【娘を妊娠させたのは誰ですか】結末を含むネタバレ完全版｜相手は誰なの？

どんな話？あらすじをわかりやすく解説

この物語は、ごく普通の高校生だった16歳の女の子、春菜（はるな）が予期せぬ妊娠をし、その事実と向き合いながら、家族や恋人との関係、そして自分自身の将来について悩み、決断していくお話です。

ある日、春菜は体調の変化を感じ、妊娠検査薬を試したところ、陽性反応が出ます。相手は、真剣に交際していた恋人の航太郎（こうたろう）くんだと最初は考えていました。春菜は大きな不安と恐怖を感じながらも、航太郎くんに打ち明けます。彼は驚きながらも、「どんな決断をしても支える」と約束し、二人で親に話すことを決めます。

春菜が母親に告白すると、母親は大きなショックを受けますが、まずは娘の体を心配し、一緒に産婦人科へ行くことを提案します。病院で診察を受けた結果、妊娠8週目であることが確定します。エコー写真で赤ちゃんを見た春菜は、「赤ちゃんを産みたい」という気持ちを母親に伝えます。しかし、春菜の父親は「高校生での出産は早すぎるし、将来が台無しになる」と強く反対します。

さらに、事態は複雑になります。航太郎くんの家族との話し合いの場で、航太郎くんの父親が「本当に航太郎の子か証明するためにDNA鑑定が必要だ」と言い出したのです。この言葉に両家は激しく対立し、話し合いは険悪な雰囲気になってしまいます。大人たちの言い争いに耐えられなくなった春菜と航太郎くんは、衝動的に家を飛び出してしまいます。しかし、未成年である二人が社会で生きていくことは想像以上に困難で、ネットカフェにも泊まれず、すぐに現実の厳しさに直面することになりました。

家に戻った春菜は、皆の前で驚くべき告白をします。「この子を産みたい。でも、航太郎くんとは別れます。お腹の子は、航太郎くんの子どもじゃありません」と、事実とは異なる嘘をついてしまうのです。これは、優しい航太郎くんの将来を守りたいという気持ちと、妊娠の経緯に、彼には決して言えない辛い秘密があったためでした。

最終的に春菜は、母親にすべてを打ち明けます。本当の父親は、信頼していた部活のOBの先輩であり、同意のないまま関係を持たされてしまったこと、そしてその事実を誰にも知られたくなくて一人で苦しんでいたことを告白しました。

様々な困難や、心が張り裂けるような辛い出来事に直面しながらも、多くの人との関わりや支えの中で、春菜は「この子を産む」という決意を新たにしていきます。物語は、この後、春菜が周囲の人々とどのように向き合い、出産に向けてどう進んでいくのか、という展開が描かれていきます。

ネタバレ②：航太郎の父は春菜を疑いDNA鑑定を要求する

春菜さんの妊娠という事態を受けて、春菜さんの両親と、恋人である航太郎くんの父・祖母が集まり、今後の対応について話し合う場が設けられました。春菜さんと航太郎くんは「出産して二人で育てたい」という意志を持っていますが、親世代は、まだ若すぎる二人の将来を深く案じ、中絶も現実的な選択肢として考えている、という非常に重い雰囲気の中での話し合いでした。特に航太郎くんの父親は高校教師という職業柄、若年での出産や育児が、当人たちの学業や将来設計にいかに大きな影響を与えるか、多くの事例を見てきており、極めて慎重な姿勢を示していました。

息子の将来を最優先する父の考え

航太郎くんの父親は、何よりも息子の航太郎くんの将来を案じています。「学校の先生になる」というしっかりとした夢を持つ息子が、高校生の段階で父親になることの責任の重さ、それが息子の輝かしい未来を閉ざしてしまうのではないか、という強い懸念を抱いています。そのため、話し合いの場では当初、「二人のためには中絶が最善の選択ではないか」という考えを、自身の経験を交えながら述べます。しかし、航太郎くん本人は「春菜と二人で育てる」という決意を固く持っており、父親の意見に強く反発します。

信頼関係を根底から揺るがす要求

話し合いが平行線をたどり、両者の意見がまとまらない中、航太郎くんの父親は、その場の空気を凍りつかせるような、非常に衝撃的な要求を口にします。それは、「お腹の子どものDNA鑑定をして、本当に航太郎の子どもであるという確証を得たい」というものでした。彼は、「父親が航太郎であると確定するまでは、（中絶する場合に必要な同意書など）重要な書類にサインすることはできない。サインをする以上、私にも責任があるからだ」と、その理由を説明します。しかし、この言葉の裏には、「春菜さんが他の男性の子どもを妊娠した可能性も排除できない」という疑いが含まれており、これは春菜さん本人と、彼女の家族に対するあまりにもひどい侮辱に他なりませんでした。

関係の決定的な亀裂と、その後の影響

このDNA鑑定の要求は、当然ながら春菜さんとその両親を深く傷つけ、彼らの激しい怒りを買います。航太郎くんもまた、「俺の子だとわかったら（中絶によって）殺すのか！」と父親に激しく詰め寄ります。この一件で、両家の話し合いは完全に決裂。互いの不信感は頂点に達し、関係には修復困難とも思えるほどの深い亀裂が生じてしまいました。この、大人たちに対する絶望感と、耐え難いほどの精神的苦痛が、この直後に春菜さんと航太郎くんが衝動的に家を飛び出し、二人だけの逃避行（駆け落ち）へと向かう、直接的な引き金の一つとなったのです。

ネタバレ③：春菜と航太郎は一度家出（駆け落ち）をする

両家の話し合いが、航太郎くんの父親によるDNA鑑定の要求という、春菜さんたちにとって非常に屈辱的な形で決裂した後、春菜さんと航太郎くんは大人たちに対する強い不信感と、自分たちの純粋な気持ちを全く理解してもらえない深い絶望感に襲われます。「もうここにはいられない」「自分たちの力で生きていくしかない」と感じた二人は、後先をあまり考えず、衝動的にそれぞれの家を飛び出してしまいます。これは計画的に準備されたものではなく、精神的に追い詰められた末の、半ばパニック的な行動でした。

「カケオチ」のような現実逃避

「春菜のことは俺が守る」と固く誓う航太郎くんと、彼を頼りにするしかない春菜さん。二人は、春菜さんの母親に「大丈夫だから心配しないで」という、状況を詳しく伝えない短いメッセージだけを残し、当てもなく街へとさまよい出ます。春菜さんが「なんか、カケオチってやつみたいだね」と、どこか他人事のように呟く姿からは、これが厳しい現実から目をそらすための、束の間の逃避行であることがうかがえます。残された両親たちは、二人に連絡がつかないことを心配しますが、すぐには彼らの居場所を突き止めることができません。

未成年が直面する社会の高い壁

しかし、世間知らずの未成年である二人が、親の保護なしに社会で生きていくことの厳しさを、彼らはすぐに思い知らされることになります。まず、夜を過ごそうと立ち寄ったインターネットカフェでは、「高校生（未成年者）だけでの宿泊は条例で禁止されている」という理由で、あっさりと利用を断られてしまいます。航太郎くんは日雇いのアルバイトでもしようと考えますが、身分証明や保証人の問題もあり、高校生がすぐに仕事を見つけるのは容易ではありません。当然、手持ちのお金もどんどん減っていきます。最終的に、年齢確認が比較的緩いとされるラブホテルに、なんとか一時的な寝場所を確保しますが、それは決して安定した生活の始まりではありませんでした。

限界を知り、家へ戻ることを決意

わずかな時間の家出でしたが、この経験を通して、春菜さんと航太郎くんは「今の自分たちの力だけでは、どうにも生活していくことはできない」という厳しい現実を痛感します。安定した住居を確保することも、日々の生活費を稼ぐことも、社会的な信用や保護のない未成年の二人にとっては、想像以上に困難なことでした。特に、妊娠初期で体調が万全ではない春菜さんの体のことも心配です。このままではいけない、これ以上二人だけでやっていくのは無理だと悟った二人は、わずか1〜2日程度の短い家出を終えて、それぞれの家に帰ることを決断します。この苦い経験は、彼らにとって社会の現実の厳しさを学ぶ、重要な出来事となりました。

ネタバレ④：春菜は航太郎の子ではないと打ち明け別れを告げる

わずか1〜2日程度の短い家出（駆け落ち）が、現実的に不可能であることを痛感し、それぞれの家に戻ってきた春菜さんと航太郎くん。彼らを待っていたのは、依然として今後の対応を決めかねている、重い空気に包まれた両家の大人たちでした。心配と安堵が入り混じる複雑な視線が注がれる中、春菜さんは皆の前で、家出の間に固めたと思われるある決意を表明します。まず、「私… この子を産みたいです」と、世間の目や将来のリスクよりも、お腹の子どもの命を選ぶという意思をはっきりと伝えます。

全ての関係を壊す衝撃的な発言

しかし、その直後、春菜さんの口からは、その場の誰もが耳を疑うような、さらに衝撃的な言葉が続きます。「そして…航太郎くんとは別れます」と。なぜ、出産を決意した上で、支え合うはずの航太郎くんと別れるのか。その理由として春菜さんは、「お腹の子は、航太郎くんの子どもじゃありません」と真相を話します。その場にいた全員は、このあまりにも突然で、信じがたい告白に激しく動揺し、大きな衝撃を受けます。

春菜の本当の想いと自己犠牲

物語がもう少し進むと、その悲しく、そして切ない本当の理由が明らかになります。実は、春菜さんは信頼していた４つ上の部活OBの先輩から、夏休み中に望まない形で性的な関係を強要され、その結果として妊娠してしまっていたのです。春菜さんは、自分を心から大切にしてくれる誠実な航太郎くんを、結果的に裏切ってしまったという、耐え難いほどの罪悪感に苛まれていました。そして、このお腹の子どもが、そのような辛い経緯でできた子であること、そしてその事実を航太郎くんに知られること、彼にその重荷を背負わせることは絶対にできない、と考えたのです。彼の輝かしい未来を守るため、彼をこの苦しみから解放するために、春菜さんは自らが悪者になる道を選びました。

関係の断絶と、それぞれの深い苦悩

この春菜さんの発言によって、事態は急展開を迎えます。航太郎くんの家族（特に祖母と父親）は、「やはりそうだったのか」「うちの息子をたぶらかして」と春菜さんを一方的に非難しつつも、これで息子（孫）が厄介な問題から解放されたことに内心安堵したような様子を見せ、早々にその場を引き上げていきます。

航太郎くん本人は、愛する春菜からの突然の別れを突きつけられ、ただただ混乱するばかりです。春菜さんの両親もまた、娘の言葉の真意を測りかね、困惑してしまいます。そして、愛する航太郎くんの幸せを願い、自ら彼を突き放すという最も辛い選択をした春菜さん自身も、去っていく彼の背中を見送りながら、一人で声を上げて泣き崩れるのでした。この嘘は、その場にいた多くの人を傷つけ、築き上げてきた関係を一時的に、しかし決定的に断ち切ってしまう、非常に重く、悲しい決断でした。

ネタバレ⑤：恋人の航太郎は妊娠を知っても当初は春菜を支えようとする

主人公・春菜（はるな）さんの恋人である高山航太郎（たかやま こうたろう）くんは、物語を通して非常に誠実で思いやりの深い人物として描かれています。その素晴らしい人柄は、春菜さんから予期せぬ妊娠という、あまりにも重く、そして受け止めがたい衝撃的な事実を打ち明けられた際の彼の対応に、非常によく表れています。彼はもちろん、突然の告白に驚き、少なからず動揺します。しかし、決して春菜さんを非難したり、冷たく突き放したりするようなことはしませんでした。

彼女の心に深く寄り添う優しい言葉

「なんで春菜が謝るんだよ」「春菜は悪くないだろ」。まず彼は、自分ばかりを責めて涙にくれる春菜さんの心にそっと寄り添い、温かく優しい言葉で彼女の罪悪感を少しでも和らげようと努めます。そして、「春菜はどうしたい？」と一方的に結論を出すのではなく、彼女自身の意思や気持ちを何よりも尊重する姿勢を明確に示します。さらに、「俺は春菜がどんな決断をしても支えるから」と、これからどんな困難な道のりが待ち受けていようとも、最後まで彼女の味方であり続けることを力強く約束するのです。これらの言葉は、深い孤独と恐怖の中にいた春菜さんにとって、何物にも代えがたい救いとなります。

未来への責任を受け止め、共に乗り越える覚悟

航太郎くんの誠実さは、単なる優しい言葉だけにとどまりません。「ご両親にちゃんと話をしよう」と、この重大な問題から目を背けることなく、責任ある態度できちんと向き合うことを提案します。そして、「俺がきちんと話をする。それで2人で育てよう」と、まだ高校生という若さでありながらも、生まれてくる子どもに対する父親としての責任を受け止め、春菜さんと共にその未来を築いていくという明確な覚悟を示すのです。この確かな決意は、大きな不安の中にいた春菜さんにとって、未来への一条の光となりました。

周囲の反対にも揺るがなかった当初の強い想い

その後、両家の話し合いの場で自身の父親から強く反対されても、家出という極めて困難な状況に直面しても、航太郎くんの「春菜を支え、生まれてくる子どもを二人で育てる」という当初の強い想いは、簡単には揺らぎませんでした。彼は常に春菜さんを守ろうという姿勢を崩さず、彼女の意思を尊重しようと努めます。春菜さんから（彼女の真意が隠された）嘘の別れ話を切り出された際にも、彼は即座に「俺は別れない！」と反論し、関係の継続を訴えようとしたほどです。彼のこの一貫した愛情深い姿勢は、物語序盤において、精神的に追い詰められた春菜さんにとって、かけがえのない精神的な支柱でした。