ネットミーム

【歯磨き粉ミャオミャオ】元ネタは何?曲名・歌詞・空耳の理由を解説

ずっちー

こんにちは。コミックコミュニティ、運営者のこまさんです。

最近、TikTokやYouTubeショートを見ていると、やたらと耳に残るあの曲、聞こえてきませんか?「歯磨き粉ミャオミャオ~♪」ってなんか聞こえるあのBGMです。一度聴いたら頭から離れないんですよね。気づいたらずっと脳内リピートしてた、なんて人も多いんじゃないかなと思います。

私もそのひとりで、最初に耳にしたとき「え、歯磨き粉って言ってる?なんで?どこの曲?」ってめちゃくちゃ気になってしまって。それから調べていくうちに、この曲の背景がかなりおもしろいことがわかってきたんです。原曲がペルー民謡で、カバーを経て、ブラジリアンファンクにリミックスされて、日本で空耳バズする……って、このルートが想像以上にドラマチックで。

この記事では、歯磨き粉ミャオミャオの元ネタとなる曲名やアーティスト名、なぜ歯磨き粉と空耳してしまうのかの仕組み、本当の歌詞の和訳、そして原曲からリミックスに至るまでの歴史的な流れ、さらにはロブロックスやブレインロットといったネットカルチャーとの関係まで、まるっとまとめてみました。「曲名は何?」「歌詞の意味は?」「どこの国の曲なの?」「なんで歯磨き粉に聞こえるの?」という疑問をぜんぶ解決できる内容になっていますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

この記事を読むと以下のことが理解できます
  • 歯磨き粉ミャオミャオの元ネタとなる正式な曲名とアーティスト名
  • なぜ「歯磨き粉」に聞こえるのか、空耳が成立する音の仕組み
  • スペイン語の本当の歌詞の内容と日本語訳
  • 1989年のペルー原曲からTikTokバズに至るまでの全体像
Contents
  1. 歯磨き粉ミャオミャオの元ネタを徹底解説
  2. 歯磨き粉ミャオミャオの元ネタと日本での流行

歯磨き粉ミャオミャオの元ネタを徹底解説

「あの曲って結局なんて曲なの?」という疑問、ここで一気に解決しましょう。実はこの曲、一枚岩ではなくて、原曲・カバー・リミックスという3段階の歴史があるんです。単純に「ブラジルの曲」「ペルーの曲」と片付けられないおもしろい複合的な背景があって、その全体像を理解してはじめて「なぜこの曲がここまでバズったのか」がよくわかってきます。そのあたりを順番に整理していきますね。

なぜ「歯磨き粉」に聞こえるのか

まずは多くの人が最初に抱く疑問、「なんで歯磨き粉って聞こえるの?」というところから解説します。この疑問、実はすごく理にかなっていて、ちゃんと音声学的な理由があります。

この曲のサビでは、「Ay, mi gatito, miau, miau(アイ・ミ・ガティート・ミャウ・ミャウ)」というフレーズが何度も繰り返されます。これはスペイン語で「ああ、私の子猫ちゃん、ニャーニャー」という意味なんですが、このうち前半の「Ay, mi gatito(アイ・ミ・ガティート)」の部分が、日本語話者の耳に「歯磨き粉(はみがきこ)」と聞こえてしまうんですね。

具体的には以下のような音の変換が起きています。

空耳の音変換プロセス

「Ay, mi gatito」(アイ・ミ・ガティート)

↓ 高速テンポで母音が融合し、音の境界が曖昧になる

「アイミガティト」

↓ 日本語のモーラ感覚で区切り直す

「は・み・が・き・と(こ)」=「はみがきこ」

後半の「miau, miau(ミャウ・ミャウ)」はスペイン語の猫の鳴き声で、日本語の「ミャオミャオ」とほぼ同じ発音なのでそのまま聞き取れます。結果として「歯磨き粉ミャオミャオ」という強烈な空耳が完成します。

一度「歯磨き粉」と認識してしまうと、もうそれ以外には聞こえなくなるのが空耳の恐ろしいところですよね。これはいわゆる「知覚の固定化」と呼ばれる現象で、脳が一度パターンを学習すると、そのフィルターを外すのが難しくなる性質によるものです。この現象はカクテルパーティー効果とも関連していて、騒がしい場所でも自分に関係ある言葉だけ聞き取れるのと同じメカニズムが働いています。

ちなみに「はみがきとニャオニャオ」「はみがきこニャオニャオ」など、微妙に聞こえ方が違うパターンも多く報告されています。個人の普段使う語彙や、音楽を聴くときの集中度、あるいはどのバージョンの音源で初めて聴いたかによって、空耳の内容が微妙にブレるのもこの現象の特徴です。TikTokのコメント欄でも「私は歯磨き粉って聞こえる」「私はハミガキにしか聞こえない」と盛り上がっているのをよく見かけますよね。

「歯磨き粉ミャオミャオ」表記ゆれ一覧

検索するときに使われる表記はいくつかあります。どれも同じ曲を指しています。

  • 歯磨き粉ミャオミャオ(最も一般的)
  • 歯磨き粉みゃおみゃお(ひらがな表記)
  • 歯磨き粉ニャオニャオ
  • はみがきこミャオミャオ
  • 歯磨き粉ミャオミャオミャオ(繰り返しバージョン)

空耳が成立する音韻的なメカニズム

前のセクションで空耳のプロセスをざっくり説明しましたが、もう少し掘り下げてみると、この空耳が成立するのには日本語と外来語の音韻体系の違いが大きく関係していることがわかります。言語学的に見てもなかなかおもしろい現象なんです。

日本語の「モーラ」という音の単位

日本語は基本的に「子音+母音」のセットで音が成り立っています。「か(ka)」「き(ki)」「く(ku)」のように、1つの文字が1つの音節(モーラ)に対応しています。一方でスペイン語や英語では、子音が連続したり、母音が連続して流れるように発音される部分が多い。この違いが空耳を生む土壌になっています。

「Ay, mi gatito」を聞いたとき、日本語話者の脳は無意識に「これを日本語のモーラに当てはめるとどうなるか?」という処理を行います。「Ay(アイ)」は日本語の「は(ha)」に音が近いし、「mi(ミ)」はそのまま「み」、「ga(ガ)」は「が」、「ti(ティ)→きに近い音」、「to(ト)→こ」という形で脳内変換が起きやすいんですね。しかも高速テンポのリミックスで矢継ぎ早に繰り返されるため、各音の境界が曖昧になって、より「はみがきこ」として認識されやすくなります。

リミックスのテンポと音楽的構造が空耳を強化する

Lenarによるリミックス版「Montagem Miau(モンタージュ・ミャウ)」はブラジリアンファンク/Phonkスタイルで、重低音とアグレッシブなビートが特徴的です。テンポが速くて繰り返しが多いため、歌詞の細部よりもリズム感として耳に入りやすく、より空耳が発生しやすい環境が整っています。

また、このリミックスでは元の歌声がサンプリングされ、ピッチやリバーブが調整されています。原曲のプリンセシータ・ケリー版よりも声が加工されているため、スペイン語としての音の輪郭がさらに曖昧になり、日本語話者が「別の言葉」として解釈しやすくなっているという要素もあります。

「歯磨き粉」という日本語のリズム(は・み・が・き・こ=5モーラ)が、偶然にもこのフレーズの音節数とリズムパターンにぴったり合致したことが、この空耳バズの核心です。

なぜこの空耳が爆発的に広まったのか

空耳そのものは昔からある現象ですが、「歯磨き粉ミャオミャオ」が特別にバズった理由のひとつは、その語感のインパクトにあります。「歯磨き粉」というちょっと意外な日用品の名前と「ミャオミャオ」という猫の鳴き声が組み合わさることで、聞いた瞬間に「え、何それ?笑」となるキャッチーさが生まれています。TikTokやショート動画のコメント欄では「歯磨き粉にしか聞こえなくなった」「もう元に戻れない」というコメントが溢れていて、その体験の共有がさらなる拡散を生んでいます。これはまさに「共感性の高いコンテンツがSNSで広まりやすい」という法則そのものです。

本当の歌詞はスペイン語だった

空耳の仕組みを理解したところで、では本当の歌詞は何語で何を言っているのか、というところを整理しましょう。ここには意外と知られていない重要なポイントがあります。

「ポルトガル語」は誤解——正しくは「スペイン語」

この曲はブラジル系アーティスト・Lenarがリミックスしているため、「ポルトガル語の曲」と勘違いされることがあります。ブラジルの公用語がポルトガル語であるため、そのように思われるのは自然なことです。しかし歌詞そのものはスペイン語です。なぜなら、原曲がペルーの楽曲だからです。ペルーの公用語はスペイン語であり、ペルーの歌手アマンダ・ポルタレスとプリンセシータ・ケリーはどちらもスペイン語で歌っています。

つまり「Montagem Miau」は、ブラジルのプロデューサーがペルーの曲をリミックスした作品であり、曲のスタイルはブラジリアンファンクでも、歌詞の言語はスペイン語、という少し複雑な構造になっています。この点は多くの解説記事で混同されているポイントなので、しっかり覚えておくと良いですよ。

よくある誤解 その1:「ポルトガル語の曲」

→ 誤りです。歌詞はスペイン語です。リミックスしたLenarがブラジル系というだけで、歌詞の言語はペルー発祥のスペイン語です。

よくある誤解 その2:「中国発の曲では?」

→ 誤りです。原曲は1989年のペルー発、リミックスはブラジル系アーティストによるものです。TikTokでハチワレ猫などの中国系猫動画にBGMとして多用されているため、中国と関連付ける検索が発生していますが、曲自体とは無関係です。

よくある誤解 その3:「この曲はブラジルの曲」

→ 正確には「ブラジルのプロデューサーがペルーの曲をリミックスした楽曲」です。ブラジル発と断言するのは不正確で、ルーツはペルーにあります。

スペイン語の主要単語解説

歌詞に出てくるスペイン語の単語を知っておくと、より曲の内容が頭に入ってきます。

スペイン語読み方意味・解説
Ayアイ感嘆詞「ああ」「おお」。驚きや嘆きを表す
mi「私の」(英語のmy)
gatitoガティート子猫。gato(猫)+指小辞-ito(小さい・かわいい)
miauミャウ猫の鳴き声(英語のmeow)
pobreポブレかわいそうな、貧しい
comeloncitoコメロンシート食いしん坊ちゃん(comelon+指小辞-ito)
llorandoジョランド泣いている(llorar=泣く、の現在進行形)
carneカルネ
pescadoペスカード魚(食材としての魚)
toditoトディート全部(todo+指小辞-ito、「全部まるごと」のニュアンス)

こうして単語を見ると、子猫への愛情と「やれやれ、この子は食いしん坊で困るな」という飼い主の苦笑い混じりの感情が伝わってきますね。スペイン語の指小辞(-ito/-ita)は日本語の「〜ちゃん」に近いニュアンスを持つので、「gatito」も「miau」も「comeloncito」も、全体的にとてもやわらかくてかわいらしい語感になっています。

歌詞の和訳と歌の内容

では実際に歌詞の全文と和訳を見ていきましょう。TikTokやYouTubeショートではサビ部分しか聞こえてこないことが多いですが、全体を見るとこの曲のかわいらしいストーリーがよく分かります。

サビ(Coro)——空耳バズの震源地

スペイン語(原文)カタカナ読み日本語訳
Ay, mi gatito, miau, miauアイ・ミ・ガティート・ミャウ・ミャウああ、私の子猫ちゃん、ニャーニャー
Ay, mi gatito, miau, miauアイ・ミ・ガティート・ミャウ・ミャウああ、私の子猫ちゃん、ニャーニャー

このサビが繰り返し使われているのが、ショート動画でバズった部分です。シンプルで覚えやすく、どんな動画にも合わせやすい。カタカナで歌うなら「アーイ ミ ガティット ミャオ ミャオ」と少し詰めて歌うと本家に近い雰囲気が出ます。

ヴァース1(Verso 1)——子猫の受難

スペイン語(原文)日本語訳
Pobre mi gatitoかわいそうな私の子猫ちゃん
Alguien le ha pegado por comeloncito食いしん坊だから誰かに叩かれた
Ahora está llorando今、泣いている

ヴァース2(Verso 2)——何でも食べちゃう子猫

スペイン語(原文)日本語訳
Se comió la carneお肉を食べちゃった
Se comió el pescadoお魚も食べちゃった
Se comió todito全部食べちゃった
Nada me ha dejado何も残してくれなかった

歌のストーリーと世界観

歌の内容はとってもシンプルで微笑ましいです。食いしん坊な子猫がお肉もお魚も全部食べてしまって、そのせいで叩かれて泣いている、その様子を飼い主が「かわいそうに」と憐れんでいるというストーリーです。深いメッセージ性や複雑な構成はなく、繰り返しの「ミャウミャウ」フレーズと子猫の愛らしいエピソードがループするだけのシンプルな曲です。

このシンプルさが逆に強みで、「歌詞を覚えなくてもとにかくノれる」「猫の動画にそのまま重ねるだけで成立する」という動画素材としての万能性につながっています。もともとはペルーの子ども向け民謡的な文脈で作られた曲なので、歌詞がやわらかくてキャッチーなのは当然といえば当然なんですよね。

また、こうして歌詞を見ると「猫が食いしん坊で叱られて泣いている」というストーリーが、実際の猫のリアルな姿とも重なって親しみやすい。猫飼いの人なら「あるある」と感じる部分もあるんじゃないかなと思います。それも猫動画との相性が抜群に良い理由のひとつかもしれません。

ペルー発の原曲1989年まで遡る

この曲のルーツは意外と深くて、実は1989年のペルーまで遡ります。TikTokで話題になっているリミックスだけを見ると「最近の曲」に感じますが、大本を辿ると30年以上の歴史を持つペルー民謡に行き着くというのが、この曲の最大の面白さのひとつです。

最古の原曲:アマンダ・ポルタレスの「Gatito Miau Miau」(1989年)

大元の原曲は「Gatito Miau Miau(ガティート・ミャウ・ミャウ)」というタイトルの楽曲です。作曲はマヌエル・”ゾロ”・ヒメネス(Manuel “Zorro” Jimenez)、初代歌唱者はペルーの歌手アマンダ・ポルタレス(Amanda Portales)で、1989年にシングルとして発表されました。1992年にはアルバム『La Novia del Perú(ペルーの花嫁)』に収録されています。

ジャンルはフアイノ(Huayno)と呼ばれるアンデス音楽・ペルー民謡です。フアイノはペルーやボリビアなどのアンデス地域に伝わる伝統的な音楽スタイルで、独特のペンタトニックスケール(5音音階)と跳ねるようなリズムが特徴的です。アンデスの民族楽器であるケーナ(葦笛)やチャランゴ(小型弦楽器)が使われることも多く、土着の民族音楽の空気感があります。アマンダ・ポルタレスはこのジャンルを代表するペルーの国民的歌手のひとりとして知られています。

バズの起点:プリンセシータ・ケリーのカバー(2004年/2010年)

その後、2004年にペルーの歌手プリンセシータ・ケリー(Princesita Kelly)がこの曲を「Ay Mi Gatito(アイ・ミ・ガティート)」というタイトルでカバーしました。プリンセシータ・ケリーはペルーで人気の女性歌手で、子ども向け音楽やラテンポップ、フォルクローレ(ペルー民謡)を中心に活動しています。

2010年にはEPとして再リリース、さらに2023年にシングルとして再発表されました。このカバーバージョンは原曲よりもポップでキャッチーなアレンジが施されており、子どもから大人まで親しみやすい仕上がりになっています。2025年にSNS上でバイラルヒットし、Spotifyの再生数は2025年時点で250万回以上に達しました。

世界的ヒット:Lenarの「Montagem Miau」(2025年9月)

そして2025年9月20日、ブラジル系アーティストLenar(レナー)がLeonardo Pとの共同制作で、プリンセシータ・ケリー版をサンプリングした「Montagem Miau(モンタージュ・ミャウ)」をリリースします。レーベルはprincesita kelly Official(配信はIIP-DDS経由)/Launch13で、Spotify・Apple Music・YouTube Music・SoundCloudなどの主要プラットフォームで配信されました。

ブラジリアンファンク/Phonkスタイルの重低音ビートと、プリンセシータ・ケリー版のキャッチーなサビを組み合わせた仕上がりは、まさにショート動画時代のために作られたようなトラックで、世界中で爆発的にシェアされ始めます。そして2025年末頃から日本のTikTokやYouTubeショートでも広まり始め、日本語話者による「歯磨き粉ミャオミャオ」という空耳が発見され、日本独自のミームとして急拡散していきました。

楽曲の系譜まとめ

1989年:原曲「Gatito Miau Miau」

作曲:マヌエル・”ゾロ”・ヒメネス/歌唱:アマンダ・ポルタレス(ペルー)

ジャンル:フアイノ(アンデス民謡)

2004年/2010年:カバー「Ay Mi Gatito」

歌唱:プリンセシータ・ケリー(ペルー)

ジャンル:ラテンポップ/ペルー民謡

2025年9月20日:リミックス「Montagem Miau」

制作:Lenar × Leonardo P(ブラジル系)

ジャンル:ブラジリアンファンク/Phonk

2025年末〜2026年:日本で「歯磨き粉ミャオミャオ」として空耳バズ

歯磨き粉ミャオミャオの元ネタと日本での流行

楽曲の正体と歴史が分かったところで、次は「どうやって世界や日本で広まったのか」「ダンスやロブロックスとの関係は?」「ブレインロットって何?」といった、SNSカルチャーとしての側面を見ていきましょう。曲そのものの背景だけでなく、このコンテンツをめぐるインターネット文化の広がりを知ることで、なぜここまでバズったのかがより立体的に見えてきます。

プリンセシータケリー版がバズの起点

現在の世界的なバイラル現象のきっかけをつくったのは、プリンセシータ・ケリー(Princesita Kelly)のカバー版「Ay Mi Gatito」です。ここをしっかり理解しておくと、「本家はどれ?」という疑問にも答えられます。

「本家」は何を指すのか

「歯磨き粉ミャオミャオ 本家」で検索するユーザーが多いですが、「本家」が何を指すかによって答えが変わります。

文脈「本家」にあたる楽曲
最も古いオリジナル曲「Gatito Miau Miau」アマンダ・ポルタレス(1989年)
SNSバズの直接の起点「Ay Mi Gatito」プリンセシータ・ケリー(2004年/2010年)
現在バズっているバージョン「Montagem Miau」Lenar(2025年)

TikTokで「本家」と検索すると、プリンセシータ・ケリーの映像やLenarの音源を使った最初期の人気動画が出てくることが多いです。現在バイラルしている音のルーツという意味では、プリンセシータ・ケリー版が「バズの本家」と言えるでしょう。

2025年のSNSバイラル:なぜ突然ヒットしたのか

プリンセシータ・ケリーの「Ay Mi Gatito」は2004年のリリース後、長らく地元ペルーでそれなりに親しまれる曲として存在していましたが、世界的に知られることはありませんでした。それが2025年に突然爆発的にヒットしたのは、TikTok・Instagram・YouTubeのアルゴリズムが「猫×ポップな音楽」という組み合わせを強力に後押しし始めたこと、AIを使った映像生成技術が普及して誰でも高品質な「猫ダンス動画」を作れるようになったことが重なったためと考えられます。

TikTokでは猫の映像を用いた動画編集、アンデス風衣装で踊るAI生成映像、AIカバー音源などが大量に制作されました。Spotifyの再生数は2025年時点で250万回以上に達しており、特定のインフルエンサーが広めたというよりも、無数の小規模クリエイターが自発的に使い始めたボトムアップ型のバイラルだったのが特徴的です。

まさに「眠れる名曲が突然目覚めた」というSNS時代ならではの逆転ヒットのパターンです。これを素材として、EDMやブラジリアンファンクのプロデューサーたちが次々とリミックスを制作し、その中で最も世界的に広まったのがLenarによるMontagem Miauというわけです。

Lenarのリミックスが世界に広がった経緯

Lenarの「Montagem Miau」は2025年9月20日にリリースされ、SpotifyやApple Music、YouTube MusicなどでStreaming配信がスタートしました。このトラックが世界中に広まった経緯には、楽曲のジャンルそのものの特性が大きく関係しています。

ブラジリアンPhonkとは何か

「Montagem Miau」が属するジャンルはブラジリアンPhonk(Brazilian Phonk)、あるいはブラジリアンファンクとPhonkが融合した「Brazilian Funk Phonk」とも呼ばれるスタイルです。

Phonk(フォンク)はアメリカ・テネシー州メンフィスのラップをルーツとするヒップホップのサブジャンルで、ダークでアグレッシブなサウンドと独特の重低音ベースラインが特徴です。2020年代前半にTikTokのドリフト動画や格闘ゲーム動画のBGMとして大ブレイクしました。一方のブラジリアンファンク(Brazilian Funk)はリオデジャネイロ発のバイレファンキをルーツとする音楽で、繰り返しのビートと高速テンポが特徴。この2つが合わさったブラジリアンPhonkは、TikTokやYouTubeショートのBGMとして世界中で急速に普及しています。

Montagem(モンタージェン)」というのはブラジル音楽における楽曲形式の一種で、ポルトガル語で「組み立て・モンタージュ」を意味します。複数の音源やサンプルを組み合わせて作るリミックス/マッシュアップ作品のことをこう呼び、DJやプロデューサーが既存の楽曲にオリジナルのビートを加えて制作するのが一般的な手法です。TikTok時代に入って、短い尺で中毒性の強いMontagemが世界でバズるケースが急増しています。

スポーツ文化への波及:トルーカの事例

メキシコのサッカークラブ「トルーカ(Deportivo Toluca F.C.)」が試合後のSNS投稿でこの曲をユーモラスに使用したことが話題になりました。サッカークラブの公式アカウントがミームを積極的に活用するという、SNS時代のスポーツブランディングの新しいかたちとしても注目されています。この事例が示すように、「Montagem Miau」は音楽ジャンルや国境、さらにはコンテンツジャンルの壁を超えたユニバーサルなコンテンツになっています。

TikTokやYouTubeでの日本独自の広まり

日本への流入は2025年末頃からで、TikTokとYouTubeショートが主な入口でした。ただし日本での広まり方は、海外とは少し異なる独自の経路をたどっています。

「空耳ミーム」としての日本独自の進化

海外では「かわいい猫動画のBGM」「ダンス動画の音源」として普及しましたが、日本では「歯磨き粉ミャオミャオ」という空耳が発見されてから一気に別次元の広がりを見せました。猫の動画、日常ネタ、シュールなショート動画のBGMとして使われる中で、この空耳を「タイトル代わり」に使う動画が爆増したんですね。

Yahoo!知恵袋では2026年1月時点で「この曲は何?」という質問が投稿され、12,000回以上閲覧されているほど関心が高く、「歯磨き粉ミャオミャオ 元ネタ」「歯磨き粉ミャオミャオ 曲名」「歯磨き粉ミャオミャオ 歌詞」といった検索が大量に発生しました。この検索数の多さが、この記事を書こうと思ったきっかけのひとつでもあります。

ダンス動画と年齢層を超えた広がり

人気YouTuberやキッズチャンネル(プリンセス姫スイートTVなど)が「歯磨き粉みゃおみゃお」ダンス動画を投稿し、子どもたちにも広まりました。また、ミス慶應出場者がBGMに使用するなど、年齢・属性を問わない広がりを見せているのも特徴的です。

ダンスの振り付けについては、特定の振付師が作った「公式の振り付け」があるわけではなく、「ミャオミャオ」のパートで手を猫の手(猫ポーズ)にするのが定番アレンジとして自然発生的に定着しています。この「猫ポーズ」はTikTokでも海外でも共通しており、言語の壁を超えて直感的に通じるジェスチャーになっています。

日本での「歯磨き粉ミャオミャオ」主なコンテンツ展開

  • TikTok:ダンス動画、猫動画、空耳ネタ、歌ってみた、元ネタ解説、日常vlog BGM
  • YouTubeショート:ダンス動画、歌詞和訳動画、ロブロックス実況、猫ミーム
  • YouTube(通常動画):歌詞解説、カタカナ歌唱チャレンジ、ロブロックス実況
  • Instagram Reels:ダンス動画、ミーム系動画
  • X(旧Twitter):空耳の感想ポスト、元ネタ考察、トレンド化

日本の猫ミーム文化との合流

日本にはもともと「猫ミーム」と呼ばれる動画コンテンツの文化が根付いており、猫の面白動画にBGMを合わせてリズム良く編集するスタイルが人気です。「歯磨き粉ミャオミャオ」はこの日本の猫ミーム文化と見事に合流し、もともと猫を歌った曲であることとの相乗効果で、日本独自の「猫ミーム×歯磨き粉空耳」というコンテンツジャンルが生まれました。このジャンルの中毒性がさらなる拡散を生んでいるという構図です。

ロブロックスやブレインロット文化との関係

さらに深堀りしてみると、「歯磨き粉ミャオミャオ」はゲームプラットフォームのRoblox(ロブロックス)とも深く結びついていて、特に小中学生を中心とした若い世代のユーザーにはこちらの文脈で認知されているケースも多いんです。

Roblox内での「歯磨き粉ミャオミャオ儀式」

Robloxのゲーム内に「歯磨き粉ミャオミャオ儀式」というコンテンツが存在しており、「Steal Brain Rot(ブレインロットを盗む)」というゲームの中でキャラクターやイベント曲として登場します。Roblox上でのレアリティが議論されるほど、ゲームコミュニティ内でも独自の盛り上がりを見せているんです。

Robloxはもともと子どもや10代を主なユーザー層とするゲームプラットフォームで、ユーザーが自分でゲームを作成・公開できる仕組みが特徴です。ブレインロット系のミームコンテンツをゲームに取り込むという文化が定着しており、「歯磨き粉ミャオミャオ」のような中毒性の高いミームがゲーム内に登場するのはその典型例と言えます。

「ブレインロット(Brain Rot)」とは何か

ここで出てくる「ブレインロット(Brain Rot)」というワードについて、もう少し詳しく解説します。

ブレインロット(Brain Rot)とは?

直訳すると「脳の腐敗」。繰り返し見てしまう中毒性の高いショート動画や、ナンセンスだけど頭から離れないインターネットミームを指すスラングです。

2024年、オックスフォード大学出版局(Oxford University Press)はこの言葉を2024年の「今年の言葉(Word of the Year)」に選定し、37,000票以上の一般投票で選ばれたことが発表されています。さらに2025年6月にはオックスフォード英語辞典(OED)にも正式収録されています。(出典:Oxford University Press公式発表)

オックスフォード英語辞典による定義:「デジタルコンテンツ、特にオンラインのコンテンツを大量消費することで、人の精神状態や知的能力が悪化するとされる状態」

「一度聞いたら頭から離れない」「意味はわからないけど繰り返し見てしまう」という特性が、まさにブレインロットの定義に合致しているわけです。若い世代を中心に「歯磨き粉ミャオミャオ=ブレインロットコンテンツの代表格」として認識されており、それが逆にバッジ的な意味合いを持って面白がられているという側面もあります。

「ブレインロット」コンテンツとしての特徴

「歯磨き粉ミャオミャオ」がブレインロットコンテンツとして成立している要素をまとめると、以下のような点が挙げられます。

  • 中毒性の高いループ構造:同じフレーズが繰り返されることで、脳がリズムを学習して止まらなくなる
  • 意味の不思議さ:「歯磨き粉」という日用品名と「ミャオミャオ」という猫の鳴き声の組み合わせが予想外すぎて記憶に残る
  • 共有欲求の喚起:「これ聴いてみて!歯磨き粉って聞こえない?」という体験の共有を促す仕掛けがある
  • 視覚と聴覚の融合:猫の動画との相性が良く、視覚的なかわいさと音楽の中毒性が掛け算になる

こうした要素が重なって、「歯磨き粉ミャオミャオ」は単なる流行曲を超えた、インターネット文化の一現象として定着しています。

歯磨き粉ミャオミャオの元ネタまとめ

改めて全体を整理して、この記事のまとめとします。

TikTokやYouTubeショートで話題の「歯磨き粉ミャオミャオ」の正体は、ブラジル系アーティスト・LenarによるリミックストラックMontagem Miauです。ただしその大元を辿ると、ペルーの歌手プリンセシータ・ケリーのカバー「Ay Mi Gatito」(2004年)を経て、さらにその原曲はペルー民謡「Gatito Miau Miau」(1989年)まで遡ります。歌詞はスペイン語で「かわいそうな食いしん坊の子猫ちゃん」を歌ったもので、「歯磨き粉」に聞こえる正体は「Ay, mi gatito」という音が日本語の音韻体系でフィルタリングされる空耳現象です。

この曲に関してよく誤解されている点を最後に整理しておきましょう。

誤解されやすいポイント まとめ

  • ✕「ポルトガル語の曲」→ ○ スペイン語の曲(リミックスはブラジル系だが歌詞の言語はスペイン語)
  • ✕「中国の曲」→ ○ ペルー発の曲(中国系猫動画に多用されているだけ)
  • ✕「ブラジルの曲」→ ○ ペルー民謡をブラジル系アーティストがリミックスした楽曲
  • ✕「最近できた曲」→ ○ 原曲は1989年のペルー民謡

1989年のペルー民謡が、2025年にブラジリアンファンクとしてリミックスされ、2026年の日本で「歯磨き粉」というとんでもない空耳でバズる——このルートの面白さこそが、この曲の一番の魅力かなと個人的には思っています。インターネットと音楽が生み出す偶然の連鎖って、本当に予測不可能で楽しいですよね。

なお、この記事に含まれる再生数などの数値データはあくまで一般的な目安として参照してください。最新の情報や正確なデータについては、各プラットフォームの公式サイトをご確認いただくことをおすすめします。また、楽曲の権利や使用に関する詳細は、専門家または各レーベルへのお問い合わせをお願いします。

引き続き、耳に残るあの音楽の謎や、ネットカルチャーにまつわるさまざまなネタをコミックコミュニティで発信していきます。気になる記事があればぜひのぞいてみてくださいね。

ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
記事URLをコピーしました