【問題な王子様】18話ネタバレ完全版

【問題な王子様】18話をネタバレありで解説する
パーベルとの再会は、エルナにとって大きな心の支えとなりました。穏やかな川辺を散策しながら、二人はこれまでのこと、そしてこれからのことについて語り合います。しかし、その一方で、ビョルン王子のエルナを見る目は、ますます複雑なものになっていくのでした。
エルナの告白とパーベルの葛藤
エルナはパーベルに、父親であるハルディ子爵が自分を結婚させようとしていること、しかし自分にはその気がないことを打ち明けます。彼女は、「1年間はシュベリンにいると約束した。その後は、当然バーデン家に戻らなければ」と、祖母の元へ帰る意志が固いことを伝えます。その瞳には、困難な状況の中でも希望を失わない、エルナらしい強い光が宿っていました。
そんなエルナの言葉を聞き、パーベルは彼女の身を案じます。ハルディ子爵が、エルナを高く売り払うためだけに社交界に出していること、そしてそのためにエルナが利用されているのではないかと危惧するのでした。「もうバーデン家に帰ったらどうか」と助言するパーベルでしたが、エルナの決意は揺らぎません。
かつてパーベルは、自身の父親から「バーデン男爵家に出入りするのはそろそろ止める時だ。お前も、その家門の孫娘ももう子供ではないから」と忠告されたことがありました。木材所の息子と没落貴族の令嬢。世間の目は厳しく、二人の親密な関係はあらぬ噂を呼ぶ可能性があったのです。それでも、パーベルにとってエルナは大切な妹のような存在。彼は、「もし助けが必要なことがあれば、必ず自分を訪ねて来て」とエルナに力強く告げるのでした。
そしてエルナは、パーベルにもう一つ、切実な願いを打ち明けます。「シュベリンで造花を売る方法はないだろうか」と。バーデン家の家計を支えるため、そして何よりも愛する祖母に少しでも楽をさせてあげたいという、エルナの健気な想いでした。パーベルは、かつて絵を売ったことのあるデパートのオーナーに聞いてみると約束し、エルナを喜ばせるのでした。
エルナとパーベルの姿を目撃したビョルン、深まる誤解
その頃、ビョルン王子は馬車で移動中に、偶然にも川辺を仲睦まじく散歩するエルナとパーベルの姿を目撃してしまいます。楽しそうに談笑し、時には親密な様子を見せる二人の姿は、ビョルンの目に「花婿候補を探して社交界を物色し、陰ではアカデミーの画家と密愛を楽しむ、ずるい淑女」と映ってしまいました。彼はエルナのことを、かつてのグレディス・ハードフォートのように、計算高く立ち回る女性だと誤解を深めてしまうのです。
ビョルンは、「純真無垢な顔に騙されて、あの女に振り回されている無数のバカ野郎ども」と心の中で嘲笑し、エルナという存在が自分の退屈な日常に刺激を与えてくれる「観戦対象」として、ますます興味を引かれるのでした。
別れ際の約束と「適正ライン」
楽しい時間はあっという間に過ぎ、エルナとパーベルは別れの時を迎えます。パーベルはエルナを送って行こうとしますが、彼女は「メイドから駅馬車に乗る方法を教わった」と、どこか誇らしげにそれを断ります。
遠ざかるエルナの後ろ姿を見送りながら、パーベルは彼女と初めて出会った日のことを思い出していました。雨の中、泥だらけで歩いていた幼いエルナ。前歯が一本抜けていて、それを隠すようにしていた可愛らしい少女。そんな彼女を、彼は本当の妹のように大切に思ってきました。そして今も、その気持ちに変わりはありません。「適正ラインは依然として有効だった」――エルナの幸せを心から願いつつも、決して一線を越えることのない、パーベルの誠実な想いがそこにはありました。
第18話は、エルナとパーベルの温かい友情が描かれる一方で、ビョルン王子のエルナに対する誤解がさらに深まるという、切ない展開となりました。ビョルンの目に映るエルナは、計算高く立ち回る「ずるい淑女」。しかし、読者は彼女の本当の純粋さと苦悩を知っています。この大きな誤解が、今後の二人の関係にどのような影響を与えていくのでしょうか。そして、エルナとパーベルの友情の行方は?物語は、複雑に絡み合う人間模様の中で、次なる波乱を予感させます。
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