【問題な王子様】30話ネタバレ完全版

【問題な王子様】30話をネタバレありで解説する
グレディス王女からの思わぬ誘いは、エルナをさらに混乱させました。しかし、彼女にはすでに固い決意があったのです。第30話では、エルナがグレディスの誘いを毅然と断る姿と、そんな彼女にビョルン王子がとんでもない提案を持ちかける、運命のボートレースの夜が描かれます。
グレディス王女の誘いとエルナの秘めた決意
ハーバー公爵夫人のパーティーでの一件の後、グレディス王女はエルナに対し、自身が所属する会の慈善演劇公演への参加を提案します。表向きは、社交界に馴染めないエルナを気遣い、友人を作るきっかけを与えようという「親切心」からの誘いでした。周囲の貴婦人たちも、まさかエルナがこの申し出を断るとは思っていませんでした。
しかし、エルナの答えは意外なものでした。「恐縮ですが、その公演には参加できそうにありません。本当に申し訳ございません」と、丁寧ながらもきっぱりと断るのです。エルナは、一週間後にはシュベリンを離れ、父の家から逃げ出すという大きな秘密を抱えていました。そのため、10日後の公演に参加するという嘘の約束はできなかったのです。彼女の毅然とした態度は、グレディスをはじめ周囲の人々を驚かせ、「ハルディ家の令嬢がグレディス王女に大恥をかかせた」という新たな悪評を生むことになってしまいます。
ボートレースの夜、ビョルンからの衝撃的な提案
そして、シュベリンの夏祭りのハイライトであるボートレースの夜がやってきました。この日は、社交クラブの男たちがエルナを巡って始めた「エルナと一緒に船に乗り花火を見る者が勝ち」という賭けの決着の日でもありました。エルナは、パーティー会場の喧騒から逃れるように、一人静かに水路沿いの小道を歩いていました。そんな彼女の前に、ビョルン王子が姿を現します。
彼は、エルナに対し「アビィト川の夜景を一緒に楽しむ栄光を私にくれれば、借金を帳消しにする」と、とんでもない提案を持ちかけるのです。エルナが抱える「鹿の角のトロフィー」の弁償という莫大な借金。それを、この船遊び一回で帳消しにできるというのです。エルナは、あまりのことに言葉を失い、ビョルンを睨みつけます。
ビョルンは、そんなエルナの反応を楽しむかのように、悪びれる様子もなく微笑んでいます。彼の真意は、エルナを巡る賭けに勝つこと、そして彼女の反応を試すことにあるのかもしれません。エルナは、この侮辱的な提案に激しい怒りを覚えますが、同時に「借金は力が強い」という現実も痛感せざるを得ませんでした。愛する祖母やバーデン家のことを考えると、この提案を簡単に拒絶することはできません。
借金という名の鎖、エルナの苦渋の決断
貞淑な淑女としてのプライドと、現実的な問題解決。エルナの心は激しく揺れ動きます。彼女は、ビョルンが差し出したその手を、震えながらも握り返すのでした。「一つの慰めは、この知らせが決して届かないほど、祖母が遠い所にいることだった」――エルナの胸には、そんな悲痛な思いが去来していました。
ビョルンに導かれるままボートに乗り込んだエルナ。彼女の心は、後悔と不安、そしてほんの少しの好奇心でいっぱいでした。ビョルンは巧みにボートを漕ぎ出し、二人の乗った小舟は、祭りの灯籠が美しく照らすアビィト川へと滑り出していきます。
第30話は、エルナが自身の尊厳と現実的な問題との間で苦渋の決断を迫られ、ついにビョルン王子の提案を受け入れてしまうという、衝撃的な展開で幕を閉じます。このボートの上で、エルナとビョルンの間に何が起こるのでしょうか。そして、この出来事は、エルナの「夜逃げ計画」にどのような影響を与えるのでしょうか。物語は、ますます目が離せないクライマックスへと近づいていきます。
◁前の記事はこちらから

▷次の記事はこちらから



