【聖ラブサバイバーズ】24話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー

第23話では、王子からの愛の告白に涙したのも束の間、「体は反応しなくて、ずっと誰とも勃たないんだ」という衝撃的な事実を突きつけられました。 第24話では、その告白を受けたハルの葛藤と、王子がなぜそのような状態に陥ってしまったのか、その悲しい過去が明らかになります。

【聖ラブサバイバーズ】第24話をネタバレありでわかりやすく解説する

「ハッピーエンド」のその先にある現実

ハルはこれまで、フィクションの中にある「ハッピーエンド」ばかりを追いかけてきました 。 憧れの王子様が、冴えない自分を見初め、「好きだよ」と抱きしめてくれる展開 。 物語ならそこで終わりますが、現実はその先も続いていきます 。 王子の口から語られた「勃たないんだ、ずっと、誰とも」という言葉は、ハルを夢物語から現実へと引き戻すのに十分すぎる衝撃でした

ハルは動揺しながらも、ライターとしての知識を総動員し、「治療とか取材で聞いたことあるよ…!」と前向きな提案をしようと試みます 。 しかし、王子は気まずそうに「ちょっとタバコ吸っていい?」と言い、逃げるようにベランダへと出て行ってしまいました 。 一人残されたハルは、彼がずっと「カラカラ」の状態だったことに思いを馳せ、自分の配慮のなさを責めるように立ち尽くします

「バチが当たった」王子が語る性の虚しさ

ハルが恐る恐るベランダに出ると、王子は静かにタバコを吸っていました。 「しんどかったの…?結婚式ん時暑かったからもう半年くらいかー」と、ハルが何とか会話を繋ごうとすると、王子はぽつりと呟きます

「バチ当たったかな」

王子は自嘲気味に、自身の性体験について語り始めました。 彼はこれまで、セックスをしていて心底楽しいと思ったことが一度もないと言うのです 。 バンドデビューして急激にモテるようになり、童貞時代に抱いていた夢とは裏腹に、現実は空虚なものでした 。 初めは浮かれていたものの、次第に女性から「勝手に理想を思い込まれること」や、「好きなんだから」という理由で一方的に性欲をぶつけられることに疲れ果ててしまったのです

「食われる前に食う」対抗意識の果てに

当時の王子は、自分自身もろくでもなかったと振り返ります 。 相手から消費される感覚に抗うように、「食われる前に食ってやる」という謎の対抗意識で関係を持っていたこともありました 。 愛のない、心の通わない行為を繰り返しているうちに、いつしか体も気持ちも干からびて、「カラカラ」になってしまったのです

王子は「こんな結婚になって俺が全部悪い、ずっとハルに甘えてきたから」と、深く謝罪します 。 彼は自分の機能不全を隠したまま結婚し、ハルの優しさに甘えて問題を先送りにしていたことを悔いていました。

ハルの気づきと「恋愛強者」への誤解

王子の謝罪に対し、ハルは「そんなことないよ…!」と必死に否定します 。 そして、自分もまた、王子に対して勝手な思い込みを押し付けていたことに気づき、涙ながらに語り始めました

ハルはずっと、王子のような人は「恋愛強者」であり、自分のような「弱者」がいくら想いをぶつけても、彼は慣れっこだろうと考えていました 。 だからこそ、やっと振り向いてくれたのだから、これまでの彼の努力を汲んで、「そっち(王子)」から誘うべきなのだと、受け身の姿勢を正当化していたのです 。 ハルは、王子を一人の傷ついた人間としてではなく、「モテるバンドマン」というアイコンとして見ていた自分自身の浅はかさを自覚することになりました。

【聖ラブサバイバーズ】24話を読んだ感想(ネタバレあり)

今回のエピソードは、華やかなイメージのあるバンドマン・王子の抱える闇が深すぎて、読んでいて胸が苦しくなりました。 一般的に「モテる男」は幸せだと思われがちですが、王子にとってはそれが呪いのように作用していたのですね。 「勝手に思い込まれる」「欲をぶつけられる」という言葉からは、彼が一個人としてではなく、ただの「性的対象」や「推し」として消費され続けてきた孤独が伝わってきます。 「食われる前に食ってやる」という言葉はあまりに悲痛で、彼の心が壊れてしまったのも無理はないと感じました。

また、ハルの気づきも非常に重要です。 彼女は自分が「選ばれた側」で、王子が「選ぶ側(強者)」だと思っていましたが、実際には対等か、むしろ王子の方が傷つき、怯えていました。 ハルが「恋愛強者」という色眼鏡を外し、目の前にいる弱くて不器用な一人の男性として王子を見始めたこと。 これが、二人が本当の意味で夫婦になるための第一歩なのだと思います。

EDというデリケートな問題を扱っていますが、単なる身体的な話ではなく、心の問題、そして「男らしさ」「女らしさ」の呪縛についての物語になっている点が非常に深いです。 お互いの弱さをさらけ出した二人が、ここからどうやって「カラカラ」の状態から再生していくのか、応援せずにはいられません。

【聖ラブサバイバーズ】24話のネタバレまとめ

  • 王子の「勃たない」という告白を受け、ハルは治療を提案しようとするが、王子は場を外してしまう 。
  • 王子は、これまでの人生でセックスを心底楽しいと思ったことがないと明かした 。
  • バンドデビュー後、一方的に理想や性欲を押し付けられることに疲れ、心身ともに消耗していた 。
  • 王子は消費されることに抗うため、「食われる前に食う」という対抗意識で関係を持っていた時期があった 。
  • その結果、体も心も「カラカラ」になり、機能不全に陥ってしまった 。
  • ハルは、王子を「恋愛強者」だと決めつけ、彼の内面を見ずに勝手な思い込みを押し付けていた自分を反省した 。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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