【問題な王子様】32話ネタバレ完全版

【問題な王子様】32話をネタバレありで解説する
アビィト川の夜空を彩る壮大な花火。それは、エルナにとって生まれて初めて目にする光景でした。第32話では、この花火がエルナとビョルン王子にもたらす予期せぬ出来事と、それによって動き出す二人の運命が描かれます。
初めての花火に心奪われるエルナと、ビョルンの回想
次々と打ち上げられる花火の美しさに、エルナは完全に心を奪われていました。借金の重圧も、社交界での不安も、そして隣にいる「問題な王子様」の存在さえも忘れ、子供のように無邪気な歓声を上げ、目を輝かせます。「初めてです」と恥ずかしそうにビョルンに告げる彼女の笑顔は、花火の光を受けてきらきらと輝いていました。
そんなエルナの姿を、ビョルンは静かに見つめていました。彼女の純粋な喜びに触れ、彼の胸にはこれまで感じたことのない温かい感情が芽生え始めていたのかもしれません。ふと、彼は4年前の最初の新婚旅行の夜を思い出します。あの時も、グレディスと共にこの川で花火を見ました。しかし、当時のグレディスは体調が悪く(実は妊娠初期だったのです)、王太子妃としての義務感からか、無理に笑顔を作っているように見えました。そしてビョルン自身もまた、彼女に対しても、花火に対しても、何の感情も抱いていなかったのです。
「目に見えるものを信じなかった」というビョルン。噂や評判、外見といったものは、彼にとって複雑で精巧に作られた嘘に近いものでした。しかし、今、目の前で無邪気に笑うエルナの姿は、彼がこれまで抱いてきた価値観を揺るがすほどの、抗いがたい魅力を放っていました。
予期せぬアクシデント、エルナとビョルン川へ転落
花火がクライマックスに近づき、エルナは夢中で身を乗り出します。その時、彼女がかぶっていた帽子が風にあおられ、川に落ちそうになってしまいました。慌てて手を伸ばすエルナ。そんな彼女を助けようとしたビョルンでしたが、二人の体重が一方向にかかったことでボートはバランスを大きく崩し、あっという間に転覆してしまいます。周囲のボートから驚きの悲鳴が上がる中、エルナとビョルンは冷たい川の中へと投げ出されてしまいました。
水中で意識を失いかけるエルナ。苦しさの中でもがき、助けを求める彼女の耳に、不意に「大丈夫だ」という声が聞こえてきます。それは、ビョルンの声でした。彼にしっかりと抱きかかえられ、水面に引き上げられたエルナ。その声は、まるで「効力のある呪文」のように、彼女の恐怖を和らげ、安心感を与えたのでした。
救出後の混乱と、ビョルンの割り切れない想い
幸いにも近くを航行していた大きな船に助け上げられた二人。エルナは激しく咳き込みながらも、ビョルンの介抱によって次第に落ち着きを取り戻します。ビョルンは、びしょ濡れになったエルナの髪を優しく撫で、彼女の無事を確かめるのでした。たかが帽子のために起きた事故ではありましたが、その結果としてエルナと密着し、彼女を救ったという事実は、ビョルンの心に少なからぬ影響を与えたようです。
船が船着き場に到着すると、そこには噂を聞きつけた大勢の見物人が集まっていました。その中には、ハルディ子爵夫妻や、ビョルンの両親である国王夫妻の姿も。新たなスキャンダルを予感させる状況に、ビョルンは内心うんざりしながらも、エルナを賭けに利用した代価を払ったのだと考え、彼女との関係を「ここまで」と割り切ろうとします。友人であるペーターたちが駆け寄ってきても、「自分のお金を持って来て」と、あくまで賭けの勝利にこだわっているかのような素振りを見せるのでした。
第32話は、美しい花火の夜が一転、エルナとビョルンが川に転落するという衝撃的なアクシデントに見舞われるという、ドラマチックな展開となりました。この事件は、二人の関係にどのような影響を与えるのでしょうか。そして、ビョルンは本当にエルナとの関係を割り切ることができるのでしょうか。物語は、エルナの夜逃げ計画の行方も含め、ますます目が離せない状況へと進んでいきます。
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