【やさしい嘘で抱きしめて】1話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー

【やさしい嘘で抱きしめて】第1話をネタバレありでわかりやすく解説する

仕事一筋だった30歳の終わりと始まり

主人公の蓮見紗和子(はすみ さわこ)は30歳、独身で彼氏はいません。ハサミ一本で必死に駆け抜けてきた人生でした。しかし、勤めていた美容室が閉店することになり、彼女はその唯一の生きがいすらも失ってしまいます。

美容室の片付けをしながら、紗和子はあっという間に過ぎ去った自分の10年間に思いを馳せます。空っぽになった店内で、彼女の心にもぽっかりと穴が空いたような寂しさが漂っていました。

深夜の突然の来訪者

時計の針が深夜を回ろうとしていた時、店のドアを叩く音が響きます。紗和子が恐る恐るドアの隙間から覗くと、そこには髪が長く、顔が見えない男性が立っていました。

男性は「何か用ですか?」と尋ねる紗和子に対し、夜遅くであると知りながらも髪を切ってほしいと頼み込みます。紗和子は営業時間が終わっていること、そして今日で店を辞めたことを伝えますが、男性のただならぬ様子に何か事情があるのだと察しました。

彼女は「カットモデル」という名目で、彼の髪を切ることを承諾します。この辺りで夜中に開いている店など他にないという状況と、彼を見捨てておけないという彼女の優しさが動いた瞬間でした。

隠されていた素顔との対面

店内に招き入れ、いざ施術を始めようと男性の髪に触れた紗和子は驚きます。伸び放題でボサボサに見えた髪の下から現れたのは、驚くほど整った綺麗な顔立ちだったのです。

「めちゃくちゃカッコよくしたい!」

美容師としての情熱に火がついた紗和子は、彼を変身させることに没頭します。ハサミを動かし、ドライヤーを当て、鏡の前に座る彼が徐々に垢抜けた姿へと変わっていきます。

施術が終わり、さっぱりとした短髪になった彼は、鏡を見て「うっわ…スッキリした」と笑顔を見せました。紗和子もまた、自分の好みを少し入れてしまったと照れながら伝えます。彼はその仕上がりをとても気に入った様子で、爽やかにお礼を言いました。

予期せぬ再会と正体

セットの仕方を説明しようとしたその時、男性がふいに「蓮見さん?」と彼女の名前を呼びます。紗和子が驚いていると、彼は「中学で一緒だった雨宮だよ」と明かしました。雨宮律(あまみや りつ)。その名前を聞いても、紗和子の記憶にはまったく心当たりがありません。

「こんなイケメン、うちの学校にいた?」

彼女は内心で激しく動揺します。中学時代の同級生だと言う彼ですが、紗和子はまったく思い出せませんでした。

お会計をしようとする雨宮に対し、紗和子は「いらないって!部外者だし!」と断ります。しかし雨宮は「技術ある人に失礼でしょ」と言い、お礼に食事をご馳走すると提案してきました。連絡先を交換し、彼は「じゃあ連絡するね!」と笑顔で手を振って夜の街へと消えていきました。

動き出す恋の予感

その日の夜、紗和子のスマートフォンが鳴ります。画面には雨宮からのメッセージが表示されていました。

「今日はありがとう!久しぶりに会えてよかった」

そして、すぐに次のメッセージが届きます。

「夜どっちか空いてる?食事でもどうかな」

突然の再会、そしてかつての同級生だというイケメンからのデートの誘い。仕事も居場所も失ったばかりの紗和子の日常に、予想もしなかった新しい展開が訪れるのでした。

【やさしい嘘で抱きしめて】1話を読んだ感想

すべてを失った喪失感から始まるストーリーですが、後半の展開に心がときめきました。特に印象的だったのは、紗和子が雨宮の髪を切り始めた瞬間の表情の変化です。

それまで沈んでいた彼女の目が、美容師としての輝きを取り戻す様子は、見ていてとても清々しい気持ちになれました。どんなに落ち込んでいても、培ってきた技術や情熱は嘘をつかないのだと感じさせられます。

また、雨宮くんの変身ぶりには驚かされました。髪を切っただけであそこまで雰囲気が変わるとは、まさに魔法です。そして何より、「中学の同級生」という設定が絶妙です。あんなに素敵な男性を覚えていないはずがないという紗和子の戸惑いに、思わず共感してしまいました。

彼が本当にただの同級生なのか、それとも何か秘密があるのか。タイトルにある「嘘」という言葉が何を意味するのか、今後の展開が非常に気になります。どん底の日に訪れた運命的な出会いに、続きを読まずにはいられなくなりました。

【やさしい嘘で抱きしめて】1話のネタバレまとめ

  • 主人公の紗和子は30歳独身、勤めていた美容室が閉店し職を失う
  • 閉店作業中の深夜、訳ありな様子の長髪の男性が来店する
  • 紗和子の技術で髪を切った男性は、見違えるようなイケメンに変身する
  • 男性の正体は、中学の同級生「雨宮律」だったが、紗和子は覚えていない
  • 連絡先を交換した後、すぐに雨宮から食事の誘いが届く

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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