イクサガミの10万円の価値は?現代でいくらか計算してみた

Netflixで配信中のドラマ「イクサガミ」で描かれる、命を懸けた壮絶なデスゲーム「蠱毒」。その優勝賞金である「金十万円」について、現代の価値に換算すると一体いくらになるのか、疑問に思っていませんか。
「10万円のために命を懸けるのは安すぎるのではないか」と感じるかもしれませんが、物語の舞台は明治11年です。当時の時代背景の中で、侍たちが命を懸けるに値する金額だったのか、その驚くべき本当の価値と計算の根拠について、詳しく解説していきます。
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- 賞金10万円が現代でいくらに相当するか
- 明治11年当時の貨幣価値の計算根拠
- 当時の警察官の給料との比較
- 高額な賞金に隠された物語の背景
イクサガミの賞金10万円の価値は?
- 物語の概要「蠱毒」とは
- 賞金は明治時代の10万円
- 現代では約46億円以上に相当
- 価値の計算根拠:巡査の初任給
- 明治11年当時の巡査の給料
物語の概要「蠱毒」とは
「イクサガミ」は、岡田准一さんが主演・プロデューサー・アクションプランナーの三役を務める、Netflixで独占配信中のドラマシリーズです。
物語の舞台は明治11年。江戸幕府が倒れ、侍の時代が終わりを告げた京都から物語は始まります。「武技に優れた者は京都・天龍寺の境内に集まれ、大金を手にするチャンス」という謎めいた新聞広告が、街中に張り出されました。
廃刀令などによって生きる術を失い、困窮していた多くの元侍たちが、その破格の報酬に惹かれて次々と集結します。主人公の嵯峨愁二郎(さが しゅうじろう、演:岡田准一)も、コレラに苦しむ妻子を救うための金を得るべく、その中にいました。
しかし、そこで彼らに告げられたのは、「蠱毒(こどく)」と呼ばれる壮絶なサバイバルゲームの開始でした。参加者たちは木札を奪い合いながら、最後の1人(あるいは指定された人数)になるまで戦い抜き、東京を目指すことを余儀なくされます。
賞金は明治時代の10万円
この非情なデスゲーム「蠱毒」の勝者、あるいは生き残った者に約束された賞金が、「金十万円」です。
現代を生きる私たちが「10万円」と聞くと、アルバイトや給与の一か月分にも満たない金額を想像するかもしれません。命を懸ける対価としては、あまりにも安すぎると感じるのが自然な反応でしょう。
しかし、この金額はあくまで「明治11年」という、現代とは物価も貨幣価値も全く異なる時代に設定されたものです。
ドラマの参加者たちがこの金額に色めき立ち、命を懸ける動機とするには、相応の理由が存在します。当時の時代における「10万円」の本当の重みを理解することが、物語を深く味わう鍵となります。
現代では約46億円以上に相当
結論から先に述べますと、明治11年当時の10万円は、現代(令和6年時点)の価値に換算すると、およそ「46億4000万円」という驚愕の金額に相当すると試算されます。
一部の試算では約50億円に達するという見方もあり、いずれにしても現代で言えば「数十億円」という、まさに桁違いの莫大な金額です。
46億円、あるいは50億円。これだけの金額が手に入るとすれば、家族を救うため、あるいは没落した家を再興するため、元侍たちが死と隣り合わせの戦いに身を投じる動機としては、十分すぎるほどの説得力を持つことがわかります。
この常軌を逸した賞金額こそが、参加者たちの目を曇らせ、欲望をかき立て、過酷な殺し合いを繰り広げる大きな要因となっているのです。
価値の計算根拠:巡査の初任給
この「46億4000万円」という金額は、一体どのような根拠に基づいて算出されたのでしょうか。
異なる時代の貨幣価値を比較する際には、いくつかの方法があります。例えば、米の価格(米価)や消費者物価指数で比較する方法がありますが、時代が大きく異なると、生活様式や主要な品目が変わるため、単純な比較が難しい場合があります。
そこで今回は、当時も現代も存在し、比較的給与水準や社会的役割が安定していると考えられる職業、すなわち「警察官(巡査)」の初任給を基準として計算されています。
この方法は、当時の「働く人」の感覚として、その金額がどれほどの重みを持っていたかを推し量る上で、有効な指標の一つと考えられます。
明治11年当時の巡査の給料
では、具体的な計算の根拠となった当時の給与データを見ていきます。
愛媛県新居浜市立図書館がまとめた「値段史年表」や、その他の歴史資料によりますと、明治初期の巡査の初任給に関しては、以下のような記録が残されています。
- 明治7年(1874年):巡査の初任給 4円
- 明治14年(1881年):巡査の初任給 6円
「イクサガミ」の物語の舞台は、明治11年(1878年)です。この年代は、上記二つの記録のちょうど中間にあたります。
そのため、明治11年当時の巡査の初任給を、間を取って仮に「5円」であったと設定します。この5円という金額が、当時の貨幣価値を現代に換算するための基準点となります。
イクサガミの10万円の価値と背景
- 現代の警察官の初任給と比較
- 明治11年当時の1円の価値
- 他の物価から見る当時の1万円
- 高額な賞金に隠された狙いとは
- 賞金は政府の嘘の可能性も?
現代の警察官の初任給と比較
当時の巡査の初任給を「5円」と仮定したところで、次に比較対象となる現代の警察官の給与を確認します。
警視庁の「警察官・警察行政官採用サイト」に記載されている情報(令和6年時点)を参照すると、Ⅲ類採用者(高卒者)の警察官の初任給は、地域手当などを含んだ額面で約23万2000円となっています。
この二つの数値を基にして、明治11年当時の「1円」が、現代のいくらに相当するのかを算出します。
計算式は以下の通りです。
232,000円(現代の初任給) ÷ 5円(当時の初任給) = 46,400
この計算により、明治11年当時の「1円」は、現代の約「4万6400円」の価値があったと推定することができるのです。
明治11年当時の1円の価値
前述の通り、明治11年当時の1円が現代の約4万6400円に相当すると仮定した場合、いよいよ「蠱毒」の賞金である10万円が、現代においてどれほどの金額になるのかを計算できます。
計算式は非常に単純です。
46,400円(当時の1円の価値) × 100,000(賞金額) = 4,640,000,000円
この計算結果が示す通り、賞金は「46億4000万円」という、個人が一生かかっても稼ぐことが困難なほどの莫大な金額になることが分かります。
主人公の愁二郎が救おうとしている妻子や村の人々の命、他の参加者たちが背負うそれぞれの事情を鑑みても、この金額は彼らが命を懸ける動機として、非常に強い説得力を持つものとなります。
他の物価から見る当時の1万円
警察官の給与という「人件費」の観点以外からも、当時の物価水準を推し量る資料があります。
例えば、富士屋ホテル&リゾーツのホームページに記載されている情報によれば、明治20年(1887年)、箱根の塔ノ沢から宮ノ下までの区間(約7.8km)に道路を開通させた際の総工費が、「1万882円」だったとされています。
この工事費用は、現在の貨幣価値に換算すると約5億500万円に相当するとのことです。
「イクサガミ」の舞台である明治11年とは数年のずれがありますが、約1万円で現代の5億円規模の公共事業(道路整備)が行えた時代であったことを考慮すると、その10倍の金額である「10万円」が、いかに途方もない大金であったかが想像できます。
高額な賞金に隠された狙いとは
この46億円以上という、非現実的なまでの賞金額は、単なるゲームの報酬というだけでなく、物語の背景にある「蠱毒」主催者の真の狙いを考察する上で、非常に重要な要素となります。
明治維新によって侍の時代は終わりを告げ、多くの武士たちは「士族」という身分こそ得たものの、廃刀令や秩禄処分によって特権と職を失い、社会的な行き場のない不満を抱えていました。
彼らの中には、剣の腕は立つものの、新しい時代に適応できず困窮している者も多く、新政府にとって彼らは治安を脅かす可能性のある「危険人物」でもありました。
これほどの莫大な賞金を提示したのは、そうした腕に覚えのある危険な元侍たちを、日本全国から根こそぎ一箇所に集めて一網打尽にするための、巧妙な「餌」であった可能性が考えられます。
賞金は政府の嘘の可能性も?
これほどの高額な賞金が設定されていること自体に、主催者側の別の意図が隠されている可能性も指摘されています。
原作小説を未読の視点から考察すると、この「10万円(46億円)」という賞金は、そもそも困窮した侍たちを集めるための方便、つまり「嘘」である可能性も否定できません。
危険な侍たちを一堂に集め、賞金という欲望をぶら下げて互いに潰し合わせる。そして、生き残った少数の猛者たちを、新政府が組織した警察や軍隊の力で一掃する。
もしそれが「蠱毒」の真の目的であるならば、最初から賞金を支払う必要は元からありません。物語が進むにつれて、この莫大な賞金の真実と、政府の暗躍も明らかになっていくものと予想されます。
イクサガミの10万円の価値まとめ
- イクサガミの賞金は明治11年当時の「10万円」
- この金額は現代の価値で約46億4000万円以上に相当する
- 計算の根拠は当時と現代の「警察官(巡査)」の初任給の比較
- 明治11年頃の巡査の初任給は約5円と推定
- 現代の高卒警察官の初任給は約23万2000円
- この比較から、当時の1円は現代の約4万6400円の価値があったと計算できる
- 賞金10万円 × 4万6400円 = 46億4000万円
- 別の物価比較(道路工事費)でも、当時の約1万円が現代の約5億円規模に相当
- この金額は、侍たちが命を懸ける動機として十分な説得力を持つ
- 莫大な賞金は、職を失った腕利きの侍たちを集めるための「餌」である可能性がある
- 新政府による治安維持のため、危険人物を一掃する狙いが隠されていると予想される
- 賞金額自体が、参加者を集めるための「嘘」である可能性も考察される
- 物語は岡田准一主演のNetflixドラマシリーズ
- 舞台は侍が滅びゆく明治11年の京都
- 「蠱毒」と呼ばれる命懸けのデスゲームが物語の中核


