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【問題な王子様】8話ネタバレ完全版

ずっちー

【問題な王子様】8話をネタバレありで解説する

王宮の華やかな舞踏会場。しかし、エルナにとっては悪夢のような場所でした。そこに現れたビョルン王子。二人の出会いは、決してロマンチックなものではなく、むしろエルナをさらなる窮地へと追い込むものでした。

ホール中央での対峙とビョルンの機転

ビョルン王子がホールに入場したまさにその時、赤いカーペットの真ん中には、まるで石像のように立ち尽くすエルナの姿がありました。彼女の顔は血の気を失い、焦点の合わない瞳は虚空をさまよっています。明らかに尋常ではないエルナの様子に、ビョルンは眉をひそめながらも彼女に近づきます。

周囲の貴族たちは固唾をのんで見守り、エルナの父であるハルディ子爵夫妻やシャペロンのマイアー伯爵夫人は焦りの色を隠せません。エルナは、目の前にいるビョルン王子すら認識できないほど混乱しており、まさに倒れんばかりの状況でした。その瞬間、ビョルンは機敏にエルナの体を支え、「息をしなさい」と低い声で囁きます。その声に、エルナはかろうじて意識を取り戻し、まるで初めて彼を見たかのように驚いた表情を浮かべるのでした。

仕組まれたスキャンダルとエルナの評判

この騒動を見ていたマイアー伯爵夫人がすぐに駆け寄り、「ハルディさんが、とても緊張して大きなミスを犯したことを心からお詫びします」とビョルンに謝罪し、エルナを助け起こします。ビョルンは、この一連の出来事が、エルナを目立たせるためのマイアー伯爵夫人の巧妙な策略であることを見抜いていました。そしてその狙い通り、この事件は瞬く間に社交界の大きな話題となります。

シュベリン大公ビョルン王子も目を奪われた絶世の美女、エルナ・ハルディ」――そんな噂が広まり、エルナは一夜にして社交界の注目の的となりました。しかしそれは、決して好意的なものばかりではありませんでした。「大公を利用して名前を売ろうとした、抜け目のない田舎娘」「品位も何もないハルディ家の娘」といった悪評も同時に広まり、エルナは好奇と軽蔑の視線に晒されることになります。

舞踏会での孤独とマイアー伯爵夫人の厳しい言葉

舞踏会が続く中、エルナはホールの隅の長椅子に一人ぽつんと座っていました。多くの青年たちがダンスを申し込んできますが、彼女はまともに目も合わせることができず、ただ怯えるばかり。そんなエルナの元へ再びマイアー伯爵夫人がやってきて、「顔を上げて。会話をする時は、相手の目を見るのが基本的な礼儀です」と、そのあまりの社交性のなさを厳しく叱責します。

さらに、「今日の出来事で何を騒がれようと、あなたはハルディ家の令嬢であり、この私がシャペロンなのです。最小限の品位は守りなさい。それが、あなたを今まで育ててくれたバーデン家の名誉も守る道だということを肝に銘じるように」と畳み掛けます。その言葉は、エルナにとって重く、彼女の心をさらに追い詰めていくのでした。自分が起こした(あるいは巻き込まれた)騒動で、愛する祖母やバーデン家の名誉まで傷つけてしまうかもしれないという恐怖に、エルナは打ちひしがれます。

再び交差する視線、物語はどこへ

パーティーも終盤に差し掛かった頃、エルナはふと視線を上げ、柱にもたれて弟のレオニード王太子と話しているビョルン王子の姿を捉えます。世間では「王室の毒キノコ」と呼ばれ、恐れられている彼。エルナがぼんやりと「毒キノコ…」と呟いたその瞬間、ビョルンが彼女の視線に気づき、二人の目が再び合ってしまいます。

エルナの心臓は大きく跳ね上がり、顔からは血の気が引いていくのでした。この視線の交錯は何を意味するのか。エルナの運命は、そしてビョルンとの関係は、これからどのように展開していくのでしょうか。第8話は、エルナの過酷な社交界デビューと、ビョルンとの不穏な再会を描き、読者の心を掴んで離さない緊迫感の中で幕を閉じます。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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