな行動を冷静に分析し、完璧な反撃のシナリオを描き始めます。 まず、ソンヒが好意を寄せるジュンソを「道具」として利用。ジュンソにソンヒへ気があるフリをさせ、恋人同士の関係を装わせることでソンヒを油断させました。 同時に、もう一人の「道具」であるキム・ジェオ(彼は学生相手の金貸しという裏の顔を持っていました)を使い、クラスで集めた担任への結婚祝い金を盗み出し、それをソンヒのロッカーに入れるよう指示します。

体育の授業中、ソンヒはジュンソから「二人で授業を抜け出そう」と誘われ、喜んで教室へ向かいます。 しかし、それはジュンソがアリバイを作るための罠でした。 ソンヒが教室で一人になったのを見計らい、ジェオが計画を実行します。 授業後、教室に戻ったクラスメイトたちは、祝い金が消えていることに気づき騒然となります。 真っ先に疑われたのは、授業を抜け出していたソンヒでした。 彼女のロッカーからは、盗まれた祝い金に加え、ジェオがなくした携帯電話や他の盗品まで見つかります。 ソンヒは必死に無実を訴えますが、ジュンソは「体育部長と備品室にいた」と冷たくアリバイを主張。 完全に孤立したソンヒに対し、アジンは更なる追い打ちをかけます。 ソンヒが唯一の「後ろ盾」として頼りにしていた父親が、実はアジンが先に失脚させた、あの英語教師の不倫相手であったという事実を突きつけたのです。 ソンヒは、アジンの手によって、社会的地位も、友人からの信頼も、そして心の拠り所さえも全て奪われ、完膚なきまでに叩きのめされました。

1話の考察:アジンのソシオパスな内面

第1話は、主人公ペク・アジンの持つ、息をのむような美しさと、背筋が凍るような恐ろしい二面性を見事に描き出しています。 彼女がなぜ「ソシオパス」と呼ばれるほどの冷酷な人格を持つに至ったのか、その背景には、疑いようもなく幼少期の過酷な家庭環境が深く影響していると考えられます。

日常的な母親からの暴力、そしてその母の死を父から脅迫という形で強要された経験。 これらのできごとは、幼いアジンから「他人を信じる心」や「弱者への共感」といった人間的な感情の一部を決定的に奪ってしまったのかもしれません。 母が息を引き取るのをただ見つめていたあの瞬間から、アジンは「自分の人生は自分で守るしかない」「生き残るためには他人を踏み台にすることも厭わない」という、歪んだ生存本能を身につけたように見受けられます。

高校時代のエピソードは、彼女の異常なまでの計画性の高さと、目的達成のための冷酷さを一層際立たせています。 ジュンソとジェオという、タイプの全く異なる2人の男性を、それぞれ異なるアプローチで巧みに手なずけ、完璧な「道具」として使いこなす姿は圧巻です。 ジュンソに対しては、過去の秘密を共有する(あるいは支配する)ことで精神的な繋がりを装い、ジェオに対しては、彼の裏稼業を黙認、あるいは利用することで利益共同体としての関係を築いているように見えます。

特にソンヒへの復讐劇は、高校生が行うにはあまりにも用意周到かつ徹底的でした。 相手の弱点(嫉妬心、プライド、後ろ盾)を的確に分析し、最も効果的なタイミングで、最も残酷な方法で陥れる手腕は、彼女が生まれ持った才能なのかもしれません。 ソンヒが最後に放った「人の皮を被った悪魔」という言葉は、まさに1話のアジンの行動を総括する、的を射た表現であったと言えるでしょう。

2話ネタバレ【人間が悪魔になる瞬間】

第2話は、アジンとジュンソの関係性がどのようにして築かれたのか、そしてアジンの人生が大きく狂い始める決定的な出来事を描く、重要な回となっています。

母の死後、アジンの父は早々に再婚を果たします。 アジンは父に連れられ、再婚相手の家で暮らすことになりました。 そこでアジンが出会ったのが、再婚相手の連れ子である、ユン・ジュンソでした。 ジュンソの母親(アジンの義母)は、一見すると裕福で温厚な人物に見えましたが、実際はジュンソが相続するであろう莫大な財産を目当てに、彼を猫かわいがりしているだけでした。 一方で、アジンの実父は、アジンの存在を疎ましく思い、一儲けした後に施設へ送ろうと企んでいることを、アジン自身が知ってしまいます。 アジンは、この新たな家庭もまた、自分にとっては安住の地ではない「地獄」であることを瞬時に悟り、生き残るための術を必死に模索し始めます。

ジュンソの秘密と支配

アジンは、子供ながらに鋭い観察眼で、ジュンソの家庭が抱える歪んだ構造に気づいていきます。 特に義母がジュンソに向ける過剰な愛情に違和感を覚えていました。 ある時、アジンは家で一枚の写真を見つけます。 それは、ジュンソの戸籍上の父親が亡くなった直後、急に外国へ行ってしまったという「運転手」の写真でした。 アジンはその写真を見て、ある確信を得ます。

アジンは、義母に対して巧妙にカマをかけ、問い詰めました。 結果、アジンの予想は的中します。 ジュンソは、戸籍上の父親の子供ではなく、あの運転手と義母の間にできた子供であったという、家の根幹を揺るがす秘密が明らかになったのです。 この重大な秘密を握ったことで、アジンは義母を心理的に脅迫し、家庭内での自分の立場を確保します。 それと同時に、ジュンソ自身に対しても、この秘密を共有(あるいは支配)することで、彼を「自分の言うことだけを聞く、絶対的な味方」、すなわち最強の「道具」として、その支配下に置くことに成功したのでした。

破綻する日常と新たな出会い

物語の時間は再び高校時代へと戻ります。 ソンヒへの復讐劇があった後、アジンの実父が、金をたかるために高校にまで押しかけてくるようになります。 その度にジュンソが父に金を渡し、二度とアジンに近づかないよう警告しますが、父は聞く耳を持ちません。

一方で、アジンのもう一人の「道具」であったジェオの家庭でも、悲劇が起こります。 ジェオは、日常的に暴力を振るう父親から弟を守るため、衝動的に父親を刃物で刺してしまいました。 警察に自首する直前、ジェオが最後に電話をかけたのはアジンでした。 アジンは、ジェオの行動を責めることなく、「これからが本当の勝負よ」と、彼を冷静に励まします。

数々の困難がありながらも、アジンは夢だった韓国大学の法学部に見事合格を果たします。 しかし、ジュンソがアジンのため、祖父に頼み込んで用意してくれた高額な入学金を、あの実父が強奪し、逃げ去ってしまいました。 父に抵抗したアジンは殴られて気を失い、病院のベッドで目覚めます。 そばにいたジュンソから、大学の入学手続きの期限が、すでに過ぎてしまっていたことを告げられました。

全ての夢を絶たれたアジンは、虚ろな表情でジュンソと二人、高校の卒業式に出席します。 その帰り道、二人の目の前でひったくり事件が発生。 その犯人を鮮やかに捕まえる一人の男性(後のカフェ店長、チェ・ジョンホ)の姿を、アジンはじっと見つめていました。

2話の考察:ジュンソとの歪な関係性

アジンとジュンソの関係性は、単なる幼なじみや、血の繋がらない義理の兄妹という言葉では到底言い表すことができない、非常に複雑で歪な絆で結ばれています。 第2話で明かされた通り、二人の関係の原点は、アジンが幼少期にジュンソの「出生の秘密」という最大の弱みを握り、彼を心理的に支配したことにあります。

ジュンソがアジンのために、ソンヒを騙すという卑劣な行為に加担し、実父に自分の金を渡し続ける姿は、献身的な愛情表現のようにも見えます。 しかし、その行動の根底には、アジンへの純粋な愛情だけではなく、秘密を握られた恐怖心や、アジンによって巧妙に植え付けられた「自分にはアジンしかいない」という共依存的な関係性によるものが大きいと考えられます。 ジュンソにとってアジンは、自分を支配する「悪魔」であると同時に、自分の本当の姿(秘密)を知る唯一の「理解者」でもあるという、矛盾した存在なのかもしれません。

一方、アジンにとってジュンソは、最も信頼でき、最も意のままに動かせる「道具」であることは間違いありません。 しかし、同時に、自分と同じように親によって人生を歪められた「共犯者」として、あるいは、自分の冷酷な本性を唯一知っていてもそばに居続ける存在として、特別な感情を抱いている可能性も否定できません。

しかし、実父によって大学進学という唯一の夢(あるいは、まっとうな人生への道)を絶たれたことで、アジンは更なる絶望の淵に立たされます。 この絶望が、彼女を新たな「道具」と「踏み台」を探す行動へと駆り立てることになります。 卒業式の帰りに見かけたカフェ店長ジョンホの姿は、アジンの目に、次なるターゲットとして、あるいは新たな計画の始まりとして映ったことでしょう。

親愛なるx 3話・4話のネタバレと破滅への道

  • 3話ネタバレ【足かせを解くためのいけにえ】
  • 3話の考察:計算された父への復讐劇
  • 4話ネタバレ【引き返せない】
  • 4話の考察:ジュンソとの決別と女優への道
  • 親愛なるx 序盤ネタバレの総まとめ

3話ネタバレ【足かせを解くためのいけにえ】

大学進学の道を絶たれたアジンは、新たな人生の活路を見出すため、行動を開始します。 彼女が選んだのは、卒業式の帰りに見かけた、あのひったくり犯を捕まえた男性、チェ・ジョンホが店長を務めるカフェでアルバイトをすることでした。

ジョンホは、かつては「ホームラン王」と呼ばれ、国民的な人気を誇ったプロ野球選手でした。 しかし、不運な事故による怪我で、若くして引退を余儀なくされた過去を持っています。 アジンは、ジョンホが持つ「善良さ」「正義感の強さ」、そして「元有名選手」という知名度に目をつけ、彼を次の「道具」として利用する計画を立てていました。

計画の実行と3人の「道具」

アジンの計画通り、彼女がカフェで働き始めると、その美貌はすぐにSNSで話題沸騰となります。 カフェは「美しすぎる店員」を一目見ようと、連日多くの客で繁盛しました。 しかし、人気が出ると同時に、アジンにはストーカーの影が忍び寄るようになります。 店には無言電話が繰り返しかかり、アジンが閉店後に後をつけられるといった事態が発生します。

アジンは、このストーカーの存在すらも、自分の計画の一部として組み込みます。 彼女の目的はただ一つ、自分を幼少期から虐待し、大学進学の夢まで奪った実父ソンギュとの縁を、自分の手を一切汚さずに「合法的に」切ることでした。 この恐ろしい計画のために、アジンは3人の男性を「道具」として利用します。

  1. ジュンソの利用と見極め アジンはまず、ジュンソを利用しようと試みます。 父に殴られてできた首の傷をわざとジュンソに見せ、彼の同情と怒りを煽りました。 案の定、ジュンソはアジンのために父を何とかしようと尾行し、父が違法賭博をしている証拠を掴もうとしますが、見つかって揉み合いになります。 ブロックを振り上げ、父を殴ろうとするジュンソ。 しかし、彼は最後の最後で理性が勝ち、父を殴ることをためらってしまいました。 その一部始終を陰から見ていたアジンは、ジュンソの優しさ、あるいは中途半端さが、自分の計画を遂行するには「使えない」と冷徹に判断し、彼を計画の実行犯から外します。
  2. ストーカー犯の利用(雇用) 実は、アジンにつきまとっていたストーカー犯は、偶然現れた危険人物ではありませんでした。 後にカフェの同僚ユシクがコンビニで目撃したように、アジンはストーカー犯と裏で金銭のやり取りをし、彼を「ストーカー役」として雇っていたのです。 アジンは、この雇われたストーカーを利用し、店長のジョンホに「ストーカーに付きまとわれていて怖い」と嘘をつき、彼の同情と保護欲を巧みに引き出します。
  3. 店長ジョンホの利用(実行犯) アジンは計画の仕上げとして、店長のジョンホを「殺人者」に仕立て上げる準備を整えます。 まず、自宅の部屋をわざと荒らし、「ストーカーに侵入されたかもしれない」とジョンホに相談し、彼の危機感を最大限に高めました。 そして、父ソンギュには「金をあげるから家に来い」と連絡。 一方でジョンホには、心配する彼からの「家に泊まりに来ないか」という申し出を一度は受け入れ、油断させておきました。

計画の完了

計画実行の夜。 アジンは、ジョンホの家に泊まるフリをして家を出た後、「忘れ物を取りに戻る」と嘘の連絡を入れ、自宅へ向かいます。 自宅では、金を受け取りに来た父ソンギュが待ち構えていました。 アジンは金を渡す前に、「プレゼントがある」と言って、あるニット帽を父にかぶせます。 それは、アジンが雇ったストーカーが、いつもかぶっていたものと全く同じデザイン、同じ色のニット帽でした。

父が金の入ったカバンを開けると、中身は金ではなく、ただの紙切れでした。 激怒した父ソンギュはアジンの髪を掴み、激しく暴力を振るい始めます。 アジンは、その暴行を受けながら、計算し尽くされたタイミングで、店長のジョンホに電話をかけました。

電話口から聞こえるアジンの悲鳴を聞き、慌ててアジンの自宅に駆けつけたジョンホ。 彼が目にしたのは、アジンが「ストーカーの特徴」として伝えていた通りのニット帽をかぶった男(ソンギュ)が、アジンに殴りかかっている姿でした。 ジョンホは、その男をストーカー犯だと完全に誤解します。 アジンを守らなければならないという正義感に駆られたジョンホは、玄関先に(アジンがわざと置いておいた)護身用のバットを掴み、ソンギュの頭を力いっぱい殴りつけてしまいました。

ジョンホが我に返り、動揺して家から逃げ出すのを見届けた後、アジンはまだ息のある父に近づきます。 父は血を流しながら、「助けてくれ…」とアジンに懇願します。 それは奇しくも、かつてアジンが母から聞いた言葉と全く同じでした。 アジンは、かつて母を見捨てた時と全く同じ冷たい目線で父を見下ろし、彼が息を引き取るのを静かに見届けます。 そして、受話器を手に取り、泣きじゃくりながら「お父さんが…ストーカーに襲われて…!」と警察に通報するアジンの顔には、歪んだ満足感と狂気に満ちた「笑み」が浮かんでいました。

3話の考察:計算された父への復讐劇

第3話は、ペク・アジンの恐るべき計画性と、彼女の内面に潜む狂気が頂点に達した、まさに圧巻の回であったと言えます。 彼女は、幼少期から自分を苦しめ続けた「足かせ」である父親を社会的に抹殺するために、完璧としか言いようのないシナリオを描き切りました。

特筆すべきは、彼女の人間観察眼の鋭さと、冷徹なまでの判断力です。 あれほど自分に尽くしてきたジュンソでさえ、父を殺害するには「優しすぎる(中途半端すぎる)」と見抜くや、即座に計画から除外する冷静さを持っています。 そして、新たな実行犯として選んだ店長ジョンホの「善良さ」と「正義感の強さ」を逆手に取り、彼を巧みに誘導し、最終的に「殺人者」に仕立て上げました。

アジンがジョンホに「運命を賭けた」とされるシーンがありますが、それは決して運任せの賭けではありません。 ジョンホの性格、元有名選手としてのプライド、そして自分(アジン)へ寄せている好意を正確に分析し、「彼なら必ず自分のシナリオ通りに行動する」という確信に基づいた、計算ずくの行動でした。

ストーカー犯を自ら雇うという大胆な発想。 ニット帽という決定的な小道具を用意する周到さ。 そして、父が最も激高し、ジョンホが最も誤解しやすいシチュエーションを完璧に作り上げる演出力。 これら一連の行動は、全てがアジンの計算通りに進みました。

父が息絶えるのを見届けながら、泣きながら笑うというキム・ユジョンの演技は、まさに「韓国のジョーカー」と評されるにふさわしいものでした。 それは単なる狂気の発露ではなく、長年の虐待から解放された安堵感、自分の計画が成功した達成感、そして自分自身が化け物になってしまったことへの自嘲が入り混じった、非常に複雑な感情の表れだったのではないでしょうか。 アジンにとって、この復讐劇は、生きるために必要不可欠な「正当防衛」であり、人間としての尊厳を取り戻すための、唯一の手段だったのかもしれません。

4話ネタバレ【引き返せない】

父ソンギュの死により、アジンの計画は完璧に完了したかのように見えました。 しかし、彼女の計算を超えた「力」が介入することで、事態は思わぬ方向へと進み始めます。 アジンは、自らの計画によって、もはや「引き返せない」道へと足を踏み入れることになります。

不正刑事と新たな危機

計画通り、店長のジョンホはソンギュ殺害の容疑で警察に拘束されます。 病院で事情聴取を受けていたアジンも、当初は「被害者」として扱われていました。 しかし、事態は急変します。 ジョンホは元野球選手であり、彼との再契約を望んでいたPBエージェンシーという有力な事務所が裏で動き始めたのです。

エージェンシーは、ジョンホを無実にするため、担当刑事に裏取引を持ちかけます。 担当刑事はこれに応じ、ジョンホの代わりに「真犯人」を仕立て上げることにしました。 そのターゲットに選ばれたのが、アジンでした。 アジンには父ソンギュから日常的に暴力を受けていたという「動機」があり、父がストーカーではなかったという証拠も揃っていました。 アジンは一転して「被害者」から「殺人容疑者」として連行され、人生最大の窮地に立たされます。

アジンは、刑事たちの会話を盗聴し、裏取引の証拠を掴もうとしますが、失敗に終わります。 どれだけ完璧な計画を立てたつもりでも、警察という国家権力と、エージェンシーという資本の力が結託した「社会的な力」の前には、一個人の知略など無力であることを、アジンは痛感させられます。

ミリ代表との取引

アジンがなす術なく窮地に追い込まれていたその時、一人の女性が警察署に現れます。 それは、以前からカフェに客として訪れ、アジンの美貌に目をつけ、執拗にスカウトしようとしていた芸能事務所の代表、ソ・ミリでした。 ミリは、ソンギュ殺害事件のニュースを見て、全てを察知していたのです。

ミリは拘束されているアジンと面会し、冷ややかに取引を持ちかけます。 「私のスカウトを受け入れなさい。そうすれば、ここから出してあげる」と。

時を同じくして、アジンの逮捕を知ったジュンソが、警察署に駆けつけます。 彼は「アジンは悪くない。ソンギュにとどめを刺したのは自分だ」と、アジンの罪を全て被ろうと、無謀な自首を行いました。 アジンは、ジュンソの予想外の、そしてあまりにも自己犠牲的な行動に驚きを隠せません。 しかし、ジュンソの嘘はすぐに警察に見破られ、彼の行動は事態を好転させるには至りませんでした。

もはや自分の力だけではこの状況を打破できないと悟ったアジンは、ミリ代表の「悪魔の取引」を受け入れることを決意します。 アジンの承諾を得たミリは、即座に警察の上層部に圧力をかけ、担当刑事の不正行為を白日の下に晒しました。 アジンへの疑いは晴れ、彼女は釈放されます。 そして、この事件の「犯人」は、エージェンシーとの取引が成立しなかった、元々の実行犯である店長ジョンホとして、法的に処理されることになりました。

ジュンソとの決別

釈放されたアジンに対し、ミリ代表は非情な条件を突きつけます。 「あなたを助けたのは、あなたに商品価値があるから。その商品に傷がつくのは困る。だから、二度とユン・ジュンソに会わないこと」。 将来、アジンがトップ女優になった時、ジュンソの存在が過去のスキャンダル(父殺害事件)を掘り起こす火種になることを、ミリは恐れたのです。 アジンは、その条件を、表情一つ変えずに飲み込みました。

アジンは、最後にジュンソの元へ向かいます。 ジュンソは、アジンの無事を喜びつつも、罪のないジョンホが犯人にされたことに対し、何の罪悪感も抱いていないアジンを静かに責めます。 「いつかバチが当たる」と。 しかし、アジンはジュンソの言葉を冷たく遮ります。 「あなたは私を守ってくれなかった。あの時、父を殺すのをためらった」。 そして、「あなたも父と同じ。私の成功の足かせになる」と、ジュンソに決定的な別れを告げました。

アジンは、この一連の事件を通して、「個人の知恵」よりも「社会的な力」が、この世界を支配していることを痛感しました。 そして、その「力」を手に入れるため、芸能界で頂点を目指すことを固く決意します。 自分を唯一愛してくれたジュンソの純粋な愛さえも、「足かせ」として切り捨てて。

その後、アジンはミリ代表の強力なバックアップのもと、宣言通り、一瞬にして有名女優へと登り詰めていくのでした。

4話の考察:ジュンソとの決別と女優への道

第4話は、ペク・アジンの物語において、極めて重要なターニングポイントとなりました。 彼女の人生が、もはや後戻りできない破滅の道へと本格的に舵を切った瞬間が描かれています。

父ソンギュ殺害の計画までは、アジンの「個人の知略」が全てを支配していました。 しかし、その計画が完璧だったがゆえに、警察とエージェンシーという「組織の力」の介入を招いてしまいます。 アジンは、自分が作り上げたシナリオの上で、自分が「犯人」として踊らされるという皮肉な現実に直面し、初めて「敗北」を味わいます。 この経験が、アジンに「力」の本質を痛感させました。 生き残るためには、他人を操る個人の能力だけでは不十分であり、社会そのものを動かす「権力」や「資本」といった、より大きな力を手に入れなければならない、と。

ミリ代表の取引を受け入れたことは、アジンが新たな「力」のシステムに組み込まれることを選択した瞬間です。 そして、その「力」を手に入れるための代償として、彼女は自分に残された唯一の「人間的な繋がり」であったジュンソを切り捨てました。 ジュンソは、アジンの罪を被ろうとするほど、無償の愛を捧げました。 しかし、アジンの目には、その「愛」こそが、頂点を目指す自分を過去に縛り付ける、最も重い「足かせ」として映ってしまったのです。 ジュンソがアジンを責めたのは、彼女に「バチが当たる」ことを恐れ、人としての道を踏み外してほしくないという、彼なりの最後の愛情表現でした。 しかし、その言葉も、もはやアジンの心には届きません。

アジンに利用された店長ジョンホは、善良であったがゆえに罪人として刑務所へ。 アジンを純粋に愛したジュンソは、その愛ゆえに捨てられました。 一方で、アジンは、多くの犠牲を踏み台にして、「トップ女優」という華やかな成功を手にします。

しかし、これは決してハッピーエンドではありません。 女優という、常に「仮面」を被り続ける職業は、ソシオパスであるアジンにとって、まさに天職であったと言えるでしょう。 しかし、それは同時に、彼女が二度と「ペク・アジン」本人として生きることを許されない、新たな地獄の始まりでもあります。 4話までの壮絶な展開は、これから始まる彼女の更なる「破滅の物語」の、壮大な序章に過ぎないことを、強く示唆しています。

親愛なるx 序盤ネタバレの総まとめ

『親愛なるX』の1話から4話までの重要なポイントをまとめます。

  • 『親愛なるX』は美貌の女優アジンの壮絶な人生を描くスリラー
  • 原作はNAVERの完結済みウェブトゥーン
  • 日本配信はディズニープラス独占
  • アジンは幼少期に母の死を見捨てた壮絶な過去を持つ
  • 彼女は反社会性パーソリティー障害(ソシオパス)を抱えている
  • 1話では高校時代にソンヒへ徹底的な復讐を行った
  • アジンはジュンソとジェオを「道具」として利用する
  • 2話でアジンとジュンソの出会いが描かれた
  • アジンは幼少期にジュンソの出生の秘密を握り彼を支配
  • アジンの父が大学の入学金を奪い、アジンの夢は絶たれる
  • 3話でカフェ店長ジョンホを新たな「道具」として利用
  • アジンは父を殺害するため周到な計画を立てる
  • ストーカー犯、店長、ジュンソを駒として利用した
  • アジンは父の死を見届けながら笑みを浮かべる
  • 4話でアジンは不正な刑事により殺人犯に仕立て上げられそうになる
  • 芸能事務所のミリ代表と取引し、危機を脱出する
  • ジュンソはアジンの罪を被ろうと自首するが失敗
  • アジンは頂点を目指すため、ジュンソとの決別を選ぶ
  • 多くの犠牲の上に、アジンはトップ女優への道を歩き出す
ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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