アニメ

【問題な王子様】23話ネタバレ完全版

ずっちー

【問題な王子様】23話をネタバレありで解説する

エルナの健気な努力は、少しずつ形になり始めていました。パーベルの協力もあり、デパートの帽子屋に造花を納品できるようになったのです。しかし、そんな彼女の穏やかな日常に、再びビョルン王子が影を落とします。第23話では、川辺での予期せぬ再会と、二人の間に流れる複雑な感情が描かれます。

造花に託す想いと、ビョルンとの再会

エルナは、メイドのリサと共に材料を買い出し、心を込めて作った造花をデパートへ納品する日々を送っていました。彼女の作る精巧で美しい造花は評判を呼び、帽子屋の主人ペント氏からも「腕もいいし、手も速い」と褒められるほど。エルナは、こうして得たお金を、ビョルン王子への「トロフィー代弁償」のために、そして故郷の祖母への仕送りのために、大切に貯めていました。

そんなある日のこと、エルナが川辺を散歩していると、思いがけずビョルン王子に声をかけられます。「こんなところでお会いするとは」と、どこか芝居がかった口調で近づいてくるビョルン。エルナは驚きと警戒心でいっぱいになりますが、逃げることはできませんでした。ビョルンは、エルナが手にしていた造花の材料らしきものに目を留め、「まさか花でも売りに来たのか」と、からかうように尋ねるのでした。

鈴蘭の造花と「約束の証」

エルナは、ビョルンの挑発的な言葉にカッとなりながらも、「売るつもりだけれど、王子様に売ろうとしているわけではない。これを売って王子様のトロフィー代を弁償するのです」と、きっぱりと言い返します。その真面目で健気な態度に、ビョルンは思わず呆れたような笑みを漏らします。

そしてビョルンは、エルナが持っていた鈴蘭の造花を一つ手に取ると、「随分上手だ」と、まるで品定めでもするかのように褒めるのでした。エルナは、その言葉を素直に喜んでいいものか戸惑いつつも、「ペントさんも同じことを言ってくれた」と、つい口にしてしまいます。そんなエルナの純粋な反応を、ビョルンはどこか面白そうに眺めていました。

「これを売ってトロフィー代を返すのか。私が棺桶に入る前に借金を全部返すことは可能なのか」と、さらにエルナを揶揄するビョルン。エルナは、「もちろん長い時間がかかるだろうけれど、私の造花は王子様が思っているより高く売れるのです!」と、プライドを傷つけられた怒りを露わにします。

ビョルンは、そんなエルナの剣幕にも動じることなく、「ハルディさんの好きなようにして」と、どこか上の空で答えます。彼にとって、エルナは「自分の船に乗り、勝利と賭け金を与えた後、消えてくれれば良い存在」に過ぎず、彼女が何をしようと大きな関心はなかったのかもしれません。しかし、エルナはそんなビョルンの態度に臆することなく、彼が手にしていた鈴蘭の造花を指差し、「約束の証として、それを差し上げます」と告げるのでした。それは、借金を必ず返すという彼女の固い意志の表れであり、同時に、ビョルンに対するささやかな抵抗でもありました。

美しい夕日とすれ違う心

夕焼けが川面を美しく染める中、エルナとビョルンは言葉少なに見つめ合います。エルナの心には、ビョルンへの怒りや不信感だけでなく、彼を前にするとどうしても平常心を失ってしまう自分への戸惑いがありました。一方のビョルンは、エルナの突拍子もない言動や、コロコロと変わる表情を興味深く観察していました。非現実的な紫色の中で、非現実的な話をぺちゃくちゃ喋るエルナの姿を、彼はどこか「晴れた夏の日の夕方のように美しい」と感じ始めていたのです。

しかし、二人の心はまだすれ違ったまま。エルナはビョルンの真意を測りかね、ビョルンはエルナの純粋さの裏にあるかもしれない計算を疑っています。この川辺での再会は、二人の関係にどのような変化をもたらすのでしょうか。そして、エルナが「約束の証」としてビョルンに託した鈴蘭の造花は、いつか彼の心に届く日が来るのでしょうか。物語は、美しい夕景とは裏腹に、切ない余韻を残して次へと進んでいきます。

◁前の記事はこちらから

あわせて読みたい
【問題な王子様】22話ネタバレ完全版
【問題な王子様】22話ネタバレ完全版

▷次の記事はこちらから

あわせて読みたい
【問題な王子様】24話ネタバレ完全版
【問題な王子様】24話ネタバレ完全版
ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
記事URLをコピーしました